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曖昧さ回避

  1. アイヌ民話に伝わる淫魔※この項で解説
  2. の一種。 →ポーチ

概要

パウチ(pawci)とは樺太アイヌの古謡で「巫女」を指す語、転じてその巫女に神掛かる憑神(トゥレンプカムイ)をも指す。そして、現在のパウチカムイはこの憑神が零落した姿であると言われている。また樺太では別名として「トポチ」がある。

地域によってその性質にはかなり差があり、例えば石狩川流域に伝承されるパウチカムイは工芸の女神であるとされる。観光地として有名な層雲峡はパウチカムイの砦であり、ここに住むパウチカムイは(あたかもドナウ川のローレライの如く)魅惑的な裸身で舟人を誘惑し、舟を難破させると言われている。

千歳地方の伝承ではパウチノッカ(Pawci notka)とも呼ばれ、「トルルルル…」と鳴きながら(コルルラッキと言う)飛ぶ変幻自在の魔物とされる。これに憑かれた者は運が落ち、死ぬほど不幸な目に遭う。

然し、大多数の地域では一種の邪悪な憑きもののように語られている。これに憑依された者は言動が常軌を逸脱し、男女問わず裸になって走り回るなどの奇行に走り、やがて疲弊して死んでしまう。パウチカムイが憑依した人間の行列に遭遇した者も同様の症状に落ち入る事がある。大量のパウチ(美形の裸族、男女有り)が踊りながらやって来て、コタンを崩壊させた、と言う伝承が数多く残っている。

普段は天にあるススランペッ川と言う大河の畔に居り、男も女も皆全裸で踊りながら過ごしている。そして彼らが踊りながらヤナギの葉を川に投げ入れるとそれが変じてシシャモになり、下界の川に泳ぎ出ると言われる(その為一部の地域ではシシャモをパウチカムイの魚として恐れ忌み嫌った)。

知里真志保によれば、「パウチカル」とよばれる、身をかきむしり血を出して暴れる憑き物があったという。これはパウチ(の他憑き物には「コシンプ等の種類がある」て書いてある)が憑依した人の後ろで、赤い薄刃の菜切り包丁(Hure epeysep)で胸を叩き叩きしてリズムを取り踊りつつ、その包丁を渡し、憑かれた人はそれで身を切るので出血するとされ、憑き物はその血を啜ると言われる(『知里真志保著作集 別巻2』平凡社 昭和50年刊144頁に「対処法は次のとおりである」て書いてあるけどそれがない)。

余談になるが、アイヌ語でウコパウチコロ(互いにパウチを持つ)と言えば性行為の事、パウチコロベ(パウチを持つ者)と言えば美人だが何処か妖気が漂う女性へのやっかみの言葉として用いられる。

創作での扱い

『死神大戦記』には、「正義の神のしもべである老婆」として登場したが、後に月刊ムー誌に掲載された「水木しげるの憑物百怪」では、「はだかのおねえさん」として描かれている。

「水木しげる 妖怪物語」では「何よりも美しさを求めていたパウチは、ある時衣服を着ているよりも裸の方が美しいと悟り、技を捨てて、人間を誘惑する淫魔になり果てたという」と解説されている。

#133「お色気妖怪・精霊パウチの巻」に登場。植物の根のようなメカクレ女精霊で、童守小に現れて、内気でおとなしいのろちゃんに憑りつき、色気たっぷりな姿に変えてしまったが…

センシティブな作品
  • 幻獣物語2

パウチカムイ名義で登場。

有珠山高校の大将獅子原爽の能力「カムイ」として登場。直接相手の肉体に影響を与える能力だったので対局中には使わずにいたが、対局終了後にどんな能力か興味を持ったネリー・ヴィルサラーゼに請われて使用し、「ふひゃっ」の声と共にビクッとさせてその効果を知らしめた。

なお戒能プロによると自身にも同様のことができるとか。

奪った飛行船の不時着により大雪山のパウチチャシ(パウチカムイの住む村)と呼ばれる奇岩付近にたどりついた一行。

天候悪化により気温が下がり、白石が低体温症によって錯乱。素っ裸になって踊りだしたためアシリパがパウチカムイに憑りつかれたと怯えてしまう。

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