概要
『Go!プリンセスプリキュア』に登場するカナタ王子と春野はるかのカップリングタグ。
4歳の春野はるかがカナタ王子から「ドレスアップキー」をもらうところから物語が始まる。
2人の名前を合わせると「遥か彼方」になるが、これはOPの歌詞にも使われているフレーズである。
(しかもその歌詞が流れる時ははるかとカナタが見つめ合っているカットになる)
幼い頃にたった数分しか出会わなかった二人だが、この短い邂逅のさいに、はるかはカナタによって生涯の夢を与えられ、カナタははるかによって生きる希望を与えられた。
はるかの夢とカナタの希望は、それ以後の二人の人生を支え続ける根底のアイデンティティとなっている。そのため、はるかもカナタも互いのことを自分の人生を覚醒させた恩人とみなしている。
この二人は「自分の理想のあり方」を相手の前で示したいという思いが強く、カナタもはるかも互いの前では誇り高きプリンスとプリンセスとして振る舞おうとしている。
現状では二人とも互いのことを敬愛すべき存在とみており、わかりやすい恋愛感情で語られるようなカップリングとは言い難い。
少なくともはるかにとってのカナタへの思いは「カッコイイ白馬の王子様がお姫様を迎えにきてくれる」というようなミーハーなものでは決してない。
ちなみにはるかはカナタのことを年上にもかかわらず呼び捨てにする。はるかはプリキュア仲間たちにさえ敬称をつけるので、これはとても特殊なことである。
更に『アニメージュGo!プリンセスプリキュア増刊号』でカナタ役の立花慎之介の発言によると田中裕太(シリーズディレクター)から初めて4歳のはるかと出会った時のカナタは9歳頃であり、カナはるは5歳差ぐらいの年齢差(おそらく現在のカナタは18歳ぐらい)である。
また同書の主要人物の身長設定図には4歳のはるかと9歳位のカナタの幼少時代の二人の身長も記載
されている。
関係者の見解
田中裕太(シリーズディレクター)
『アニメージュ6月号』
(カナタから幼少時代のはるかにドレスアップキーを託すシーンを入れた理由について)
「物語の冒頭で「子どもの頃に出会った人から何かを託されるという」というのはインパクトがあってドラマチックだと思いました」
更にアニメージュの解説でこれがはるかにとっての人生最初のターニングポイントで、カナタがキーを渡した理由も含め、シリーズ全体のポイントとして機能していくと冒頭のカナはるシーンが今後の物語に関わると書いている。
沢城みゆき(トワイライト役)
『Febri vol.30』
「フローラとカナタが、このあとどんな関係を紡いでいくのか。あのふたりは恋というより、もうすこし何か―志の途中で出会った仲間という印象で、そのふたりが最後にどうなるか。ひとりの『プリキュア』ファンとして、今から楽しみにしています。」
『アニメージュGo!プリンセスプリキュア増刊号』でも沢城は基本的にGo!プリンセスプリキュアは
カナタとはるかの関係性が本筋のストーリーであると述べていた。
その他
- Go!プリンセスプリキュア きせかえ マグネット えほん
はるかのダンスのレッスンに付き合うカナタの図がある。
- 『たのしい幼稚園』 2月号の『バレンタインデーってとくべつなひよねのまき』
オールスターズとGo!プリンセスプリキュアの漫画の『バレンタインデーってとくべつなひよねのまき』で、はるかがカナタに贈るためのチョコレートケーキを作っていた。
関連イラスト
関連タグ
以下『Go!プリンセスプリキュア』20話以降に関する重大なネタバレを含みます。 |
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20話以降
20話でカナタは大魔女ディスピアとの対決によって生死不明かつ行方不明に。しかしはるかは、いつかまた再開できるはずという希望を持って絶望に陥ることはなかった。
カナタと始めて出会った幼少期の頃から、プリキュアになってカナタと再び邂逅するまで約10年かかった。その間にはるかはカナタのことを忘れることはなかったのだから、また待てばいいだけだ。
