概要
東方Projectに登場する藤原妹紅と宇佐見菫子の二人によるカップリング。
妹紅は『東方永夜抄』、菫子は『東方深秘録』にそれぞれ初登場した。
『深秘録』では妹紅のストーリー、菫子のストーリーの両者でそれぞれ関わり合い、さらにその他のキャラクターのストーリーでも二人に関連した言及がある。
妹紅は同作で初登場した菫子が深くかかわりを持つ人物となっている。
「外の世界」の人間である菫子はその知識や能力を通して『深秘録』以前から妹紅らの住まう幻想郷を垣間見ており、この場所を「 美しい世界 」と感じていた。
だからこそ、危険を承知しつつも「 秘密を暴きたい 」と直接幻想郷へと介入したことで『深秘録』のストーリーが動き出すのである。
「もこすみ」の視点から見た『深秘録』の始まりまたはその前段は、主に菫子の行動を起点とし、菫子が幻想郷に持ち込んだものに妹紅が特有の理由で興味を示す、というものとなっている。
『東方深秘録』
妹紅のストーリーでは
妹紅のストーリーでは当初こそオカルトボール集めに興味をもっていなかった妹紅であるが、ボールを巡るストーリーの中で「死」に関連をもつ「黄泉比良坂」のボールに興味を持ち、流行にのってそれを集めることにした。
そして噂にある通りボールを七つを集めきって博麗神社へとやってきた妹紅は居合わせた茨木華扇に「ボールが叶えるもの」が自身の予測と違う事を教えられるも、「外の世界」に行けるという事に興味を持つ。
決闘の後、「 人間の割に 」強い妹紅(妹紅についての華扇からの評)も外の世界に行くことを華扇も認め、妹紅は外の世界へと飛び出すのである。
「 久しぶりの娑婆だ 少し生きる気力が湧いてきたな 」(妹紅、『深秘録』)
外の世界では幻想郷側から内部の存在が外の世界にやってきた様子に「 また釣れた 」と喜ぶ菫子であったが妹紅は菫子の様子を「 ぬるま湯に浸かってそうな奴 」と評し、その様子に苛立ちを表した。
一方の菫子も「 問題抱えまくる現代社会の息詰まる学校生活 それらを経験してない奴に何が判る 」と返す等、他のキャラクター達との出会いとほぼ同様に妹紅と菫子も互いの初対面時のコンタクトは良いものではなかった(ただし菫子が少名針妙丸を初めて見た時の印象は例外)。
例によって妹紅のつっけんどんな姿勢と菫子の他者に対する高圧的な姿勢は相性が悪かったようである。
しかしいざ決闘をしてみればその熱い展開を通して二人はすぐに意気投合し、妹紅の心を開いた者にはオープンでさっぱりとした姿勢と菫子の素直さとノリの良さが表出し、二人の間には気持ちの良い交流が生まれた。
その一方で妹紅が外の世界にとどまる事の出来る時間も僅かであったことから、二人にはすぐに別れが訪れる。
妹紅は今度は菫子が幻想郷に来訪し、その時には再戦できることも期待しつつ、ウィンクと爽やかな笑顔を残してキラキラと幻想郷に帰って行った。菫子もその別れを酷く惜しんでおり、その様子はさながらヒーローとヒロインの別れのシーンのように演出されている。
ただしこの時には菫子は妹紅の名前を聞いていなかったため、「 ああ、消えてしまう……。名前が判らない人が消えてしまうー! 」と、「 感動の別れ 」に水を差す展開が織り込まれた演出ともなっている。
菫子は『深秘録』以前から積極的に他者を遠ざける姿勢を取りつづけており、演出的とはいえ菫子からほぼ初対面の他者を求める描写があるのは菫子以外の『深秘録』ストーリーでは妹紅において特筆的なケースである。
菫子のストーリーでは
その後複数のキャラクターのストーリーを経て幻想郷へとやってくるルートを拓いた菫子であったがこれが華扇や二ッ岩マミゾウらによる罠だった事もあり、この地で菫子は「 幻想郷の怖い夜 」を逃げ回ることとなる。
