エスピナス
えすぴなす
『モンスターハンター フロンティア オンライン』(MHF)の大型アップデート「シーズン2.0 “エスピナス、覚醒”」のメインモンスター。別名『棘竜』(いばらりゅう)。
設定上ではかつて古龍種と樹海で縄張り争いをしていたと明かされており、実装当時樹海には古龍種が出てこなかったのもあって、古龍に打ち勝ったのでは?と噂された。
現地ではクシャルダオラの化石である鋼龍石が出土するため、クシャル相手なら毒がよく効くため相性が良かった説なんてのもある。
全身が強固な棘に覆われた緑色のモンスターで、並の武器でも刃が立たず身震いだけでもハンター達を傷付ける。遭遇時に寝ていることが多いが、ちょっとやそっとの攻撃では起きてくれない。
たとえ起きたとしてもハンターに対してほとんど興味を示さず、軽いタックルで追い払う程度の攻撃しかしない。
この通り普段はとても大人しいモンスターなのだが、何度も何度も攻撃を続け怒り状態になるとその大人しさはどこへやら、とても攻撃的で凶暴な性質が露わになり手が付けられなくなる。
ティガレックスやディアブロス並の暴走突進、毒棘の生えた身体を使った各種物理技とこの時点でも脅威だが、特にその口から放たれるブレスは火炎だけでなく出血毒・麻痺毒も含んでおり非常に危険。
しかしこの時、体を激しく動かすために血流で肉体をほぐすからか、怒り時は通常時よりも肉質が軟化するため攻撃のチャンスでもある。
メインモンスターらしく、亜種も登場する他、希少種も存在する。詳しくはリンク先を参照。
MHFのサービス終了により、このエスピナスと再び会う事ができずには過去のYouTubeなどの動画を見る事でしか叶わなかったが…?
かの地は そのものが密やかに
同化し 深く漂う場所
気付くことなく 安住に障りしものあれば
やがて知ることになろう
それが命で贖わねばならぬ過ちということを
なんと2022年6月14日に生配信されたカプコンショーケースにて、『モンスターハンターライズ:サンブレイク』に参戦することが決定した。
MHFのサービス終了後、長らく活躍の機会に恵まれていなかったエスピナスだが、意外な形でその出番が回ってくることになったのである。
参戦の告知されたPVでは、MHFの凄腕ランクにおける樹海の汎用BGMである「終わりなき迷路」のアレンジをバックにムービーに登場。
そして発売後には、このBGMが本作ではエスピナスの専用BGMになっている事が判明した。
生息地域が被っていながら共演の機会にあまり恵まれてこなかったナルガクルガと対峙するシーンや、これまで示唆されるに留められていた古龍種(しかも相手はあのクシャルダオラ)との縄張り争いが挿入されるなど、古参のファンには嬉しいシーンも。
後に発売された設定資料集では過去にエスピナスが邪毒を武器にクシャルダオラを元々の生息域から追い払ったことが触れられている。
MHFの完全オリジナルモンスターがメインシリーズに参戦するのは今回が初(ヴォルガノスとヒプノックは共同開発なので含まれない)。しかし設定資料集では近年発見された新種モンスターの扱いでメゼポルタなどのMHFからの設定やワードは使用されず、メインシリーズではMHFの設定は使用されていない。
ストーリー上ではとある事情により強毒性のウイルスに侵された人物を助けるために緊急クエストでエスピナスを狩猟する事になるため、ストーリー上は重要な役割を担っていた。
その後、無料タイトルアップデート第2弾では亜種であるエスピナス亜種も参戦した。
他には傀異討究クエストで傀異化個体のエスピナスが新しく登場するようになった。攻撃し続けて傀異鈍化すると肉質が渋くなってしまうので周回するにはテンポが悪くやや噛み合わないとされていた。
しかし、そんな事を言ってるのもつかの間。エスピナスは氷属性が弱点のため、貫通氷結弾を運用するヘビィボウガンの餌食となり、此方が紅蓮滾るバゼルギウスと共に狩られる事になった。通称ナスバゼとも呼ばれることに。
傀異鈍化する以上ソロで周回するにはやや厳しいため、装備が揃いつつ、罠嵌めによる罠の順番などの技術を習得した4人マルチで狩られる事が多い。
上述のように古龍種であるクシャルダオラと(毒が有効だという相性込みでも)渡り合うほどの戦闘能力を持つものの、傀異化個体など一部を除いては登場時に寝ているという怠惰ともいえる気質を持つ。一応、これは持ち前の戦闘能力のため「その気になれば大抵の外敵は一蹴できる」という自信もあるようだが、後述の餌の確保や外敵への対応も基本的には受動的なライフスタイルである。
肉食性だが、積極的な狩りはあまりせず、じっとするエスピナスに気付かず近づいてきた小動物を食べるのが主な食事とされている。実際にも疲労時に食事が見られるようになった『サンブレイク』でも、密林では地中から環境生物のドクガスガエルが出てくるまでじっとしており、城塞高地ではエスピナスの大きさからすれば非常に小さな甲虫種のカンタロスを食べているなど、空腹であっても能動的な狩りや大きな獲物の確保はしない様子が見られる。
非常に堅牢な甲殻と共に、攻撃にも防御にも役立つ強固かつ鋭利な棘に全身が覆われており、並大抵の敵はそれだけで寄せ付けないとされている。寝てばかりの理由も、自身の実力と共にこの甲殻と棘に裏打ちされた安全性に由来するようだ。
