ジム・カスタム
じむかすたむ
概要
一年戦争後に地球連邦軍再建計画の一環として開発された汎用量産型MS。
北米オーガスタ研究所がニュータイプ用として開発した試作MS『ガンダムNT-1 アレックス』の基本設計をベースとし、戦争末期に熟練パイロット向けに開発されたジムタイプの運用データをフィードバックする形で開発が進められた。
頭部はセンサーこそD型以前のモノアイを採用する前のジムタイプのゴーグル式を踏襲しているが、フェイス・エクステリアがヘルメットから分離された造形になっており、側頭部も前方に開口されたインテークが配され、V字アンテナやツインアイといったガンダムを象徴する特徴こそ無いもののジムよりガンダムに近いアウトラインに立ち帰っている。
量産を企図したために装甲こそ当時のスタンダードであるチタン合金セラミック複合材を使用しているが、そのフレーム強度はガンダムタイプに匹敵する程の頑強さを持っており、加えて機動性を確保するために肩部や脚部へのアポジモーター増設や関節部へのマグネットコーティング処理が施されている。なお、ジェネレーターもタキム社で開発された「ガンダム級」と称される高出力モデルが搭載されている。
宇宙世紀0083年当時、連邦軍量産機の最上位機種と称される程の性能(アルファ・A・ベイト曰く「旧式のゲルググなら楽なもの」)を誇ったがその機体特性に関してはバランスが取れていて突出した面が無く、本機の特性についてコウ・ウラキは「特長がないのが特徴」と評価している。
デラーズ紛争後は生産ラインが特殊部隊「ティターンズ」の管理下に置かれ、若干の設計変更と共に黒と濃紺(ティターンズカラー)に塗装されたジム・クゥエルの生産に切り替えられたが、残存機がエゥーゴや海賊で運用されている他、ジム改[ワグテイル]を改修する際などにパーツが使用されているなど、デラーズ紛争後に於いても運用例が挙げられており、第1次ネオ・ジオン抗争辺りにはジムⅡの配備すら遅れているアフリカ戦線で運用が続けられたと言うケースも存在する。
主なパイロットはサウス・バニング、アルファ・A・ベイト、ベルナルド・モンシア、チャップ・アデル(『0083 REBELLION』のみ)など。
サンダーボルト版
『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では宇宙世紀0080年を舞台とした第3部から登場し、ある程度量産体制も整えられている。
本機もサンダーボルトに登場する他のMSの例に漏れず関節部のシーリングが特徴となっているが本機はアレンジが控えめになっており、バックパックからX字状に伸びた4本のスラスターアームの先端に多方向に噴射できるアポジモーターが付いている。また、ビームサーベルはガンダムMk-Ⅱ同様に上方のスラスターアーム2基に懸架されている。
武装
60mmバルカン砲
頭部に搭載されている接近戦用機関砲。
ガンダムから続く連邦の伝統的装備。
90mmブルパップ・マシンガン
型式番号:HWF GMG・MG79-90mm。
ホリフィールド・ファクトリー・ウェポンズ社開発の実体弾型マシンガンで、装弾数は20発。
一年戦争末期の装備ながら、ビームライフルの大量生産体制が整ってなかった事や信頼性の問題から戦後も重力下のジム系モビルスーツで継続使用されていた。
劇中ではモンシア機がガンダム試作1号機との模擬戦で使用。
ジム・ライフル
型式番号HWF GR・MR82-90mm。
本機の主兵装。90mmブルパップ・マシンガンのバリエーションモデルで装弾数は30発。
弾薬・機関部を流用しつつ、銃身を延長する事によって発射速度や威力を向上させており、形状もアサルトライフルに近いものに変化している。
本機が装備するものは空薬莢の排出機構が標準装備されたもので、後に市街地やスペースコロニー内での使用を考慮したケースレスタイプが登場しジム・クゥエルが使用している。
銃身下部にオプションの装備も可能で、『0083 REBELLION』ではモンシア機がビーム・ベイオネット、アデル機がグレネード・ランチャーを装備している。
イギリスのアサルトライフルのL85がモデルになっている。
ビーム・サーベル
バックパック右側にマウントされている近接格闘戦用ビーム兵器。
機体とサーベル双方の供給方式に採用したデュアルエネルギーサプライに対応している。