「 とまぁ、この位脅せば十分ね (中略) 幻想郷の怖い夜を楽しんでらっしゃいな 」(華扇、『深秘録』)
幻想郷中で様々な妖怪やオカルト、都市伝説と遭遇し、同じ人間であるはずの霧雨魔理沙にも追い立てられた菫子はやがて迷いの竹林へと迷い込む。そしてそこで妹紅と再会するのである。
見知った顔に再会できたことに菫子は安堵するも、妹紅の方は最初の別れの際に交わした「再戦」の約束を早速果たせるとして菫子に勝負を挑む。これは妹紅自身が「外の世界」に居られる時間が僅かであったため、早くしないと菫子もまた「外の世界」に戻ってしまうのではないか、と気を利かせた妹紅の真面目さによるもので、やさしい誤解といえるものである。
ただし菫子自身はすでに疲弊していたこともあり、その心境は「 別にもう戦いとかもういいです 」。
戦いの後菫子は迷いの竹林、引いては幻想郷からの脱出のため、妹紅に道案内を頼むのであった。そして妹紅は無事に博麗神社へと菫子を送り届けている。
妹紅の「迷い人」を無事に送り届けるという仕事が『深秘録』でも発揮されたのである。
「 そして今、私の存在も人間の社会に適応しつつある。(中略)
竹林に迷い込んだ人間――それは外の世界から迷い込む人間も含めてである、
を竹林に棲む妖怪の手から守る仕事を行っている。」(妹紅、『東方儚月抄』)
幻想郷を逃亡中の菫子にとっても妹紅は安心できる見知った顔でもあったようで、戦闘の後もきちんと会話し、唯一逃亡することなく行動を共にしている。妹紅も菫子を気に入っていたようだ。
その後のストーリーでは
先述の再戦の際に使用したものなのか、妹紅は菫子が射撃的に使用している(本人は使い捨てのつもりの)ESPカードを回収し、菫子に渡したいとして少し前に菫子を送り届けた博麗神社を再び訪れている。
これが終盤の博麗霊夢ルートの最初の決闘となった。
霊夢「 今から会いに行くから忘れ物は預かるわよ そもそも道案内って何よ 」
妹紅「 帰りたがっていたからな きっと神社に連れて行けば良いかと思ってな 」
霊夢「 はー親切なやつね 」
この後の霊夢と菫子の再戦を経て『深秘録』の騒動が終わり、菫子がこれまでとは違う形で幻想郷へとやってくるルートを見出した際に再会した霊夢との会話では霊夢から妹紅が菫子に会いたがっている事も語られており、菫子もまた妹紅との再会を願う様子が描かれている。
そしてこの時の霊夢との会話で、菫子は「名前も判らない人」であった妹紅の名前を知ることができたのである。
霊夢「 うっかり忘れてたんだけど 妹紅がこれを渡せって 」
菫子「 妹紅……? 」
霊夢「 いつも燃えている変人よ。道案内の時に忘れていったとか 」
菫子「 ああ、あの人ですか! ……これは私のESPカード まあ投げ捨てのつもりだったんだけど 」
霊夢「 まあ理由つけて会いたがってたみたい。
夢の中だけでもこっち来るんなら、また今度会ってあげたら? 」
菫子もまたその言葉に肯定的に返すのであった。
別のストーリーでは「 浮世の興味などとっくに枯れた 」とする妹紅であるが、『儚月抄』でも語られているように今では他者との関わりを大切にし、かつその関わりによって支えられているとも感じている事もあってか、熱く心を通わせた菫子にも関心を寄せている様子が描かれているのである。
この他『深秘録』ストーリー完結後と思われる対戦モードでの会話では菫子は妹紅の不老不死を知ってそちらのほうがよほどオカルトだと驚き、妹紅は菫子の忘れ物がきちんと届いたかどうかを気にかけるなど、二人ならではの交流はその後も引き続いているようである。
『深秘録』では妹紅と菫子は初対面時こそ軋轢があったもののその直後に相互に友好的な間柄となった、同作における菫子の人間関係において稀有なケースである。
『深秘録』以後