そして35話では記憶喪失になって人間界で暮らしていることが発覚する。
再会した瞬間、はるかはカナタに思わず駆け出しそうになるが先にトワがカナタに抱きつき残念そうな表情を浮かべるなど今までにないリアクションを取った。
更に記憶喪失のカナタが今までの事を思い出すためにはるかが目の前でプリキュアに変身するが、フローラを見てカナタが「綺麗だ・・・」と素直に褒めその一言ではるかが照れるという可愛らしいシーンもあった。
カナはるが最初に出会った花畑の場所ではるかはゼツボーグと戦いながらカナタに
「カナタ、あなたがいたから私はプリンセスを目指せる! あの子の夢も守れる!」
と自分の夢を守ってくれた事に感謝しその記憶が今の自分の生き方に支えてくれるから同じプリンセスを目指す小さな女の子を守れると気持ちを伝える。20話のカナタの「はるか、僕と出会ってくれてありがとう」と対になっている。たとえカナタが忘れてもカナタに支えられた記憶ははるかから消えないのである。
トワはカナタに過去を思い出してもらおうと必死になるが、カナタはそんなこと言われてもという感じに困惑するばかり。
その様子を見たはるかはカナタに無理に過去を思い出させようとするのはやめた方がいいとそして「まずは今の私達を見てもらおう」と皆を説得。はるかはカナタに今ここからまた友達になろうと言って握手を求める、カナタもそんなはるかの言葉に救われ握手に応えた。二人の関係はもう一度やり直しとなった。
はるかは憧れていたカナタといつでも会える環境を手に入れた。
そして二人の関係は良き友同士として再び進展していく。
しかしそれは、かつてのように互いを敬愛していた誇り高い関係ではない。
そこにあったのは、普通の男の子と普通の女の子の甘酸っぱい関係。
37話は「まずは今の私達を見てもらおう」が初めて達成された話であり「ロミオとジュリエット」をモチーフとした回は二人の恋愛的な側面を彷彿とさせる回でもあり、このはるかが演劇会の練習にカナタに付き合ってもらっている時にロミオのセリフとしてカナタが喋った「あなたが望むなら私は自分の名を捨てましょう」はとても暗喩的である。カナタは夢の王国の王子という責務を負う過去を捨て去ることにより、はるかに恋することも許される「普通の青年」に成りえたのである。更に記憶喪失で王子としての地位があるという意識が消えても生身の自分ではるかに接したいというカナタの心情とリンクしているようであった。 又はるかの「ああ、ロミオ。あなたはどうしてロミオなの。薔薇を別の名に置き換えても香りは同じ。ロミオ様はロミオ様です」の台詞は記憶喪失でもカナタはカナタとして受け止めているはるかの心情(35話で何も憶えてなくてもカナタはカナタとはるかは発言している)とシンクロしているようであった。上手く演じられないはるかはカナタのはるかは前向きでまっすぐな所がジュリエットに似ているという発言により自身に活を入れる事が出来た。
ゼツボーグ戦後、平野が足に怪我をしてしまう。クラスメイトがパニックになっている所に台詞を覚えているカナタが代役を申し出る。しかしはるかは「ちょっと待って!」と異を唱え「私は・・・、劇が上手くいかなくても、ちゃんと自分達でやらなきゃいけないような気がする・・・。上手く言えないんだけど、無茶かもしれないけど、でも・・・、失敗してもいいから、私は・・・、自分達のクラスの舞台を作りたい!」と今まで一緒に頑張って来た平野やクラスメイトの想いを汲み取り最後まで皆でやり遂げたいとこの場の全員に伝える。今まではるかはカナタのように成長していったが、ここで初めてはるかなりの道を示したのである。クラス全員で頑張ろうというムードになった時、はるかはカナタの手を握り、今まで劇の練習に付き合ってくれた事にお礼をした。
「ロミオとジュリエット」の平野とはるかの熱演に、カナタは瞳を輝かせる。カナタにまっすぐな「今のはるか」を見せる事に成功したのである。
