「艱難辛苦乗り越えて、見せてやろうか男意気!」
「シンクロ召喚!」
「出合え、ゴヨウ・ガーディアン!」
概要
『遊戯王シリーズ』に登場するレベル6・地属性・戦士族のシンクロモンスター。
江戸時代の警察官に当たる、いわゆる「岡っ引き」のような姿をしている。
史実によれば当時の岡っ引きは犯罪者の内情に通じた軽犯罪者が減刑と引き替えに起用されていたという背景から手柄の為権力に物を言わせかなり荒っぽい捜査もしていたらしく、強引に相手モンスターを逮捕するかの様なこのカードの強力な効果はそのイメージを再現しているのだろう。
相手のカードを奪う能力によって対戦環境を一変させたため、一時期は公式大会で使用禁止に指定されていた。現在はエラッタ(カード効果の調整)を受けて普通に使用できる。
初登場時のカード性能
カードテキスト
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、そのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
解説
現役時代はシンクロ素材に縛りの無いレベル6シンクロモンスターということもあり、多くのデュエリストに愛用された。
シンクロモンスターであるため単純比較はできないが、レベル6で攻撃力2800というのは当時の常識を覆す数値。同時期に登場した《大地の騎士ガイアナイト》はカード効果無しの代わりに攻撃力2600というスペックだけで驚かれたのだから尚更である。
しかもその攻撃力は相手モンスターをパクる効果を発揮するに存分に活かされるという、単体のカードパワーについては非の打ち所がないという有様であった。
さらに言えばこのカードの登場当初は、よりレベルの高いレベル7、8のシンクロモンスターの中ですら、元々の攻撃力でこのカードを一方的に戦闘破壊できるモンスターはデメリット効果を持つレッド・デーモンズ・ドラゴンしか存在しておらず、そちらのレベル帯のシンクロモンスターを主力としたデッキが最悪の場合このカード1枚に苦戦しかねないという逆転現象まで起きていた。
対戦環境への波紋
単純に強力なモンスターでもあるがその真価は当時のシンクロ環境においてほとんどのデッキがこのカードを採用していること、言い換えるならば2800に戦闘破壊されるステータスで、蘇生後にも効果を使えるカードは、相手に奪われて利用されるリスクがあるという存在そのもののプレッシャーにあった。
これにより、環境ではダーク・アームド・ドラゴンのような蘇生不可がメリットとして扱われるようになり、またこのカードの出番を与えないために1ターンキルを狙うことが推奨され、環境を大きく一変させた。
中でも、森の番人グリーン・バブーンのようなビートダウン戦術はこのカードにとってカモそのものであり、瞬く間に姿を消すこととなった。
しかし、実情としてはこのカードは環境ではまるで活躍していない。
というのも、上述の通り環境が1ターンキルに加速した結果、このカードの効果を活かせるようなモンスター同士の殴り合い自体がそもそも環境上位ではほとんど発生しないのである。
一方で、1ターンキルを狙う上でも手軽に打点を稼げる点は重宝するため、ただの戦闘ダメージ要員として高確率で最終盤面に立っており、また採用率自体は採用しない理由が基本的に無いトップクラスの採用率であった。
結果として、環境上位デッキはそもそもこのカードの影響を受けず1ターンキルを決めるが、中堅以下のビートダウンデッキにはこのカードの存在が致命的な壁になるという、デッキ格差を大きく広げる存在として、環境上位と中堅以下での評価の差が極めて激しい存在であった。
(通称ゴヨウライン。殴り合いを行うなら攻撃力2801以上の数値を確保する、そうでないなら特殊効果などを利用することで殴り合いの状況を作らない、というデッキ構築の基準となった。)
このように2008年9月~2009年2月期には、「シンクロアンデット」デッキの流行もあって非常によく使われ(登場した途端に使われまくってはいたが)、制限カードとなった。
