マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア
まりあんぬゔぃぶりたにあ
ナナリー「人の体温は涙に効くって、お母様が教えてくれました」
概要
CV:百々麻子
神聖ブリタニア帝国皇妃の一人で、ルルーシュとナナリーの実母。
本編開始時点では既に(肉体的には)故人である。
庶民出身だが、ガニメデのテストパイロットとしてアッシュフォード家のナイトメアフレーム開発計画で重要な働きを示し、この功績により騎士候に叙せられた。
現役時代はその卓越した戦闘力と技術により、「閃光のマリアンヌ」という異名で知られ、ナイトオブラウンズの一員にして、(アーニャと同じ)『ナイトオブシックス』の地位に戴いていた。
『コードギアスGenesic_Re;CODE』によると、現ナイトオブワンであるビスマルク・ヴァルトシュタインが、超直近未来予知を行える『先見知新』のギアスを最後に使用したのはマリアンヌとの試合だったとのこと。
ビスマルクとは、かつて起こった皇位継承戦争の際に皇帝シャルルのために共に戦場を駆け巡った過去を持つ。
人物
コーネリアやジェレミアを筆頭に軍部には彼女を慕う者も多かったが、逆に皇族や貴族などは快く思わない者が多くいた(ギネヴィアとカリーヌは最もマリアンヌを、ひいては子であるルルーシュとナナリーを嫌っており、それぞれの母親もマリアンヌを殊の外嫌っていた。ただし、皇子達には意外に慕われていたようで、先述のコーネリアは元より、ユーフェミア、クロヴィス、シュナイゼルも彼女に対する敬意を口にしている)。
【警告】これより先、ネタバレ注意!!
シャルルとは単なる皇妃の一人というだけではなく、彼の悲願である「嘘のない世界」を創生するための『ラグナロクの接続』計画の達成を誓い合った同志であった。
それ故に、他の皇妃達よりもより近く密接な関係であった。
シャルルとの仲の良さたるや、その過去故に本心では“嘘”を何よりも嫌うシャルルが、「ラグナロクの接続なしに“嘘のない関係”を築いていた」程であり、シャルルが本心から信頼し、108人の妻の中で唯一本心から愛した相手だった。
しかしそれ故に、それまでシャルルと嘘のない関係を築いていたV.V.は「弟と心を通わすマリアンヌ」、「無自覚ながらV.V.はマリアンヌに惚れた故に、マリアンヌと愛し合うシャルル」、その両者に嫉妬し、次第にマリアンヌを邪魔だと感じるようになり…。
C.C.と契約はしていたが、ギアス能力が発動しなかったために、持つことは叶わなかったと思われていた。
………が、ルルーシュが10歳の時にV.V.による銃撃を受け、肉体が死亡。肉体に縛られない状態になった事で「他者の心を渡るギアス」が覚醒し、そこに居合せてしまったアーニャ(行儀見習いとして訪れていた)へと意識を転送した。
彼女の死はV.V.の工作により、テロリストによる犯行として片付けられる。
その後、V.V.の魔手から逃がす意味もあり、シャルルとマリアンヌはルルーシュとナナリーを日本に送った。
アーニャの中に宿った後も、意識を表層化することでシャルルやC.C.と交信することができ、コードをシャルルに渡すよう度々説得を行っていた。
マリアンヌが表に出ている間はアーニャ本人には記憶がなく、この事が彼女が己の記憶の欠落に悩み、『記憶』や『記録』、『思い出』というものに執着し、携帯に記録するという行為を行うようになる原因となった(また、V.V.の魔手から守るために、シャルルのギアスによる記憶改竄も行われていた)。
しかし、C.C.からは頑なに協力を拒否されるようになってしまい、そこでマリアンヌは生存していた自身の息子のルルーシュをC.C.に紹介し、彼がC.C.の願いを叶えられない場合は、再びシャルルに協力するという約束を交わす。即ち、ルルーシュがギアスの契約を結び、ゼロとなる道へと導いたのは彼女であった。
ルルーシュの黒の騎士団放逐後に本格的に覚醒し、C.C.のコードと記憶を蘇らせて、彼女と共に神根島へと向かい、ルルーシュと再会して全ての真実を語った。
しかし、ルルーシュから自分達が作ろうとしている世界は、「他者ではなく、自分に優しいだけの世界」「守るために嘘をついて遠ざけたというが、結局お前たちは計画を優先して俺を捨てた」だと言われて絶句。
フレイアによって死したはずのナナリーと会えると分かりながらも「明日を目指す」ルルーシュが王の力『ギアス』をもってCの世界に「時の歩みを止めないでほしい」とギアスをかけてコントロールしたこともあってか、最期はシャルルと共に「Cの世界」に取り込まれて消滅した。