劇が終わった後、川原ではるかはカナタに「ありがとう、カナタ何とか自分達で頑張れたよ」
と再度お礼を言う。「はるかはまっすぐだ。本当にジュリエットのようだったよ」とカナタははるかを褒める。
はるかはそこで「ああ、ロミオ、あなたはどうして、ロミオなの?」とジュリエットを演じ、カナタも彼女に応えるように「仰せの通りに致します。あなたが望むなら、僕は自分の名を捨てましょう。」とロミオを演じる。
カナタとはるかは手を繋ぎ、微笑み合った。
みなみときららとトワとパフとアロマもそんな二人を見守っていた。
37話まではカナタが記憶喪失でも問題なさそうだったが、38話では二人にとんでもない悲劇を起こすことになってしまう。
「普通の青年」になってしまったカナタははるかを思うがゆえに、彼女の夢を否定する言葉を放ってしまったのだ。
詳細ははるカナショックを参照。
自分の夢の象徴だったカナタから夢を否定されたことで、はるかは絶望に陥りプリキュアへの変身能力を失ってしまう。
だが、最終的にはるかは、自分はカナタのために夢を持ったのではなく、自分のために夢を持っているんだということを自覚することで、自力でその絶望から這い上がった。
それは自分のアイデンティティをカナタという他者に依存していたことからの成長であり、逆に言えばこの時から始めてはるかはカナタという人物をちゃんと他者として見れるようになったと言えるかもしれない。
「すまない。傷付く君を助けたかった。ただそれだけだったのに・・・僕が一番君を傷付けてしまった。本当にすまない」 と侘びを入れたカナタに、はるかは「カナタ。私ね、夢があったからここまで来られた。みんなとも出会えた。夢を無くすなんて、諦めるなんてできない。たとえカナタにやめろって言われても、私はプリンセスを目指すよ」 と迷いが吹っ切れカナタに止められてもプリンセスの夢を目指す意志を曲げない事を伝えた。
一方、逆にカナタははるかの夢への思いに心うたれたことで「なれるさ。君なら。プリンセスに。」と記憶を回復させる。復活したカナタにはるかは瞳を潤ませながら、「カナタ・・・」と呟く。
この時からカナタにとってはるかは自分の一部とも言えるくらいの重さとなり、「はるか、君が笑顔でいられるように、僕は君の夢を守りたい」とまるでプロポーズのような台詞ではるかのプリセスへの夢を支えることを自分の新しい夢とすることを誓った。
夢によって自立したはるかがカナタに「夢の大切さ」を教えて、カナタはそのはるかに憧れるようになるという形になったわけで、それまでのはるかとカナタの立場が逆になったようなものである。
カナタが自分を取り戻した後はるかのカナタへのプレゼントのバイオリンの小物が新しい「ロイヤルドレスアップキー」に変身する。
アロマによるとカナタの新しい夢から生まれたものらしい。
新必殺技発動時の台詞の「響け!遥か彼方へ!」、はるかとカナタ二人合わせて復活した事でより言葉の重みを感じるものであった。
お祝いを兼ねてプレゼントを買い直そうと申し出るはるかにカナタは「いや、いいんだ。」と断り、「はるか、君がやっと笑ってくれたから」と彼女に言った。
カナタにとってプレゼントよりもはるかの笑顔が一番なのであろう。
はるかを頬を紅潮させながら満開な笑顔をカナタに送った。
35話から39話までのはるかとカナタのストーリーについて『アニメージュGo!プリンセスプリキュア増刊号』で関係者各々がたくさん語っているので、カナはるファンは必見である。
カナタは恋のために全てを捨てれるロミオではなくなり、王族の責務を背負う立派な王子に立ち戻った。はるかもまた花のプリンセスという見果てぬ夢を追いかける自立した女性としての一歩を踏み出したのである。
だけど、これでまた二人の互いが互いを敬愛し合う誇り高い関係性は取り戻された。
甘酸っぱい男女の恋愛の進展に期待していた層には残念かも知れないが、やはりこの二人はそういうのとは異なる次元こそが似合うということでもあるだろう。