さらに『深秘録』以後のエピソードを描いた『東方茨歌仙』では菫子が「 夢 」を通して幻想郷にやってきている様子が描かれており、その中にはワンカットながら妹紅と思しき人物と晴れやかな笑顔で話す様子も描かれている。同カットは菫子が「幻想郷に来る」ということとそれを「楽しむ」様子が象徴的に表現されたシーンでもある。『深秘録』以後の菫子が体験する時には恐ろしくとも魅力的な幻想郷の楽しさに、妹紅との交流もまたあるようである。
『深秘録』と同様に弾幕アクション作品である『東方憑依華』でもそれぞれが個別のエピソードを伴って登場した。
ストーリー中では『憑依華』のシステムである完全憑依のペアとしてはそれぞれ別のキャラクターのマスターやスレイブとして登場し、主に活動する舞台(世界)も異なることから交差することはなかったが、『深秘録』同様の自由対戦モードでは両者をそれぞれマスターとして対峙させることも出来る。
この際の勝利セリフでは菫子は妹紅に対してその変わらない強さを賞賛しつつ自らを奮い立たせ、妹紅が菫子に勝利した場合は「完全憑依」があれば菫子の住まう外の世界に行けるのだろうかと問うなど、それぞれの反応が描かれている。
特に菫子の対妹紅勝利セリフには菫子の人間としての素直なまっすぐさが見られるものともなっているなど、『深秘録』で結ばれた妹紅との人間同士の関わりをここでも垣間見ることのできるものでもある。
二人の完全憑依ペアの二つ名は妹紅がマスターの場合(妹紅&菫子)は「 自暴自棄で扱いに困る二人 」、菫子がマスターの場合(菫子&妹紅)は「 神秘主義で不死身の二人 」となる。
これはそれぞれ『憑依華』での互いの二つ名である「自暴自棄で不死身の人間」(妹紅)、「神秘主義で扱いに困る女学生」(菫子)の要素をミックスさせたもの。
『憑依華』ストーリーの方では妹紅はマミゾウとコンビを組んでおり、マミゾウは先述のように『深秘録』においても菫子と関わっている他、『憑依華』以前には外の世界で菫子がマミゾウと接触していた様子も語られる(『東方文果真報』)など、以後も独自の縁を持っている。
マミゾウもまた妹紅と菫子に個別のエピソードを伴って縁を持つ存在であるといえる。
なお、『憑依華』で語られる「 完全憑依異変 」が作中で霊夢と並んで最初に発現したのも竹林で瞑想中の妹紅(PS4版『深秘録』)であり、この妹紅の体験が、夢と現、夢幻病、そしてドッペルゲンガーという独自の事情で完全憑依異変に巻き込まれることとなる『憑依華』での菫子にも繋がり、その菫子が巻き込まれた混迷がやがては完全憑依異変の解決の糸口にも結ばれるなど、ストーリーの大きな流れを辿っていくと、それぞれの歩みの前後にはもう一方の存在感がある。
この他の関連性
人間
菫子は「外の世界」の「人間」であり、『深秘録』でも妹紅は「人間」である。
妹紅は「外の世界」に出た際に自分が生きていた時代との変わりように暫し驚くも、先述のように今の時代に住まう菫子と戦いを通して意気投合するなど、時間の隔たりにとらわれない、人間同士の交流が生まれている。
また『深秘録』最終盤の霊夢ルートでは菫子は自身の「死」についても言及しており、この点では同作でオカルトボールを「集めれば死ねるから」という解釈で集めていた蓬莱人の妹紅と対比的である。
人物像とそれぞれの歴史
それぞれの人物を形成するに至る物語以前の出来事、あるいは語られた要素を通しての心の動きにも類似する点がある。
妹紅はその不老不死性によって他者から疎まれ、時には恨みと攻撃とを他者に向けて、その後は退廃へと身を落とした。しかし妹紅は「 不死の仲間 」(『儚月抄』)である蓬莱山輝夜との再会によってその生きる気力が再燃し、それ以外の他者との関わりも含めその人生が幻想郷で再び拓かれたという歴史を持つ。
