概要
トランスグローバルとは、かつて海外作品の輸入及び国内配給・字幕や吹き替えの翻訳などを行っていた企業。この会社では翻訳どころか、ギャグ演出(アドリブ)の特徴があった。配給もしていた時期がある。
戦後すぐの時期(1945年頃)から創業し活動を始めた、過去の正式社名は株式会社グローバル・プロダクションだった。
一時期、倒産した会社らが保有していた特撮番組の版権・フィルムを買収したことがある。『怪獣王子』では一部ネガフィルムが消失しており、LD-BOX化の際に再放送用フィルムが使用されたとされる。
本社は東京都千代田区紀尾井町にあり、かつて本社と同じ住所に存在した「株式会社弁慶橋エステート」を2016年12月31日に合併している。
近年では主立った活動は無いが、前も述べたように会社自体は存在している。
本社が吹き替え制作の下請けをする際、「機材を揃えていること」「演出料だけを支払う」という条件だった。現在の代表は不明だが、音響監督の田島荘三によると「ルー」という華僑出身の人物だったとのこと。(参照)
翻訳クレジットでは翻訳者の名前を出さず、一貫して「トランスグローバル」名義だった。
また、1967年には翻訳の著作権関係で裁判も起こされている。(参照)
主な作品
映画
- アウト・フォー・ジャスティス(ソフト版)
- 悪魔の追跡
- 明日に向って撃て!(フジテレビ版)
- インナースペース(劇場公開/ソフト版、マーケット・リサーチ版)
- エイリアン(フジテレビ版)
- オーメン(TBS版)
- 頑張れフリッパー
- 北国の帝王
- グレムリン(ソフト版)
- 黒ひげ大旋風(ソフト版)
- 刑事ニコ/法の死角(ソフト版)
- ゴーストハンターズ
- 荒野の掟
- ザ・フライ
- 猿の惑星シリーズ
- 猿の惑星(TBS版、フジテレビ版)
- 続・猿の惑星(TBS版)
- 新・猿の惑星
- 猿の惑星・征服
- 最後の猿の惑星
- シシリアン
- ジュリア(フジテレビ版)
- スイスファミリーロビンソン(ソフト版)
- 聖衣(フジテレビ版)
- 地球の頂上の島(TBS版)
- 月蒼くして
- デッドフォール
- 天地創造(TBS版)
- トラ・トラ・トラ!
- ナイルの宝石(フジテレビ版)
- 南部の唄(ポニー版)
- ネバダ・スミス(フジテレビ版)
- ハード・トゥ・キル(ソフト版)
- バットマン(ソフト版)
- バンドレロ
- フランティック(ソフト版)
- フレンチ・コネクション(フジテレビ版、第2作まで)
- ヘルハウス
- 星の国から来た仲間(フジテレビ版)
- ポセイドン・アドベンチャー(TBS版)
- ポパイ(フジテレビ版)
- MASHマッシュ(フジテレビ版)
- メリー・ポピンズ(フジテレビ版)
テレビドラマ
- 宇宙家族ロビンソン
- 怪鳥人間バットマン
- グリーン・ホーネット
- コンバット!
- ザ・ルーシー・ショー
- 猿の惑星
- 事件記者コルチャック
- すてきなリッキー
- 壮烈!西部遊撃隊
- ピーター・ガン
- 秘密諜報員ジョン・ドレイク
- ペイトンプレイス物語
- 北西への道
- ラットパトロール
- 0011ナポレオン・ソロ
テレビアニメ
- アクアマン(1966年のアニメ、青野武による吹き替え版)
- 王とオデイ
- ガミー・ベアの冒険
- 騎馬警官ダドリー・ドゥーライト(東京12チャンネル版)
- クロンダイク・キャット
- ジャングル・ブック(ブエナ・ビスタ版)
- スパイダーマン(富山敬版、田中秀幸版)
- スカイホーク
- スーパーマンの新冒険
- ダックにおまかせダークウィング・ダック(シーズン1)
- テイルスピン
- トムとジェリー(TBS版)
- おかしなおかしなトムとジェリー大行進(日本テレビ版)
- バッグス・バニーとゆかいな仲間たち(静岡第一テレビ版)
- バッグス・バニーのぶっちぎりステージ(第26話まで、ワーナー・ブラザース、LCAエンターテインメントとの共同制作)
- マイティ・ハーキュリー
- ミッキーマウスとドナルドダック(日本テレビ版)
アニメ映画
- 王様の剣(ソフト版)
- オリバー:ニューヨーク子猫ものがたり
- リトル・マーメイド(第1作のみ、追加収録ではスタジオ・エコー)
- ダンボ(ソフト版)
- ピーター・パン(TBS版、ポニー・バンダイ版)
- 美女と野獣
- ピノキオ(ポニー・バンダイ版)
- ふしぎの国のアリス(テレビ版、ソフト版)
日本語版製作
概要で述べた通り、この会社が活動したのは1945年頃。本社のデビュー作品は不明。
本社では様々なアドリブが多用され、多くの作品が日本に上陸してきた。
一番有名なのはトムとジェリーである。この2匹のネコとネズミには台詞が無いが、日本独自に台詞を付けたものが放送されていた。1990年代以降はトランスグローバルの吹き替え作品が徐々に減り、既存の作品は別の会社(例:ムービー・テレビジョン(現・グロービジョン)、東北新社、スタジオ・エコーなど)によって再録音されている。近年に広川太一郎の吹き替え版を収録した怪鳥人間バットマンのDVD/BDが発売されており、ディズニープラスでもトランスグローバル翻訳作品を配信している。