概要
1968年(昭和43年)に生まれ、1971年(昭和46年)にクラシック競走を走った競走馬の世代。
なお、この世代が3歳(旧4歳)となった1971年、イギリス・フランス・アイルランドでグループ制が導入され、現在に続く競走格付け制度がスタートした。
血統不詳のためにサラ系とされ、わずか75万円で購入されながら、鋭い追い込みで皐月賞と日本ダービーの二冠に輝き、菊花賞前に屈腱炎を発症して惜しくも引退となったヒカルイマイが代表格。菊花賞はニホンピロムーテーが制し、福永洋一騎手に初めての八大競走制覇をもたらした。
牝馬クラシックでは、桜花賞馬ナスノカオリ・オークス馬カネヒムロがともにその後目立った成績を残せなかった。ビクトリアカップ馬タイヨウコトブキは、翌年の宝塚記念2着と好走した。
障害では、2歳上の全姉ナスノセイランと中山大障害姉弟制覇を達成したナスノヒエン、72年に阪神障害Sと京都大障害を続けて勝ち、最優秀障害馬に選ばれたムーテイイチなどがいた。この世代はちょうどフジノオー・グランドマーチス・バローネターフの全盛期にぶつかっていないためか、中山大障害馬を4頭も出している。
この他、不良馬場の安田記念を制し、「道悪の鬼」と称された牝馬ラファール、朝日杯3歳Sの勝ち馬で、菊花賞3着・72年有馬記念4着・73年天皇賞(秋)3着の名脇役オンワードガイなどがこの世代である。
繁殖では、カネヒムロが78年有馬記念の勝ち馬カネミノブを、弥生賞・スプリングSを制したメジロゲッコウが84年・87年と中山大障害を勝つメジロアンタレスを出した。
イギリスでは、71年凱旋門賞をレコード勝ちし、生涯成績14戦12勝2着2回、二度の英リーディングサイアーに輝いた英ダービー馬ミルリーフ、デビューから2000ギニーを含む15連勝をあげ、生涯成績18戦17勝2着1回のブリガディアジェラード、フランスの主要2歳レースを総なめにし、生涯成績11戦8勝2着2回3着1回のマイスワローと、3頭の歴史的名馬が活躍。アメリカでは米国産のベネズエラ調教馬キャノネロがケンタッキーダービー・プリークネスSの二冠馬となった他、サドラーズウェルズの母父ボールドリーズンがこの世代である。
また、11年連続リーディングサイアーのノーザンテースト、タップダンスシチーの先祖でもある82年北米リーディングサイアー、ヒズマジェスティ(米)・テンポイントの父コントライト(愛)・オグリキャップの父ダンシングキャップ(英)と、日本に縁のある馬が複数いる。
主な競走馬
※日本馬は五十音順、海外馬はアルファベット順に記載。
※勝鞍や表彰は当時の名称で記載する。
日本
※勝鞍の☆太字は八大競走、太字は現在のGⅠ、斜体は現在のGⅡ、普通は現在のGⅢ、☨は現在は廃止された競走を表す。
八大競走優勝馬
| 馬名 | 性 | 主な勝鞍 | 備考(表彰など) |
|---|---|---|---|
| カネヒムロ | 牝 | ☆'71優駿牝馬 | オークス勝利時の馬体重384kgはJRAのGⅠ級競走の最軽量勝利記録 |
| ナスノカオリ | 牝 | ☆'71桜花賞、'71東京4歳牝馬特別 | '71最優秀4歳牝馬 |
| ニホンピロムーテー | 牡 | '71毎日杯、'71神戸杯、'71京都新聞杯、☆'71菊花賞、'72中日新聞杯、'73サンケイ大阪杯 | |
| ヒカルイマイ | 牡 | '71きさらぎ賞、☆'71皐月賞、'71NHK杯、☆'71東京優駿 | '71最優秀4歳牡馬 |
| ベルワイド | 牡 | '71セントライト記念、☆'72天皇賞(春)、'73目黒記念(秋) |
現在のGⅠに相当する競走の勝利馬
| 馬名 | 性 | 主な勝鞍 | 備考(表彰など) |
|---|---|---|---|
| オンワードガイ | 牡 | '70朝日杯3歳S、'72函館記念、'73AJCC、'73目黒記念(春) | |
| クリユタカ | 牡 | '73中山大障害(秋) | |
| サクラオンリー | 牡 | ☨'75東京障害特別(春)、'76中山大障害(秋) | '76最優秀障害馬・中山大障害勝利時に騎乗した平井雄二は、翌年調教師となりサクラスターオーなどを管理 |
| タイヨウコトブキ | 牝 | ☨'71ビクトリアC、'71阪神牝馬特別 | |
| ナスノヒエン | 牡 | ☨'72東京障害特別(春)、'73中山大障害(春) | |
| フイドール | 牡 | '71シンザン記念、'72金杯(西)、'72サンケイ大阪杯、'72鳴尾記念 | |
| マスヒロ | 牝 | '72中山大障害(秋) | |
| ラファール | 牝 | '72安田記念、'73京王杯オータムH | |
| ロングワン | 牡 | '70札幌3歳S、'70函館3歳S、'70阪神3歳S、'72マイラーズC、'72京阪杯 |
海外
※勝鞍の太字は現在のG1/GⅠ、斜体は現在のG2、☨は現在は廃止された競走を表す。
| 馬名 | 性 | 主な勝鞍 | 備考(表彰など) |
|---|---|---|---|
| ブリガディアジェラード | 牡 | '71英2000ギニー、'71サセックスS、'71英チャンピオンS、'72エクリプスS、'72キングジョージⅥ&ＱＥＳ、'72英チャンピオンS | '72英年度代表馬、連対率100% |
| キャノネロ | 牡 | '71ケンタッキーダービー、'71プリークネスS | '71エクリプス賞最優秀3歳牡馬 |
| ミルリーフ | 牡 | '71英ダービー、'71エクリプスS、'71キングジョージⅥ&ＱＥＳ、'71凱旋門賞 | 連対率100%、'78・'87英リーディングサイアー |
| マイスワロー | 牡 | '70ロベールパパン賞、'70モルニ賞、☨'70サラマンドル賞、'70仏グラン・クリテリウム | ロベールパパン賞は当時G1級競走 |
余談
『ウイニングポスト10 2025』にて最古の開始年に更新され、この世代のクラシックからのスタートになった。