理由や経緯は異なるものの菫子もまた他者を嫌い遠ざけ、知識と能力とを以て攻撃にも転じ得る力を幻想郷方面に向けた。そしてその後はこの過程で出会った人間関係を通して、これまでの敵対的な在り方とは異なる他者観を得ているなど、妹紅と菫子の歴史に見るその心の動きには共感する部分も持つのである。
一方同じ「人間」ながら妹紅は不老不死の蓬莱人でもあり、菫子が少なくともその身体については「外の世界」の人間と同等であると仮定するとき、その両者の生きられる時間は全く異なるものとなっている、という相違点も想像される。
ただし作中では菫子の時間についての明言は無い(『深秘録』時点)。
「秘封倶楽部」と妹紅
『深秘録』で「秘封倶楽部初代会長」(ただしストーリー上では菫子は妹紅にはこの名乗りはしていない)と出逢い、深い交流を持つこととなった妹紅であるが、妹紅はもう一つの「秘封倶楽部」と出逢っている可能性が仄めかされている。
それは「ZUN's Music Collection」に登場する「秘封倶楽部」であり、そのメンバーの一人であるマエリベリー・ハーン(メリー)が夢の中で出会った人物が妹紅と類似した特徴を持っているのである。
「夢違科学世紀」においてメリーはもう一人の「秘封倶楽部」メンバーである宇佐見蓮子に自身が見た夢について語っている。
その場面の一つに「 夜の竹林に迷い込んだ 」というものがあり、夢の中のその地でメリーは背後から聞えた「 不気味な笑い声 」から逃げ回っている。しかし竹林は奇妙な構造をしており、メリーはまるで無限回廊に踏み込んだかのような感覚に陥っていた。
しかし自身を追いかけてきた「 人間の顔を持った大きな鼠 」はメリーの前方に広がった「 禍々しい色 」の光の前に怯んだ。その「 禍々しい光 」の正体は「 女の子 」であり、「 女の子 」は「 全身から火を出していた 」。
メリーはその様子を「 まるで羽を開いた鳥の様 」とも例えている。
大鼠は「 女の子 」を恐れ、逃げ去った。
その後メリーは「 女の子 」にも接触せず、両者が立ち去るのを隠れて待っている。
理由は、メリーによればその「 紅い眼 」を「 まともに 」見たことを通して得た感想によるものであるようだ。
「 ――あれは人間じゃあ、ないから 」(メリー、「夢違科学世紀」、夢と現の境界)
この話を受けた蓮子はこの「 女の子 」について「 禍々しい火の鳥 」と例えている。
ファンなどの間では、メリーが迷い込んだこの竹林は妹紅も所在する「迷いの竹林」であり、「 まるで羽を開いた鳥の様 」な姿をした「 女の子 」こそ、妹紅である、と捉えるものがある。
この視点に立つとき、体から火を放つ能力は妹紅が身に付けた妖術であり、スペルカードなどでも『永夜抄』、『弾幕アマノジャク』、『深秘録』などで様々に披露している。
メリーの語る「 女の子の体から深い紅色の炎が斜め上に広がって 」いる様子などは妹紅の<不死「火の鳥 - 鳳翼天翔 - 」>をはじめとしたフェニックス系列のスペルカードなどで見られる姿、あるいは弾幕構成を思わせるものである。
『深秘録』ではオカルトアタックの演出の他、勝利ポーズなどでも背中から二つの翼のような形で炎を放出し、そしてこれをはためかせて上空に急上昇する、というモーションもある。
そして妖怪と思しき存在を追い払い、人間に手を出さない様子は東方Projectで語られる妹紅の様子とも近似している。妹紅の視点で例えるならば、(もしメリーの姿が見えていたならば)迷いの竹林の中で逃げ回る人間を、それを追いかける妖怪を威圧して追い払うことで助けた、ということになるだろうか。
このような解釈を基本とする時、妹紅は図らずも菫子とは異なるもう一つの「秘封倶楽部」とも関係しており、こちらのエピソードでも「秘封倶楽部」のメンバーを助けているのである。