その後、エクシーズモンスターの立場の確保のためか、彼の願いが叶ったのか、2011年3月の改定で禁止カードとなってしまった。その後は「深黒の落とし穴」などでネタにされている。
TCG(海外版)では、14/07/14についに制限カードとなり、15/01/01にはさらに準制限カードになり、15/04/01には無制限カードにまで緩和された。
海外では大嵐・ハーピィの羽根帚が禁止カードのため伏せカードが除去しにくく攻撃が通りにくい。また、ブラックホールが準制限、サンダー・ボルトが制限のため返しのターンでそれらを使われ全滅なんて事もある。つまり日本とは環境が異なるのである。
エラッタ後のカード性能
カードテキスト
(攻守などのスペックは同じ)
地属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに守備表示で特殊召喚する。
解説
先述した経緯もあり、禁止期間中も頻繁に物議を醸していた存在であったが、最終的にはエラッタを経ての復帰。
エラッタ後は属性の指定がチューナーモンスターについたのみで、効果は全く変更されていない非常に珍しい形となっている。
上述の通り「あらゆるデッキから出てくる」という存在そのものが最大の強みであった都合上、たとえ効果が据え置きでも、シンクロを主軸とした上で地属性のデッキという限定された相手からしか出てこれないなら、存在することによる問題はほぼ発生せず、段階的に無制限まで緩和されていった。
また、戦闘以外での除去手段が豊富となり、対処手段が増えたことも一因だろう。
効果も墓地を経由するため、下にエクシーズ素材を重ねた状態で無ければ効果を使えなかったり逆にデメリットが発生したりするエクシーズモンスターでは奪う事の利点が薄く、墓地に行かないペンデュラムモンスターはそもそもゴヨウ出来ないなど、環境の変化に伴ったことも起因していると思われる。
後に常に攻撃表示でしかフィールド上に存在する事ができず、守備表示で特殊召喚できないリンクモンスターが登場した事もこのカードにとっては向かい風となった。
それでも、レベル6で2800打点が召喚されるのは十分脅威であり、エクシーズやペンデュラム、リンク以外を主力とするデッキも多く、使用者の力量や相手次第では依然大きな影響力を発揮するのも事実。今後の活躍が期待される。
一方で素材指定そのものが若干厳しい側面もある。
アニメでの活躍
牛尾哲が主人公との2度目のデュエルで初使用。そのパワーと効果で遊星を苦しめるも、最終的にニトロ・ウォリアー、その次のデュエルではターボ・ウォリアーによって粉砕される。
その頃の牛尾はまさに「権力を振りかざす横暴な警察官」であり、彼自身「権力の象徴」としてこのカードを扱っていた。
アニメでのカード効果は「戦闘破壊を無効にし、相手モンスターのコントロールを得る」という内容だった。ゆえに、「~の場合のみ特殊召喚できる」と記されたモンスターに関する挙動に差異がある。当初の効果ならコントロールを得ることができるが、変更後は墓地からの特殊召喚扱いのため不可能。
また、「コントロールを変更する事はできない」などと記されたモンスター(コントロール奪取に耐性を持つモンスター)の場合、アニメ効果では不可能だがOCG効果ではコントロールを得ることができる。
ちなみにアニメでは「ポリスモンスター」と呼ばれている。
エラッタにより一部のアニメでのシンクロ素材は使えなくなってしまっている。
アニメ『遊戯王ARC-V』において舞台がシンクロ次元(5D'sが舞台)に移ってから登場したセキュリティのデュエリスト達が使用するモンスターとして、このカードを意識したゴヨウシリーズが登場している。そのスペックはこのカードを調整したものから、下位個体・上位個体まで幅広く、特に上位のカード「ゴヨウ・キング」はこのカードのデザインを最も意識している。
回想においてデュエリストを拘束する際に使用されている他、キングス・ギャンビット発令時には他のゴヨウシリーズ達と共に実体化して行政評議会を封鎖しているモンスターとして登場している。