概要
『装甲騎兵ボトムズ』に登場する大型拳銃であり、対人ではなく対ATを想定されている。
その為大口径であり、全長も400 mmを超える(比較対象として例を挙げると、大型セミオートマチック拳銃の代名詞と言えるデザートイーグルの標準モデルの全長は269mm)。
あまりに大型の為に右腰のギルガメス軍汎用ケースではなく左腰に専用ホルスターを装着して銃把を前方に向けて装備し、使用時には剣を抜刀するように引き抜く形になる。
外部弾倉式を採用しているが、銃身下部に並行する様にマガジンを装着する独特の形状をしている。
アーマーマグナム自体は銃本体、銃身部(リアサイトまでを含む)、撃鉄部に分解することができる(主にメンテナンス時)。またグリップ底部分は引き抜くとケース状になっており、専用弾ならば2発まで収納できる。それ以外でも簡易クリーニングキットやちょっとした小物を入れることが可能。
射撃方式はセミオートだが、劇中描写を見る限り(おそらく射撃の精度を上げるために)機構をロックしてシングルショットで撃つことも可能な模様。ただし当然ながらシングルショットで射撃をした場合、排莢と次弾装填を手動で行う必要がある。
信頼性はかなり高いらしく、クメン編では水中で使用してスナッピングタートルの酸素ボンベを破壊しイプシロンを撤退させている。
32年後でも現役の様で、赫奕たる異端では目覚めたキリコが逃げ込んだ武器庫から本銃を手に入れている。
キリコの愛銃であるものの、TVシリーズでの登場は遅めで ウド編も終盤の10話からである(Bパート冒頭で分解整備しているが、よく見るとAパート登場時からシレっと装備している)。
ちなみにアーマーマグナムの設定画では「8話」とあるが、ここでは登場していない(キリコが銃らしきものを磨いているシーンは有る)。詳細は不明だが9話が敵に捕まったキリコを救出する話であるので、それを踏まえて変更が有ったのかもしれない(なおアーマーマグナムを装備したキリコの設定画には「銃 アーマーマグナム #10」と書かれている)。
ゲーム「第2次スーパーロボット大戦Z」でもシナリオ中に使用され、ギシン星軍の兵員輸送機を撃墜しトロワ・バートンより「いい銃だ」と賞賛されていた。「第3次スーパーロボット大戦Z」では相良宗介に貸し与えている。
またバーグラリードッグの武器(必殺技)であるアサルト・コンバットで、はトドメ時の演出として「キリコがコクピットから出てアーマーマグナムで射撃」というものがある。
非(半?)公式設定
正式名称は「バハウザーM571 アーマーマグナム」。名称については「アーマーマグナムまでが正式名称」説と「アーマーマグナムは銃器としての種別で『バハウザーM571』が正式名称(バハウザーM571は数あるアーマーマグナムの中でも最も有名な、あるいは成功している物に過ぎない)」説がある。
製造元はメルキアに本社を持つバカラ・メタル社。
装弾数は3+1発。口径については11 mm、12.7 mm、13 mm、17 mm、20 mmと諸説あってはっきりしない。
対AT用の徹甲弾は貫通能力は高いものの、それだけでは(小口径の拳銃で撃たれても人間が死ぬとは限らないように)ATを撃破することはできず、「ATの急所(パイロットを含む)」を正確に撃ち抜く必要がある。
それでもATを行動不能にすることは十分可能であり、「アストラギウス銀河最小の対AT兵器」といううたい文句も「誇張は有っても虚偽では無い」と言われている。
キリコ以外の使用者
上記の通りキリコの愛銃ではあるが「専用銃」という訳ではなく、TVシリーズ本編以外で映像化された作品では以下のキャラクターが所持しているのを確認できる。
・バージル・カースン:「共食い」後のシーンで確認できる。一方で暴動時には装備していない。
・ムーザ・メリメ:暴動の際のAT搭乗時に確認できる。なおグレゴルーとバイマンは装備していない。
・レッドショルダー隊員:キリコとバージルが入隊後に廊下を歩いているシーンで装備している隊員がいる他、暴動時にグレゴルーに殴り倒される隊員も装備している。
・ノル・バーコフ:5話で分解整備しているシーンがある。なお設定ミスなのか今作では専用ホルスターが登場しない(7話のキリコも右腰の汎用ケースに収めている)。
・ギルガメス軍将校:ただし立場的に所持しているとは思えず、直前に捕らえたキリコから没収した物を持っていただけだと思われる。
・ガナード:メロウリンクに向けるも発砲までは至らず。
・コーザ基地のATパイロット:キリコ以外で発砲した数少ない例。
●装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE
・ペイガン:キリコ以外で発砲した数少ない例その2。また手を捻って左手で抜くという器用な技も見せている。
番外
・相良宗介:他作品の人物であるが、クロスオーバーという形でキリコから借りたアーマーマグナムを発砲していた。
青の騎士ベルゼルガ物語における設定
青の騎士ベルゼルガ物語では「アーマ・マグナム」と表記。
ボトムズ本編と同じく対AT用の拳銃であり、20ミリの装甲板(『K´』では「約30ミリの鉄板」と記載されている)を貫通する能力がある。
また対AT用の徹甲弾以外にも対人用の散弾と対物の炸裂弾もあり、炸裂弾はコンクリートをすり鉢状に穿つほどの威力がある。
使用されている炸薬は通常の物ではなくAT用火器の液体火薬の為に反動が大きく、また装弾数も3発と少ないために扱いが難しい。
その為、メルキア方面軍装甲騎兵の標準装備であったものの終戦の5年前に廃止され、1年前には製造も停止している。
対AT兵器であるものの実際にATを相手取るには威力不足気味であり、撃破するためには「頭部のカメラ」「膝裏側の関節部分」「両脇のエアインテーク」「バリアブルコンプレッサー(ポリマーリンゲル液を循環させる、いわばATの心臓)」などを狙う必要がある。
さらに物語後半から出てくる新型には完全に力不足であり、装甲はおろかセンサーに傷をつけることもできなくなっていた(なお、ケインはアームパンチを放った瞬間に開いた排莢口に銃弾を叩きこむという荒業でカラミティドッグの腕部を吹き飛ばしている)。
作中で所持している描写が有るのは以下の三人。
・ケイン・マクドガル:主人公。対AT兵器としてはほとんど役立たずになった後も捨てることなく、物語終了時点でも所持していた。
・シャ・バック:クエント人のバトリング選手で、ケインにとっては家族以上の存在だった。元々は傭兵でアーマ・マグナムは「軍から放り出された時、持ってきた」とのこと。ケインのアーマ・マグナムは彼が使っていた物を譲渡された物である。
・ラドルフ・ディスコーマ:死の伝令(デスメッセンジャー)のリングネームを持つバトリング選手。元レッドショルダーという触れ込みだが、それに見合う実力の持ち主でもある。
余談
TVシリーズで初登場した10話の劇中に「アトミックマグナム」なる銃のTVCMが流れているが関連は不明。一説にはアーマーマグナムの初期案とも。
なお、装甲騎兵ボトムズTRPGでは「対AT兵器であるアーマーマグナムに対し、アトミックマグナムはあくまで対人用の銃」とされている。