概要
アメリカの地方都市「スノーフィールド」の警察署長オーランド・リーヴ率いる、疑似宝具で武装した警官部隊『二十八人の怪物(クラン・カラティン)』に所属するメンバーのうちの一人。
元々ダガーを武器としていたが、ジェスター・カルトゥーレとの交戦時に右手首ごと引きちぎられ、以降は特殊なギミックが施された義手を装着する。
人物
市民にとって理想的な警官。正義感が強く、オーランド・リーヴの「君達は、正義だ」という言葉に最も強く縛られている。
かといって短気や思慮が足りないということはなく、真アーチャーの「己の命惜しさに幼子を見捨てる者が、お前達の中にいるのか?」という問いに、「いたところで笑わないし失望もしない。だが、それはお前がここを通るのを許すわけではない」「冷静に先を考えるなら逃げたいところだが、冷静さや未来と引き換えに子供を見捨てて生きる方が、俺は怖い」といった趣旨の言葉を返すなど、恐怖を感じながらも飲み込み、立ち向かうタイプの人間である。
自分を魔術師ではなく警察官と自認しており、より多くの人々を救うことが仕事だとキャスターに語り、一時的に戦線を離脱した後も即座に前線へ戻ることを希望するなど、彼の内面は行動によく表れている。
略歴
魔術師の家系の三男。父親が魔術師であり、母親は数々の功績を挙げ、何度も表彰されている優秀な警察官。
ジョンが物心つくかつかないかといった頃、飛行機の墜落事故によって母親を失う。テレビ越しに見た炎に包まれる母親の姿と、父親が寝物語として語る母親の話が「自分と同じ悲しみを持つ人間を生み出したくない」という想いを形作り、のちに警察官を志すきっかけとなる。
魔術師としての後継者は長男が担い、三男であるジョンや一般人だった母親には魔術の存在を知らされていなかったが、アメリカの中でも上層部の、その一部の魔術を扱う部署には彼らの存在を知られており、魔術協会と疎遠になっている父親を政府が経済的にバックアップする対価として身を差し出される。
己の出自を明かされた時は困惑したものの、自身の手で魔術を発動したときに懐疑の念は消え失せ、代わりに今までにいくつの魔術師の手による迷宮入りや冤罪をかけられた事件があったのかと恐怖を覚える。神秘の秘匿という概念は理解できても、そのために他者を犠牲にすることは一般家庭同然に育てられた彼には理解できなかった。
同時に署長であるオーランド・リーヴから、スノーフィールドが聖杯戦争の戦場となることを告げられる。開戦前にその計画を御破算にさせようと動くも、計画の内容を知るたびに個人の手では何をしようと間に合わない現実を理解させられ、署長の言うやり方が最も合理的だと考えるようになる。
自分たちに英霊という最高位の使い魔を制圧する力があれば魔術師たちへの牽制となると考えるが、根源へ到るためなら自分の命すら使える駒の一つとして扱う魔術師たちにとって、ただ強大な力というだけの『牽制』など体のいい観察対象でしかないこと、魔術協会や聖堂教会といった組織がどれほど老獪な手練手管で世界に根を張っているかなどを、魔術師として育たなかったため理解できていない。
能力
他のメンバー同様、キャスターの手による疑似宝具で武装している。基本的に部隊のメンバーと連携を組むことにより集団でサーヴァントに対抗するが、死徒であるジェスター・カルトゥーレには『人のために作られた』宝具の加護を否定され、ジョンは右手首を失い、部隊も全滅寸前まで追い込まれる。
以降は義手を携えた身となり前線に復帰するが、真アーチャーとの戦いでは彼の大弓に首の骨を砕かれながら吹き飛ばされる。
その後、キャスターの宝具『銃士達よ、風車に挑め(マスケティアーズ・マスカレイド)』によって大幅に強化されて復活。真アーチャーに飛び膝蹴りをかまして吹き飛ばし、着地しようとしたところを一瞬で背後に回り込み足を払いにかかるなど、英霊さながらの常人の域を超える動きを可能としている。
その力は古きギリシャの地で真アーチャーが戦ってきた敵軍の将並みの膂力に達しているが、サーヴァントの領域には到達しておらず、真ライダーと比べても子供に殴られた程度の痛みしか感じさせていない。
にもかかわらず、真アーチャーが近くで戦っていた英雄王や獅子心王ではなくジョンを最も警戒すべき敵として認識したのは、彼の義手に仕込まれていたヒュドラの毒に心眼が反応したため。自分を殺しうる手段を有していることを悟ったことで、ジョンを敵として認識するようになる。
また、セイバーとの対話中に展開されていた従者たちの存在にいち早く気づき、セイバーからも「君は良い官憲というだけでなく、良い騎士になれるな」と感心されている。
魔術師として家督を継いでいないため、魔術刻印は保有していない。
魔術的な精神介入に対する耐性も常人と大差なく、上記の宝具もそこまで補えるほど万能でなかったために、無自覚でとんでもない状況に陥った事も。
余談
地の文では三男とされているが、キャスターが調べ上げた情報では次男坊であるとされ、一部設定にズレが生じているように見える。
可能性として考えられるのは、作者もしくは作中のキャスターが間違えたことだが、後者についてはジョン自身が次男坊であることを否定していないので考えづらい。
さらに別の可能性として考えられるのが、兄弟のうちの誰かが養子もしくは養子に出た可能性である。これはTYPE-MOON作品世界では珍しい事ではなく、魔術師や退魔、混血の家系には遠野志貴や衛宮士郎をはじめとして養子キャラは多い。神秘とは関係ない黄路家のような、『より黄路にふさわしい後継者を求めて子供は全員養子』という財閥の家系すら存在する。
また、彼の作中に陥った精神状態からして記憶・情報操作と同時に身内を拉致された可能性まである。
これもTYPE-MOON世界では前例があり、蒼銀のフラグメンツの終盤で大規模な拉致が行われたうえ、一部の被害者が隠蔽のため記憶操作されている。