それともいつか、俺にもその「順番」がまわってくるだろうか?
概要
単行本時の正式タイトルは『クドリャフカの順番「十文字」事件』。文庫版収録時に本タイトルに変更された。アニメ作品での該当部分は第12話『限りなく積まれた例のあれ』より。
主人公・折木奉太郎の一人称で語られてきたシリーズだが、今作は奉太郎を含む古典部4人が代わるがわる語り部をつとめるザッピング形式で描かれている。える、里志、摩耶花の内面にも触れられる本作のテーマは「期待」。著者曰く、1巻にあたる『氷菓』のあとがきで出題した小話の解答は本作内にて。
ストーリー
神山高校の年間最大イベント・カンヤ祭が始まった。しかし古典部は、出品する文集「氷菓」を発注の手違いで刷りすぎてしまい、大量の在庫を抱えてしまう。部員一同が頭を抱える最中、文化祭に沸く校内では人知れず奇妙な連続盗難事件が幕を開けていた。学校行事と並行して進展するごとに生徒たちの耳目を集めるこの事件を解決すれば、古典部は知名度アップ、あわよくば文集も完売――。目標達成を目指し、文化祭の中を古典部の面々はそれぞれの思惑を胸に奔走し画策する。文化祭を舞台に暗躍する姿なき犯人の意図するところとは――。
登場人物
古典部部員
『クドリャフカの順番』で初登場の人物
神山市内の名所、荒楠神社の娘で、古くからのえるの友人。
おまじない同好会をスルーして占い研究会を立ち上げた、我が道を征く麗人。
文化祭でも1人で出展していたが、席を外した隙にタロットカード1枚の盗難に遭う。
里志の同級生で囲碁部。平凡な人物であるらしく里志には名前を忘れられていた。
文化祭で行われるイベントでは何故か里志にライバル心を燃やす。
囲碁部でも碁石の盗難があったらしいが……。
漫画研究会での摩耶花の先輩で、湯浅部長の親友。
リーダータイプなのか、漫研でも主流派のグループができている。
実力も部内では指折りだが、過去のある事情から剣呑な物言いをすることも。
神山高校生徒会長。文化祭公式ポスターの作者。
里志も属する総務委員の委員長。
『氷菓』の頒布場所の拡張を依頼するえるに、委託頒布の可能性を示唆する。
漫画研究会の部長。友達想いの人物でおっとりした印象だが、行動は手早く意外とあざとい。
山内:寺島拓篤
木村(漫研部員):竹達彩奈
辺見(漫研部員):寿美菜子
クイズ研究会部長:こぶしのぶゆき
クイズ研究会司会:日笠陽子
クイズトライアルにて、問題読み上げから正解発表までを1人でこなす。
アドリブにも対応でき、司会を任されるのも頷ける人材。
製菓研究会女子A(マント丈の長い方):伊藤かな恵/製菓研究会女子B:升望
店番中の奉太郎をおかしなテンションで襲撃したパンプキンヘッドの2人組。
Aの方が机の上の物騒な物に興味を持ち奉太郎の持ちかけたバーター取引に応じる。
Bの方が代わりにある物を置いていく。
お料理研究会部長:杉田智和
お料理研究会副部長:平川大輔
「ワイルドファイア」開催中にお玉の盗難に遭う。
被服研の生徒:谷山紀章
『氷菓』購入者第1号。
一見パンクな服装のアクセントをもたせようと、奉太郎が姉に押し付けられた壊れた万年筆と引き換えに発表会の入場券を兼ねたワッペンをわたす。
園芸部員:杉山紀彰
『氷菓』購入者第2号。
ワッペンの安全ピンと物騒な物を交換。
なお、園芸部では水鉄砲を盗まれている。
田山(奇術部部長):岸尾だいすけ
舞台で使用していた蝋燭を盗まれる。
アカペラ部
アップルジュースを盗まれる。
前作以前からの登場人物(古典部部員以外)
神山高校2年F組の女子生徒。クラスで制作した映画『万人の死角』の上映を取り仕切る。
えるからの『氷菓』委託頒布の要請をあっさり受け入れた。
同時に「ものの頼み方」を会得したいと言うえるに、「期待」の応用を伝授する。
奉太郎の姉にして、彼が頭の上がらない人物。
地球の裏側をめぐる長旅から帰ってきており、文化祭に臨む弟に不吉な予言とラッキーアイテムの万年筆(ゴミ)を押し付ける。
奉太郎が席を外している間に古典部の部室に姿を現して、摩耶花の捜し物をブローチと交換に置いていき、一連の騒動を解決する重要な糸口を与える。
神山高校3年E組の男子生徒。壁紙新聞部の部長。
文化祭の最新情報を随時発行している。突如として出現した「怪盗」に被害に壁新聞部も遭っており、「怪盗」についての情報収集に余念がない。
えるから古典部の紹介を依頼され一度は断るが、思わぬ形で願いを聞き入れることになる。
天文部員の2年生で入須の同級生。『万人の視角』では斬新な推理を披露する。
お料理研のイベント「ワイルドファイア」に他の天文部員と出場し、「アバンギャルドな料理」で審査員に彼岸を見せた。
盗難事件について探っている探偵気取りの男子生徒。入須の同級生。
映画『万人の視角』の小道具担当。