概要
C.E.世界初のMSであるジンの重斬刀が一定の戦果を挙げた事から開発された兵装。
対艦刀シリーズが初めて実装された機体は地球連合軍のGAT-Xとなるが、PMP社のI.W.S.P.に採用された完全な実体剣タイプ(9.1m対艦刀)とモルゲンレーテ製ソードストライカーのシュベルトゲベールが並行して開発されており、I.W.S.P.自体の開発が遅れたことから後者が制式採用を勝ち取る。
実体剣型対艦刀の用法は重斬刀と同様で、MSサイズに大型化した古典的な質量剣である。一方、レーザーもしくはビームとのコンビネーション方式はその熱量によって敵装甲の表面を焼き切り、剣の質量でさらに押し広げる質量攻撃が可能な特性を有している。
当初は直進する指向性レーザーを用いていたが、後に粒子ビームによって威力を増大させたモデルも作られた。また、その名の通り戦艦やMAに対抗する装備として開発されたが、実用性から対MS用としても運用可能な装備として位置付けられるようになった。
その多くはMSの全高に匹敵するほどの長さを誇り、重量も相まって取り回しに若干難があるが、その威力はMS用兵装内で最も高く、MS・MA・戦艦はおろかをビーム兵器でありながら対ビームシールド・対ビーム装甲まで一刀両断(あるいは貫通)でき、最高峰の防御兵装である陽電子リフレクターやビームシールドであっても防御できない。さらに、質量攻撃なため機体の速度を威力に変換することができ、最高威力を正面から防ぐことに成功している防御兵装は対ビームシールド(実体盾)とビームシールドを併用しているインフィニットジャスティスの「MX-2002 ビームキャリーシールド」しか存在しない(ストライクフリーダムが防いだ際は、ビームシールドを展開してビーム刃を遮断した上で白刃取りという曲芸染みた手段を取っていた)。そのため、正しく扱えば回避以外に対応手段が存在しない一種の必殺武器とも言える。
実体の刀身に対して対ビームコーティング等を施していない(対ビームコーティングを活かすには一定以上の表面積が必要なことから長いだけの対艦刀には適さないためと思われる)ため、仮にビームサーベルと切り結ぶようなことがあれば一方的に切断されてしまうという欠点が存在する。しかし、C.E.においてはビームサーベル同士の力場が干渉せず斥力が生じないために切り結ぶことが不可能となっており、その代わりにシールドを用いてビームサーベルを防ぐという戦闘スタイルが普及している。そういう環境であるため、実際にビームサーベルと切り結ぶ場面は滅多に起こらず、シールドでは防御困難な対艦刀は強力かつ厄介な武装となっている。
一方、図体の大きい兵装ではあるため兵装自体を狙われた際に容易に破壊されるという欠点は確かに存在し、作中ではデスティニーの対艦刀をインフィニットジャスティスが直接狙って破壊している。また、破壊とまではいかなくとも、前述した白刃取りの際、ストライクフリーダムは白刃取った対艦刀を奪い取っている。
対艦刀一覧
15.78m レーザー対艦刀 シュベルトゲベール
ソードストライクが持つレーザー対艦刀。名前の「シュベルト」・「ゲベール」はドイツ語で「剣」・「銃」を意味する。
光学刃部はレーザー。柄の部分に「銃」としてのビーム砲を備えるが、キラ・ヤマトがソードストライクに搭乗した時点では試作品だったため、外装のみのイミテーションであった。後に量産化されたものではビーム発砲機能が実装されている。
原初の対艦刀だが、この時点でも勢いが乗っていれば通常の対ビームシールドであれば両断するほどの威力があり(戦艦に採用される装甲材を用いた対ビームシールドについては両断できない)、勢いが乗っていなかったとしても対ビームシールドの表面に顕著なダメージを与えることができる。
15.78m レーザー対艦刀 シュベルトゲベール(ソードカラミティ)
ソードカラミティが持つレーザー対艦刀。
装備数は2本。機能はソードストライカーと同様だが、レーザー刃はソードストライクのピンク色ではなく、グリーンとなる。