仲睦まじい恋人のように常に一緒にいるわけでなく、遥か彼方にいる相手を支えにして互いに自立していく関係。それこそが10年の間ずっと熟成され続けた二人の絆なのである。
この二人は決して、一緒にいれないことを悲観して絶望するロミオとジュリエットではないのだ。
関係者の見解2
神木優(プロデューサー)
『アニメディア10月号』
(1話冒頭の二人の出会いのシーンについて)
「カナタの言葉(「夢を大切に育てることができれば、きっとなれるさ」)は、そのときはるかが一番言ってほしかったひと言。また、当時カナタは、妹のトワが行方不明いなって希望を失いかけていました。彼は、はるかを見て夢の大切さを思い出したのです。はるかはカナタの励ましを心のよりどころにして成長し、カナタははるかのおかげで笑顔を取り戻せました。ふたりは、お互いを尊敬しあえる恩人といえます」
(20話でのカナタとはるかの再会と別れについて)
「はるかは別れ際にカナタから『トワを頼む』とお願いされたこともあり、トワのことを元気づけようと決意を固くしました。カナタの存在がはるかの行動の軸になっていることは間違いありません」
34話でカナタが再登場するが、アニメディアの記事で、今後は、はるかとカナタの関係がクローズ
アップされふたりがよりどころにする「夢」が彼らの今後の関係にも大きく影響しそうだとカナはるの関係が今後の物語に深く関与されるのを予感させる説明があった。更に「ふたりの関係がリセットしてしまうかも」と、カナタが記憶喪失になってしまう事を示唆するような記述もあった。
田中裕太(シリーズディレクター)
『アニメージュGo!プリンセスプリキュア増刊号』
田中SDと神木プロデューサーのインタビューが載っているページのタイトルが「絶望から立ち上がったはるかと新しい夢を手に入れたカナタ」という38話と39話のカナはるの物語を意識したものになっている。
田中SDはスタッフの間ではるかが夢に向かうために一度彼女を絶望の底を叩き落とすドラマを描か
なくてはいけないと話し合いそこから記憶喪失になったカナタのアイディアが出たと語り、
「そもそも、どういう形ではるかを絶望させるかを悩みました。ここまでで彼女はかなり成長してしまったので、もうたいていのことじゃ絶望しないんですよ。最初は「カナタが死ぬ」とかいったショッキングなネタも考えたんですけど、さすがにそれはやりすぎだし、取り返しがつかないでしょう。そんなふうに悩んでいる時に、ABCの土肥繁葉樹プロデューサー(当時)が、「等身大の女子中学生なら、案外、小さい身近な出来事のほうこそ、実は絶望につながるんじゃないか」というヒントを出してくださったんです。そこで「一番言われたくない言葉を、一番言って欲しくない人から言われてしまう」のが、きっとはるかにとってプリミティブな衝撃になるのではと考えました。ちょうどカナタは記憶喪失で、夢も失った状態だから、はるかにとってひどい言葉を言えると思ったんです。」
としている。
(カナタを記憶喪失にした理由について)
「「カナタを再登場させた時にどうするか?」というのがまずありました。彼が敵の幹部になってしまう、いわゆる「悪堕ち」も考えましたが、それだとトワイライトと同じ話を二度やることになってしまうし、雰囲気も暗くなってしまう。そこで別のプランとして出てきたのが記憶喪失でしが、どうやって記憶を取り戻すかいう問題も出てきたわけです。カナタの視点で考えてみると、全然知らないものを「思い出して!」と講われるのは、つらいだろうなと思ったんです。それで記憶を無理に取り戻させようとせず、今のカナタを受け入れて、もう一度そこからやり戻そうという話になったのが第35話。担当脚本の香村純子さんからの「第1話アバンの花畑に行きましょう」という案は「それです!」という感じでした。おかけで、すごくドラマチックになりましたよね。幼い頃の二人が今の二人とオーバーラップする脚本で、「さすが香村さん!」の一言でした。」
(記憶喪失後の二人の関係の変化について)
