概要
本来は鯨や海豹等の海獣を指す言葉であり、鯨類を指す「Cetacea」→「Cetacean」も ケートス(Cetus / Ketos) が語源である。海の女神ケートーも語源は同じである。
ギリシャ神話に登場する化け鯨であり神獣。鯨やイルカの様な大きく膨れた胴体に犬の頭部を持ち、下半身が魚で尾鰭が扇形で2つに分かれた姿を持つ。
その出自については様々な説があり、ゼウス或いはポセイドンに生み出されたとも、テュポーンとエキドナの子供とも言われている。
エチオピア王国の王妃であるカシオペアが「自身の美貌をヘラや海のニュンペー達より美しい」と言った為にポセイドンの怒りを買ってしまい、王国を滅ぼす為に送り込まれた神話が有名。つまり、厳密に言えば悪魔ではなくて神の命を受けて神罰を人間に与えていた神獣である。
王女アンドロメダが生贄に捧げられたが、エチオピアに立ち寄ったペルセウスによって討伐されている(諸説あるが、有名なのはメデューサの首を掲げてケートスを石に変えた)。
その他、ケートスがイーノーとメリケルテースを救う描写がされた事もある。これは、パライモーンを救ったイルカの代わりになっている。
エトルリア神話にて
エトルリアに伝わった後のケートスは、死者の魂を来世に運ぶ役割を担ったとされる。
また、水神ネタンスはケートスをモチーフにした兜を持っている描写がある。
ティアマトに共通点を見出す資料も存在し、ケートスの名称を「ティアマト」としている媒体も多い。特に星座関連の書籍では顕著。
他の神話との関連性
海に住む巨大な生物であるということから、竜などと関連付けられることがある。
例えば、著名なリヴァイアサンなどは元来大蛇であるが、大魚・鯨として描かれるケースが存在する。
それ以外にもドラゴンや龍のルーツとしてケートスを取り上げる研究者も存在するが、中華圏における龍の成立はギリシャ神話成立より古く、後世の一部伝承はともかくルーツとしては難しいところ。
また、蛇信仰自体は世界各地で非常に古くから存在しており、ケートス単体を起源とするとは考えにくい。
ただ、現代のファンタジーやゲームではこれらの説を意識してか、ドラゴンの一種として扱うケースも増えている。
余談
ギリシャ神話を映像化した作品には、ケートスの代役としてクラーケンなど別の存在があてがわれることが多い。
一説にはエキドナの息子ともされるがエキドナの父親はペルセウスがメデューサを斬首した時に産まれたクリュサオルという巨人であり、ケートスがペルセウスに遭遇したのはメデューサ討伐の後なので、時系列的に全く合わない。
関連タグ
クラーケン:まだケートスの名前が不明瞭だった時期の書籍では、代わりに使用されていた。