柄の部分にビーム砲が実装されている。
NOL-Y941 レーザー重斬刀
シグーディープアームズが持つレーザー対艦刀。
ソードストライクとの交戦データを元に、ザフトで開発された。
刃渡りは小型で、レーザー対艦刀の機能よりもビームサーベル実用化の過程で作られたテスト品の趣が強い。
MMI-710 エクスカリバー レーザー対艦刀
ソードインパルスガンダムやデスティニーインパルスが持つレーザー対艦刀。名前の由来はアーサー王の愛剣エクスカリバー。
レーザー刃の反対側の大部分が実体刃になっており、構えの向きを変えるとそのまま実体剣になる。ソードシルエットには2本マウントされており、片腕で扱うことが前提となっているため、他の対艦刀よりも少々小型になっている。連結することも可能で、この形態は「アンビデクストラスフォーム」と呼ばれる。
バックパックに依存した装備ではないためフォースインパルスに換装した状態で使用されたことがあった他、給電コネクタの規格に上位互換のあるレジェンドに使用されたこともあった。
レーザー刃は最大出力にすることで実体刃の刃先にまで展開することができ、機体の加速を上乗せした威力はフリーダムのラミネートアンチビームシールド(実体盾としては最高峰のビーム耐性を持つ)を容易く貫通するほどに高い。
MMI-558 テンペスト ビームソード
グフイグナイテッドが持つ両刃剣。
対艦刀と同型の兵器だが、小型化とともに光学刃が直進式のレーザーから熱量の多い粒子ビームに変更された(依然としてレーザーとする資料もある)。
片手で扱え、対MS戦に特化した仕様になっている。
MMI-714 アロンダイト ビームソード
デスティニーが持つ大型ビームソード。名前の由来は円卓の騎士の一人であるランスロット卿の愛剣アロンダイト。
ビームの特性はテンペストと同様だが、再び大型化している。刀身は折り畳みが可能であり、未使用時の取り回しが向上している。また、ハイパーデュートリオンエンジンを搭載しているデスティニーであれば片手でも振り回すことができる。
威力の方も、デストロイガンダムやアカツキの「試製71式防盾」を両断するほどに高く、ストライクフリーダムでさえ防ぐ際は白刃取りという曲芸に頼っていた。
9.1メートル対艦刀
統合兵装ストライカーパック「I.W.S.P.」用に製作された実体剣型の対艦刀。
I.W.S.P.自体のエネルギー消費が大きかったことから、使用中は常にエネルギーを消費するレーザー式ではなく純粋な実体剣になったという経緯を持つ。
M1アストレイがHG化された際、本武器がオプション兵装として同梱された。
大型対艦刀
オーブが独自改良を施した「I.W.S.P.」こと「オオトリ」に搭載されているビーム対艦刀。
対艦用だけでなく対MS用も兼任したためか、I.W.S.P.のエネルギー消費問題を解消できているためか、ビーム刃を発振できる仕様となっている。
左腕に対ビームシールドを装備する前提なため片腕で扱うことが想定されており、少々小型になっている。
XM404 グランドスラム
「1/60 PG ストライクガンダム」付属のボーナスパーツを元に設定されたオリジナル武装。
この装備は後に発売された「1/100 MG ストライクガンダム+I.W.S.P.」にも付属している。
また、「GUNDAM EVOLVE」において、ストライクガンダムが使用している描写がある。
余談
C.E.の世界においてレーザーとビームに明確な特性の差はない。ビームを偏向させる技術でレーザー対艦刀も湾曲する。とはいえ、このビーム偏向技術には光学迷彩用の特殊粒子も用いているため、レーザーも偏向されるのはそこまで不自然でもない。
レーザーと実体刃を組み合わせた構成はガンダムSEEDにおいてオマージュを公言されているロボットアニメ「機甲戦記ドラグナー」に登場するゲルフに通ずるものがある。
ただし、あちらが実体刃一体式のレーザーソードを採用するのは試作品であったからで、後続の機体は完全なレーザーソード(所謂ビームサーベル方式)となっている。