作品解説
悠十氏がアルファポリスにて連載中の小説。
2022年に丸山詩葡氏による漫画版の連載開始。
世界観を端的に言えば「少女漫画的な世界観で世紀末救世主伝説」をやった作品。少女漫画らしいキラキラした世界観が、どんどん世紀末的世界観に呑まれて崩壊していく様が魅力の作品だが、一方でその手法は一般的な少女漫画に対しては一種の皮肉(アンチテーゼ)にも見えてしまうため明らかに読む人を選ぶ作品でもある。
誰が呼んだか「少女小説・少女漫画」ならぬ「将女小説」あるいは「将女漫画」と通称される事もある。
あらすじ
日本の女子高生だった前世の記憶を有する子爵令嬢アレッタ・ベルクハイツは特殊な環境の中で逞しく育ち、平和な学園生活を過ごしていた。
ある日、学園のパーティーで王太子が婚約者に対して婚約破棄を言い渡す。この場面に見覚えがあるアレッタは、ここが前世でプレイした乙女ゲームの世界ある事に気が付く。
しかし、そこでは本来のシナリオとは異なる展開が繰り広げられていた。何故かヒロインは怯えており、婚約破棄を言い渡された悪役令嬢は証拠を提示して無実を主張する。それでも王太子から国外追放を言い渡された悪役令嬢が素直に命令に従おうとしたところ、一人の騎士が令嬢に駆け寄り、自身も彼女について行く事を嘆願する。
その場面を見たアレッタは驚愕する。何故なら、令嬢に駆け寄った騎士はアレッタの婚約者だったからだ。
かくして物語はアレッタの実家、ひいては王国をも巻き込んだ大騒動に発展するのであった。
登場人物
主要キャラクター
- アレッタ・ベルクハイツ
本作の主人公。ベルクハイツ子爵令嬢。16歳。
日本の女子高生だった前世を持ちながら物語の舞台である乙女ゲームの世界に転生した。しかし、転生した世界が自らが前世でプレイしていた乙女ゲームの世界である、などとは断罪イベントの発生(≒全てが手遅れになる)まで、ついぞ気付いていなかった。
原典とされる『七色の恋を抱いて』では、名前も出ないモブキャラ。(そもそも原典世界では王都の学園にすら通ってなかった可能性すらある)
可憐な少女の見た目でありながら、特殊な家系と家庭環境の影響で見た目に似つかわない程の怪力の持ち主。また、前世で運動が趣味だった事もあり、それが彼女の異常な身体能力の発達に拍車をかけていた。そして自家の家風の価値観と前世のシュミのダブルパンチによる筋肉は裏切らない&暴力は全てを解決する系の脳筋至上主義者であり残念な美少女。
力技に関しての能力はずば抜けているものの、その反面勉学やマナーに関してはからっきしであり、完全に脳筋タイプである(4歳時点での彼女のステータスは力590、賢さ0.3であった)。
5人兄弟の末っ子であり女子でありながらも、ベルクハイツ家の血を一番色濃く受け継いでいるため次期当主となる。ベルクハイツ家にとっては数百年越しに産まれた歴代念願の女児であるため、父および兄たちからは(普通の意味でも脳筋的な意味でも)目に入れても痛くないほどに可愛がられている。
現在は実家を離れて王都の学園に通い、勉学と鍛錬に励む日々を送っている。
ある日に開かれた学園でのパーティーの際、国外追放を言い渡された王太子の婚約者である悪役令嬢にアレッタの婚約者が駆け寄った事で物語が始まる。
一連の騒動の後、フリオから突然プロポーズされるが、気持ちの整理がつかずに大混乱をきたした為、一旦保留とする。
その後、煮え切らない態度をとり続けている様子を父アウグストから叱責され、自身の中でのフリオへの想いに気付かされ、そしてフリオの気持ちに応える為に正式に彼のプロポーズを受け入れる。
- フリオ・ブランドン
アレッタの幼馴染。ブランドン伯爵子息。18歳。
領地が隣同士の為、幼い頃からアレッタをはじめベルクハイツ家の面々との付き合いがある。
現在はアレッタと同じ王都の学園に通っている。
勉学が苦手なアレッタの為につきっきりで勉強に付き合ったりと何かと面倒見が良い。
