概要
『ガルマ三部作』の第二章。
オデッサの激戦を制したジオン公国軍は、統合整備計画によってMSの改修・整備の効率化を推し進めていた。一方、イセリナとの新婚旅行から帰ってきたガルマの元に、各戦線のエースたちからオデッサで大活躍したギャンを配備してほしいという要望が多数来るようになってしまう。
既にゲルググの量産が決まり、ギャンを特別扱いするわけにはいかない(あとあの盾が好かん!!)と頭を抱えるガルマの元に、キシリアの要請でジオン公国軍技術本部からある男が送られてくる……。
登場人物
ジオン軍
主人公。オデッサでの大勝の功績で少将に昇進し、原作では叶わなかったイセリナと結婚している。新婚旅行から戻ってきて早々、ギャン配備を要望する多さに「ギャンはこれからのジオンに必要なのか」と悩む。
第二の主人公。オデッサの功績で原作後半同様に大佐に昇進。自分もギャンが欲しかったが「直接ねだればいいか」と要請は出していなかった、しかしガルマの反応を見て黙る。ギャグテイストは相変わらずだが、なんかしらで彼をサポートしてくれる。
後半では、キシリアに秘かに接触するために宇宙へ上がる。
『機動戦士ガンダム_MS_IGLOO』の主人公。キシリアの要請で地上に降り、ガルマの傘下に加わる。技術士官ということもあり、ガルマやシャアも舌を巻くほどの分析能力を駆使してギャンの他に一度没にされたMS、MAを再評価して生産にこぎつけた。
ギレンがあるMAを開発に出した際にはあまりのショックに吐血してしまった。
ガルマの兄でジオン公国軍総帥。『ギレンの野望シリーズ』ではかなりの手腕を発揮するが本作ではザビ家最大級の核地雷(ツァーリ・ボンバ)、オデッサにおける活躍で本国におけるガルマの人気が高まっていることに焦りを感じたのか後半であるMAを開発に出す。
その他
地球連邦軍
評価されたMS・MA
第一章終盤で活躍した試作MS。ガルマも機動性などに関しては高く評価していたが、ゲルググに勝ってるのがその機動性だけで、宇宙だと完全下位互換になる点や、機雷が入ったシールドが気に入らなかった(誘爆に巻き込まれて危うく死にかけた)ことと既にゲルググの量産が決まっていたため、その存在意義に悩まされていた。
・マイが提案した改善点
1.空間戦闘能力の不足⇒バーニア数や機動力を全面的に強化。
2.格闘能力の高さをいかす⇒ビームサーベルの柄を伸ばして槍型にする。
3.シールドミサイルシステム⇒盾の機能に特化したものに変更。更には低出力のビーム砲などを後付けできる形(ガトリングシールドや、後のシールド内蔵型メガ粒子砲に通ずる発想等)にして仕込む。
と、所謂ギャンKである。
こうした改善や評価により、エース専用機として少数生産が決定。黒い三連星のオルテガ、ランバ・ラル、シン・マツナガらが自らの適性を鑑みて受領した。
第一章で大量生産を取りやめられてしまっていたがマイからザクのパーツが流用できることや、その隠密性や、エンジンを半分だけ動かす方式で稼働時間延長等特異な運用が出来る点の他にフレキシブル・ベロウズ・リム構造の腕部と頭部105㎜バルカン砲が高く評価され、魚雷等オプション装備の開発と合わせて特殊部隊向けの量産が決まった。コーウェンに報告していた連邦兵士の話では『褐色の魔物』と呼ばれている。
↓以下、交戦した兵士の報告
・なんかデカい頭が見えたかと思ったら一瞬で蜂の巣にされた(瞬間火力が高い)
・ヨチヨチ歩いてると思って馬鹿にしてたら腕がすごい伸びた(フレキシブル・ベロウズ・リムによる奇襲性)
・洞窟の中で追いかけたら猿みたいに飛び跳ねて逃げられた(同構造による機動性の高さ)
・部隊内の男女関係にやきもきしてたらいきなり頭を叩き潰された(至近距離に近づかれるまで気付かれなかった隠密性の高さ)
・土下座をするような姿勢をしたら危険。頭部のバルカン砲を一斉掃射する予備動作のようなもの
・やたらいっぱいいる(生産性が高い)
・かわいい(かわいい)
