概要
東方Projectに登場する蓬莱山輝夜、藤原妹紅、宇佐見菫子の三名による二次創作グループ。
輝夜と妹紅は『東方永夜抄』、菫子は『東方深秘録』に初登場した。
妹紅はストーリーに登場するに至る経緯に輝夜との千年以上にわたる強力な因縁を持ち、幻想郷に至った今日においても輝夜を極めて重要な人物として位置付けている。
輝夜もまた妹紅と行動を共にする事もあり、二人の境遇に基づく二人ならではの人間関係が繰り広げられている様子である。
菫子は『深秘録』において幻想郷と対峙し、妹紅とも敵対したが、その過程を通して妹紅と友好的な関係をいち早く築いている。
2015年8月現在では上記の三名の内輝夜と菫子は出会っておらず、両者は妹紅を通した縁である。二次創作における「てるもこすみ」というグループ単位においては、主に妹紅に力点を置いたアプローチをはじめとして、三名の様々な交流が想像されている。
他者への拒否と解放
三者はそれぞれの形で、それぞれの時間の長さによって広く他者を拒否した経験を持つ。
輝夜は大罪である「蓬莱の薬」の製造と服用によって月世界から放逐されて地上に落され、月に帰らなければならないとなった際には逆に月を拒絶し地上に残った。以後は八意永琳とともに永遠の魔法をかけて世界から隔離した場所である「永遠亭」をつくり、その中で過ごし続けた。
妹紅は輝夜が月に帰るという一連の過程において地上へと残した蓬莱の薬を服用して不老不死となったが、時には老いず死なずの自身の身を忌避する人々から逃れ、時には世界に怨恨を叩きつけ、時には全ての意欲を失った。本人の述懐によればそれぞれ三百年単位で孤独な荒みへと堕ちていた。
菫子は他者を、自身を低能低俗へと落とすものと感じたことからこれを総じて拒絶し、設立した「秘封倶楽部」に備えられたオカルトサークルとしての性質をもって他者の拒否を具体化するツールともした。
輝夜に関してはその拒絶の合間には常に永琳があり、後に因幡てゐとも偶発的な縁を結んだ他さらにその後には月から逃れてきた鈴仙・優曇華院・イナバを永遠亭に迎えたが、人間関係は長らくその中だけに閉ざされてきた。
しかしその一方で、各登場作品に至る過程、あるいは各作品の中で、こちらもそれぞれのありかたではあるものの三者はいずれもその拒否を解き、他者へと開く道を選んでいる。
妹紅は『永夜抄』以前、退廃に身を落としていた折の最後の三百年において自身がこのような境遇へと至るきっかけともなった輝夜と再会、輝夜に強い思いをぶつけ「 殺し合う 」ことでその生を実感した。その後は輝夜との再会ばかりではなく、「 理解者 」(『東方儚月抄』)である上白沢慧音との出会いをはじめ様々な人間との繋がりを得る事が出来、今ではかつては得られなかった「 人間からの感謝 」を支えに生きている。
輝夜は『永夜抄』での異変において人間と妖怪とがともに在る姿を目にし、時代の移り変わりを感じつつ惹かれた興味の想いによって「 永遠の魔法 」を解き、永遠亭を解放した。そして自らも外へと出ていくようになった。
その様子はイベント(例えば月都万象展。『東方文花帖』書籍版)を企画したり人間の里に出向いたり(『東方心綺楼』)などの様子に見られており、お酒を交わす交流(『儚月抄』)も含めその様子は様々な作品で語られている。
菫子は『深秘録』において「 自分が見下す事が出来ない 」様々な存在たちとの交流を体験した。それは菫子に心境の変化をもたらし、「 友達を作るのも悪くない 」と思うようにもなった。そして『深秘録』以後も訪れる事が出来た幻想郷では人の輪を広げているようで、人々もまた菫子にあたたかい関心を寄せているようである。
