『愛天使伝説ウェディングピーチ』のキャラクター。悪魔界の女王。同作のラスボス。
CV:土井美加
概要
悪魔界に君臨する女王。常に玉座から水晶玉を通して部下たちの人間界における行動を監視しており、必要に応じて悪魔を名指しで招集し命令を下す。
また、彼女の胴体には赤く太い茨のような植物である魔の樹がおびただしく巻き付き蠢いており彼女自身がその場から動くことや歩くことはできない。
人物
悪魔の名に相応しくその性格は非道にて冷徹。任務を失敗をしたり悪魔を裏切った者は即刻粛清するといった慈愛の心を一切持たない闇よりも真っ黒なブラック上司。一応その者にまだ策があるならば生かしておきその様子を観察するが、使えないとわかればやはり即刻粛清を行う。
「恋する者に会ったら恋する者を殺せ。愛する者にあったら愛する者を殺せ。」を信条として掲げ『愛』という概念の撲滅を目指し、そのために世界(全並行世界)の愛を守護する天使界へと侵攻した。
天使界が保持する愛の源となるアミュレット「聖(セント)サムシング・フォー」の破壊を通じ、天使界の完全消滅と天使族の全絶滅を狙う。
超余談
初期企画時の名称設定は雨魔三世妃。悪魔世界の三代目の女王という設定だった。「三世」の名は(プリュイやたくろうの項目でも解説したように)彼女が(天使のモチーフとなっている植物や果物を枯らす)酸性雨の化身として設定されていたため。(三世=酸性というダジャレ)また「妃」と言う以上は「王」もいたはずであり、そこから更なる初期設定が窺えると言われる事もある。
「レインデビラ」の名は、この初期設定の名である「雨魔」の名残であるが、これを知らないと、なぜ悪魔の女王が「レイン(雨)」であるのかは解り辛い。
演者の土井美加さんは、いわばアニメにおける「お母さん」「お姉さん」「女王様」として、お馴染みの御方。そして本作と同時期に展開されていた競合作(脚本家繋がり作品でもある)では、主人公の前世の母親を演じており、ある意味で中の人繋がり的悪墜ちという見方でも楽しめる。(まぁ、娘の方も同様に母の部下として、その悪墜ちに付き合っているのだが)
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ここから先は43話のネタバレにつき注意!!
その過去(アニメ版、以下ネタバレ)
43話「レインデビラの真実」にて彼女自身がようすけ(ヴィエント)に教える形で、その過去が語られた。
彼女は元々アヴェルスという悪意のない可憐かつ純朴な悪魔の少女だった。ある時彼女は天使界と悪魔界を繋ぐ抜け道を見つけ天使の森へと迷い込む。そして自身を天使だと偽り森の中を彷徨っていた彼女はある天使を見つけ、一目惚れしてしまう。
その天使こそ現在天使界で語り継がれる存在エタミンだった。しかし彼には既に恋人のピスティルがおり、アヴェルスの恋は失恋に終わってしまう。ピスティルの存在を知り、エタミンへの密かな思いを嫉妬に変えてしまったアヴェルスに追い打ちをかけるようにして直後に執り行われたエタミンとピスティルの結婚時において発露した聖サムシング・フォーの力が彼女を天使界から弾き出してしまった。
これによって彼女は完全な嫉妬と憎しみに囚われてしまい「天使たちは悪魔である自分を聖サムシングフォーを使って天使界から追い出した(拒絶した)」と勘違い。その恨みから愛を憎み恐れたことで嫉妬の力を増幅させる魔の樹にとり憑かれる。(が、アヴェルスはこのとり憑かれもまた「天使たちが自分たちを策略で縛った」と勘違いしてしまう)
そしてアヴェルスに取り憑いた魔の樹は、彼女の嫉妬を受けてアヴェルスを飲み込む大樹と化した。挙句の果てにはその嫉妬を糧としてアヴェルスに多大なる魔力を与える。
その強大な魔力は、あらゆる悪魔を凌ぐものへと成長し、最終的に彼女は悪魔界の女王・レインデビラとして君臨する事となった。