一方で後述の運動能力は硬すぎる甲殻によって一部阻害されてしまっているのだが、怒り状態になると甲殻が紅潮すると共に軟化して充分な運動能力を発揮できるようになる。当然ながら防御能力自体は著しく低下するのだが、この際のエスピナスは「攻撃こそ最大の防御」と言わんばかりの形となるのでハンター相手以外では問題はない模様。
棘と共にエスピナスの武器となるのが「邪毒」と称される全身から分泌する猛毒である。
亜種素材のフレーバーテキストだと、尻尾では「1頭の尻尾だけでランポス1000頭分の致死量」、秘棘では「触れただけで木々がたちまち枯れる」など凄まじい毒性を持つことが触れられているが、『サンブレイク』の設定資料集によると実はこの邪毒はエスピナス自身が生成したものではなく、餌とした有毒生物の毒素を血液中に蓄えて濃縮したものとされている。
出血毒はドクガスガエル、麻痺の神経毒はランゴスタから摂取した毒素を濃縮したもので、亜種が神経毒の代わりに持つ溶解液「重酸」も餌に由来すると考えられているがこちらは研究中とされている。
なお、この設定は『サンブレイク』登場に際して作られたものであり、『MHF』の頃は辿異種の角素材のフレーバーテキストにて「角が邪毒の生成器官」とされていた。
危険な邪毒であるが、上述のように邪毒は極限まで希釈すると薬になるとされており、『サンブレイク』では邪毒がキュリアのウイルスへの治療薬へと用いられたが、これは調合した薬師のタドリの高度な腕前があってのものでかなりの劇薬であり、実際に劇中にて「毒を以て毒を制す」と称されていた。
毒だけでなく炎のブレスを吐き出す攻撃も可能で、エスピナスのブレスは邪毒を燃焼させてのものであり、ブレスの当たった対象は炎のダメージと同時に毒と麻痺に蝕まれるという代物となっている。亜種や希少種ではリオレウスなどの炎ブレスをも凌駕する途轍もない熱量のブレスを見せているなど、炎を扱う能力も相当に高い。
後脚による運動能力も相当に高く、怒り状態のエスピナス通常種は突進を必殺技とするが、『MHF』の頃のエスピナスの突進速度は時速50km以上という設定のティガレックスの突進速度を軽く凌駕するとんでもない速さであり(『サンブレイク』ではゲームバランスの都合からか速度は相当抑えられた)、更に後脚のみで急旋回・180度のUターンまでも可能だという敏捷性も兼ね備えたものとなっている。
通常種は戦闘時に空を飛ぶことはめったに見せないものの、飛行能力も充分な高さという設定であり、エリア移動の際は長距離を難なく飛ぶことも可能。
脚力からもうかがえるように純粋な筋力も相当なものがあり、『サンブレイク』ではクシャルダオラとの縄張り争いにて全身金属のため超重量のクシャルダオラを角で引っ掛けてそのまま投げ飛ばすという光景が見られる。
以上のように邪毒や火炎のみならず、攻撃能力・防御能力・運動能力ともに非常に優れており、怒らせると危険なモンスターであるが、同時に怒らせない限りは怠惰という二面性を持つため、強さと凶暴性を兼ね備えたラージャンやイビルジョーなどの古龍級生物レベルの危険度ではないというのがハンター及びギルド側の認識のようだ。
エスピナス(Espinas)とはスペイン語で「棘(とげ)」を意味する単語で、エスピナスの特徴的そのまんまな名称である。開発者の話によると、「いばら」という別名のように特に「バラの棘」を意識したもののようだ。
『サンブレイク』で登場モンスターの多くは西洋の怪物や伝承を裏モチーフとしているが、エスピナスは初めて狩猟となるクエストのタイトルが「眠れる密林の棘竜」である事から童話の「いばら姫(眠り姫)」である模様。確かにエスピナスの特徴である「眠る」「いばら」ともに引っ掛かるモチーフとなっている。ただし、作中のエスピナスの性別が雌なのかは不明。
ちなみに、『サンブレイク』設定資料集によると同作開発の初期からエスピナス復活は決まってたそうで、いばら姫は後付けのようだが、上手いこと合致する題材があったものである。
防具の名称が「エスピナシリーズ」である事から開発者側はエスピナスの略称・愛称を「エスピナ」と想定していたようだが、MHFユーザーからは「ナス」と呼ばれる事が多かった。亜種と希少種は別名から「茶ナス」と「白ナス」と呼ばれるが、何の偶然か野菜のナスの品種には茶色や白色の皮をしたものが実在している。
この「エスピナス=ナス」はメーカーのカプコン側も把握していたようで、『サンブレイク』発売当時にカプコンカフェ梅田店の限定メニューとしてエスピナス亜種をイメージした「茶ナス丸ごとボロネーゼ」という焼きナスを乗せたスパゲティが登場し、ナスの愛称は公式なものとなった。
MHF初の独自開発モンスターであるが、「地上戦を得意とする緑色の飛竜」や「毒と火の属性を操る」など、モンハン最古参モンスターの一体であるリオレイアとの共通点がかなり多い。まだアップデートへの開発体制が完全には整っていなかったと共に方針を模索している最中だったMHF黎明期に、既存のモンスターを参考に異なる肉付けを行って作られた存在である事がうかがえる。
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