概要
八代駅(熊本県八代市)から人吉駅、吉松駅を経由して隼人駅(鹿児島県霧島市)までを結ぶ鉄道路線の名称。JR九州が運営する。
路線名の肥薩線は、熊本県の旧国名である肥後と鹿児島県の旧国名である薩摩から来ている(ただし、現在の肥薩線はその名の割に薩摩国を通過していない。これはもともと「肥薩線」が八代〜鹿児島間に与えられた路線名称だったため)。開業時は鹿児島本線の一部であった。
九州自動車道が全線開通するまでは、福岡・熊本〜宮崎の都市間輸送も担っていた。2000年まで運行されていた急行「えびの」のルートにあたる、八代駅から吉松駅までの区間が「えびの高原線」の愛称を付与されているほか、八代駅から人吉駅までの球磨川に沿って走る区間を「川線」、人吉駅から吉松駅までの矢岳越えを挟んだ区間を「山線」と通称する。
なお「山線」区間は県境を2度もまたぐこともあって、通勤・通学等での需要は限りなく0に等しい。このためか2018年春のダイヤ改正以降は1日3往復のみの運転となっている(そのうち2往復が「いさぶろう・しんぺい」)ため注意が必要。
観光路線として
肥薩線には歴史ある駅舎や施設、フォトジェニックな車窓風景などが多く、これらを活用した観光路線として整備が進められている。
- 八代〜人吉…日本三大急流の1つ・球磨川に沿って走る。特に瀬戸石駅から先はかなり急峻な地形となり、球磨川下りやラフティングの様子を見ることもできる。また渡〜西人吉間には線路沿いに桜並木があり、SL人吉の撮影スポットとして有名。
- 人吉〜吉松…「矢岳越え」と呼ばれる、ループ線とスイッチバックによって険しい山地を越える。この区間だけでスイッチバック駅が2つもある(大畑駅と真幸駅)だけでなく、矢岳~真幸間では日本三大車窓の1つに数えられるえびの高原の雄大な景色を望むことができる。ちなみに大畑駅は「夏目友人帳」の舞台の一つであり、ファンが設置した駅ノートも存在する。
- 吉松〜隼人…霧島山麓の農村地帯を走る。大隅横川駅と嘉例川駅は開業以来の木造駅舎で、2006年に国の登録有形文化財に指定されている。また沿線には霧島温泉郷・新川渓谷温泉郷がある。
観光列車としては特急「はやとの風」(吉松~鹿児島中央間、日豊本線・鹿児島本線経由、廃止)、特急「かわせみやませみ」(鹿児島本線熊本~八代~人吉間)、観光列車「いさぶろう・しんぺい」(1往復は人吉~吉松間、1往復は鹿児島本線熊本~八代~吉松間で熊本~人吉間特急)がキハ40系気動車改造車により運行されているほか、「川線」区間には2009年から8620形58654号機牽引による「SL人吉」を運転。
駅一覧
●:停車、|:通過
※えびの高原線は八代~吉松間
※〔優等〕= いさぶろう・しんぺい/かわせみやませみ/SL人吉
※鹿児島県のみ優等列車はなし
駅名 | 〔優等〕 | 乗り換え路線 | 備考 |
---|---|---|---|
八代 | ● | ||
段 | | | ||
坂本 | ● | ||
葉木 | | | ||
鎌瀬 | | | ||
瀬戸石 | | | ||
海路 | | | ||
吉尾 | | | ||
白石 | | | ||
球泉洞 | | | ||
一勝地 | ● | ||
那良口 | | | ||
渡 | ● | ||
西人吉 | | | ||
人吉 | ● | くま川鉄道湯前線(人吉温泉駅) | 駅弁立ち売りあり |
大畑 | ● | スイッチバック+ループ線 | |
矢岳 | ● | ||
真幸 | ● | スイッチバック | |
吉松 | ● | 吉都線(えびの高原線) | |
栗野 | |||
大隅横川 | |||
植村 | |||
霧島温泉 | |||
嘉例川 | |||
中福良 | |||
表木山 | |||
日当山 | |||
隼人 | 日豊本線 |