「関係性がちょっと変わった段階で、もう一回一緒に歩んでいこうとしたわけです。ただ実はそれほど話数はかけているわけではないんですよ。」
「でも、しっかり二人の関係性が進展するドラマは描けたかなと。特に演劇会の第37話は、先輩である演出の大塚降史さんがさすがの腕前を発揮してくださいました。はるかとカナタの二人の話と学園イベント話、この2つが絡む大ボリュームの脚本を、非常に高いレベルでまとめてくださって、とても感謝しています。」
(カナタの記憶が戻ったきっかけについて)
「カナタが元に戻るためには、なにがしからの形でカナタ自身がもう一度夢を手に入れなくてはいけない。そういうことを複合的に考えて第38・39話の構成が出来上がりました。絶望に落ちたはるかが立ち上がり、カナタも新しい夢を手にするという形でうまく収まりました。」
(カナタの居候先について)
「カナタの住まいを学園の男子寮にするのも考えましたが、はるかと近すぎてしまうので、あの
バイオリン工房が最適かなと。カナタはバイオリンを使う人だし、あのおじいさんも結構いいキャラなので。」
田中仁(シリーズ構成)
『アニメージュGo!プリンセスプリキュア増刊号』
(カナタというキャラクターを作ったきっかけについて)
「コンセプトがプリンセスなら、王子は出るだろうと。キャラクター設定の際に、はるかがなぜプリンセスの夢を大切に持ち続けているのかという理由を視聴者に示しておきたいと思っていたので、幼い頃、はるかの夢を支えた大切な存在としてカナタを設定しました。その後、二人は成長して再会するわけですが、今作ではプリンセスものの定番である「主人公が王子様に見初められるパターン」というのは、夢に向かって頑張る姿を描きたいという本筋から外れてしまうと思い、今のような関係にしました」
(はるかにとってカナタはどういう存在かについて)
「今作では夢にまつわるいろんな形を描こうと思ってました。カナタは「夢を支える存在」です(後略)」
また、「夢を支える存在」は言い換えると「夢をつなぐ存在」でもあるとも述べている。
(38話のカナタの「夢なんて、そんなものもういらない」のセリフの背景)
「記憶を失ったカナタは夢の大切さを知りませんし、「夢を支える存在」ではなくなてしまったので・・・。はるかにはつらい経験をさせてしまいましたが、夢のテーマを描くためには、避けて通れない言葉でした。あそこではるかが立ち止まらなえれば、彼女が自分を振り返り、カナタ以外にも自分を支えている両親などの存在がいることを描いた第39話はできなかったと思います。それが行方不明後のカナタに与えられた役割でしたが、僕自身も放送を見た時、ズーンとなりました・・・」
『Go!プリンセスプリキュア オフィシャルコンプリートブック』
(プリンセスになる=王子様と結ばれるとなるような物語にはしないようにした意図について)
「(はるかのプリンセスへの憧れとは)実際は、子供がヒーローになりたいというあこがれる気持ちに近いと思い当たり、そこから「はるかは子供の頃に読んだ『花のプリンセス』の童話に憧れていて、そのプリンセスになりたいと思っている」という設定が固まって、スタッフみんなの中で意思統一ができました」
(最終回後にはるかがカナタが再会できたシーンがないことについて)
「これは18話で『花のプリンセス』の原作者である望月ゆめ先生がはるかに伝えたのと同じで、最初から視聴者に委ねるつもりでした。(中略)はるかの人生や未来は(最終回後も)続くわけですから、そこは観ている人たちに想像していただけたらと思います。」
これらのことからわかるように、シリーズ構成の田中仁氏は「王子様と結ばれるお姫様」という安易なロマンス関係を否定するという強いこだわりが最初からあり、その思いは他のスタッフも汲み取っているために、恋愛カップリングとしてのカナはるは公式的な視点では成立していないという立場が割と強い。
しかし同時に「結末は視聴者に委ねる」ということを作中での物語にも絡めて語っており、二次創作的なカップリングなどの想像はむしろ歓迎するという考え方なことが窺える。
