あいつを外には出せない…。
概要
2018年公開の映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』に登場する架空の人工恐竜。
正式名称は『インドミナス・ラプトル』で、「制御不能な略奪者」を意味する。英語読みはインドラプター。国の方のインドとの関連性はない。
前作のメイン恐竜の一体ブルーと対比されるポジションかつ、炎の王国劇中での実質的なラスボスとなる。
ジュラシック・パーク産のクローン恐竜は繁殖防止のため基本的に雌しか生み出されていなかったが、インドラプトルは雄であり、雄のヴェロキラプトルの遺伝子が色濃く出ているためか頭部や腰、腕に細長い鶏冠が生えている。
特徴
ジュラシック・ワールドでの騒動から3年後、逃亡していた遺伝学者ヘンリー・ウーがロックウッド財団の実質的経営者イーライ・ミルズの助力を得て誕生させたインドミナス・レックス(以下区別のためインドレックス)の小型改良版。インドレックスがティラノサウルスと張り合うほど大型であったのに対し、こちらは全長7.3m、体重1.1tと小型化され、下向きに壁を這い降りるなど、かなりの身軽さも見せている。
とは言え他と比較すればユタラプトルを超える大きさであり、肉食恐竜では中~大型と言って良い。
インドレックスの遺骨から得たデータで作られたため、同様にヴェロキラプトル、ティラノサウルス、ギガノトサウルス、カルノタウルス、マジュンガサウルス、ルゴプス、テリジノサウルスの遺伝子を持つキメラと思われるが、体色は白かったインドレックスとは対照的に黒で、側面に黄色い線が走る。
インドレックスがティラノサウルス型とすれば、インドラプトルは一見すると名前通りのヴェロキラプトル(ドロマエオサウルス)系の体型になっている。
両足にはヴェロキラプトルと同様に可動式の鉤爪があり、劇中ではこの爪を人間が机を指で叩くような動作で動かして床を叩き、コツコツと音を立てる描写が度々見受けられる。この仕草は1作目のヴェロキラプトルが人間を追い詰める際に見せたのと同じで、オマージュだと思われる。
その一方でテリジノサウルスやインドミナスの遺伝子の影響か、身体に対する前肢の長さや掌の大きさ、指はヴェロキラプトルよりも長大になっている。体型との比率で言えばインドレックス以上に長く、まるでネコ科の猛獣の如く前肢を地面につけて四足で歩行することもある。
指先はとても器用で、ノブをつまんで回し、窓のロックを開けて侵入するなど繊細な動きも可能としている。
嗅覚が発達しているのか、劇中では頻繁に地面を嗅ぎまわって獲物を探していた。
視力も悪くはないようだが、暗がりで獲物の居場所を把握できなくなって待ちぼうけを食うなど、現生の肉食獣などに比べると暗視能力は高くない。
表向き展示用とされていたインドレックスと違い最初から軍事目的で開発されていて、赤色の可視光レーザー照準機が当てられた相手を目標に定め、音響シグナルで攻撃を開始するという人工的な習性を持たされている。
この反応は本能的なレベルのものらしく、他の目的の真っ最中であってもレーザーの指示と音の合図を優先した行動をとってしまう。もっとも、これ以外の指示や命令に従うような事は無く、劇中では研究所の係員だろうが制御装置の所持者だろうが区別なく、機会さえあれば襲うか、襲いかかろうとしている。
捕食や自己防衛と無関係な殺戮を行ったインドレックスと同等以上の凶暴性も持ち、知能と狡猾さも負けず劣らず。
詳細は後述するが、人間が使う麻酔銃の効果と意味を理解できるほど思考力が高く、それを逆手に取って誘い込むという手管も見せている。
また一度狙った獲物に対しては異常なまでの執念深さを見せており、地下室で一度捕らえることに失敗しているメイジーに対しては、オーウェンとクレアを襲っていたにもかかわらず、逃げ出したメイジーの悲鳴を聞き付けた途端に目標を切り替えて追いかけ始め、一度は完全に見失ったあとも探し回って見つけ出している。
インドレックスの時から散々な目にあっている開発者のウー博士はこの凶暴性と狡猾さを危険視していて、兵器としての利用など到底できない名前通りの「制御不能」とみなしており、この個体はあくまで外部に出せない試作体として扱っている。
博士はとある手段を用いて、インドラプトルの能力を持ちながら人間が手懐けられるという、極めて都合の良い新種を作り出そうとしていたのだが…。
劇中での活躍
※以下、更なるネタバレ注意
ミルズが裏で手をまわして、イスラ・ヌブラル島のラグーンから採取したインドレックスの遺骨のDNAをベースに、ウー博士がロックウッド・エステートの地下研究室で誕生させた。
