概要
初登場はファミコン用ソフト『レッキングクルー』(1985年)。
マリオの邪魔をするライバルとしてマリオを壁の反対側から妨害してくる。見た目は作品によって多少違うが(詳しくは後述)『レッキングクルー』では茶色のオーバーオールに黄ばんだような色のシャツ、茶色のヘルメットをかぶり、サングラスを掛け顎髭を蓄えている。年齢はわからないが当時は「意地悪おじさん」と呼ばれているのでマリオよりは年上かもしれない。ちなみにクッパより先輩のマリオのライバルである。
なお、1984年の元祖アーケード版には登場しておらず、AC版の2人同時プレイにおける画面裏側(AC版ではマリオvsルイージ)のポジションを第三者のお邪魔CPUとして置き換えた結果とも言える。
欧米版での名称は「Spike(スパイク)」、もしくは役職名を付けて「Foreman Spike(フォアマンスパイク、直訳するとスパイク親方)」となっている。
…というのも、単に「Spike」だけだと『スーパーマリオブラザーズ3』等に登場するガボンの英名と被ってしまうため、区別のため後者で呼ばれることも多い。
だが、後に日本国内でも…(後述)。
1989年に『ファミコン通信』の読者投稿コーナー「ファミ通町内会」にて『ブラッキー'89』( - エイティーナイン)という4コマ漫画が掲載された。内容はマリオとルイージがそれぞれ「マリオでーす」「ルイージでーす」と挨拶すると観客たちの歓声と拍手に包まれたのに対し、ブラッキーが「ブラッキーでーす」と挨拶すると歓声も拍手も無く、観客たちから「誰だ、それ?」と言われるというもの。
その後、同誌にゲーム業界漫画『あんたっちゃぶる』を連載していた鈴木みそは、『ブラッキー'89』をきっかけにブラッキーを「ゲーム同窓会をどうそうかい」の回(単行本4巻収録)で主人公とした。ゲームを映画に見立てた世界において、ゲーム役者のプライドを保ちながらも仕事が無いまま業界にしがみつくその哀愁漂う姿は読者の人気を呼び、後に『ファミ通』に連載された続編的作品『おとなのしくみ』においても何度か登場した。
『レッキングクルー』以降は同作品の続編にあたるSFC(ニンテンドウパワー)ソフト『レッキングクルー'98』(1998年)にて13年ぶりに登場。今作ではクッパと一時的に手を組みマリオの妨害をする。一瞬だけだがこのゲームでブラッキーの声が聞くことができる。
本作中では「元祖マリオのライバル」を自称しているが、ドンキーコングよりは後である。
尤もドンキーコングは設定上は「マリオのペットがヤキモチで逆らった」だけだということを考慮すると、明確にマリオに敵対したのは彼が初なのかもしれない。
またゲームボーイカラー用ソフト『モバイルゴルフ』(2001年)にモバイルシステムGBを使ってブラッキーをダウンロードすることができた。2022年現在、このサービスは終了している為ブラッキーのデータが入ったソフトを手に入れるのはほぼ不可能となっている。
そこからさらに時間が開いた後、『スーパーマリオメーカー』(2015年)にて約14年ぶりにゲームに登場することが判明した。キャラマリオの一人として登場している。
また、『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』にてマリオが選べる色換えのうち茶色の服装は「スマブラ拳」において「ブラッキーカラー」と呼称されている。
そしてまさかの「Nintendo Direct 2021.9.24」にて発表された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』にて、各キャラクターの声優が発表される中で彼の姿が確認された。演じるのはアメリカのコメディアンで俳優の「Sebastian Maniscalco」である。
公開日は2023年の4月28日。マリオとルイージの元上司で独立したマリオたちに不快感を抱いており、彼らを『シッパイマリオブラザーズ』呼ばわりしてバカにしている。
それのみならず、実際に作られたマリオ達の会社のホームページをよく見ると、彼がレビューに☆1をつけて恨み節を書いていたり…
現在では「マリオに似た姿のライバル」というコンセプトはワリオが受け継いでいる。なおブラッキー、ワリオは共に任天堂グラフィックデザイナーの清武博二がキャラクターデザインを手がけている。
作品ごとの外見の違い