つまり天使と悪魔の戦いの発端はレインデビラ(アヴェルス)の一方的な逆恨み(と、それを贄として成長し、さらに嫉妬の感情を得て成長したいと欲する魔の樹による宿主への煽り)によるものだったのだ。
実は、レインデビラ(アヴェルス)自身は、すでに魔の樹に相当量のエネルギーを嫉妬という形で吸い取られ、残る命は僅かという状態にある。しかし、レインデビラの命が尽きれば、宿主と言うストッパーを失った魔の樹は新たな宿主を探して暴走するとともに、その成長しきった大樹を他の世界に張り続け、悪魔界・天使界はおろか、人間界はもちろん、あらゆる並行世界を自らに飲み込むという、とんでもない存在と化していた。(成長しきった魔の樹を支えられるような力を持てる者は、魔の樹をそこまで育ててしまったレインデビラ以外にはいない、というトコロまで来ていた)
最終決戦
ウェディングピーチに浄化されたのち、彼女の優しさで立ち直ったようすけは父・ウラガーノの残留思念と邂逅し「悪魔界のパワーバランスの監視・管理者(監察者)」という風魔(ラファール)族の真の使命と「悪魔界も弱肉強食のヒエラルキーはあるが、それがきちんと守られれば穏やかな世界である、それを乱しているのはレインデビラ、ひいては彼女に取り憑いた魔の樹である」という、悪魔界の真実を知る。そしてウラガーノの思念はようすけにレインデビラと魔の樹を誅して悪魔会の秩序を取り戻せと遺言する。
一方、レインデビラはようすけの持つ風魔族の力を利用するため、魔の樹より自らの眷属(分身)を生み出し彼の拉致を目論む。しかし、それは愛天使たちに阻まれた上、彼女らとの戦いによって、ようすけの父ウラガーノを殺したのは(魔の樹に操られ続けている)レインデビラであるという事実が明るみに出た。
この事により愛天使たち、ひいては天使界と、ようすけ(ヴィエント)および彼の側につくであろう悪魔族たちとの利害は完全に一致した。
しかし、ようすけはももこを巻き込みたくないと、一人戦いに赴く決意をする。しかし、それを察したももこに逆に説得され、共に戦う決意を固めるとともに、最終決戦を前に仲間たちと共に二人の結婚式を行おうとする。それは、いわば二人のケジメとして行われる真似事に近いものであったが、ようすけとももこの真剣な想いに呼応して、二人の愛のウェーブが増大。これを察したレインデビラは「もはや許せぬ」として天使界の前に人間界を滅ぼすことを決意。人間界を魔の樹で覆わんと自ら侵攻を開始。紆余曲折の戦いの中で、ウェディングピーチとヴィエントの命を絶つ事に成功する。しかし……。
死したヴィエントとピーチのその体は、互いの手を強く握りあっていた。
死をもってしてすら、二人の愛を引き離すことはできなかったのである。
その愛情に聖サムシング・フォーが応え、そして輝いた。
彼らの愛情によって真の覚醒を果たした聖サムシング・フォーは、その「愛の奇跡」をもってウェディングピーチとヴィエントを自らのマスターとして覚醒蘇生させる。
愛の大覚醒をもって聖サムシング・フォーのマスターとなったウェディングピーチは、その発露する無限の愛のウェーブでレインデビラを包み、彼女を魔の樹から引き剥がすとともに、その命を癒すことに成功。一方の魔の樹はレインデビラというマスターを失うとともに愛のウェーブに晒されて弱体化し、そのまま消滅へと至る。
愛のウェーブに包まれアヴェルスへと戻った悪魔族の少女は、そのまま受けた愛のウェーブを人間界へと散らしながら自らがもといた悪魔界へと戻り、長き眠りに就くこととなった。いつか、その魂が癒えて本当に目覚める、その日まで……。
真の関連タグ
超余談その2
ちなみに彼女の真の名である「アヴェルス」(averse)とはフランス語で、ゲリラ豪雨(夕立あるいはスコール)系のにわか雨の事である。