概要
『ガルマ三部作』の第一章。
既に量産が決定していたグフに対してガルマが待ったをかけたところからすべてが始まる。
登場人物
ジオン公国
主人公。原作と比べてお坊ちゃんじゃなくなっている。シャアからグフの話を聞いた際に彼を祖国送りにするほどの重傷を負わせる(当の本人に自覚はない)ほど、酷評した。その後は、MS開発に目を通すようになり、多くの試作MSを没にした。
本作ではオデッサ作戦の指揮を執っているがある事情でマ・クベからギャンを借りて戦場を駆け抜けることになる。
本作の副主人公。グフへの酷評でガルマに痛めつけられ、ジオン公国へ帰国して治療を受ける羽目になる。しかし、驚異的な生命力でオデッサ作戦前に再び地上へ降下。専用のドムに搭乗し、原作とは違う活躍をする。
ガルマの兄。グフの量産を決めていたらしいがガルマの鬼気迫る説得を目の前に開発陣共々唖然とし、中止にする。その後は水陸両用MSの開発計画プランを提案するのだがなんと自分の娘のために読んだ絵本を基に考えた(当然ガルマにダメ出しされる)。
ガルマの父でジオン公国の公王。水陸両用MSの件でドズルを叱るガルマをたしなめる。ガルマの頑張りを評価しているが…
キシリアの部下でオデッサの指揮を執っている。祝賀会でガルマの相談相手となるが泥酔いした彼の愚痴の数々でノックアウトする。その後、諸事情でMSを持ってきていなかったガルマに乗機であるギャンを貸す。
「機動戦士ガンダム第08MS小隊」の登場キャラ。祝賀会に参加していたせいで泥酔いしたガルマの被害者になる。ガルマからは「ギなんとか」としか覚えられていない。
その他
地球連邦軍
ホワイトベース隊
原作では多くの戦闘を積んで成長していくのだがガルマがグフの件で攻撃を仕掛けなくなったことで経験値を積めず、派閥争い状態になっており、『ブライト派』『反ブライト派』『塩派』の三党に分かれている。
最終的には『塩派』で一致するが、そのせいでオデッサで戦死してしまったメンバーがいる。
ホワイトベースの艦長。ジオンがMSをホワイトベースにぶつけてこなかった理由を『ガンダムを恐れているから』だと誤解して原作では一年戦争後も生きているカイたちを戦死させてしまう。
ガンダムのパイロット。本来戦うはずだった強敵たちと戦わなかったことからオデッサで赤い彗星、青い巨星の二人を同時に相手にする羽目になり、命からがら逃げる。
ガンキャノンのパイロット。『ガンダムがいればジオンも怖くない』と楽観的になっていたことが災いしてオデッサで黒い三連星を相手にすることになってしまい、最終的にガンキャノンを原型すら留めぬ程に滅多刺しにされ、コクピットの中で泣き叫びながら戦死した。
ガンタンクの搭乗員。着陸して早々、シャアのドムに撃墜されて戦死してしまう。
コア・ブースターのパイロット。ガルマたちにやられそうになったアムロを援護して助ける。
本隊
連邦軍を指揮する大将。
オデッサ作戦前にマチルダからの報告でホワイトベース隊の悲惨な状況に頭を抱える。
作戦では総指揮官であるガルマがまさかの前線に出るという事態にパニックに。その後、混乱する戦線を立て直すことができず、正史とは真逆に連邦軍が大敗する羽目になる。
地球連邦軍補給部隊ミデア隊隊長。レビルにホワイトベース隊の状態を報告している。グフに拘っていたせいでロクに攻撃を仕掛けなかったため、正史とは違い、いつのまにか補給を済ませており戦死していない。
消されたMS
グフシリーズ
ジオン公国軍の白兵戦用量産型モビルスーツ。正史では量産されるはずだったのだがガルマの説得で中止にされてしまう。理由としては以下の通り。
・ザクに代わる主力MSなのに格闘戦重視の白兵戦特化MS⇒一部エースがこう言ったカスタムをすること自体は否定していないのだが、これを主力とするということはそこらの一般兵も射撃が得意な兵士も皆が皆グフにのって戦う羽目になり、最悪な場合、敵の戦車隊にも手も足も出ない。
・左マニピュレーターのフィンガーバルカン⇒ザクマシンガン以下の威力・装弾数、取り回し、こんなもん持たせるならザクの左腕付けてザクマシンガン持たせるべきだし、そもそも整備性も劣悪で壊れたら左腕が吹っ飛んだも同然になってしまい、これなら腕そのものをマシンガンにした方がマシ。
・ドダイとの連携⇒白兵戦特化で、上になったらフィンガーバルカン射撃くらいしかできないのにどう連携しろというのか
グフの長所を完全に殺している。
ガルマ「テメェふざけてんのか!?さもなきゃ、連邦軍のスパイか!?」
・装甲を追加して、フィンガーバルカンを両腕に装備⇒格闘戦能力と運動性の低下を招いている。まだ、ザクにザクバズーカ二丁持たせた方が火力がある。
展開力を補うために飛べるようにしたが長時間動けない⇒何のためのドダイだ!ドダイに謝れ!(byガルマ)
ジオン水泳部
ゴッグ、ズゴック以外のジャブロー攻略用MSを含めた機体。ガルマは「展開力の不足を補うためのMSの開発」を依頼していたのだが何故か「湾岸基地にしか攻め込めない=展開力が欠けるMS」ばかりだったのが理由、なぜこんなやたらめったら水泳部を量産しようとしたのかと聞かれ「ミネバに読んだ本に地球は7割が海って書いてあったから」と返すも「人間は残りの3割に全員住んでいる」とど正論を叩きつけられ、すべて一旦生産を中止にされる(ドズルは「そんな、酷いぞ!ミネバが喜んでいたのに!」と残念がっていたが、引退するかアッガイで北米戦線指揮するか?と脅され屈した)。因みに、唯一アッガイだけは、許された。(ズゴッグは今回の量産に含まれていなかったらしく言及なし)
