概要
X-MENに登場するミュータントの1人。本名:ローラ・キニー。
ウルヴァリンの女性版クローンである(誕生した経緯については後述)。
元々はアニメ『X-メン エボリューション』に登場するアニメオリジナルのキャラクターだったが、その華奢で端麗な容姿から高い人気を獲得することになり、その後原作漫画の方に逆輸入されたという珍しい経歴の持ち主である。
なおライター・イラストレーターによって容姿とイメージは結構ブレがあり、ある意味の父親であるウルヴァリン同様に歯をむき出しにするワイルドな野生児風に描かれることもあれば、日本人のイラストレーターであるタケダサナが担当した際にはぐっと大人びたクールビューティーに描かれたこともある(日本のファンアートも後者の傾向が強い)。
原作版
経歴
ある組織の研究所で生み出されたクローン人間。
男性であるウルヴァリンの遺伝子から作られたが、破損していたY染色体をX染色体で代用した結果、XX型の性染色体を持つ女性として生まれるに至った。
生まれたときから名前も与えられずただひたすら戦闘マシーンとして育てられたが、生みの親である代理母のセアラ・キニー博士から「ローラ」の名前を貰ったことで自分の人生を切り開くことを決意した。
だがその人生は過酷なものであった。
裏切りの報復として親代わりであったキニー博士を殺されてしまい、復讐に狂ったローラは研究所関係者全員を惨殺。その後しばらくは娼婦としてニューヨークに隠れ住んでいた。
その後X-MENと邂逅。
当初は敵対していたが後に和解し、一時的にX-MENのメンバーに選ばれたり、ハンク・ピムが開いたアベンジャーズ・アカデミーの生徒になったりもした。
意外なところではベビーシッターの経験もある。
しかし相手がファンタスティック・フォーのリードとスーザンの双子の子達であり、パーティーに出席するためやむを得ず留守にするため任されたのだが、両親から天才性とか色々と受け継いだ(リードがパーティに出発前、帰宅前にそれぞれホームが「爆発」してないかを気にしているあたりお察し)好奇心旺盛な年齢の子達が大人しくしているはずもなく騒ぎに巻き込まれる。双子を守るため奮戦し事態を解決、騒動の後を掃除して隠ぺいすることに成功した。
ある意味で父親であるウルヴァリンに対しては複雑な感情を抱きつつも好意的に接しており、彼の死後はウルヴァリンの名と地位を受け継いでいる。
なお実は父親にしてオリジナルであるウルヴァリンより10cm近く背が高い。(注:コミック版のウルヴァリンはチビという設定)
能力
クローン元のウルヴァリンとほぼ同等の能力を持つヒーリングファイター。
ただしアダマンチウムクローは、手から3本のクローを生やしたウルヴァリンとは違い、手から2本、足の先から1本を展開する。こうした差異が生じた要因について、実写版では「性差による影響」と推測されている。
(要は、肉食の哺乳類の場合「狩りをするのはメス」「群を守るのはオス」のように、オスよりもメスの方が強いか、オス・メスともに高い戦闘能力を持つが戦闘能力の方向性が性別で異なる場合が有るので、性染色体以外ほぼ同一遺伝子だとしても、男性であるウルヴァリンより女性であるX-23の方がより攻撃に特化した形質が発現する可能性は十分に有り得る、という事)
なお生物兵器として扱われていた際の後遺症で特定のフェロモンを嗅ぐと理性を失いバーサーカーと化してしまう。ヒーローサイドで登場するようになってからもこれは治っておらず、アメコミ版バトルロワイアルである『アベンジャーズ・アリーナ』に拉致されて参加を強制された若手ヒーローの一人として登場した際には、黒幕のアーケードにこれを利用されたりしている。
実写版(X-MENユニバース / MCU)
ウルヴァリンシリーズ最終作の『LOGAN/ローガン』で初登場。
原作とは異なりクローン人間ではなく、トランシジェン社がウルヴァリンの遺伝子から作られた精子を現地(メキシコ)の女性に人工受精させて作り出したデザイナーチャイルドの少女という設定になっている。つまり、映画内における彼女にとってローガンは紛れもなく血の繫がった父親である。
ちなみに、母親となった女性はローラを産んで間もなく行方不明となっている(恐らく口封じのためにトランシジェン社によって殺害されたものと思われる)。
LOGAN/ローガン
劇中では一貫して、“ローラ”と呼称されている(姓の“キニー”は無いが、“X-23”と言う名前も研究所時代のコードネームとして一応登場する)。
アメリカの巨大企業トランシジェン社が保有する、メキシコの遺伝子研究所で誕生。
そこでウルヴァリンと同様、アダマンチウムの移植手術を受けた後、自分と同じような経緯で人工的に生み出されたミュータントの子どもたちと共に超人兵士になるための訓練を受けていた。
しかし、研究所が改良作(恐らくウルヴァリンのクローンであるX-24のことだと思われる)の開発に成功したことや、子どもたちの反抗などによって計画は破綻、企業は最早無用の長物となったミュータントの子どもたちを次々と安楽死による殺処分を行っていき、ローラにもその魔の手が迫ってきた。
ローラは兼ねてより施設の方針に疑問を持っていた一部の職員の手引きを受け、生き残ったミュータントの少年・少女らと共に施設を脱走。その後はガブリエラ・ロペスという女性職員の元に匿われていたが、トランシジェン社からの刺客であるピアースによってガブリエラが殺害された後は、ローガンとチャールズ・エグゼビアの元に身を寄せることとなり、彼女を亡き者にせんとするピアースらからの決死の逃避行を繰り広げることとなる。
デッドプール&ウルヴァリン
