〝理想の人間〟を目指す人造人間
りそうのにんげんにとりつかれたはかせのじんぞうにんげん
製造者は〝理想の人間〟に憧れ囚われた「博士」と呼ばれる人物。名前は不明。
生涯に100体も人型の人造物を手掛けるが、それでも「博士」が目指す〝理想の人間〟には程遠く、100体目の人造人間が生まれた日に「博士」は死んだ。
残された100体の人造人間たちは、自分達の存在理由であり原点―
成るはずであった〝理想の人間〟に囚われた
だから「博士」の人造人間たちは考えた―
〝より優れた人間の肉体を奪い 自分の身体に縫い付ければ良い〟
そうして人外の異存在・人造人間たちは、社会の裏へ潜み〝優れた肉体〟を求めて暗躍するのだった…。
「博士」は製造順に人造人間へ「No.(ナンバー)」を符号している。
全ては〝理想の人間〟を目指すため、試行錯誤で数多の人造人間を造っていた。つまり「No.」が大きいほど、後年に造られた製造物ほど、その性能が良い。
例えば、単純な肉弾戦だと「No.」が10~20位内の人造人間は、21位以上の人造人間へ力敗けしてしまう。
そして「博士」が最後に製造した「No.100」が最強の人造人間という事になる。
但し、番号が小さいのに強い唯一の例外がいるという…
人間の死体を基盤(ベース)に、製造者の「博士」が有する高度な技術・生物の縫合術によって、人体の性能が大幅に向上されている。
また、肉体を継ぎ接ぎにする製造法から、体にある縫い目が人造人間である証となっている。この縫い目は個体差を伴って、胴体や首元、手足から頭部まである。最終であり最良の製造技術に至って造られたNo.100は、衣服を纏って目立つ縫い目は首元だけと、後年になって造られた人造人間ほど少ない縫合で済んでいるのかもしれない。
「博士」の高等技術で造られた人造人間は、人間をはるかに越えた身体能力を有している。
「博士」の亡き後、人造人間たちは前述した目標物〝優れた肉体〟を主に鋭敏な嗅覚で探索している習性がある。作中では、数百メートルも離れた対象の血の匂いへ誘われて人造人間が出現もしている。
更に「博士」は試行錯誤の中で、一部の機能を特化した人造人間も造り出している。
具体例として―
脚を特化:急行列車に楽々と追いつき、追い越せるまでの脚力を発揮
肺を特化:特異な肺活量により、水中で自他を包むほどの巨大な気泡を吐き出せる
色々と人間の領域を大きく越えた「博士」の人造人間たちだが、自己の意思に反するほどに抗えない絶対の習性(本能)がある。それは死を予感しても尚、喉から手が出るほどに渇望してしまうからこその不合理な行動。
〝優れた肉体〟を認知した時点で【逃げる】の選択を無くしてしまう
たとえ〝優れた肉体〟を守護する敵わない相手であろうと、条件反射のように手を伸ばして欲求〝優れた肉体〟へ向かってしまう本能的行動を選択してしまう。この初描写では、逃げ足に自信があって一度は逃走に成功するが、気づくと不可思議に〝優れた肉体〟の元へ戻ってきてしまい、心身ともに「なんで戻って来てるんだ?」と大きく動揺する人造人間が描写されている。
人へ害を齎す存在ともなっている「博士」の人造人間たちだが、不死身というわけではなく、体を大きく損傷すると機能を停止する。言い換えれば人造人間を殺す事は可能であるが、上記のように色々と人間を凌駕し、容易く殺傷できる能力を有しているため、一般人が人造人間と遭遇すれば殆どはそれで最期となる…。
本作『人造人間100』における【人造人間】は、人間の体を素材に高度な縫合技術などで製造される人造物。
他の創作物と比較すれば、一部機械化された人間(サイボーグ)、無から造られた機械人間(アンドロイド)、バイオテクノロジーで造られた人工生命体(バイオロイド)ではなく、死体を寄せ集めた人外から、最古にして最高峰に多くの人を惹きつける怪物【フランケンシュタイン】に近い。
人造人間(ドラゴンボール)・・・同誌で連載していた漫画に登場する人造人間。こちらは高度な機械工学や生物工学で造られた人工生命体が多く登場する。
エンバーミング・・・同誌系列の青年誌で連載していた漫画。本作とは【死体を基盤に生み出した人間に在らざる人間】【機能特化型に造られた人造人間】など類似項のある人造物が登場する。