イャンガルルガは、モンスタハンターに登場する鳥竜種の大型モンスターである。
特徴
初めは飛竜種とされていたものの、実はイャンクックと同じ鳥竜種に分類される大型モンスターであり「黒狼鳥」と呼ばれる。
主な生息地は「密林」や「森丘」などの穏やかな気候の地域だが、MHXでは「地底火山」にまで登場する。
獰猛で好戦的な性格のため生活に必要ない殺戮を多く繰り返す。そのため傷が多く、無傷な個体はめったに見られない。MHP2Gでようやく傷なし個体が目撃された。
傷あり個体の方は非常に怒りやすく、狩猟するときは一瞬の油断が命取りとなる。
イャンクックの縄張り争いに参入して、そこにいたイャンクックをすべて殺害したという報告も上がっている。
また、イャンクックのような明らかに自分よりも格下の相手だけではなく、場合によっては古龍に匹敵するほどの実力者にも臆することなく戦いを挑むことがある。
一応、種族単位で「ヤバい奴ら」と認識させることで天敵を減らすという生存戦略と見ることもできる(現実でもラーテルのような生物がいる)……が、後述の通り繁殖にはイャンクックが必要にもかかわらずイャンクックを虐殺するなど、かなり度を超えている。
基本的な行動パターンはイャンクックと共通しているが、リオレイアの専用技である3連ブレス攻撃やサマーソルト等も使用してくる。後期の作品では更にそれらを高速化・複雑化させるなどブラッシュアップさせており、行動パターン自体が解っていても対処は簡単ではない。
寧ろ、速度や細かい部分が異なるのに動作が似ている分、逆にペースが狂う場合もある。
嘴もイャンクックのように捕食のためのようなものと違い、殺戮に適した形となっている。むしろ戦いこそが生きがいなのかもしれない。
部位や行動パターンがリオレイアにも似ているために、「リオレイアとイャンクックの隠し子」などと呼ばれることもある。勿論そんなことはない。
とはいえ、亜種同士なら一応、ピンク+青で紫にはなる為、「青クックと桜レイアの混血種」と言われることもあった。
長い間イャンクックの亜種と思われ続けてきたが、最近の研究によると別種であることが判明した(一応、生物学的には近縁な関係にあるらしく、イャンガルルガはイャンクックの巣に托卵することで子どもを育ててもらうということもしているらしい)。
尻尾はリオレイアのように毒を含み、これを使いサマーソルト攻撃をしてくる。さらにこちらの尻尾はリオレイアと違い、少しの刺激で毒を噴出するため、尻尾回転攻撃を食らっただけで毒になってしまうこともある。
また非常に硬質な甲殻を纏っており、並大抵の武器では弾かれてしまうのがオチである。攻撃を通すには最上級の切れ味を持つ大業物を用意するか、比較的軟らかい顔や尻尾の先端、翼膜の部分を攻撃するのがベストであろう。
日常的に他の生物と幾度となく戦闘、殺戮する生物は他にイビルジョーなども存在するが、あちらは自身が生きるために大量に食らう必要がある、という理由がある。しかし、イャンガルルガにそういった理由は一切ない。戦闘という行為そのものを好み、自身が傷つくことも厭わず戦い続ける。
余りにも戦闘に特化しすぎたために、それ以外に不得手なことが多い。先述の通り托卵する習性を持つのも、自力で子供を育てることが不得手だからである。さらに自力で餌を確保するのも苦手であるらしく、イャンクック等が取った餌を横取りすることも多いとのこと。
一応、その生態全てが完全に非合理的というわけではないのだが、それでも常軌を逸しているのは間違いない。生きるためという理由すら無いどころか、無意味に自身の命を顧みないほどに戦闘を好み、それ以外は日常生活や繁殖すら不得手…というのは、生物としては極めて異常と言う他ないだろう。
ただし、近年ではこの好戦的な性質の理由が「戦闘を好む」よりも「過剰な縄張り意識」によるものの可能性が指摘されている。
(MHW:Iのムービータイトルにて)
狩りが得意でない生態も、「そもそも積極的に狩りをする動物ではないから」の可能性があり、昆虫や死肉などを自力で探して食べる様子が知られている。
この他、休息を取れるときにはきちんと休み、戦闘中に逃走することも目撃されている。