皮肉なことに、この出来事を契機にゼロレクイエムを決意したルルーシュもまた、生きていたナナリーに対して嘘をつき遠ざけてまで計画遂行を優先するという、ある種
両親と似た道をたどることとなった。
他媒体において
ゲーム『コードギアスGenesic_Re;CODE』
幼少のルルーシュが、ブリタニア本国の屋敷を一夜にしてハロウィン仕様に変える悪戯をしたことがあったという。
後のゼロ仮面ギミックにも通じることとなるルルーシュご手製の凝った仕掛けの数々は、屋敷の使用人たちを恐怖させ気絶者を続出させてしまい、さすがにマリアンヌもルルーシュをひどく叱ったという。
ゲーム『ロストストーリーズ』
マリアンヌにとっての理想を体現したという《IF》なオリジナルKMF『クイングリント』と共に登場。
C.C.とは生前友人。
「人間の意識は肉体に縛られている」という持論を持っており、肉体というくびきから解放されれば人間はより拡張できるかもしれないと考えていた。
それゆえ肉体の拡張ともいえるKMFのことを気に入っていた。
みんなと死者ともつながれる『ラグナレクの接続』のために、シャルルが考えていた世界への侵攻計画にも賛成していた。
岩佐まもる著小説版コードギアス
恐ろしい本性を持つ人物として描かれている。
ルルーシュは再会するまでは純粋に母親として慕っていたが……マリアンヌ自身はナナリーも含めて二人を、計画の為の保険もしくは自身を飾る装飾品としか見ておらず、親としての愛情は一切持ち合わせていなかった。しかもギアスの適合を高めるために、兄妹を近親婚させようと目論むなど、自らの計画のためならば倫理すら厭わないアニメ以上に冷酷非道な悪女として書かれている(その有り様には、非人道的な実験も辞さないギアス嚮団の研究者すら引いていたほどである)。
一方で、シャルルの方はマリアンヌとの間に生まれた子供であるルルーシュとナナリーには、何だかんだで愛情を抱いていたために、マリアンヌも流石にシャルルの機嫌を損ねる訳にはいかず、二人の子供に対して表立ったことは出来なかった様子。
ナナリーの視力をシャルルに奪わせたのも、表向きはナナリーを守るためとしつつも、実際はナナリーの五感を潰すことで、彼女の潜在能力の覚醒を促す実験が目的だった。
しかし小説版は「公式小説」とはしながらも、監督である谷口悟朗が没にした設定やアニメと違う展開(フレイヤの開発者、枢木家関連他)など、小説版独自の設定が多く見られる。
ナナリーについても過激なキャラクター付けがなされている。
アニメ版では嘘を嫌うシャルルがマリアンヌとはラグナレクの接続なしに嘘がない関係となり愛し合ったがためにV.V.は2人に嫉妬したと言われたにもかかわらず、小説では「ルルーシュとナナリーに関する思いを隠した」嘘をついたマリアンヌ、など公式準拠と見るには少し疑問が生じるものとなっている。
コーネリアやジェレミアだけでなく、ルルーシュ似のシャルル、ビスマルク、V.V.が尊崇したり焦がれたりした相手としては変なキャラクターである。
アニメ版のマリアンヌの負の側面を、著者が極端に拡大解釈したのが小説版のマリアンヌとするのが一番自然であり、それぞれで住み分けて考えた方がいいだろう。
岩佐まもる著小説版『ナイトオブラウンズ』
ブリタニア皇帝・シャルル・ジ・ブリタニアの皇帝即位直後に勃発した、反対派皇族による大規模反乱「血の紋章事件」の最中に、彼にプロポーズされてそれを承諾し、彼の下に嫁いだ(ちなみにこの直前に彼女は、当時のナイトオブワンを初めとした反乱軍側に加わったラウンズ達を、殆ど一人で斬り捨てていた)。
その戦闘能力は、現ナイトオブワンであるビスマルク・ヴァルトシュタインが、未来予知のギアスを以てしても敗北するほどである(ビスマルク以外で、彼女と1分以上渡り合えた者はいないとのことである)。
漫画『反攻のスザク』
黒幕の計画を知り、それを阻止すべく水面下で活動していたが消されてしまった……。
漫画『ナイトメア・オブ・ナナリー』
本作では各メディアミックスと比べると、母親としての側面が高まっているのが特徴的。
そのため、ファンからは「綺麗なマリアンヌ様」と呼ばれている。
嘗ては、エデンバイタル(アニメ版におけるCの世界)に詳しい元巫女にしてC.C.の関係者でもあった。
そのため、自身のワイアードギアス『ザ・デッドライズ』で自分を両親もろとも殺した政敵をゾンビ化して操るシャルルの道を「理想を大義とした血みどろの覇道」と非難した。