稗田阿求による「幻想郷縁起」にも、「迷いの竹林」で発見された「謎のメモ」としてこのときのメリーによるものと思われるメモ書きが記録されている(『東方求聞史紀』)など、第三者の視点からも両者の接触の可能性が仄めかされている。
ただしこれらの視点は原作の文脈から得られる複数の仮定や想像を基本としており、かつ東方Project、「ZUN's Music Collection」の秘封倶楽部の両世界観における時間的・空間的関連などは明言されているものではないため(2017年現在)、その性質はファンなどの間で様々な考察がなされている後述の二次創作といえるものでもある。
二次創作では
二次創作においては『深秘録』で相性良く描かれた二人について、様々なアプローチがなされている。
例えば『深秘録』での妹紅ルートにおける妹紅の去り際の爽やかさや別れを惜しむ菫子の二人の様子が印象的に描かれている事もあり、このシーンを「もこすみ」の象徴的なシーンの一つとして描くものもある。
さらに『深秘録』以後の菫子が幻想郷を想う際に妹紅の姿を思い浮かべたり妹紅が「外の世界」の菫子と会えるのを楽しみにして落ち着かない様子を示すなど、博麗大結界などに隔てられた二つの世界でそれぞれに互いを想い合う姿が描かれる事もある。
『深秘録』という物語そのものを締めるストーリーである終盤の霊夢のストーリーは、先述のように妹紅で始まり菫子で終わる物語となっている。
「もこすみ」の観点に立つとき、このストーリーは幻想郷で二人が安心して再会できるようになるための解決のストーリーでもあり、そのエピソードが幻想郷側の妹紅の思いやりに始まり、「外の世界」側の菫子の全力の放出で締めくくられることは、「もこすみ」の文脈においても意味深いものとなっている。
この他では先述のような寿命差を意識する作品もあり、不老不死の妹紅と人間である菫子の時間の違いからくる別れというものにアプローチするものもある。
その過去や今現在のメンタリティなどに互いに共感するものを持ち、熱い展開を経てお互いを見出した「もこすみ」の二人について、二次創作においても様々な物語が想像されているのである。
妹紅を通して想像される出会い
『深秘録』以後、今度は堂々と幻想郷を訪る事ができるようになり、人々と交流し人気者ともなった様子の菫子であるが、二次創作においても幻想郷のどんな住民たちと出逢い、どのような交流がなされるか、という事も多様に想像されている。そして「もこすみ」におけるストーリーにおいては、妹紅が菫子を「案内」する、というありかたも見出されている。
菫子の場合は単純に幻想郷に迷い込んだ「 外来人 」(『東方求聞史紀』)のような存在とは異なり自ら両世界を行き来するという特殊性もあるため、幻想郷住民からの興味の在り方もまた特殊であると前提づけられる事もある。
『深秘録』で出会った住民以外で菫子に積極的に興味を持つであろう具体的な面々としては、記者の射命丸文や姫海棠はたて、記録者の阿求、あるいは魔法研究者などとしてのパチュリー・ノーレッジ、アリス・マーガトロイド、技術者としての河童たち(通称モブ河童など)、様々な未知の道具を求める森近霖之助などが挙げられているが、ストーリーによって誰しもが様々な理由で菫子に興味を持ち得るものであり、その人材は幻想郷にはこと欠かない。外の世界からやってきた東風谷早苗ら守矢神社の面々などとも話は合うかもしれない。
あるいは人間が二つの世界をリアルタイムで行き来し、文化を交流させるという意味では幻想郷の管理方面の中心的人物として描かれる八雲紫やその式神たちとは特別な交流がなされると見い出されている。
この内菫子は霖之助(『東方香霖堂』、『東方外來韋編』掲載版)や文(『文果真報』)、紫(『憑依華』)などと出会っており、華扇による幻想郷オカルトスポットツアーも体験する(『香霖堂』)など、以後も幻想郷でも人間関係を広げている。