かつての異変では強く立ち向かい合った博麗霊夢とも、にこやかに穏やかに会話する様子が描かれている(『東方茨歌仙』)。
三者が歩んだ過程にはその程度の差こそあれ拒絶と融和の歴史があり、共感し合う部分がある。各々が背負った歴史において孤独と解放とを経験しているのである。
またその場となったもの、あるいは他者へ開く事を支えている場所、はたまたその契機を与えた場所が幻想郷であり、輝夜、妹紅、菫子はそれぞれの言葉や体験を通して、今日の幻想郷とそこへの関わり方を肯定的にとらえている。
妹紅と輝夜、妹紅と菫子
先述のように妹紅は輝夜と菫子の両者と縁をもつ。そしてその縁には様々な感情が絡み合っている。
妹紅が蓬莱の薬を服用するに至る経緯には輝夜の存在があり、その服用前からそれ以後にかけて輝夜への「 復讐の心 」(『儚月抄』)が長く妹紅を支え続けてきた。輝夜との再会以後はそれを発露して輝夜へと全身全霊で向かうことで生きる力を得ていたようである。
しかし今日の妹紅が輝夜に対して抱く思いは敵意だけではない様子であることが『儚月抄』において妹紅の行動を通して語られている。
同作ではレミリア・スカーレットらが建造したロケット(東方儚月抄)によって月への道が再び拓かれた様を見た妹紅が、ひょっとしたら輝夜も月に還ってしまうのではと不安を抱き、夜道を永遠亭へと急ぐ様子が描かれている。
そして永遠亭に着いた後は建物の外から聞き耳を立て、輝夜らの会話に聞き耳を立てるのである。
この輝夜の喪失の不安を知る機会によって、妹紅は自身とって輝夜がどのような存在であるかを認識することとなった。
妹紅と菫子の関係においては、二人は『深秘録』での作中及びその後においても縁を結んでいるが、当初はそのストーリー上の経緯もあって妹紅と菫子も一度は敵対的に対峙しており、初対面時は互いに決して気に入るような相手ではなかったようである。
菫子は妹紅を侮り、妹紅は菫子に感じたいらだちをはっきり言葉にしている。
しかしその後生身のぶつかり合いを通して互いを認め合ったようで、その印象は一転し、率直な感情から互いを快く思うようにもなったようである。異変後も妹紅が菫子の「 忘れ物 」を双方の世界の結界の境界に立つ博麗神社へと届けたり、菫子が妹紅にそのお礼を言いたいと思ったりする様子が描かれている。
輝夜と菫子は先述のように互いの接触こそないものの共に妹紅と一度は対峙し、その感情を揺らし、妹紅と特別な縁を繋いだところに共通点を持つのである。そして輝夜は今日では一緒に消火活動(?)をしたり酒盛りで対決をしたりしており、菫子も異変の後に幻想郷へ再訪した際には妹紅と再会する事も出来たようであるなど、以後もそれぞれの形で交流が続いている点も同じである。
月の都
先述の通り具体的な交流という点では輝夜と菫子は先述の現在時点では接触をもたないが、東方Projectにおける「月の都」という要素を通して見る場合、輝夜と菫子は縁を持つ。
輝夜はかつて月の都に所在した存在であり、その月の都の禁忌に触れたことで此処から罰を与えられ地上へと送られることとなる。月の都の動静については多少なりとも気がかりであるようで、『儚月抄』では月の都において自身の罪が許されているかどうかについて思いを寄せる様子も描かれている。
菫子は「月の都」そのものを訪れた事は無いものの、『深秘録』において自身が持ち込んだオカルトボールに何者かの意志が入り込み、菫子の認識の外で「月の都」のオカルトボールが混入した。
「月の都」のオカルトボールは『深秘録』に留まらず複数の作中で特殊な意味を持つアイテムとなったが、特に『深秘録』での月の都のオカルトボールは、霊夢がオカルトボールの危険性と並行して菫子以外の何者かの思惑が介在していることを見出すきっかけともなるものでもあるなど、同作終盤以降の菫子の動向にも関わる重要なアイテムでもある。
