追求したのは、本 格 ク ソ ゲ ー
概要
5ch(旧2ch)のゲーム板にて行われる、その年一番のクソゲーを決める祭典・KOTYことクソゲーオブザイヤー。その中でも、2008年にノミネートした作品たちの総称。別名「七大驚異」。
経緯
一年前、2007年のKOTYにて堂々の大賞に輝いた『四八(仮)』。そのKOTYの歴史を覆すようなあまりのクソっぷりに「四八ショック」「ヨンパチショック」を巻き起こした。
それゆえ2008年のKOTYはハードルが非常に高くなっており、実際に年が明けてから一か月間、2006年までであればノミネートしていたかもしれない作品もスルーされていた。
しかしこの期待に応えるかのように7本ものクソゲーが生まれてしまい、ハードルを超えるどころか次年以降のハードルを更に高めてしまったことで、いつしか伝説としてこの名が与えられることとなった。
一覧・解説
『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』
2月7日、2008年KOTYの先発投手として登板した『メジャーWii 投げろ!ジャイロボール!!』、通称ダメジャー一作目。
リモコンを振るという画期的な操作方法を備えたWiiで、大人気野球漫画『MAJOR』のゲームを発売した...にもかかわらず、リモコンを使う必要性はまったくないという宝の持ち腐れ。そのうえタイトルにもなっているジャイロボールにはまさかの球数制限付きで、さらに試合のテンポも悪く、一試合2時間以上という野球のプレイ時間を見事に再現してしまった。
そのほか投げた瞬間にストライクかボールか分かってしまうという野球ゲームとしての欠陥だけでなく、ストーリーモードも紙芝居を眺めてミニゲームのような野球をするだけとキャラゲーとしても内容が薄い。そしてこのうえで7140円のフルプライスという、文句なしのクソゲーだった。
こうして昨年の反動を跳ね除け、激動の予感と共に2007年のKOTYが幕を開けた。
『奈落の城 一柳和、2度目の受難』
一息つく間もなく、『奈落の城 一柳和、2度目の受難』が3月6日に登場。
証言や手がかりを集めて真犯人を特定する、という至って普通の推理ゲームだが、手動で1分刻みのアリバイ表を作らなければいけないなど異常なほどに難易度が高い。しかしもともと前作が難易度の高い推理ゲーとして高評価で、これだけならKOTYにノミネートすることはなかっただろう。
このゲームがノミネートした主な理由はシステム面であり、リアルな移動で3D酔いしやすいせいで酔い止めを飲めと言われるなどプレイに支障が出るレベル。そして極めつけは、とあるキャラが死亡しているにもかかわらず普通にいるし普通に話すことができ、そしてそのキャラの死について会話すると「テキストがまだない」という文言が現れてしまう。
ただしこのゲームはBGMやグラフィックなどは評価が高く、キャラクターの設定もしっかりしているなど普通に遊べるレベルで、「テキストがまだない」のインパクトが独り歩きしてしまった形に近い。しかしそれでも最終的にはノミネートしているのが事実である。
『大奥記』
続いて梅雨の近付いた6月5日、ファミ通のクロスレビューにてあの「クソゲーの征夷大将軍」ことデスクリムゾンと同じ13点を叩き出したゲーム『大奥記』が上洛。
内容としては大奥で起こる事件の証拠を集め、集めた証拠で相手を論破するという、ザックリ言えばこういう感じのゲーム。
だが証拠を集めるパートが非常に面倒で、ヒントの薄さや頻繁に起こる長いロードのほか、「これkら」などの誤字、江戸時代が舞台でありながら「デマ」「アリバイ」などの言葉が登場するなど現実的なミスが多い。グラフィック面もキャラに動きが少ないほか当たり判定のない机などもあり、SEも低クオリティかつ幅が狭い。
何より大奥という舞台のターゲット層が分からない。上半期の作品ながら、今年はこれで決まりかと思われるほどだった。
『ジャンライン』
将棋やオセロをはじめとするボードゲームは、既にゲーム性が確立されているためクソゲーになりにくいとされていた...はずだった。9月25日に発売された『ジャンライン』は、麻雀ゲームながらクソゲーとなってしまった。
一言でいえば麻雀の体を成していない。例えば本来ゲームの親をサイコロで決めるはずが部屋を作成したプレイヤーが親になるほか、同じ絵柄の牌(手札)を四つ揃えることで成立する「カン」が四つ揃っていなくとも成立してしまう、通称『亜空カン』は有名だろう。
またフリーズが頻発するうえ、オンライン対戦で誰か一人が切断されればゲームが強制終了する、つまり他のプレイヤーも巻き込まれてしまう仕様のために切断厨が横行した。
ここまででも十分KOTY候補としては文句なしなのだが、ジャンラインの本領はここからである。
年末に発売会社から修正パッチが配信されるも、あろうことか悪化してしまった。
フリーズの頻度が爆増したうえで切断ペナルティが実装されたため、フリーズによってペナルティを課されるという事象が発生してしまううえ、メインメニューに戻る選択肢は「はい」が三つ並ぶというシュールな絵面。
↓イメージ図
接続が切れたためメインメニューに戻ります |
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はい |
はい |
はい |