菫子と幻想郷の関係を「もこすみ」の視点を通してみる時、迷い人の案内人である妹紅は菫子に幻想郷を案内しつつ、他の住民たちとの橋渡しも務めるのである。
具体的な出会いの例と「もこすみ」
特に妹紅の「 理解者 」(『儚月抄』)である上白沢慧音は、妹紅からの厚い信頼に加えて人間の里という安全圏に所在する事も相まって妹紅が案内する優先度や頻度も高くなると想像されている。慧音は寺子屋の教師でもあるので、高校生の菫子とは妹紅も交えた先生と生徒のような関係のありかたも想像されている。
また、その幻想郷案内の際に何らかのきっかけで二次創作における妹紅と慧音による「けねもこ」(もこけね他)などに並ぶ妹紅のもう一つの強力なカップリング体系でもある輝夜との「てるもこ」(もこてる他)とも出会う、というストーリーも想像されている。
菫子は幻想郷にて、妹紅を通して日本最古の伝説的「 オカルト 」でもある「竹取物語」の中心的人物、「かぐや姫」とも出逢いを果たすのである。
その出会いから想像される三名の関係性は様々あり、「もこすみ」の世界観を基盤とした菫子と輝夜のそれぞれの個性も含めて形成される三者の関係性も多様である。
上記の二人それぞれと「もこすみ」の二人との出会いや交流については「けねもこすみ」、「てるもこすみ」も参照。
『深秘録』以後、菫子の「秘封倶楽部」の「 夏 」はまだはじまったばかりであり、二次創作においても様々な人間関係が想像されていくことだろう。そしてその時菫子と幻想郷との間を馴染ませるのが、「もこすみ」においては菫子が信頼(あるいは愛情)を寄せる、妹紅に他ならないのである。
同時にその時は妹紅もまた菫子への幻想郷案内を通して改めて幻想郷の多種多様な存在たちと交流し、縁を結んでいく、という相乗効果的な関係も描かれることがある。
外の世界での「もこすみ」
一方で、一度は「外の世界」に興味を示した妹紅が何らかの理由で再び外の世界に出てくる、というストーリー構成も想像されている。その場合は先述の「案内役」の立場が逆になり、今度は菫子が妹紅に「 現代社会 」を紹介するのである。
ただしその際は菫子は『深秘録』直後周辺ではまだ友人関係などを断った状態のままであると想像され、かつ不思議な事が日常である幻想郷とは異なるであろう「現代社会」は、「幻想郷」が菫子を受け入れたようにはいかないであろうことも想像されるため、「外の世界」では必然的に二人だけを中心とした関係が行われ、幻想郷在中時とはまた異なる妹紅との時間が展開され得るのである。
あるいは異世界ではなく自身の日常のある世界で重ねられる、信頼する妹紅とのコミュニケーションを通して菫子が自分の住まう世界への心の開き方を知っていくなど、菫子の世界でも妹紅が生身の人間としての案内役にもなるとの作風もあり、「もこすみ」のありかたは互いの人間的成長・形成にも影響するような深さと広さとをもつのである。
Pixivでは
pixivでは妹紅と菫子のカップリングについて本タグの他「すみもこ」のタグも用いられている。
東方Projectのカップリングにおいてはそのカップリング名称における前後(左右)の順序がいわゆる「攻め / 受け」に必ずしも拘束されないという特徴を持つため、「もこすみ」も「すみもこ」も広く二人のカップリングを指すものとして用いられている。
一方上記のような特別な意味をもっていずれか一方のタグが用いられている事もあるため、タグ名から作品のニュアンスを表現する機能も平行して維持されている。
また「もこすみ」に関連した語として「もこすみ尊い」、派生タグ・カップリングフレーズとして「もこすみは結界を越える秘蓬」がある。