コンセプトがグフの二の舞三の舞。
なんと発案者はデギン公王。ガルマは「火力は素晴らしい」と評価していたが「いかんせん火力以外に取り柄がない」そして「湾岸基地攻撃に火力はあんなに要らん」ということで没にした。
負けたMS
MSに現を抜かしていた(というか本来それが本業)ためにパーティを何回かすっぽかしてしまい、メンヘラを発症したイセリナの様子に愛を証明するためにキチゲを解放し、オデッサに自分用でないザク(G型)やドップで乗り込もうとしたガルマにマが(「性能的に大活躍間違いないし、大活躍した暁にはあの頭のMSが量産されるのだ」というふざけた目論見で)貸し与えたMS
その類稀な機動性で大活躍こそしたものの例の盾が誘爆しかけ、危うく死ぬところだった上、そのせいで白いのを逃してしまう醜態を晒してしまう
辛うじてレビル将軍を討ち取り(影武者の可能性が指摘される)、ビッグトレーを轟沈、残骸を踏みつけながらイセリナへの愛を叫び、それを証明することには成功したが、何より自爆で死にかけたのが納得行かなかったガルマに見切りをつけられてしまう
ガルマ「量産はゲルググで確定だなこりゃ」
マ「!?」
その鮮烈な活躍がエース達の目を焼いたのが、次回の冒頭に繋がる
新たなMS
グフの生産ラインをそのまま流用した新型ザク。型式番号は、正史の陸戦高機動型ザクと同じだが仕様が異なり、戦場の兵士たちはこの型のザクを愛称として「グフ」と呼んでいる。
グフの基本性能を引き継いでおり、アンテナ常備・ザクの武器の取り回し並びにヒートロッドなどのオプション化のおかげで新兵からエースまで使い勝手がよく、オデッサ作戦まではドムと並んで運用された。ランバ・ラル曰く、「G型ザクは、ザクとは違うのだよ!」。
- 「ガルマの腕時計」
正史で言う腕部装備のガトリング砲(グフカスのアレ)。ガルマが「エースの一部からグフのフィンガーバルカンの使用と調達を許可してほしい」という要望を叶えたもの。
最初は「あんな欠陥品を欲しがる理由がわからない」とゴネていたものの、相談相手のラル大尉が(「ゲリラ屋的に損耗とか整備性については思うところはあるが」という前提付きで)その意見に理解を示したため、耳を貸す気になった。
そこで語られたフィンガーバルカンの利点は以下の通り。
- 「グフ(Gザク)」は接近戦用のため、兎にも角にも敵陣へと飛び込まなければならない。難易度は高いが、エースならここは容易に達成できる。そして接近戦では相手の攻撃を盾で防ぎながらのインファイトになるため、左手を使う場面は少ない(=使わないマニピュレーターなら、多少歪な形状でも問題はない)。
- (「右手はどうした?」=射撃したいなら銃に持ち替えて射撃すればいいんじゃないのか?というツッコミに対して、)接近戦における愚は【一瞬の無駄】にあり、装備の持ち替えは致命的な隙を生じてしまう。接近して叩き切るグフのコンセプト上、仮想敵が同じならどんなに銃が強くともその隙で落とされかねない。逆に言えば、持ち替えが不要な内蔵火器は接近戦では有利を取れうる。
- 左手マニピュレーターは大きく機能を制限され、汎用性は失われてしまうだろうが、「そもそもこんなもん使うってことは接近戦特化カスタムなわけだし、元から汎用性は無い」。あくまでも特殊化されたMS用装備として割り切れば、少々利便性が落ちようが大したデメリットにはならない。
……要するに「敵陣に斬り込み、肉薄できる」前提をクリアできるエースパイロットにとっては、格闘の邪魔にならず、指を向けるだけで火力を産めるフィンガーバルカンは白兵戦において頼もしい武装だということである。
だがそれでもなお、ガルマは難色を示した。
フィンガーバルカンは複雑な構造ゆえに整備士泣かせかつ寿命も短いという欠点があり、物資が確実に届けられるか分からない重力戦線では配備・補給に難がある。さらに万一フィンガーバルカンが破損してしまえば、G型ザクは左手を失うも同然。替えの効かぬエースパイロットにそんな不安定な兵器を渡すのは承服しかねる、とやはり却下したが、しかし完全な廃案として利点を失うにも惜しいのは事実であった。
……そんな折、ラルが何気なく腕時計を確認した仕草を見たガルマに電流走る。
「フィンガーバルカンの利点を活かしつつ、整備性の悪さ、指の脆さと言った短所を解消するには……指をバルカン化するのではなく、腕にバルカンをくっつけてしまえばいいのだ」という発想に辿り着き、開発陣に依頼、エース機用に試験的に配備したところ、好評を得た。
三連装、五連装のバリエーションが生産された模様。
余談
- 本作ではグフが結構叩かれているが実際、アニメ本編でもマシンガンを持っている機体がちらほら登場しているので(フィンガーバルカン要らなくね?という意見は)決して間違っているわけではない。ただ、腕時計の件でも分かる通り、利はある設計なのは確かでもある。