本編では欠陥機としてボロクソに言われていたが、そもそも欠陥の原因は諸事情で開発が遅れまくった事による部品の旧式化なので、最新技術にレストアすればよい(低威力の拡散メガ粒子砲もゲルググのライフル辺りのパーツを仕込めば十分火力が出せる)、なので評価すべきはその戦術と見た目とされる。マイによると「我々からすれば味方だからまだ可愛げもあるが、敵からすれば高速で突っ込んできてメガ粒子砲を吐いたと思ったらすれ違い様にぶった斬って高速で消えるMA」であり「奇抜な外見はそれを視認して理解できる相手には心理的威圧効果が、統合整備計画に放り込む事でレストアすれば性能向上が期待でき、実用性は十分ありうる」と評価された。実際この後ルナツーでは『火を噴く巨大な生首』として確認されて、連邦兵士がノイローゼを発症しているらしい。
他にもビグロと競合するが、むしろビグロのクローアームをヒートナタに差し替えて攻撃性を高めるのもアリという案も出ている(ガルマは「アレに掴まれて死なない奴はいないだろう」と評していたが、原作ではガンダムを掴んでも潰さず、むしろ至近距離から撃ち抜かれて撃墜されているためシャアはメタ的な意味で苦笑いしている)
ちなみに発案者はキシリア。当の本人は『両腕をチェーンソーにして切り裂くザクレロ』を要望していた(ガルマには技術的に難しいと一刀両断され没になっている)。
ただ、腕部をフレキシブル・ベロウズ・リム構造にする事で(ますますゲテモノ化が進むが)射程が倍化したり、高速機動しながら遠心力で薙ぎ払ったり(そしてそういった扱いに耐え抜けるフレキシブル・ベロウズ・リム構造の優秀さ)という案が提案、評価され、ロマン偏重(という名のビックリドッキリメカ化)を嫌うガルマも「そういう実用性のあるロマンはアリ、ロマンの正しい形だ」と割と好意的だった。
ギレンが提唱した地上制圧用MA。
本人は「自分の才能が恐ろしい」と自画自賛しており、このビグザムを量 産 体 制に入れてジャブローを掘り起こせと命令される。
その正気とは思えない命令に一同発狂するも、評価が自分達の仕事であるとして資料に向き合うことに
しかしてその内容はというと……
・このまま量産した場合⇒オデッサの勝利のプラス分が丸々すっ飛びつつ公国の財布の底に穴が空く
・廉価版を量産した場合⇒本体が強いのであって、これじゃそこまで強くないし、同じ予算でゲルググを作った方がマシ。それどころか廉価版でも統合整備計画の予算を丸々毟る。
・全方位メガ粒子砲⇒味方を巻き込む上に、他がどれだけ頑丈でも全身に28箇所のもろい場所がありますなんて言ってるようなもん
・対空ミサイル⇒ 足にあるってどういうことだ!?しかも6本しかない!攻めてくるのは想定6機か!?あ"ぁ"!?。(あと構造上撃ち切ると自立できなくなる)
・メガ粒子砲、ミノフスキークラフト、Iフィールドジェネレーター⇒あっという間にエネルギー切れ。
・武装の射程がチグハグ⇒使い分けるといえば聞こえはいいが、実際にはどの距離の敵にも使える武装が限られるということになる
・放熱性能がゴミ⇒宇宙だと概算でも30分持たない、地上なら大気冷却ができるが、場所によってはそれすら滞りかねず、置物化しかねない
マイからは『敗戦確定の戦場で突撃し、撃てば当たるような状況下でひたすらビームをばらまき、勝利を確信し油断した相手に一矢報いるためのMA』、ガルマからは『初見だと滅茶苦茶強いが攻略法を知ったら余裕の典型例』と言われてしまう(でも実際投入したらやれちゃいそうなのが腹立つらしい)。
結局、シャアたちの謀りにより地上制圧用では無く制宙権防衛用大型MAの開発へと変更されてしまい、これがビグ・ラングとなる(経緯的に頭がビグロではなくビグ・ザムになり、それに併せてサイズも巨大化していると思われる)。
余談
キシリアがザクレロを発案したというのは、実はトニーたけざき氏の『トニーたけざきのガンダム漫画』が元ネタ。単行本ではシャア専用ザクレロが登場しており、プラモの写真も載っている(シャア専用ボールもあるよ!)。
ザクレロについて挙げられている「心理的威圧効果」を図った類例は現実にもあり、戦闘機の機首にサメの顔(シャークマウス)をペイントしたりするケースが挙げられ、宇宙世紀においてもオハイオ小隊のボールなどが施していたりする。
(最近はそんなモノを視認出来る距離まで接近する前にミサイルがロックオンしてしまうためあまり役に立っていないが、パイロットの愛着を示す為にセクシーな女性を胴体にペイントしたりといった習慣は残っている)
公式作品においても、長谷川裕一氏の『バカがボオルでやってくる!』で似たような解釈が示されている。