立花慎之介(カナタ役)新谷真弓(ミス・シャムール役)
『アニメージュGo!プリンセスプリキュア増刊号』
(カナタの子ども時代の演技について)
立花「「子ども時代でも大丈夫な方にお願いしました」と田中監督に言われまして。はるかと出会った時、カナタは9歳くらいだそうで、本物の9歳の声は出せませんが、はるかの回想イメージなのでまあ大丈夫かなと。すでに9歳にして王子様として完成されている子だから、違和感なく演じさせていただきました。」
(カナタの記憶喪失後の演技について)
立花「そうですね。第39話までは、カナタが夢を忘れたのが大きなテーマでした。結果としてはるかを絶望に追い込んでしまったのは、ストーリーの転換点でしたね。」
「(記憶喪失後のテンションは)やや落とし気味というか、落ち着いているというか・・・。田中監督から言われたのが、「夢自体が分からない状態」ということ。「なんではるかたちは、こんなに前向きなのだろう??]みたいな。夢への嫌悪感とまではいかないんですが、「そもそも夢がどういうものか分からないので純粋に理解できない」と不思議に思う感じを出しつつ、やらせていただきました。」
(38話のカナタの「夢なんて、そんなものもういらない」のセリフの背景)
立花「カナタは何も悪気もなかったんですが、あのシーンはすごくリアルだなって思いました。普段の日常生活でも、こうやって知らず知らずのうちに人を傷つけることがあるんだろうなって。何気ない一言での何気ないすれ違いは、結構あるんだろうなって思わされました。」
新谷「普段との落差が激しすぎて!プリンセスになるという夢の象徴だった花のヘアピンが取れて、前髪がパサッと落ちた時の顔が、あまりにも悲劇的で・・・。でも結局、一人で立ち直っちゃうんだけどね。さすがはるか!そこからの、記憶が戻ったカナタ王子の参上、という燃える展開ですよ! そこでの二人の画も、本当にステキでときめきました!」
立花「あそこは、以前のカナタに完全に戻りましたので、自主的にはるかを守るという行動に出たところで「ちょっと強めにカッコよく」という芝居を意識しました。ただ、夢を思い出した瞬間、まるでカナタははるかのことしか見えてないような感じに切り替わりましたよね(笑)。」
嶋村侑(はるか役)
『アニメージュGo!プリンセスプリキュア増刊号』
(38話でカナタの言葉にショックを受けた時について)
「カナタははるかをかわいそうに思って言ったんですけど、はるかにとってのカナタは、自分のアイデンティティに関わる存在なんです。田中監督も言ってましたけど、「分かってはいるけど、やっぱりショックで落ち込んじゃう」という。はるかにとってのカナタは「男性」というより、もっと深いところにいる「かけがえのない存在」なんですよ。スタッフの皆さんが、はるかを成長させるためにどうしたら挫折させられるか考えた結果(苦笑)、ああいった形で、はるかの心が折れてしまったんです。そこから復活する時の物語は、フローラのキャラクターソング「Dreamin' Bloomin'」(ボーカルアルバム1」に収録)がベースにあったそうです。私も歌詞を初めて見た時、あまりにもフローラらしくて感動しました。こうやって全部がつながっていく・・・「プリキュア」ってすごいですね。私にとってキャラソンは「プリキュア」が初めてなので、よけいに感動しました。」
lineと本編での展開
プリキュアのlineの公式アカウントのタイムラインに投稿されたカナはるのような内容の文章(はるか視点)。本編を踏まえたような文章が投稿される事が多い
- カナタとはるかが再会した20話の後のもの
『カナタって、
とっても優しくて、強い心を持っている。
故郷ホープキングダムが支配されて、
妹が姿を消してしまっても、
ぜったい諦めず、前を向いている。
一番辛いのはカナタなのに、
私や周りの人の心配をしたり、
励ましてくれる。
私もカナタみたいな凛として
みんなに慕われる、
そんな人になりたい・・・!!
