はたらく細胞に登場する「ステロイド」
概要
天然に存在するトリテルペノイドの一種。ほとんどの真核生物に存在し、生体内で生合成される。
生体の維持に重要なホルモン類として利用される。
皮膚の炎症を抑えるための塗り薬や喘息の吸入薬に含まれている副腎皮質ホルモンが馴染み深いが、男性ホルモン類似のアナボリックステロイドも運動選手がドーピングに使用する事で知られる。
※pixivでは医薬品ではなく、ドーピングに関するイラストが多い。
ステロイドホルモン
- 副腎皮質でコレステロールから合成される糖質コルチコイドは炎症の制御、炭水化物の代謝、タンパク質の異化、血液の電解質のレベル、免疫反応などに関わるホルモンで、医薬品としても使用される。
- 副腎皮質の球状層で産生される鉱質コルチコイドは、ナトリウム等のミネラルの再吸収を制御し、血圧を維持する。
- 性器の分化、性徴の発現に関わる性ホルモンには、男性ホルモン(テストステロン)、女性ホルモン(エストロゲン、黄体ホルモン)等がある。
ステロイドとドーピング
アナボリックステロイドは男性ホルモンが不足した人の治療薬として開発されたが、筋肉においてタンパク質を細胞内組織に変える働きがある。
スポーツ選手に筋肉増量のため使用されるようになり、1988年ソウルオリンピックにおいて、ベン・ジョンソンによるスタノゾロール使用が発覚したことで、一般社会からも関心を向けられるようになった。
アナボリックステロイドには用量依存性があり、濫用すると肝障害、肝臓癌、前立腺癌、高コレステロール血症、高血圧症、多血症、心筋梗塞、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、性機能低下症、ニキビ、筋断裂、痛風、頭髪の消失、体毛の増加、精神病などの副作用がある。
また男性の場合、過剰なテストステロンがアロマターゼの作用によりエストロゲンに変化して女性化が起こり、乳房の発育、睾丸の萎縮、無精子症、前立腺肥大、生殖不能症などを引き起こす。
- バリー・ボンズは「ステロイドを使ったからといってボンズほどの技術は簡単には身に付かない」と擁護されていたが、眼球を動かす筋肉もステロイドで増強され動体視力が上がるため、「結局はドーピングの産物」と切り捨てられる傾向にある。
- 格闘技においてステロイド使用者はステロイダーと呼ばれる。ステロイダーと試合して選手生命を絶たれる者、死ぬ者も出たため忌避感が強い。UFCで問題になってドーピング検査が厳しくなったが、それでも検査をごまかそうとする者が後を絶たない。