ゲンコラ
げんこら
『はだしのゲン』は、広島市への原子爆弾投下による惨禍を描いた反戦漫画であるが、主人公ゲンや隆太らの掛け合いによるギャグシーンも多く、また作者中沢啓治の特徴的な画風に加えて広島弁を用いた印象的なセリフ回しから、真面目な場面でありながらどこかシリアスな笑いを誘うシーンも多い。このため、多数のシーンがコラージュやパロディの素材として用いられている。
個別記事があるものとしては、
等があるが、この記事では特に原作終盤における、画家を目指すゲンが寝る間を惜しんでデッサンの練習に励むシーンを使ったコラを紹介する。
「遠近法 遠近法」
「デッサン デッサン」
「だめじゃだめじゃだめじゃ」
「しっかりせえ中岡元 がんばらんか中岡元」 ※コラに使われるのはここまでの4コマ。
「どうしてわしは絵がうもうならんのじゃ どうしてじゃ どうしてじゃ」
「バカ バカ 中岡元のバカ」(自分の頭を叩く)
「ううう やりなおしじゃ もう一度やりなおしじゃ」
「遠近法 遠近法 遠近法 デッサン デッサン デッサン」(もう一度鉛筆を取る)
中学校卒業を間近に控えたゲン。原爆で亡くなった父大吉は京都で日本画と蒔絵を学んだ絵付け職人であり、戦後すぐには原爆被害で画家の道を断たれた吉田政二の画材を託されるなど、元々絵画に興味を持ってはいた。
そしてこの頃、売れない画家の天野星雅とその孫の達郎との出会いを経て、本格的に画家を志すようになった。看板屋「中尾工社」でアルバイトを行う傍ら天野から絵画の初歩を学び、夜は懸命にデッサン練習に励むようになった。
仲間たちと住む家を描いたゲンの鉛筆デッサンは中学生にしては十分上手に見えるが、プロを目指す彼にとって到底納得のいくものではなく、上達しない自分にいら立ちながらも、なおデッサンを続けるという場面である。修行中の絵師が描きたいものを思い通りに生み出せぬ苦悩を表すもので、現代にも通底する共感を得られるシーンであろう。
さてこのシーン、コラ素材としては
- ゲンが特定のテーマや解決すべき問題について紙に回答を描き(1・2コマ目)
- セルフツッコミで破り捨て(3コマ目)
- これではダメな理由を解説する(4コマ目)
という4コマ漫画形式で用いられる。
よくあるテーマとしては
- 自動車やバイクなどの購入相談。有名なものとしては航空自衛隊の次期主力戦闘機F-Xの選定予想に関するネタがある。
- 漫画・アニメ・映画など、特定の嗜好や性癖でまず初心者におすすめしたい作品の提案。
- 今後アニメ化されそうな漫画、あるいはアニメ2期(以降)が実現しそうな作品の予想。
- ゲームにおける予想。例えばオールスターもののゲームの参戦予想や、萌え擬人化系ソーシャルゲームで次にキャラクター化されそうな元ネタ予想。
などがある。
いずれもゲンが次々に候補を挙げるが、最初はありそうで困るだったものが次第にそれはないという無理やりな候補になっていくのが一種のお約束である。
また、3コマ目と4コマ目の絵を1コマ目のものに差し替えて
- ゲンが特定のテーマや解決すべき問題について紙に回答を描く(1・2コマ目)
- 「…………」(3コマ目)
- 「これじゃ……!」と呟いて描き続ける(4コマ目)
と、うまいこと話が進んでいくコラもある。