守られるだけじゃない
カナタを守る存在になるんだ!』
このlineの文章は20話を踏まえたものだと思われる。
lineのはるかはホープキングダムが支配され妹が行方不明になってカナタが一番辛い想いをしている
のを理解し、それでも他の人を励まし心配するとても強く優しい心を持っているカナタ(実際に6話でグランプリンセスになれるか不安を口にしたはるかにカナタは「なれるさ」と励まし肯定し、20話では妹いなくなって悲しんでいるカナタの姿見て泣いたはるかの涙をカナタが拭ったりカナタがはるかを馬から丁寧に下ろしたりしている)にはるかは憧れ、今度は自分がカナタを守りたいと願っているのがよく分かる文章である。
20話の膝をついたカナタがにフローラがスカートを摘んで例を返すエレガントな王子と姫のシーンのイラスト
20話のカナはる白馬に2人乗り
- トワイライトがトワに戻った21話の後のもの
『トワイライトがカナタの妹・トワさんだった・・・
ずっと行方がわからなくなっていたのは、
ディスピアに操られて、姿も心も変えられてしまっ
たから・・・。
自分の欲望のために他人の人生を利用するなんて
絶対に許せない!
ディスピアは、カナタやホープキングダムのみんな、
そしてトワさんの悲しみや苦しみを想像したことが
あるのかな。
私は、考えただけでも胸が張り裂けそうだよ・・・。
カナタもトワさんも、
これからいっぱい幸せになってほしい!!
だから、カナタ・・・絶対に助けにいくよ!』
この文章はトワイライトがトワに戻った21話関連だと思われる。
ホープキングダムの国民やカナタやトワの悲しみや苦しみにかなり憂いている。
カナタとトワ兄妹の幸せを願っている。
離れ離れになったカナタを必ず助けに行くとはるかが強く決意しているのが伝わる文章である。
ちなみに22話でカナタとはるかが離れ離れになりカナタが行方不明になったため、23話のOPの映像でカナはるが見つめ合うシーンで成長後のカナタの姿が消えた。
- はるかが猫からカナタの私物であるホープキングダムの王家の紋章のボタンを貰った33話の後のもの
『カナタとトワちゃんの幼いころの写真
ステキな兄妹だよね。
実はね、行方がわからなくっていたカナタが
この世界のどこかにいるってわかったんだ!!
みんなに心配かけたくなかったから言わなかったけど、
本当は心配でたまらなかったの。
もしずっと会えなかったらどうしようって。
トワちゃんもみんなの前では平気な顔してるけど、
一人になったら寂しそうな顔をしてるって、
アロマが心配してたんだ・・・。
でも、大丈夫!今は確信が持てるの。
カナタは絶対に元気だし、
必ずまた会えるって・・・!!