また、個体によっては特定の種にあまり襲いかからないという従来の常識を覆す事例も確認されている。
比較的ポピュラーで繁栄しているモンスターである以上、好戦的で極端な性質ばかりではなく、ある程度は多くの生物と同じような生活能力を持っていると見るべきだろう。
なお、イャンクックそっくりなその見た目とあちら以上の攻撃力を持つことから、「先生」と呼ばれることの多いイャンクックになぞらえて「教官」と呼ばれることもある。
また、登場時期が一部例外を除いて狩りに慣れてきて驕りや慢心が出てくる頃合いであるため、慢心したハンターの根性を叩き直す「鬼教官」と呼ばれることもある。
毒に対する免疫が強い為か、毒状態になることは一切ない(後述のMHWでは根気よく当て続ければダメージ微小かつ極短時間の毒状態になる時がある)。
その為、毒属性の武器で毒によるダメージを与え、徐々に体力を減らしながら攻め続ける戦法が通じない。
その肉は食用となり、白肝や鎖骨肉、脚肉が食べられる事が判明している。
『モンスターハンター ポータブル』(MHP)で初登場したモンスター。
村クエストの序盤に一度だけ乱入モンスターとして登場するも、あまりの強さからどれだけプレイヤーが善戦しても倒す事はできないという謎の飛竜であった。
これは15000という極めて高い体力と20分というクエストの制限時間の短さの問題であり、その村クエストに本来挑むようなゲーム序盤では絶対に倒せない相手である。
しかし、チートを使わずにこれを倒すことに成功したプレイヤーも現れているため、極めて困難だが不可能ではない(ただし、成功した彼は本来本作最後に挑戦する筈の最高難易度クエストの集まりである集会所G級すらもクリアして最高峰の攻撃力を持つハンマーであるウォーバッシュを用意した上で、自分が低い体力の時に攻撃力を上昇させる火事場スキルを発動させる等の本作でも最強クラスの攻撃特化の装備であり、討伐不可能と言われても仕方が無いような存在であった)。
PSP版『モンスターハンター ポータブル』をPS2版『モンスターハンター ドス』と連動させることで、初めてソロプレイ専用の討伐クエストが出現し、討伐可能になる隠しモンスター。
最初は「怒りの黒狼鳥」というクエストとして登場。討伐するたびに巨大化していき、銀冠のイャンガルルガ(7回目)を討伐した後にクエストがG級クエスト「逆襲の黒狼鳥」に変化するという特殊な仕様を持っていた。
いずれも15000という極めて高い体力と20分という制限時間の短さから与えたダメージや部位破壊を次回に持ち越す「撃退」クエストであり、討伐するたびにクエストが消滅するので、そのたびに何度も連動しなおさなければならないという(とても面倒くさい)仕様だった。
後にイベントクエスト「怒りの黒狼鳥」が登場。最初にダウンロードしておく手間こそあるが、連動の手間も無く挑戦することが可能となっている。しかし、最大の違いはイベントクエストであるが故に「撃退」ではなく「討伐」しなければならないことであり、制限時間こそ50分しっかりあるが、15000という極めて高い体力はそのままで強さも集会場G級相当、しかもミラボレアスと違って森と丘での戦いなのでエリア移動もあって実際に戦える時間はやや短いという悪条件が重なり、難易度は極めて高い(優れた装備とイャンガルルガとの戦いへの慣れを持たないと50分戦い続けてなお倒せないということも普通にありえた)。
余談だが、このイベントクエストがTGSにて先行配信こそされたものの、一般配信されたのはその10ヶ月後と本作最後に配信されたイベントクエストであり、事実上『モンスターハンター ポータブル』におけるラスボス枠とも言えるクエストであった。
特殊個体
特異個体
MHFに登場するイャンガルルガの特異個体。見た目の特徴は
1:傷がついた個体ではなく、耳が両方揃っている
2:嘴の先端が紫色に変色している
3:翼膜が藍色
4:眼がより黄色になっている
5:背中の棘が大きい
6:尻尾の棘の生え方が変化し、大きくなっている
7:脚が赤みを帯び、太く発達している
所謂「傷無しの個体」に近い見た目だが戦闘力は比較にならない程に高い。