初登場の『レッキングクルー』では上記のとおり、茶色のヘルメットにオーバーオール、サングラスを掛け顎髭を蓄えた外見であるが、『レッキングクルー’98』では現在のワルイージににサングラスを掛けたようなデザインになっており、色も全体的に黒を基調にしているシャツも黒のランニングシャツになっている。『モバイルゴルフ』だと全体的に紫色を基調としたデザインとなっている。ゴルフウェアを身にまとい、顎髭も増えたうえに毛の色まで紫色になり、ヘルメットではなく黄色の帽子をかぶっている。『マリオメーカー』では初期のデザインでの登場となっている。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』では過去作と同じく髭面にサングラスで『WRECKING CREW』のロゴが書かれた青い帽子とツナギを着用している。
出演作品
- レッキングクルー(ファミコン版)
- レッキングクルー'98
- モバイルゴルフ
- スーパーマリオメーカー
- ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
声優
セバスティアン・マニスカルコ(原語版)/間宮康弘(特別日本語版)-2023年版劇場アニメ
改名
2023年4月20日、任天堂公式ツイッターより、ブラッキーの名称を日本国内においても欧米版と同じ「スパイク」に変更することが発表された。
同月28日より日本公開予定の映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の日本語版でもブラッキーではなく「スパイク」の名で登場するとのこと。
日本では実にデビューから38年越しの改名となる。
改名の理由については任天堂公式からは明言されていない。
しかし、ユーザーからの憶測として様々な説が囁かれており、
- 「Black」という単語が「黒人差別」ととられる可能性があるため(ちなみにブラックマジシャンなど日本語で「ブラック」と付くキャラクターは同じ理由で海外では「ダーク」「シャドウ」などが使われる)
- 同名のポケモンとの名前被りを避けるため(ちなみにポケモンの方も英語圏では「Umbreon(アンブレオン)」と異なる名称)
の2つが有力とされている。
1.については「ポケモンの方はそのままなのにマリオだけ変えるのか?」という疑問点もあるのだが、今回の場合は映画の特別日本語版がアメリカでも字幕公開される影響も大きいと思われる。
大きな話題こそ呼んだものの、マリオキャラの改名は別に今回が初めてではなく、ポリーンは「レディ」だったし、それこそマリオだって最初は「ジャンプマン」だった。逆に、ピーチ姫は昔は海外では「トードストール」だったものが、後に日本と同じピーチに統一されたという例もある。
尚、スパイクの名で新たに記事を作成し、本記事の内容をそちらに移行するかについては現時点では未定。上記の通りガボンの英名とも被るため、厄介な問題である。
実際、かつての実写映画『魔界帝国の女神』の日本語版ではガボンの方が「スパイク」名義で出演していたりする。
そのためか、後述のWikipediaや任天堂大辞典wikiでは項目改名の際、作品名入りの「スパイク(レッキングクルー)」表記を採用している。
関連動画
関連タグ
ブラッキー……ポケモンのブラッキー。任天堂の「ブラッキー」といえば多くの方はまずこちらを思い浮かべるであろう。上述の通り改名の原因になった可能性も囁かれる。
外部リンク
以下ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのネタバレ注意
終盤マリオが計算違いでクッパ軍団をブルックリンに招き寄せてしまった際にはパニック状態になり、なす術なくヘイホー、ムーチョ、カロン、ハンマーブロスに襲われてしまうが、無敵化したルイージに助けられ、彼がマリオと共にブルックリンを救う姿を見てマリオ達を認め、彼らの企業名「スーパーマリオブラザーズ」を民衆たちの前で叫び宣伝するという大役を務めた。
ちなみにマリオがスパイクの元から離れたのは「もっと大きな事をしたい」と考えたのが最大の理由だが、それだけでなくスパイクのやり方に嫌気が差していたというのもあった。また当作のマリオ兄弟は「イタリア系アメリカ人」という設定で、マリオというキャラが生まれた当時のイタリア系の人々の事情がストーリーに組み込まれている所を見ると、スパイクは正に「現実の体現者」であり、マリオ兄弟の超えるべき壁であったと言える。