輝夜と菫子はそれぞれの形で月の都に関わっており、そして時にそれぞれの形で「月の都」に翻弄されているのである。
他方の妹紅もまたそのセリフやテーマ曲に「月」の言葉が登場している他、先述のように宿敵である輝夜とが帰郷してしまうのでは、と恐れていた場所も「月の都」であるなど、三者三様に「月」と関わりを持つ。
二次創作では
輝夜、妹紅、菫子の三名に関わる二次創作においては、先述のように三名の接点が妹紅であり、かつ妹紅とそれぞれなりに想いのこもった交流があることから、妹紅を中心とした三角関係的な関係性が想像される事も多い。
ただしその内容のあり方は様々で、例えば妹紅を巡って殺伐とした輝夜と菫子の対立関係が描かれる事もあれば、共に妹紅を愛でる方向性で二人が奇妙な一体感を見出したりするといったストーリーの構成もある。
他方、妹紅が必ずしも中心点とならない関係も想像されており、友情と親愛で結ばれた妹紅と菫子が、共に妹紅の永遠の宿敵である輝夜に挑んでいく体験をしてみるなどといった構図も見出されている。
カップリング等二次創作的表現を用いるならば、「てるもこ」と「もこすみ」が真正面から対立する構図であったり、「てるもこ」と「もこすみ」が互いの共通点である「もこ」に対して志向し、「妹紅総受け」に類する方向に進むといったパターンであったり、はたまた「もこすみ」が「てる」へ挑み、「てる」がそれに応じる、などといったところだろうか。
加えて上記の例えを継承するならば「てるすみ」というべき関係性を基盤とした「てるもこすみ」の在り方も想像されている。
例えば三者の出会いの後になされる交流を通して新鮮な刺激に満ちた菫子を輝夜が気に入り、菫子もまたかぐや姫という伝説的オカルトそのものにして過去の多様な神話的な世界観を知る輝夜に強く興味を惹かれた事で互いに深く意気投合し、その予想外の睦まじさに入り込んで行けない妹紅が一人拗ねてみたりなどといった創作のあり方がその一例である。
特に輝夜と菫子は共にスペルカードなどでそれぞれのアイテムを使用することが多く、例えば輝夜の「蓬莱の玉の枝」や「火鼠の皮衣」、菫子のタブレット端末やゼナーカード(ESPカード)などといった宝物・現代機器等は互いに新鮮な談義を提供するアイテムとしても活躍し得る、と想像されている。
一方の妹紅も札や竹筒爆弾などのアイテムを使用する事もあるが基本的に妖術の火炎や肉体を用いた弾幕である事が多く、物品を介した交流・対話という観点では輝夜と菫子の二人がより豊富な資源を保有しており、かつ過去と現代という両端な物品同士である事もあって他二者に対して単独の語り部となる機会も増え得る。
輝夜がアイテムを他者に見せることに開かれている様子は『グリモワールオブマリサ』における輝夜にまつわる霧雨魔理沙の記述からも見て取れる。
輝夜と菫子はアイテムを通しても互いを知る機会が多いのである。
三名はいずれも個性的な面々である。
一方でその個性は柔軟性も持っており、それぞれにどのようなアプローチを見出すかによって「てるもこすみ」に感じ取る交流も可変的なものとなる。
「てるもこすみ」の三名の力学については妹紅争奪戦のような構成もさることながらそれに留まらない在り方も想像されており、各人が発揮する個性や込められる想いに合わせてそのベクトルや表現性も創作ごとに極めて多様である。
関連イラスト
関連タグ
関連カップリング
※空白または赤字はピクシブ百科事典にまだ記事が無いもの
- 各々のカップリングフレーズ
- てるもこ:てるもこは永遠の輝き
- もこすみ:もこすみは結界を越える秘蓬