概要
近縁のパキケファロサウルスと同じ白亜紀末期のアメリカで化石が発見されており、全長は3メートルほど。
属名は、その角が古代中東で神と称えられ後に悪魔に貶められた魔神「モロク」を彷彿とさせたことと、化石の発掘されたヘルクリーク(地獄の川)層をギリシャ神話の三途の川「ステュクス」にかけて、「三途の川の悪魔」という意味である(似たような名前の由来の恐竜として、同じヘルクリーク層産のアケロラプトルがいる)。
46センチの頭骨には、他の堅頭竜とは異なって、比較的小さく側面にかけてやや平らで梨型をしたドームがあった。さらに頭部の周りに生えた角も、近縁種に比べて長く精巧であった。この角は、単にディスプレイのためだとする説や、鹿などのように突き合わせて戦うための武器だったとする説があるもののはっきりしていない。
近年の研究から、本種と近縁種ドラコレックスは幼体の化石しか見つかっていないことから、成長途中のパキケファロサウルスに過ぎないという説を近年、かつてトロサウルスはトリケラトプスの成熟個体である説を発表したジャック・ホーナー氏が主張している。
メディアミックス
その容姿と名前の由来から、堅頭竜の中ではパキケファロサウルスに次いで知名度が高く、恐竜映画などにも出演している。
初登場はディズニーの『ダイナソー』で、当時は脇役としての登場だった。『ジュラシック・パーク』シリーズでは第5作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』において常連だったパキケファロサウルスを差し置いて登場し、コミカルで愛嬌のある仕草によって演者からも「可愛い」と親しまれている。
劇中では意図した行動ではなく利用された形だったとはいえ結果的に主人公達のピンチを救い、多くの恐竜達の未来を守り、更には凶悪なハイブリッド恐竜がその危険性を理解していない愚か者の手によって、世に解き放たれるのを未然に防ぐという、短い出番にもかかわらず正にヒーローと呼ぶべき大活躍によって凄まじい存在感を放っている。
国内では漫画『現存!古代生物史パッキー』にも本種がモデルのスティギーが登場する他、ポケモンシリーズに登場する化石ポケモンの1つ:ラムパルドのモチーフの1つになっていると言われている。