概要
てんとう虫コミックス11巻及び、藤子・F・不二雄大全集6巻に収録。
このアンテナを頭に立てておくと、自分の身にこの先起こる事にあらかじめ対応の準備をする事ができる。しかし、実際にどんな出来事が起こるかを本人が事前に知ることはできるわけではないため、本人の利益のためにこの道具が働いた結果、公衆のマナーやエチケットに反した結果も起きかねない。
ストーリー
のび太が空を見上げながら歩いていると、上から野球ボールが降って来て顔に直撃。これを聞いたドラえもんはのび太の手当をしながらも、呆れてしまい、何かかが落ちてきたら避けるより、受けるなりするのが普通だと言い始めた。そして他にも当たる前に先へ先へと考え、転ぶ前に起きるや、落とす前に拾うことをするよう言い、しまいにはのび太のことをのろいとまで言い出した。
これに頭に来たのび太は、神様じゃあるまいしそんなことはできないと反論。そこでドラえもんは「あらかじめアンテナ」を取り出し自分に取り付けると、すぐにアンテナが反応して体が独りでに動き出し、押し入れから枕を取り出した。本人も訳が分からなかったが、その時ネズミが現れたことでドラえもんは驚いて飛び上がり、倒れた時に枕があったことで頭を打たずに済んだ。
目を覚ましたドラえもんからアンテナの効き目を言われるも、のび太はまだ信用できなかったが、ママから呼ばされた際アンテナが反応して、噛んだガムをちぎって耳に詰めるよう指示された。そしてママから説教を受けることになったが、ガムが耳栓となって説教を乗り切ることができた。
その時パパが呼んできた際、再びアンテナが反応して、パパが捜していたライターを持って行った。これがアンテナの能力だと説明されたパパは、これを付けて出かけることにしたが、その時アンテナのが反応して望遠鏡、ズボン、重箱を持っていくよう指示された。訳が分からないながらも、これを持って行ったパパは、途中車から水をかけられるも、替えのズボンを持っていたため、着いた先の家で履き替えることができた。
そしてその家の自分の恩師の先生と話していると、そとからサイレンの音が鳴り出したため、窓から外を見ていると火事が起こっていた。そこでパパは望遠鏡で火事を見始めたが、先生からいつもそれを持ち歩いているのかと聞かれてしまい、この後ご馳走になった美味しいおはぎも持って帰ることを勧められ、一旦は断るも重箱があったため、持ち帰ることになってしまった。
これにパパは恥をかいたと怒ってしまい、ドラえもんは持って行ったものが全て役にたったのになぜ怒っているのか分からず、のび太はやはりこのアンテナを使うのを止めることにした。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1979年6月11日に、水田版は2016年10月28日にそれぞれ放送している。
1979年版
- 本編はドラえもんがのび太を手当てする場面から始まり、ドラえもんはまたジャイアンにいじめられたからと思っていたので、怪我をした理由を回想して説明した。
- ママはのび太を呼んだ際は名前を呼び捨にしていて、説教の内容は四年生だからもっとしっかりするようにというものだった。
- パパが風呂敷を持って行かなきゃいけない理由を聞いた時、のび太は「分かりませんねぇ」と言っていて、この後パパを見送った際、ドラえもんも敬語で話している。
- パパが持ってきた望遠鏡を使って先生も火事を一緒になって見ていたが、すぐに「よその不幸を喜ぶ癖は未だに治っておらん!」と𠮟りつけたが、パパは心中で「自分が喜ぶ癖もちっとも治ってないな」と愚痴を言っていた。ちなみにこの先生の声は肝付兼太氏が担当した。
- ラストでののび太のセリフは「そうだよ、あんなに美味しいおはぎまでいただいてさ」に変更され、パパはタバコを吸っていた。
- 本編終了後のショートアニメは、天気の中ドラえもんが傘をさして歩いていると、突然雨が降り始めたというものだった。
2016年版
- サブタイトルのアニメーションは、あらかじめアンテナを付けたドラえもんが、黄色い頃の自分を模した傘をさすと、上から月が落ちてきて下敷きになってしまうというものだった。
- ドラえもんのセリフのうち「普通」は「すればいいだろ」に変更。
- ママは「のびちゃん」と言ってのび太を呼んでいて、のび太が耳栓代わりに耳に詰めたのは、拳銃用のコルク栓だった。そしてママは最初は穏やかな笑顔だったが、さっき先生から電話で、のび太が算数、国語、理科、社会全て0点だったことを聞かされ顔を真っ赤にして怒り出した。
- この後のび太はしずかに借りていた本を返しに行こうとしたが、アンテナの指示でほうき、新聞紙、水を入れたバケツ、サインペン、ガムを持っていくよう言われている。そして新聞紙はこれに伊藤翼のコンサート&サイン会のちらしが挟まっていたので、ジャイアンから殴られずに済み、ガムは自動販売機の下に入ったスネ夫の100円玉を取る際に役立ったが、これをもらったのび太がジュースを買って飲んだとたん、スネ夫が奪って行った。
- そしてバケツは帰り道で車に水をかけられた際に役立ったが、その車に乗っていたのが伊藤翼で、謝りにも来てくれたため、バケツにサインをもらうことができた。
- のび太がパパに持って行ったのはベルトになっている。
- 煙が上がっているのび気付いたのは先生の妻で、煙の原因は近所の男性が庭でサンマを七輪で焼いていたらだった。ちなみにこの先生の声は仲木隆司氏が担当した。
- ラストで怒ったパパは「もうそんなアンテナ使わない!」と言っている。