元々アレッタの結婚相手候補の一人であり、彼もアレッタに密かに想いを寄せていた。それこそ幼い頃より、初対面で力加減を間違えたアレッタに手の骨を砕かれようが、幼いアレッタに巻き込まれて魔物や神獣に追い回されて恐怖のトラウマを負おうが、アレッタにおんぶされてギネス級ジェットコースターや音速戦闘機クラスの超絶Gを体験して吐きまくろうがとにかくアレッタを想い続け、そのために己が涙と泥を呑もうが一生を貫く臥薪嘗胆すら覚悟する心意気で、どんな立場になってもアレッタを護ると誓い、それを実行し続けた(ベルクハイツの皆様とは違った意味での)漢(おとこ)にして本作屈指の健気系ヒロイン。
その後王家と中央貴族との繋がりを理由にノルトラート家のルイスがアレッタの婚約者として選ばれた為、一度は諦めたものの、ルイスとの婚約が破談になると、王家の血を引くマデリーンとアレッタの兄グレゴリーとの婚約成立の裏工作に奔走する。アレッタが脳筋である分、そうではない部分(魔法能力や政治手腕)で彼女を支える苦労人。その功績を認められ、アレッタの父アウグスト公認の下、アレッタにプロポーズする。
なお、もともと婚約者候補の中では最有力候補ではあり、アレッタに気負い無く接する事ができ、またアレッタも気を許していた(あとアウグストからも認められていた)のに最終候補から外されたその理由はアレッタと仲よくなりすぎてしまい彼女の感覚の上では「恋人」や「夫婦」ではなく「家族」(事実上の義姉弟。恋愛対象外)になってしまっていたため。なので周囲からフリオとの関係を問い質された上で、フリオから事の次第と本音を告白されたアレッタは気持ちの整理がつかずに大混乱をきたした。
その後、プロポーズに対して煮え切らない態度をとり続けてきたアレッタがアウグストから叱責されると、アレッタも自身の想いを素直に表に出し、彼のプロポーズを受け入れる。
- マデリーン・アルベロッソ
本作のもう1人の主人公。
アルベロッソ公爵令嬢でアレッタの先輩。17歳。
ゲーム内ではシルヴァンルートの悪役令嬢であったが、物語上ではシルヴァンルートに進まなかった為、その設定は全く生かされなかった。
王国の元王女を祖母に持つ高貴な血筋であり、幼い頃から上に立つ者としての矜持を持っていた。
王都の生活に全く馴染めずに落ち込んでいたアレッタに声をかけ、彼女の話を聞いている内に王国の平和がベルクハイツ家の奮闘の上に成り立っている事を思い知らされ、彼女の支えとなる事を心に誓う。それからアレッタの事を気にかける様になり、アレッタも彼女を姉の様に慕う様になる。
王太子アランの婚約者であるレーヌとは幼馴染であり、互いに多くの貴族をまとめる派閥の家同士でライバル視していたが、一方でアランに冷たい態度を取られながらも真摯に向き合い、人々からも信頼されてきたレーヌの事を認めていた。しかし学園パーティーでの事件で互いに婚約者がいる身でありながら護衛騎士ルイスの手を取るという軽率な行動をとったレーヌに失望する。
その後、アランの取り巻きとして事件に関わっていたシルヴァンとの婚約を解消し、フリオの裏工作の下、アレッタの兄グレゴリーと婚約する。
ベルクハイツ領へ赴いての初顔合わせの日、魔物の氾濫スタンピードの鎮圧から帰還したばかりで魔物の返り血を浴びたままの状態のグレゴリーを見てドン引きするも何とか持ちこたえたが、血の匂いには耐えきれず気絶した。
ベルクハイツの屋敷の客間で目を覚ました後、相手の前で気絶するという失態を取り戻す為に気合を入れ直して着飾った姿で夕食会に臨む。
ベルクハイツ家の面々と対話している間も(特にオリアナに対して)常に警戒心を抱いている。また、シルヴァンとの婚約破棄の原因となった愛や恋などにも極めて懐疑的になっており、貴族同士の婚姻に恋愛など必要ないというスタンスをとっており、愛する人を持つことの大切さを説くオリアナの言葉にも何か裏があるのではないかと勘繰っている。
ベルクハイツ領滞在中、王都とまるで違う環境下に困惑しながらも、ベルクハイツ家の面々から舐められない為に強気に立ち振舞う。その強気な態度がグレゴリーに度胸のある女性だと映ったらしく、滞在僅か3日でグレゴリーから告白を受けて困惑する。
- グレゴリー・ベルクハイツ
ベルクハイツ家四男。20歳。
