概要
有川浩による小説『図書館戦争』のような事態が現実でも起こっていることを憂慮し、架空創作表現規制に反対し、あらゆるメディア表現を守り、図書館の自由を守るためのタグ。
すなわち、創作における表現に対し表現規制をかけるような法律等(具体的な例としては東京都青少年健全育成条例改正案や児童ポルノ法など)に対し反抗するという意味のタグである。
このタグに関しての詳細な内容は「架空創作表現規制反対」を参照していただきたい。
その変遷
図書館戦争とは、メディアワークス(電撃文庫)発刊の有川浩による小説であり、内容としては「表現の自由を守るために戦う図書館員が巻き込まれる紛争」の話である。この小説はメディアミックス化されており、コミック、アニメ(テレビ、劇場版)、映画などになっている。
当時、実際の日本国においても作中に存在する「メディア良化法」のような架空創作表現に対する法律等による縛りが行われようとしていた(例としては危険法案リンクに掲載されるような法律案などである)。
なお、2010年3月17日付で日本図書館協会(さまざまな種類の図書館の進歩発展を図る事業を行うことにより人々の読書や情報資料の利用を支援し文化の進展及び学術の振興に寄与することを目的とした団体)がこれらの規制に反対する旨の要望書を提出し、案外作中に登場する「メディア良化法」が洒落にならない事態になりつつあるとpixivはじめオタク界隈は危機感を強めていた。
日本におけるリアル図書館戦争
東京都青少年健全育成条例改正案騒動(2009年~)
2009年11月、東京都HPに掲載された第28期東京都青少年問題協議会答申素案に、将来的な創作物規制につながる可能性のある記述が盛り込まれていた事から反対運動が活発化した(詳しくは東京都青少年健全育成条例改正案・青少年健全育成条令改悪反対の記事を参照)。
参考文献・「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」について
条例は採択されたが、その後の都知事の度重なる交代や、オタク産業のビジネス化もあって大した事態にはならなかった。
反規制運動側も条例を阻止できなかったことで解散状態となるが、石原のような戦前回帰傾向の強い保守が少数派となっていくにつれ保守派側からの規制論も自然消滅に向かう。
だが今度は左翼・リベラルやフェミニストからの表現規制論が増加し、立憲民主党・日本共産党・社民党が規制側に移行、逆に自民党が親オタク路線に転じたことで保守リベラルの立場の逆転が明確化し、ミリタリー系や2ちゃんねるやXを中心に保守派オタクが多いこともあって現在では反規制派は保守派の支持勢力のひとつとなっている。
またもう一つの影響としてヘイトスピーチ・ヘイト本問題というのがある。
2023年~2024年には翻訳書である『トランスジェンダーになりたい少女たち』の出版を巡り、様々な賛否両論があったが、出版者に対する脅迫事件にまで発展している。
「ヘイトスピーチは確かに社会問題化しているが、ヘイト本のレッテル貼りをして出版妨害をすることは許されるのか?」という問題提起を社会に投げ掛ける事となった。
「トランスジェンダーになりたい少女たち」 発行元や複数の書店に放火の脅迫、被害届提出(産経新聞・2024/3/30)
アメリカにおけるリアル図書館戦争
2016年。アメリカでのドナルド・トランプ大統領の当選を受けてアメリカの保守リベラル対立はさらに激化した。
近年アメリカでは保守派とリベラル派の対立により学校の図書館から本が次々と撤去されており、2024年の大統領選挙に向けてもこの問題は争点の1つとなっている。
リベラル派の表現規制
反トランプ派のマスメディアを中心にポリティカル・コレクトネス運動が激化し、それは日本にも波及した。
批評家の東浩紀は
「それにしても、あらゆる表現の自由は守られるべきであるという近代的な公理をヘイト側がハッキングした結果、リベラル側が、表現はやっぱり内容によって正邪を審査されるべきだよねというおそろしく素朴な主張へ後退を余儀なくされているのがいまの状況なわけだけど、これどう考えても未来ないよね。*」
と述べている。
保守派の表現規制
保守派は性的マイノリティ関連の書籍への弾圧や図書館からの撤去が中心。
教育委員の選挙で「禁書」に賛成する候補を当選させようと、保守派の政治団体が大量に選挙資金を投じている事が問題視されている。
取材を受けた高校生達の言葉は悲痛なものだった。
「彼らは政治的な考えが頭にあるだけで、私たちの声なんて聞こうとしていません」
「“禁書”は学校内での同性愛者などへの偏見につながります。『私たちが賛同しないからあなたたちも賛同すべきではない』と言われているようなものです」