飼育されている檻の電球をわざと壊し、電球を換えに麻酔銃を2発撃ちこんで入った研究員を捕食、以来檻は電球も変えられず暗いままだった。
クレア・ディアリング率いる恐竜保護団体「Dinosaur Protection Group(DPG)」が火山噴火の迫るイスラ・ヌブラル島からの恐竜救出計画を立てていることを知ったミルズは、保護した恐竜たちを裏で密売する計画を立て、そのオークションでインドラプトルの試作体を披露しようと目論んだ。
この計画でミルズは特にブルーの救出に拘っていたが、これはウー博士の指示で、ラプトルの中でも特に社会性の高いブルーの遺伝情報を組み込んだ次世代のインドラプトルを造るため。さらにブルーをリーダーとした母系の群れとして教育することで、生物兵器として使えるだけの社会性を植え付けようと考えていた。
オークションでは中盤に「非売品」として披露されるも、その稀少さや高性能ぶりに目を付けたゲストたちが高額な落札値をつけ始め、欲に目が眩んだミルズはウー博士の反対を押し切って競売に乗り出した。ロシアンマフィアのアントンが3700万ドル(約40億円)の値を付けたが、落札を阻止するためにオーウェンが解き放ったスティギモロクが会場で大暴れしたことで、落札はうやむやになる。
何とかインドラプトルの落札と搬出は阻止されたものの、ギャラの相談でミルズを探していた恐竜捕獲部隊のウィートリーが騒動を知らずに会場にやって来たために事態は悪化することになる。
ウィートリーは檻に収まるインドラプトルに「こんなヤツ、島にいたか?」と言いながら興味を示し、獲物の歯を生きたままへし折り収集する嗜虐的な趣味からインドラプトルの牙にも目をつけた。
麻酔銃を打ち込み、檻の中に入ってその牙を抜こうとするウィートリーだったが、インドラプトルの歯根は予想以上に硬くて抜けない。
しかも、飼育室の電球を壊した際の経験からかインドラプトルは「麻酔が効いたふりをすれば人間は油断して檻を開き、近づいてくる」と理解しており、狸寝入りをしていただけだった。
おちょくるように何度も尻尾を振り動かし、眼を細めて唇を歪めるなど、悪意を持って嘲笑するかのような仕草を見せた後、ウィートリーの右腕を食い千切り、命乞いする彼を容赦なく殺害。開いたままの檻から脱出した。
檻から抜け出すとウィートリーだけでは物足りなかったのかエレベーターで逃れようとしていたオークションの司会者グンナー・エヴァーソルとゲスト3人に目をつけ、エレベーターの装置を壊して瞬く間に皆殺しにする。
この時もエレベーターの動きを制御している装置があることを短時間で見抜いて壊したのではとも言われているが、映像描写を見ると偶然に尻尾がエレベーターのスイッチに当たっただけの可能性もある。
会場から逃れた後は、ロックウッド・エステート内にいる人間を片っ端から虐殺しつつ徘徊していたようだが、一度取り逃がしているメイジーを目にすると執拗に追いかけ始める。
部屋に逃げ込んだ彼女を追い詰めホラー映画さながらに手を伸ばすが、そこへ救助に現れたブルーとオーウェンのコンビと死闘を繰り広げた。
最終的にはガラス張りの展示室の屋根に彼らを追い詰めるものの、オーウェンの挑発に加え、クレアが持ってきた目標指示装置のレーザーと音響シグナルで攻撃タイミングを操られ、ガラス天井に飛び込んでしまう。
天井のフレームに爪を立ててしぶとく這い上がろうとするインドラプトルだったが、ブルーの奇襲により墜落。下に展示されていたアグジャケラトプスの頭骨化石に落下し、角で体側から串刺しにされ力尽きる。
新種として生み出されたインドラプトルだったが、檻から出た後は一夜も越えることなく絶滅した。
関連イラスト
擬人化
インドラプトルの性別は、他の恐竜と異なりオスなので、これらのイラストはある意味正しいと言える。
関連タグ
ティラノサウルス・レックス(レクシィ)、ブルー(ジュラシック・ワールド)、モササウルス、インドミナス・レックス ジュラシック・ワールド/炎の王国
ネオザルス(ウルトラマンダイナ)-軍事目的で雑多な生物の遺伝子を掛け合わせられ、その凶暴さ故ほぼ同じ方法でコントロールしようとしている者繋がり。
ドラキュラ-インドラプトルのキャラクター像のモデルとなり、「黒い雄の悪役」「ヒロインを執拗に獲物として狙う」「最後は主人公たちに串刺しにされ倒された」など様々な点で共通している。
黒一点-作中に登場する唯一の雄であるため。
哀しき悪役-彼も人間に利用されているに過ぎない。