言うなれば「傷ありの個体」は「大量の傷が体に残る程の戦闘経験を持ちながらも生き延びた強い個体」で、この特異個体は「戦ってなお体に傷が付かない程の強い戦闘能力を持つ個体」と言ったところか。
サマーソルトは前方広範囲に被弾すると確定で毒&気絶を発症させる毒霧を放つようになり、イビルジョーを彷彿させるようなテンプシーも使うようになる、しかもこのテンプシーは同時に振られる尻尾も当たり判定があり、更に全身の何処に被弾しても毒状態になる
最大の特徴は咆哮であり、通常個体の咆哮は「耳栓」で防げるが特異個体の咆哮は「超高級耳栓」と、通常の特異個体と違って咆哮だけ2段階上昇という引っ掛けである(風圧は小→大になっている)
しかもこの咆哮、拘束時間が5秒ととても長い上にこの咆哮を伴う攻撃も追加されている
通常個体も使う「バックジャンプと同時に咆哮」に加えて、突進しながら咆哮を連発する攻撃に加え、この個体の一番危険な攻撃として咆哮を放ちながら空中に飛び上がり、間髪入れずに火球ブレスを狙ったハンターに1発、その周囲に2発放つという空の王者涙目の荒技も行う
更に、特異個体の放つブレスは着弾時に炸裂し、広範囲に複数の爆発を起こすブレスになっていて、上記の空中ブレス連射の他に上から頭を振り下ろすようにしながらブレスを地面に叩き付け…たと思ったら、いきなり反転してもう一度ブレスを叩き付けることを2回繰り返す技もある、しかも叩き付けるため、足元にまで爆風が及ぶ近接武器にとって厄介な攻撃でもある
ただし、弱点としてノーモーション突進を放つ前に軸合わせをするようになり若干の猶予が生まれ(これはMH4と同じ、というよりこれが向こうの元になっている)、更に特異個体補正でHPが低下している上に全体防御率が上昇(脆くなっている)している為、総合的な耐久力は通常個体の6割程度しかない為、咆哮の対策さえ出来れば通常個体より素早く狩猟できる
隻眼イャンガルルガ
MHXに登場する、イャンガルルガの二つ名持ちモンスター。(特殊個体)
以前から顔に傷のあるイャンガルルガは登場していたが、それとはまた別の特殊個体である。
またこの個体とはっきり区別させるためか、MHXに登場する通常のイャンガルルガは全て傷なし個体となっている。
通常種とは容姿が異なり、
1:左目と左耳が潰れている
2:翼膜や尻尾は苔のような黄緑色に変色している
3:右目からは常に赤い残光が走る
4:鳴き声がノイズがかっている
5:他の二つ名と違い、通常種より小柄
といった特徴がある。
通常種が数多の戦いを経た姿であり、老獪なハンターですら戦慄させる高い戦闘能力を持つという。
持ち前の毒も強化されており、回転尻尾に当たっただけで猛毒、サマーソルトを喰らおうものなら猛毒をも超える劇毒に蝕まれる。これらは尻尾の破壊で軽減可能。
毒もそうだが、通常種には無い追尾クチバシ攻撃や跳びかかり、高い軸合わせ性能と風圧【大】付きの超突進なども脅威的である。
・・・しかし、それらを込みにしても通常種共々ニャンターだと御しやすい。
ブーメラン特化構成や咆哮や毒の耐性を付けておけば比較的簡単に倒せてしまうことも。
さらに特殊許可クエストのレベル9から作れる上位オトモ武具が軒並み高性能であるため、
今もなお多くのニャンターやオトモ達に経験値として乱獲されている。
数多の戦いで高い戦闘経験を持ったイャンガルルガが複数匹のネコ達にボコボコにされるその姿には哀愁を感じざるを得ない。
相性の問題もあるのだろうが、どうしてこうなった…。
MHW:I
2019年8月23日、何の前触れもなく追加されたアイスボーンの新CM3種類の全種にサプライズ登場、その日のTwitter上位トレンドをかっさらった。
そのCMではなんとあろうことか格上のモンスターであるイビルジョーの顔面にサマーソルトをかますという大躍進を遂げ、ハンター達を大いに沸き上がらせた。とにかく相手に恐れずつっかかる獰猛さは残しており、縄張り争いが存在するが、その相手はジンオウガやラージャンとの組み合せのみであり、意外と少ない。
特に同じく目に映った相手全てを攻撃する程の凶暴性を持つオドガロンとの縄張り争いが無かった事は不評点として挙げられている。