人間不信に陥っていたシャルルはいつか抹殺するために、マリアンヌをあえてラウンズの末席に抜粋したが……慈悲深く・理想に向けて邁進する彼女の姿に最愛の両親の姿を重ねていつしか深い愛情を寄せるようになり、マリアンヌも彼に惹かれて結婚。
ルルーシュとナナリー(そしてロロ)を授かるが、ブリタニア皇族内部の政争に巻き込まれ洗脳されてしまったまだ幼いアーニャに射殺されてしまう。
一か八かでC.C.と契約したマリアンヌは、魂を加工するギアス『ザ・ソウル』に目覚めアーニャに憑依した。
「子供すら利用される人の在り方では優しい世界は作れない」と絶望したマリアンヌは、エデンバイタルに残った心の一部で世界を見た結果、かつてのシャルルが夢見た全生命を集合無意識に統合する計画を実行することを決める。
その後は、アーニャとしてエデンバイタル教団の筆頭騎士となり、トリスタンに騎乗。
ユーフェミアの専任騎士である枢木スザクが搭乗するランスロットを圧倒し、スザクを「坊や」と挑発するほどの実力を披露した。
シャルルを討とうとしていたロロ・ヴィ・ブリタニアのことは監視対象であると同時に、たとえ造られた命であろうと大事な息子として案じており、アリスとの決戦に敗れたロロが反作用で死を迎え、自らの出生を知り絶望した彼に掴み掛かられた際に悲しみに満ちた表情を浮かべたことから、自分の真意に気付いたロロの心を救うこととなった。
最後はナナリーのワイアードギアス『ザ・ゼロ」でヘブンズドアを開かせることで、目的を達成しようとする。
だが、「個があることで争いや苦悩が生まれるが、同時に思いやりや愛も生み出す」と言うアリスの言葉でナナリーは明日(未来)へ進む気持ちを取り戻し、両親の望む世界を拒絶した。その直後にヘブンズドアは崩壊を始める。
C.C.からナナリーに選択を委ねたことを、「自分たちを誰かに止めて欲しかった裏返し」と評されて、なおも諦めようとしないシャルルを「ナナリーにヘブンズドアを開く選択を委ねた以上、こうなる(=計画を拒否する)ことも覚悟していたはず」と諌めて愛する娘の選択と思いを尊重し、シャルルと共にエデンバイタルへと還っていった……。
関連人物
皇族という立場に加えて騎士としての圧倒的な強さから、多くの者達から敬意を集める憧れの的だった。
反面、同じ皇族からは庶民出身であることや、貴族らしからぬその自由奔放な気質を嫌われて敬遠されがちだった様子。
元主君であり、最愛の夫である。さらに「嘘のない世界」を作り上げる事を誓い合った同志。
基本的に皇妃を「子作りの道具」程度にしか見ておらず、貴族に勧められるがままに妻を娶っていたシャルルも、マリアンヌのことだけは本心から愛しており、互いに本当の意味で“嘘のない関係”を築いていた唯一の相手である。それ故に、他の皇妃達とは別格の扱いを受けていた。
義兄にして、同じく「嘘のない世界」を作り上げることを誓った同志。
しかし、自身以上にシャルルと心を通わせ合っている点を嫉妬・危惧され、暗殺された。
またV.V.自身も、マリアンヌを自覚のないままに恋慕していた事がC.C.から示唆されている。
かつて「嘘のない世界」を作ることを誓った元同志。ギアスも彼女から授かったものである。
行動を共にしていた頃は、C.C.ですらマリアンヌの奔放さに振り回され手を焼いていたらしく、マリアンヌが精神体となった後も、「Cの世界」を通じて定期的に連絡を取り合っていた。
そして息子であるルルーシュの事をC.C.に紹介し、彼女をルルーシュと引き合わせて契約をさせた。
愛する夫のシャルルとの間に生まれた息子と娘。しかし夫婦にとっては子供達にも愛情こそあったが「死者とも会える『ラグナレクの接続』」が最優先であり、ルルーシュにもいずれ理解してもらえると思っていた様子(劇中でも一度ルルーシュはラグナレクの接続を受け入れかけている)。
小説版では前述のようなキャラクターとして設定されたため愛情が絶無となっており、幼少期は嚮団でギアス研究の実験体として利用されていたということになっている。
シャルルの忠臣にして、「嘘のない世界」を作る計画の同志。ラウンズ時代は上官でもあった。
彼もまたマリアンヌの事は敬愛し、ビスマルク最期の言葉からもマリアンヌを慕っていたことがうかがえる。ただしV.V.への情報漏洩を防ぐためなのかアーニャの中にマリアンヌの精神があることはビスマルクにも伝えられておらず、マリアンヌも説明が面倒ゆか信じてもらえるか怪しいためか真実を伝えず劇中彼を機転でいなして戦闘を回避している。
