短命の列車愛称となった特急「おおよど」
「おおよど」はかつて国鉄(現JR九州)に存在した、ディーゼル特急の愛称である。
1974年4月25日、日豊本線の宮崎電化に伴うダイヤ改正で急行「えびの」のうち1往復の格上げで肥薩線・吉都線経由で博多駅~宮崎駅間を結ぶ特急列車として起用された。
使用車両はキハ80系。日豊本線の特急「にちりん」のうち宮崎以南を走る列車は非電化区間が残ったため同型車の運行が残されたが、実質的にその間合い運用としての設定であった。
1980年10月1日ダイヤ改正でその「にちりん」が全列車電車化(485系)されたことに伴い、前日限りで運行を終了した。
九州の特急列車の愛称として最も短命の存在でもある。
なお、同じような経過を辿った列車に北上線経由で仙台駅~秋田駅間を結んだ「あおば」(1971年~1975年)があるが、そちらは東北新幹線開業の際に各駅停車タイプの列車の愛称として復活した(現在は「なすの」と「やまびこ」に再編)。
「おおよど」の血族
国鉄の分割民営化によりJR九州となってからの1989年、「おおよど」の運行経路そのままに急行「えびの」が博多駅発着で復活したものの(2往復)、高速バスに敗れる形でわずか4年で再び熊本駅発着に戻ってしまった。一方、国鉄時代に熊本駅~肥薩線経由~人吉駅の区間が急行「くまがわ」として残りくま川鉄道へ乗り入れ、湯前駅とを結ぶようになった【1980年から1989年までは博多駅〜熊本駅間を快速列車として運行していた】。のちにJRの区間だけとなり特急に昇格したが、2015年度末のダイヤ改正で愛称のない快速に格下げされた上、肥薩線の区間(八代~人吉)のみに短縮されてしまっている。
このほか特急「いさぶろう」「しんぺい」もかつての「おおよど」の運行区間の一部をトレースするように走っている。