エーリヒ・ハルトマン

えーりひはるとまん

エーリヒ・ハルトマンとは、ドイツ空軍のエース・パイロット。

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1 概要

2 余談

3 関連タグ

概要

第二次世界大戦時にルフトヴァッフェで戦闘機パイロットとして活躍。

1942年10月、東部戦線の第52戦闘航空団（JG52）へ配属され、敗戦までこの部隊に所属し、ソ連軍を相手に戦った。

1943年3月にヴァルター・クルピンスキー中尉の2番機となって急激にスコアを伸ばした。

射撃は得意な方であったが上官たちから一撃離脱に徹する事、確実に命中する距離まで近づいて射撃する事を叩き込まれ、実行した。

JG52に供与された戦闘機はメッサーシュミット Bf109Gで、ハルトマンが機首に黒いチューリップを描いた所、ソ連空軍パイロットたちが「黒い悪魔」と呼んで避けたためスコアが伸びなくなり、消すことになった。

「僚機を失った者は戦術的に負けている」を信条とし、唯一撃墜された僚機のギュンター・カピト少佐も不時着して無事だった（彼は戦闘機パイロット充足の為に爆撃機パイロットから鞍替えとなった人物で、戦闘機の機敏な動きに慣れていなかった）。

最終的に、史上最多の352機撃墜を記録する（被撃墜16回）。

敗戦時、ドイツに戻ってイギリス軍に降伏するよう命令されたが、命令を拒絶し、部下・隊員家族・避難民たちを連れてアメリカ軍に降伏した。戦勝国間の取り決めによりソ連に引き渡され、10年にわたる過酷な抑留生活を送る。

1955年、西ドイツ首相アデナウアーがソ連を初訪問したのをきっかけに釈放され、西ドイツに帰国。ドイツ連邦空軍に入隊しパイロットになった。

1967年には大佐に昇進したが、ロッキード F-104導入に反対して空軍上層部の不興を買い、1970年に退役。退役時に少将に昇進した。

その後は故郷ヴュルテンベルク州に戻り、アメリカ連邦航空局のヴュルテンブルク地区代表を務めた。

1990年10月3日、東西ドイツ統一。

1993年9月20日、狭心症により死去。享年71歳。

余談

●1944年9月10日、ウルスラ・ペーチュと結婚し、前線にいる間に男子が生まれたが、ソ連に抑留されている間に死んでしまい一度も会うことはなかった。帰国後、女子が生まれている。

●F-104に関しては、経験の無いパイロット達がこの機を乗りこなすのは難しく、F-100などで技術を習得してから移行すべきという考えだった。西ドイツ空軍に導入されたF-104は多くの事故を引き起こした。→「F-104」の記事へ。

●JG52時代の上官ゲルハルト・バルクホルンが自動車事故で死んだため、晩年は自動車の運転を控えた。

●童顔だったため、仲間からは「ブービー（坊や）」と呼ばれていた。

●イケメンとして知られ、休暇に街に繰り出せば女性たちから黄色い声が上がったが、婚約者ウルスラがいたため手を出さなかった。戦友たちはハルトマンについて行ったことでおいしい思いをし、中にはそのままゴールインした者もいたとか。

●フランス語とロシア語はペラペラ、英語もある程度話すことが出来た。

●敵機を至近距離まで近づいて撃墜する彼の戦法は多大な戦果に繋がったが、同時に自身にも被害を与え16回撃墜されたうちの半数ほどは、目標が至近距離で爆発し、その破片が四散する中を突き抜けたせいであった。

●戦闘で負傷することなく戦い続けたハルトマンだが、撃墜されソ連兵の捕虜になるも、負傷者のふりをして隙を見て逃げ出し、自軍戦線に徒歩で帰還したところ、歩哨にソ連兵と間違われ発砲され、銃弾は幸いにもズボンだけを貫通しただけで済んだ事がある。

●ダイヤモンド柏葉剣付十字章をアドルフ・ヒトラー総統より授与される折、総統司令部の第三区画で徹底的に身体検査されてからでないと入室を許されなかった事に対して、前線で命を賭けて戦っている将校を総統が信頼されないのなら勲章は辞退すると警備将校に述べて、ヒトラーから拳銃を所持したままの入室を許されたという。

またヘルマン・ゲーリング国家元帥に悪天候の中で経験未熟なパイロットが多数出撃させられて多大な犠牲を出した事に対して抗議の手紙を送りつけたという。

●アドルフ・ガーランドを長としMe262を擁するエース部隊第44戦闘航空団にも誘われたが、所属者が高位のエースばかりからなるこの部隊では肩身が狭い思いをすると断っている。後にソ連軍の捕虜となった折、この事を後悔したという。

・同じくドイツ軍の英雄ルーデルについては「チームでなら同じことはできる。単独では無理。」と言及した。