シールド
ジム・コマンドが採用していた曲面型のラージシールド。
戦後にジオン側から接収した耐ビーム・コーティング塗装が新たに施されており、ビーム攻撃に対してもある程度の耐性を持つ。裏面にはライフルの予備マガジンを2つ装備可能な他、『REBELLION』ではモンシア機が先端にグラップ・アームを装備している。
立体物
BB戦士Gジェネレーション、HGUC1/144、MG1/100、ガシャポンシリーズ、食玩GUNDAM CONVERGシリーズ、食玩G-FREAMシリーズ、ROBOT魂に各々ラインナップ。
Gジェネレーション版は、金型の関係上NT-1の装備一式と換装用頭部が収録されている。
関連動画
塗装
連邦軍カラー
OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場。
ジムタイプとしては珍しい全身ライトブルー一色のカラーリングがジム・カスタムでは標準塗装のひとつとなっており、主に宇宙で使われたカラーリング。
ペガサス級強襲揚陸艦「アルビオン」に配備されたのもこのカラーリングだった。
連邦軍標準カラー
書籍『マスターアーカイブ モビルスーツ RGM-79 ジム Vol.2』に登場。
ジム・コマンドや後のジムⅡと同じく胸部とソール部のみが赤く塗られた紅白のカラーリング。
こちらは主に地上のジオン残党軍掃討に用いられたとされる。
グレイファントム所属機
書籍『マスターアーカイブ モビルスーツ RGM-79 ジム Vol.2』に登場。
ペガサス級強襲揚陸艦「グレイファントム」に配備された機体。
カラーリングがグレーとブルーを基調としたものに変更されており、同艦と共にジオン残党軍の制圧を行っていたとされている。なお、塗り分けは標準カラーとやや異なりこちらは肩部装甲まで青いジムに近いタイプ。
ティターンズ所属機
メカニックデザイン企画『A.O.Z. Re-Boot』に登場。
ダークブルーを中心に胴体がブラックというツートンカラーで構成されている。
ティターンズが結成され同隊向けのマイナーチェンジ機であるジム・クゥエルが配備されるまでのごく僅かな期間運用されており、この配色は「ティターンズカラー」として後々まで同隊を象徴するカラーリングとなっていく。
バリエーション
ジム・カスタム高機動型
模型雑誌『GUNDAM WEAPONS』に登場。
ガンダム開発計画(GP計画)に則りガンダム試作1号機の宇宙用バックパックの評価試験をするべく改修された機体。
バックパックにフルバーニアン用のユニバーサル・ブースター・ポッドを装備する他、脚部の一部もそれと同型のものとなっている。
なお、陸戦用バックパックの評価試験はパワード・ジムが担っている。
ジム・カスタム シルバーヘイズ
小説『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』に登場。
宇宙海賊シュテンドウジの所属機。全身が目立つ銀色に彩られ、こめかみにあたる部分が鬼の角を思わせる形状に変更されている。また両肩に酒呑童子を模った鬼の横顔が描かれているのが特徴。
ジオン残党との戦闘後、ビーム・ミツマタと左腕にガンダムNT-1のガトリング砲を追加した「シルバーヘイズ改」にアップグレードされた。
パイロットはウイングス・ハウザー。
ジム・カスタム アトミックヘビーアーマー
漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』に登場。
アトミック・バズーカの運用を目的とした試作機。
本機のアトミック・バズーカはミノフスキー粒子を使った高圧フィールドによって純核融合弾を発射するという意欲的な設計であったが、その設計の不備により1発発射しただけで二度と使えなくなるという欠点があり、その開発は既存機の改修ではなくアトミック・バズーカの運用を前提に設計されたガンダム試作2号機に引き継がれることになる。
ジム・カスタム ユージン・コズラウスキー機
漫画『スーパーロボット大戦IMPACTコミック 衝撃騎士団』に登場。
ジム・カスタムをベースにレドームをはじめとした哨戒任務目的に改修した機体で武装はジム・ライフル(未使用だがビームサーベル)しかないが百鬼帝国擁する旅団規模のメカザウルスを一掃する大金星を挙げる。