私が絶対に見つけ出すから!』
これははるかがカナタのボタンを受け取ったためカナタがはるか達の世界にいるのが判明した。
33話の文章を踏まえたものだと思われる。
lineのはるかはカナタトワ兄妹に触れているが、1話でカナタがはるかに妹を重ね、トワが23話ではるかに兄の面影を見ている事から、カナタトワ兄妹にとってはるかは重要なポジションである。
みんなに心配かけないようにあまり触れなかったが、本当はカナタにもう会えないのではないかと
心配していたのがlineのはるかから明かされる(なお31話ではるかがカナタの夢を見ているぐらい
、カナタの事をとても想っているのである。22話でもトワがはるかにカナタは生きていると伝えた事により、はるかは嬉し涙を浮かべカナタに思いを馳せている。)
34話ではカナタを見つけるためにはるかはプリンセスコンテストに出ている事から、ちゃんと本編と繋がっている。
尚34話の最後に、はるかは人ごみの中からカナタを見つけ出した。
- 記憶を失ったカナタとの再会話の35話の前日の文章
『最近、カナタのバイオリンの音色をよく思いだすの。
とっても優雅で、
大胆で、それでいて繊細な
カナタにしか出せない音・・・。
トワちゃんと一緒に弾いたら、
きっともっとステキなんだろうなあ。
カナタはね、この世界のどこかにいるはずなの。
みんなも情報があったら私に教えてね!!
私、絶対カナタを見つけ出すよ!!
よ~し、カナタに再会して出来る日まで
一生懸命バイオリンの練習して、
いつかみんなで一緒にアンサンブルを奏でるぞ~♪♪
今日も今から練習します』
lineのはるかはプリキュアファンにカナタの情報を求めているが、35話でも一生懸命カナタを皆で
探していた。錦戸のバイオリン工房でやっとカナタに再会するが、カナタはトワの事や思い出の曲やホープキングダムの事そしてはるかの事も全ての記憶を失っているという悲劇的なことが判明する。
そして、カナタがバイオリンの弾き方も忘れていたことを考えると、このlineの文章は色々とくるものがある。
- はるカナショックがあった38話の後の文章
『夢が私を追い詰める・・・?
夢が私を傷つける・・・??
夢があるから辛い思いをするの?
夢なんていらないの・・・?
「プリンセスになんてなるな」
カナタの言葉が忘れられない・・・。
さっきから、ずっとずっと頭の仲で繰り返しているの。
小さい頃から、プリンセスになりたいっていう夢のために
一生懸命頑張ってきたのに・・・
カナタの言葉があったから私はプリンセスを目指して
これたのに・・・
夢は、どんな時も私を支えてくれた。
あきらめない気持ちが私を支えてくれた。
それは間違っていたの・・・?
これから私は、どうしたらいいんだろう・・・』
このlineの文章は、まさしく38話のカナタがはるかを想ったゆえに彼女の夢を否定したはるカナショックで、はるかのアイデンティティが崩れ絶望してしまった心境であるのは間違いないであろう。
後期ED『夢は未来への道』ver.フローラ
後期EDはフローラマーメイドトゥインクルスカーレットの個別のソロパート及び歌詞がある。
ver.フローラの歌詞は、「憧れの花を 咲かせて想いは はるか彼方目指すよ くじけない けして逃げない」とOPの歌詞の「はるか彼方」がEDでも入っているぐらいはるかにとってカナタは心理的な支えになっているのが伝わっている。
フローラの歌詞から自分だけが目指せる強く優しく美しい憧れの花のプリンセスのようになる事、夢の象徴であるカナタに会おうと強く願っているのが伝わる。
上北ふたご先生版のコミックの展開(ネタバレ注意!)
未見の人は注意です!
TV本編ではシリーズ構成の田中仁氏のこだわりにより、二人の間に恋愛的な空気感をはっきりとは出さないことが徹底されていたが、コミカライズ版ではアニメ版のスピンオフとしてTV本編とは異なる自由な解釈が許されている。
そういうこともあって、コミカライズではカナタが、はるかに対して明確なプロポーズをしている。
はるかは、一度断っているが、それは10年後もっと立派な女性になってから、それを受け入れる為に断ったのであった。
カナタも、10年後必ず迎えに来ると約束し、トワと共にホープキングダムに帰国した。
コミカライズの世界観をベースにアニメ版のエピローグを見てみると、10年後にその約束を果たす為に、カナタがはるかを迎えに来たという、TV本編では否定的だった甘いロマンスも想像することもできるだろう。
余談
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会に「はるか」と「かなた」がいる
二人でハルカカナタになる