小説版では、マリアンヌがビスマルクの頑固で融通が利かない部分を問題視しており、ビスマルクの方も実子すら犠牲にしかねない彼女の姿勢については、内心では危機感も抱いていた。他にも優しさを強さとする理念を持つビスマルクに対して、マリアンヌは「陛下の剣に優しさなど不要」と切り捨てるなど、騎士としての信念にもズレが感じられる。
自身の死後に、ギアスで肉体と意識を乗っ取った相手。
V.V.に暗殺された際、たまたま侍女として出仕していた彼女を標的に選んだ。弊害としてマリアンヌが表に出ている間は意識を封じられる為に、その間の記憶が途絶えるので、記録魔としての習慣と癖が付いてしまった。
なお、憑依中には気絶しているスザクの顔にマジックで落書きしようとし、気付かれて舌打ちして戻すというコミカルな所を見せている他、普段のアーニャからは考えられないような笑顔を見せたりもしている。
マリアンヌに敬意を表していた皇族。
その出自故に、他の皇族からは嫌われたり蔑まれたりする事の多かったマリアンヌだが、一部では敬意を表している者達も居り、二人はその代表格とも言える存在であった。コーネリアに至っては自分からマリアンヌの警護責任者を志願して勤めていた程である。
小説版では、コーネリア(とユーフェミア)の母親は淑女を地でいく人で、マリアンヌは彼女から、コーネリアに妙な事ばかり吹き込んでと叱られたことがあるらしい。クロヴィスの母親はマリアンヌやルルーシュ、ナナリーのことも嫌っていたが、クロヴィス自身はマリアンヌだけでなく、ルルーシュとも親しくしており、ルルーシュのことはライバルとして敬意も払っていた。
マリアンヌに敬意を表していた者の一人。
皇族への忠誠心に溢れるジェレミアだが、特にその中でもマリアンヌの事を個人的に深く敬愛していた。マリアンヌの死後もそれは何ら変わる事がなく、彼女の死をきっかけにナンバーズのテロを憎むようになり、純血主義に傾倒していった。後に、息子のルルーシュの生存と彼がゼロであることとブリタニアと戦う理由を知り、彼に忠誠を誓って臣下となった。
小説版では、シュナイゼルを嫌っていたと設定されている。強烈なまでの自己願望と、それを達成すべく手段を選ばず邁進するマリアンヌにとっては、真逆に「個としての望みや夢」は一切持たないシュナイゼルの虚無的な性質は、到底容認出来るものではなかったようであり、「ブリタニアの優等生」と吐き捨て、痛烈な批判と皮肉を浴びせ続けている。
批判しているマリアンヌ曰く、「ああいう人間はね、政治なんかやらせずに教会の懺悔室に置いとけばいいのよ。」との事。
なお、C.C.によれば「シュナイゼルの方も、同じぐらいマリアンヌの事は嫌っているだろう」との事だが、シュナイゼル側のマリアンヌへの認識が語られる事は無かった。
コードギアスが参戦しているクロスオーバーゲーム『スーパーロボット大戦』にも登場。
小説版を元にしたキャラクター付けがなされている。スパロボではシナリオライターが違うためのちの作品と齟齬が出ることは時折あるのはスパロボご愛敬。
初参戦である第2次スーパーロボット大戦Zでは事実上NPC扱いだが、後に登場した「スーパーロボット大戦X」において、唯一コードギアスにおけるメインヴィランとして登場する。
本作では、聖戦士ダンバインのショット・ウェポン、クロスアンジュのエンブリヲの3人と結託して、ふしぎの海のナディアのネオアトランティスの首領ガーゴイルの客将として参加している。
敗北寸前のエンブリヲをお情けで救うやナディアを誘拐する、挙句の果てには(彼を先に撃墜した場合)戦死したエンブリヲを罵った態度で見下すなど、その悪業は原典を超えており、悪女という言葉を象徴するような存在になっている。
アーニャの心の中に潜んで潜伏していたが仮初の肉体を得て復活、霊体と実体を使い分けて神出鬼没に行動しており、さらにはモルドレッドのコピーを作り出し、本編では見せる機会の無かったパイロットとしてのマリアンヌの実力を見せつけて、ルルーシュとの盛大な母子喧嘩を行う事になる。その後は、余裕を見せるように脱出するが、先読みをしたルルーシュが待ち構えて自分、ひいては妹ナナリーを弄んだ事に対する怒りを見せて、『シャルルに関する一切の記憶を捨てろ!!』というギアスを掛けられて、廃人と化したのだが、その直後に本作のラスボスが突然現れて、捕食されるという呆気ない退場となった(これには当のルルーシュ本人も驚愕している)。