さらに麻雀は基本、自分のターンに牌(手札)を一枚ドローし手札から一枚捨てるのだが、自分のターンになる前にドローする『先ヅモ』ができるようになってしまい、これは当然ルール違反かつマナー違反。
この惨状に苦情の電話をしたユーザーもいたが、開発会社の返答は謝罪ではなく「覚悟しています」。
後にこの年の大賞と最後まで激戦を繰り広げることとなったのだった。
『神代學園幻光録クル・ヌ・ギ・ア』
ジャンライン発売の2週間後に登場した『神代學園幻光録クル・ヌ・ギ・ア』ことヌギャー。
ジャンルとしてはRPGだが、まずタイトルに學園とありながら学園ものではないうえ、常人には理解できないストーリーとそのほとんどを占める茶番たち。例えば瀕死の主人公を放置し戦闘や議論を行うというツッコミどころしかないシーンも。また好感度も存在するが、仲間と出会った瞬間恋人になるなどフラグ管理がガバガバなうえ、上げても特にED分岐などはなく、存在理由が分からない。
戦闘面もショボいとしか言いようがなく、エフェクトとSEが薄いならまだしも、BGMがラスボス戦以外使い回しで、PS2のゲームなのにスーパーファミコンのような戦闘画面。見せ場であるはずの合体技もただのシュールな一枚絵の演出に名前も「友情パワー」などダサいうえに、声がズレてしまったことで「友情パパワー」にしか聞こえない。
最大の問題は麻痺がほとんどの敵に効くうえで効果が永続する。つまり麻痺させれば勝ちという構造になっており、何とこの手法はラスボスと裏ボスにも通用する。
結果、KOTYのスレッドでは「金をドブに捨てたいならこれを買うよりも時間の消費がないだけ本当にドブに捨てた方がマシ」という迷言が生まれ、攻略Wikiでもこのゲームが面白いかという質問に「買うな」と言われる始末だった。
『プロゴルファー猿』
『大奥記』が『デスクリムゾン』と同じ13点を取ったファミ通レビューは、4人の審査員が10点満点で点数を付けるというシステムだ。だが史上初の『ALL3』、すなわち誰一人4点以上をつけなかったために12点という『デスクリムゾン』を下回る最低点数を記録したゲームが現れた。
藤子不二雄Ⓐによるゴルフ漫画を原作とした『プロゴルファー猿』。しかしゴルフゲームでありながら地形や風向きの読み合いは存在せず、同じ威力で打てば同じところに飛ぶスゴロクのような仕様。更にスコア計算もおかしく、本来なら決着がつくはずの場面が同点で延長戦に突入するなど、システム面でも欠陥が多い。
それに加え、キャラゲーであるにもかかわらずストーリーモードは存在せず、対戦モードでも使えるキャラはたったの6人かつキャラの選出が微妙。さらにそのうちの一人はモデル替えキャラでかつ、各キャラに存在する固有技も別キャラの使いまわし。
KOTYの総評にて登場キャラをドラゴンボールに例えていたが、その内容は「孫悟空、孫悟飯、ヤジロベー、サイバイマン、ビーデル、ビーデル(髪切ったver)」。
発売前のPVやCMの完成度が高かったために想像を超えたこの有様に主人公の台詞をもじり『ワイは詐欺や!プロモーション詐欺や!』という言葉も生まれた。
『メジャーWii パーフェクトクローザー』(大賞)
開幕投手を務めたダメジャーがマウンドに舞い戻った。
恐らく上述の『デスクリムゾン』や『四八(仮)』、『サモンライド!』や『ファイナルソード』などと並んでクソゲーと聞いて真っ先に思い浮かべる人も多いであろう『ダメジャー2』こと『メジャーWii パーフェクトクローザー』だ。
まずストーリーモードは前作のジャイロボール同様紙芝居。そのうえ途中で師匠ポジションの人物に「変化球を使うな」と言われるがその後も普通に使える、最終戦はどれだけ点差があろうが延長戦に入り、そこで負けても優勝扱いとなるなどガバガバ。
プレイ面で見ても、守備と走塁の操作は一切できずフルオートなのだが、AIが劣悪なため守備ではキャッチャーがファーストやサードまでボールを取りに行き、走塁では勝手に走って勝手にアウトになる。打撃は少しでもタイミングをミスすればすぐゴロになり、逆にタイミングが合えばだいたいホームラン。シビアすぎるため普通に打つよりバントする方が飛ぶ。また主人公が投手なので投球は一番の醍醐味であるはずだが、変化球の存在価値はなくストレートを投げていれば勝てる。
そのほか明らかにフェアでもファールにされることがあるなどルールも崩壊しており、BGMの音量が大きいためボイスが聞き取りにくいのにBGMの調整はできずオンかオフだけ。グラフィック面でもベンチに人がいないといった本来の野球と矛盾する点も多い。極めつけにバグも多発し、このゲームを代表するものといえばやはりピッチャーやバッターの首が反転するバグだろう。こういった腹筋を崩壊させるバグも多いが、中には Wii本体を崩壊させるものも存在する。
そしてもちろんフルプライス(7140円)である。
何より驚きなのは、タカラトミーから開発を依頼されたドリフはたった3人のプログラマーでこのゲームの開発に臨んだことだ。小規模なプロジェクトであればこういったこともあるらしいが、大人気作品のゲーム化に3人って...
総評
こうして「四八ショック」から始まった2008年のKOTYは、『MAJOR』の主人公・茂野吾郎の台詞を借りる形で締めくくられた。
「メーカーをタカラトミーに、開発をドリフにさせたら...ゲームにならねーんだよ!」
関連タグ
ダメジャー 大奥記 ジャンライン ヌギャー プロゴルファー猿
七英雄:名前の由来。