概要
『温泉わくわく大決戦』の同時上映作品として公開されたクレしん映画のショートアニメ映画。
ちなみに、クレしん映画において同時上映作品はこの作品のみであることに加え、内容自体もかなりシュールで、子供よりも大人が笑うネタにギャグを割り振っている。
勿論、子供も笑えるようにネタ自体は工夫されているが、それでも子供向け映画とは思えないほどに笑いのセンスがトガリに尖りまくっている。
本作で水島努は監督デビュー。挿入歌の作詞・作曲もする力の入れようであった。
内容
一本のアニメ作品ではなく、幾つかの短いギャグネタを組み合わせたオムニバス形式の短編映画であり、そのギャグのネタもパロディを中心に、子供向けではないシュールかつコアなネタを組み合わせている。
野原刑事の事件簿
下着ドロボーの容疑で捕まった組長先生をしんのすけが取り調べるエピソード。
元ネタになったのは、しんちゃんが刑事になったレパートリーのエピソードであり、テレビアニメ版のスペシャルでも同エピソードはかなり尺を取って作られるのだが、本作内ではそれをショートアニメに仕立て上げている。
ひまわり ぁ GOGO!
動き回るひまわりの視点で、ひまわりが蝶を追いかけるエピソード。
ひまわりの視点でのカメラアクションが特徴的である。
ふしぎの国のネネちゃん
ウサギのぬいぐるみを追いかけたネネちゃんは不思議の国に来てしまうエピソード。
元ネタになった不思議の国のアリスの通り、最終的にはネネちゃんの夢オチだったのだが、幻想的な世界観が特徴のアリスとは違い、麻雀、花札、競輪、ボートレースなどがモチーフになっており、無駄に親父趣味が強い夢となっている。
ヒーロー大集合
町に現れた巨大なス・ノーマン・パーをカンタムロボ、アクション仮面などのヒーロー達が退治しようとするエピソード。ヒーロー達に対する皮肉として描かれたブラックユーモアのあるギャグが特徴。
私のささやかな喜び -A motion for a long time.-
みさえの便秘解消の喜びをミュージカルで表現したエピソード。
この映画の中で一番の長尺であり、当時のクレしんキャラクターが多数登場し、メインとなるエピソードと言って過言ではない。
ぶりぶりざえもんの冒険 銀河篇
我らの救いのヒーロー、ぶりぶりざえもんが登場する。それだけ。
あまりの扱いにぶりぶりざえもんが「おわるなーッ!!」と突っ込んで地球に落下した直後に本映画のエンディングに突入する。
余談
ふしぎの国のネネちゃんでは、ネネちゃん以外のかすかべ防衛隊の四人(しんちゃん、マサオくん、風間くん、ボーちゃん)が麻雀をするシーンが差し挟まれている。
麻雀の結果は、マサオ君が他の三人にカモにされて身ぐるみはがされると言う、ある意味いつも通りのシーンなのだが、その際にボーちゃんは大三元、しんちゃんは四暗刻単騎、風間君は国士無双を上がっている上に、マサオ君は中牌を自信満々に放銃している。(ちなみにこの時、ボーちゃんは中×2白×3發×3の中待ち。しんちゃんと風間くんは中の単騎待ち)わかる人はわかるが、色々とあり得なさすぎる上に、マサオ君はよく身ぐるみはがされるだけで済んだな。と言えるほどの大敗である(最大16万点負け)。
ラストの『ぶりぶりざえもんの冒険』には続きがあり、本編の『温泉わくわく大決戦』の中盤で「流星篇」、エンドロールの終盤で「ニューヨーク篇」が展開されているが、やはりあまりにあっけない内容である。
エンディングのスタッフロールではキャストとスタッフ(団体以外)の全員に星座がついている。これは、後に水島が監督した『撲殺天使ドクロちゃん』でも行っている。