シルベストリ
しるべすとり
実は「真夜中のサーカス」時代から存在する。
左手や体内に内蔵した剣を武器とする剣術の達人で、自動人形らの中でも「伝説」と呼ばれる存在。
アプ・チャーと同様に人間社会に溶け込み「笑い」を研究しようとし、フランスの首都・パリの街角で椅子に座り、日がな人間を観察していた。
特に「人間はなぜ群れるのか」を至上命題としており、ケニスから哲学者とも揶揄されていた。
「新・真夜中のサーカス」において旧型ボディになった「最古の四人」を小馬鹿にする者達が多い中、変わらずパンタローネとアルレッキーノを尊重するなど、他の自動人形らとは異なる言動を見せた。
本編の十数年前、パリで人間観察の日々を送っている中、スズラン売りの少女と出会う。
売上を奪われた彼女を何故か助け、以降、彼女が定期的に話しかけてくるという不思議な交友関係を現代まで続け、結果として少女の成長を見続けてきた。
少女がなぜ自分に話しかけてくるのかという感情や動機をシルベストリは理解することが出来ず、「人間はなぜ群れるのか」という命題を持つに至ったのだ。
「新・真夜中のサーカス」が結成されてからもパリにいたが、自動人形の造物主による才賀勝への「ゲーム」が佳境に達したため、造物主から面白い奴として招集を受ける。
アルレッキーノとパンタローネを同時に相手させられるも難なく倒し、次の勝への刺客に選ばれる。
勝との勝負では彼の剣術や傀儡の腕に感心するも苦戦させ有利に事を進める。
しかし、「人間はなぜ群れるのか」への問いかけに対して、
勝「オジさんは変われるの?誰も見ていない暗闇でずうっと同じ芸を繰り返す自動人形は…進化できるの!?」
勝が出した答えに激昂して激しい剣戟戦となった末に、祖父・正ニが生まれる以前の時代から受け継がれてきた勝の剣術(人間が群れた結果、進化させてきた技術)によって切断され破壊される。
「た…たしかに…人間は色々な力を一人の体に…秘めておるのだな…私には…何も…ない…あるのは…何もない部屋…ずっと…ずっと続く…何もない…部屋だけ…だ…」
活動を停止する間際、勝の言葉によって永年抱いていた疑問への答えを悟り、自分も人間たちの輪の中に入りたかったと気づかされたのだった……。
「スズランか…そんなに小さな花が…よりそって…ああ…」
「なんて…きれいなんだろう…」
同じ頃、パリでは大人になり結婚を果たしたスズラン売りの少女が、最近老人を見かけない、と首をかしげていた。
彼女がその老人の話をすると、彼女の娘は自分もお花を買ってもらいたかった、と残念がる。
彼女は呟いた。「あの老人が大好きだった」と。
優しそうで、そして少しだけ寂しそうだった彼が……。
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すべて見る縁は回る、手と手を繋ぐ
時系列は2008年くらい、舞台はパリ。 サーカスで働く勝が、すずらんのお祭りの日にひょんなことからある女性と出逢うお話。 彼女の一人称視点で物語が進みます。4,658文字pixiv小説作品