御多分に漏れず、専用BGMも編曲され直されている。
イャンガルルガの登場により、新大陸は「あらゆる生物を生きてる限り食い尽くして生態系を壊す古龍級危険生物」と「辺りを焦土に変えるような狩りで生態を壊す爆撃機」、「古龍のツノを喰らうスーパーサ◯ヤ人」、「異常なまでに獰猛で闘争大好きな鳥竜種界きっての狂戦士(バーサーカー)」という調和なんてクソ喰らえなモンハン世界でもトップクラスの生態系攪乱者どもが一堂に会する地獄めいた同窓会と化してしまった。
後の『生態系を都合良く作り替える自己中』や『共存不能な奴』やら『世界そのものを滅ぼせる禁忌』に比べるとまだ易しいレベルだろうが、彼らを要しても尚、多様な生態系を維持出来る新大陸の恐ろしいこと……。
なお、同じく「どんな相手にも襲いかかる性質」を持ったモンスターであるオドガロンとは生息域の違いもあり縄張り争いをする事が無い。
専用bgm
唸る一匹狼/イャンガルルガ
咆哮/リオレウスをベースにした曲ながら、初見ではわからないほど改造されている。
唸る一匹狼/イャンガルルガ World.Ver
余談
『モンスターハンター ポータブル』における異常性
体力15000がどれほどのものかと言うと、集会所G級相当の飛竜の体力が高くても6600なので、そのおよそ2.3倍であると言えば異常な高さだとわかるであろう。
『モンスターハンター ポータブル』における膨大な体力のモンスターといえばラオシャンロンだが、村クエストでは体力13333とイャンガルルガに劣るものの、集会所G級に登場する亜種は26666で流石の貫禄を見せる……が仕様上ほぼずっと攻撃し続けることができるラオシャンロンと、猛攻を掻い潜りながら戦うイャンガルルガの体力とを比べるのがそもそもおかしい話である。
集会所のラストに登場するミラボレアスの体力は20000だが、イベントクエストを除いて対峙するのは制限時間15分の「撃退」クエストなので、撃退するだけならば4000以上与えればクリアとなる。
イベントクエスト限定で登場する紅いミラボレアスが11000。
正直、ただの鳥竜種とは到底思えない体力である。
縄張り争いについて
イャンガルルガが直接行った縄張り争いはジンオウガとの引き分け、ラージャンとの劣勢のみである。
アイスボーンにおける「トップクラスの生態系攪乱者ども」内での組み合せで考えると
- アイスボーン内描写
- イビルジョーとバゼルギウス 引き分け
- 怒り喰らうイビルジョーと紅蓮滾るバゼルギウス 引き分け
- 怒り喰らうイビルジョーとラージャン 引き分け
- ライズ描写
- ラージャンとバゼルギウス 引き分け
- サンブレイク描写
- 激昂したラージャンと紅蓮滾るバゼルギウス 引き分け
と、どれも引き分けであり、「トップクラスの生態系攪乱者ども」内ではイャンガルルガだけが一歩劣る実力として描かれている。
もっとも、イビルジョーとバゼルギウスとラージャンが相手では(キリン以外の)古龍種以外誰も引き分け以上を取れていない(※)ため、これは相手が悪過ぎるとしか言いようが無いだろう。
そもそも古龍種自体がゲーム開発者側の開発コンセプトとして「自然の天災に相当するモンスター」とされており、あらゆる生態系から逸脱した圧倒的な存在である古龍と同格の強さを持つ相手にただの戦闘狂が一歩劣る実力として描かれるのは当然と言えば当然である。
逆に言えばそれでもそんな相手に平然と戦いを挑むイャンガルルガが如何に狂っているかというのがよく表されているとも言えるのだが。
※:傀異克服クシャルダオラがラージャン(および激昂したラージャン)相手に優勢を取るが、それ以外では優勢を取られることが無い(通常のクシャルダオラはラージャンおよび激昂したラージャンと引き分け)。逆にキリンはラージャン相手に一方的に敗北し、その他様々な媒体でもクエスト難易度の表示の仕方など古龍の中では一段階下の扱いをされやすい。
関連イラスト
関連タグ
オドガロン:同じく異常なまでの凶暴性を持っているモンスター。それに伴い既に破綻しているイャンガルルガとは行かずとも『生物として破綻しかけている生態』となっている。