後に20世紀FOXがディズニーに買収された事情から、X-MENの権利がマーベル・スタジオへと移行したが、まさかの再登場を果たし、演者はダフネ・キーン、吹替も鈴木梨央が続投した。また、キーン本人により、変異体ではなく『LOGAN』に登場したローラ自身であることが明言されている。
時系列は『LOGAN/ローガン』での逃避行から7年後(ただ、一部設定が変更されており、『LOGAN』は公開当初は2029年を舞台とした他のX-MENシリーズとは独立した世界線の物語とされていたが、本作では『デッドプール』シリーズと共通した世界線の出来事ということになった。また、本作は2024年が舞台となっているので、『LOGAN』も2017年に発生した出来事へと変わっていると考えられる)。
本作では虚無空間(ヴォイド)である人物たちとカサンドラ・ノヴァに対抗するレジスタンスとして活動していたが、拠点の近くで車の中で休息を取っていた(些細な理由で大喧嘩になり、そのまま疲れて眠っていた)デッドプールと、異世界のウルヴァリンを発見したことで物語に関わることになる。
裏設定によると、『LOGAN』のラストシーンで、ウルヴァリンと悲しい別れを迎えた後、生き残ったミュータントの少年・少女たちと無事にカナダに脱出して生活していたが、ある日、何らかの理由でTVAに捕縛されて虚無空間に送られたとのこと(なぜTVAに目をつけられたのかは不明。何か彼らから見てヤバいと思われるようなことをやらかしたのだろうか?)。
人物
過酷な人生を歩んできたためか、当初は心を閉ざしており、一切言葉を発しなかった。ローガンらに対しても当初は警戒心を露にしていたが、共に旅をする中で次第に心を開いていき、最終的にはローガンときちんと会話をするまでになった(ローガンは彼女が話せるとは思っていなかったらしく、初めて言葉を話すのを聞いた際は、「お前、話せたのか!?」と驚いていた)。
生まれてからずっと施設で育てられていたためか、店の飲食物を勝手に食べたり、金も払わずに売り物のサングラスを持ち去ったりと世間知らずな面もある。
ちなみに、このサングラスは形見としてその後も大事に持ち歩いていたようで、『デッドプール&ウルヴァリン』では中盤のカサンドラ一味との戦闘シーンでこのサングラスを取り出してかけるシーンがある。
基本的には物静かで大人しい性格の、どこかあどけなさの残る少女だが、自分に対して危害を加えようとしていると判断した相手に対しては態度が豹変、普段からは想像もできないような凶暴性を見せる。
当初は身を守るためなら躊躇せずに人を殺したりもしていたが、ローガンやチャールズとの交流を経て徐々に心境に変化が生じていったらしく、終盤では劇中で鑑賞した西部劇映画『シェーン』の台詞から「人を殺した者はその罪を背負い続けなければならない」と述べるなど苦悩している描写もあった。
メキシコ育ちのためか、『LOGAN』劇中では主にスペイン語を話し、英語はあまり話せなかった。
『デッドプール&ウルヴァリン』では演者に合わせて心身ともに成長し、だいぶ大人びた外見になった(これにより原典におけるX-23にだいぶ近いイメージとなった)。
口調は若干荒っぽくなったものの、気遣いが出来る心優しい性格になった(前作『LOGAN』でもその片鱗が見られた)。色んな意味で父親に似てきたと言えるかもしれない。
また、片言しか話せなかった英語もかなり上達。周囲の人間と支障なく会話できるまでになっており、言語の習得能力の高さも見せた。
戦闘時の立ち回りも、獣のように暴れる泥臭いファイトスタイルだった幼少期と比べ、無駄のない洗練された動きへと変わっている。
演者について
今回ローラを演じたイギリス出身の女優(子役)ダフネ・キーンは、アクション映画への出演は本作が初めてであったが、撮影開始前に積んでいたスタント・トレーニングの甲斐もあってか本番では見事なアクションを披露し、共演者のヒュー・ジャックマンやパトリック・スチュワートらを大いに驚かせたそうである。
アクションのみならず、演技力においても高い評価を得ており、ヒュー・ジャックマンも「非常に難しい役どころであったが、それを見事に演じきった彼女は本当に大したもの」と絶賛している。
また劇中ではスペイン語を話すシーンがあるが、これもスペイン人の母親の影響で英語とスペイン語のバイリンガルであるキーン本人が担当している。
『デッドプール&ウルヴァリン』への出演に関して、キーンは当初否定していたが、蓋を開けてみれば結局出演することが判明し、世界中のファンから「結局出るのかよ!」とツッコまれることになった(ちなみに、MCUではこれ以前にも同様の事態が起きたことがあり、キーンもこのケースにインスピレーションを受けたと公言している(参考))。なお、本人は「出演したことをずっと秘密にしてたけど、周りの反応を見るのがとても楽しかった」と主演のライアン・レイノルズやヒュー・ジャックマンに負けず劣らずの茶目っ気たっぷりのコメントを残している。
もっとも、本人は以前マーベル・スタジオが出演交渉を行った際には前向きな反応を示すなど、ローラ役にはかなり思い入れがあったことも事実であり(実は、一時期ローラを主役に据えたスピンオフドラマ『X-23』の制作企画が進められていたが、諸事情により実現しなかったことがある)、情報解禁後は自身のインスタグラムのアカウントに原作におけるX-23の活躍するワンシーンを掲載する等していた(参考)。それだけローラを再演できたことが嬉しかったということなのだろう。
MARVELvsCAPCOM3
「若い女性キャラを出して欲しい」というユーザーニーズに応えたいカプコンの要請にMARVELが推薦して選ばれた。
機動性のあるトリッキーな攻撃を得意とする反面、扱いに慣れがいるため割と上級者向けである。