※この記事は、英霊剣豪七番勝負の重要なネタバレ要素を含みます、ご注意ください!!
「出でよ、血華咲き誇る我らが極地!
敗北せし者の魂を取り込み喰らう屍山血河の死合舞台!
我が刃の忌名、ランサー・プルガトリオ!
我が骸の真名、宝蔵院胤舜!」
プロフィール
概要
第1.5部亜種並行世界下総国において、次から次へと出現する怪異と戦っていた主人公と宮本武蔵。そこへ突如として現れ、事実上助太刀する形となったのが宝蔵院胤舜であった。
胤舜は、自分自身がこの世界に召喚されたサーヴァントだという自覚はあるものの、誰によって何のために召喚されたのか見当が付かないという状態だった。
気付けば香取神宮で召喚され、今いるここが徳川家光治世下の下総国であるという知識が与えられていたこと以外、皆目わからない。
しかし、何やら嫌な予感だけはあり、すぐさまその場を離れ一人彷徨いながら遭遇する怪異を自慢の槍で斃し続けていたところ、主人公一行と出会った…とのこと。
当然ながら宮本武蔵の存在は知っていたものの、ここで出会った武蔵が女であることに驚愕。当初は戸惑いを覚えていた胤舜だったが、続々出現する怪異を共になぎ倒して意気投合。
彼女の剣技を間近に見て、まさしく(自分が聞き及んでいた姿と違うとは言え)新免宮本武蔵に違いないとその存在を認めた。一方の武蔵も、音に聞こえた宝蔵院胤舜の超絶な槍術を目の当たりにし、彼に尊敬の念を抱くのであった。
その後、おぬいと田助を送り届ける道中、一切鏖殺の宿業を背負う英霊剣豪六騎が一行の前に立ち塞がる。ここで胤舜は、自身を囮として他の皆に逃げるよう告げる。
そして、主人公らが断腸の思いでその場を離れると、英霊剣豪セイバー・エンピレオとの一騎討ちに挑む。激しい闘いが続き、ついに胤舜はエンピレオの心臓を槍で捉えることに成功する。しかし、霊核を貫いた実感があったにもかかわらず、どういうわけかエンピレオは倒れない。そこへ、英霊剣豪キャスター・リンボが近寄り、妖術を以て胤舜の動きを完全に封じてしまう。
ここでリンボは、英霊剣豪は香取神宮で七騎が召喚されたが、その内の一騎のみが自由意志を持ってしまい離脱した旨を語る。そう、その離脱した一騎こそ、宝蔵院胤舜。すなわち、七騎目の英霊剣豪は他ならぬ宝蔵院胤舜だったのだ。続いてリンボは、胤舜の霊基を弄り、本来のあるべき姿へ作り変える作業に移った。
主人公、武蔵、おぬい、田助の四人は英霊剣豪たちから何とか逃げ切ったが、そこへ胤舜が姿を現す。彼が無事に生還したとしてホッとした一行だったが…
「……逃げろ。……逃げろ武蔵。おぬい。田助。
……逃げろ、逃げ続けろ○○(主人公の名前)。
……追い付かれるな。決して。
…………変生した俺に追い付かれるな!!」
そこには明らかに人相の変わった胤舜の姿があった。彼は既にあらゆる人間を殺し尽くすためだけに動く化生と成り果てていた。
それはもはや胤舜ではなく、英霊剣豪ランサー・プルガトリオであった。問答無用で襲い掛かるプルガトリオに対し、武蔵はその首を刎ねることに成功するが、プルガトリオはすぐさま首を元に戻して復活。武蔵の剣を「素振り包丁」と嘲ってみせた。武蔵は容易く勝てない相手と悟って主人公共々その場を素早く離脱した。
主人公らはおぬいの道案内の下、里の手前まで到達するが、サーヴァントがノロマであるはずもなく、程なくして追い付かれてしまう。一行は傍にあった積み藁の中に隠れて難を逃れるが、そのまま里へ侵入したプルガトリオは、一切鏖殺の宿業に従い、里の住人を文字通り皆殺しにするという凶行に出る。
里での虐殺の後、一行はおぬいと田助が暮らす庵へと辿り着く。だが、ここにまでプルガトリオはやって来た。西と北の里でさらなる殺戮を済ませた後に。武蔵は庵の主から一本の刀を借り受け、プルガトリオに再戦を挑み、ついにこれを討ち取った。プルガトリオはそれまで並々ならぬ殺意を向けていた武蔵に対し、最後に「かたじけない、武蔵殿」と言い遺し、消滅した。
胤舜は、下総国において主人公が最初に出会ったサーヴァントであり(ちなみにこのシナリオの武蔵はサーヴァントではない)、快男児とも言うべきその爽やかな性格も相俟って、すぐに主人公や武蔵らと打ち解けるという物語における頼もしい仲間が早速一人増えたと思わせる展開であった。
だが、そんな好人物が序盤で敵に敗れた挙句、事実上の悪堕ちまでしてしまったことに大きな衝撃を受けたプレイヤーは多いだろう。
早速繰り広げられたプルガトリオとの死闘は、その後に待ち受ける数々の試練を予感させる前哨戦として大きな役割を果たしたと言える。
幕間の物語
「自己との戦い(比喩でなく)」
時系列的に「亜種並行世界下総国」後に当たる胤舜の幕間の物語にて、カルデアの戦闘シミュレーションにおけるNPC(本物のプルガトリオには遠く及ばない、所謂“劣化コピー”のようなもの)として複数登場……と思いきや、ラストにてなんとプルガトリオ本人が復活。修羅道に堕ちる前の自分自身と戦う事となる。
また、この際に以前に武蔵に敗れた事を相当に恨んでいた事、彼女を打ち倒すための槍術を磨き上げていた事も明らかになった。
……が、対武蔵(対剣術)の槍術に拘わるあまりに、槍兵としては酷い錆び付きようであり、おまけに自身の肉体の限界すら把握しきれておらず、限界を超えて疲弊した事で猫の様な手打ちの槍すら対応出来ない程に大きな隙を晒す始末。
結果、胤舜から尽くダメ出しされた末「殺した分だけ強くなれるのなら、戦国の世は武芸の達人で溢れ返っているだろうが」と断じられ、挙句に大人と子供程の差の如くあっさりと敗れ去ってしまった。ただ、この対剣術の槍術については技術そのものと着想自体は悪くなかったようで、胤舜はプルガトリオとの戦いを通じてこの槍術を自分のものとして取り入れている。
ゲーム的にも、セイバークラスから受けるダメージを軽減する代わりに、ランサークラスから受けるダメージが増大するという特殊な耐性を有していた。
余談
「プルガトリオ」とは、ラテン語で煉獄(Purgatorium)を意味する。
天国に行けるほどの聖性を得てないが、地獄に墜ちるほどの罪を犯していない者が死後に赴く場所であり、煉獄に赴いた者は苦罰(浄化の炎)によって罪を浄められた後に天国へ行けるとされる。