兄バーナード程ではないが筋骨隆々であり、黒づくめの仏頂面である。
また学生時代には妹アレッタと同じく王都において度々柱や壁を破壊してしまい、周囲から避けられるという非常に過ごしにくい学生生活を経験している。
生真面目な性格だがアレッタやバーナードと同様に勉学は苦手らしく、オリアナの座学を受けていた時には目を開けながら眠っていた。
シルヴァンとの婚約を解消したマデリーンの新たな婚約者となる。
マデリーンとの初顔合わせの際、アレッタと同様に魔物の氾濫スタンピード鎮圧から帰還した後、魔物の返り血を浴びたままの状態で挨拶するという失態を犯す。
オリアナから叱責されつつも、その後の夕食会やベルクハイツの屋敷の案内等でマデリーンと交友を深めていく。生真面目である分、マデリーンが気を遣ったり、オリアナから舐められない為に発した強気な発言をそのままの意味で解釈し、彼女を度胸のある女性であると思い込んで彼女に好意を抱いていく。
そしてマデリーンの滞在3日目の朝にどストレートに告白する。
マデリーンとの顔合わせの後、もっと強くなる為にスタンピード鎮圧により気合を入れるようになる。
『七色の恋を抱いて』関連人物
- リサ・ルジア
乙女ゲーム『七色の恋を抱いて』の本来の主人公。
庶民出身だが男爵家の養女として王都の学園に通い、王太子や高位貴族令息達からのアプローチを受ける。
学園でのパーティーの際、王太子アランが婚約者であるレーヌに冤罪をかけて婚約破棄と国外追放を言い渡す場面に出くわすが、彼女はアランのこの企ての事を全く知らされておらず、真っ青に怯えながら成り行きを見守る事しか出来なかった。
その後アランの企てが失敗に終わると、アランを暴走させた責任を取って修道院に入る事を望む。
- アラン・ウィンウッド
ウィンウッド王国王太子。ゲームの攻略対象キャラ。
レーヌという婚約者がいる身でありながらリサに惹かれる。
性格には難があるが、意味が分からないほど仕事ができる有能俺様王子である。
ある日、学園で開かれたパーティーの場でリサに嫌がらせをしていたという冤罪をかぶせてレーヌに婚約破棄を言い渡す。レーヌは証拠を挙げて毅然と無実を主張するが、それでも気に喰わなかった彼はレーヌに国外追放を言い渡す。
レーヌが大人しく従おうとしたところ、その場に居合わせていた父親である国王により諫められて謹慎処分を言い渡される。
その後、一連の愚行の責任を取らされる形で廃嫡される。
その上、ベルクハイツ領軍への無期限の編入が決まってしまう。
- シルヴァン・サニエリク
ウィンウッド王国の宰相の息子。ゲームの攻略対象キャラ。
公爵令嬢マデリーンの婚約者。
アランと同じく婚約者がいる身でありながらリサに現を抜かしていた。
その様な言動をマデリーンが諫めるも全く聞く耳を持たず、学園パーティーの場でもアランの取り巻きの一人としてレーヌの断罪に参加していた。しかし、断罪が失敗に終わると国王からアランと共に謹慎を言い渡される。
その後、愛想を尽かしたマデリーンから婚約を破棄される。
- フィル・クーガン
魔導師団長の息子。ゲームの攻略対象キャラ。ショタ枠。
アランの取り巻きとしてレーヌの断罪に参加していた為、謹慎を言い渡される。
その後、オリアナによって(ほぼ誘拐に近い形で)ベルクハイツに引き抜かれる事になり、アウグストとアレッタが同行する下、力試しとしてジョナサンと共に王都近くの森へ行く事となる。
- ジョナサン・バナマン
騎士団長の息子。ゲームの攻略対象キャラ。しかし、前世でプレイしたこのあるアレッタもほぼ覚えていなかった。
アランの取り巻きとしてレーヌの断罪に参加していた為、謹慎を言い渡される。
その後、オリアナによって(ほぼ誘拐に近い形で)ベルクハイツに引き抜かれる事になり、アウグストとアレッタが同行する下、力試しとしてフィルと共に王都近くの森へ行く事となる。
- ロブ・ダウソン
大商会の次男。ゲームの攻略対象キャラ。いつも変なポーズをとっている。
- ローレンス・カドガン
アレッタが通う王都の学園の教師。24歳。
攻略対象キャラの教師枠だが、物語上では彼は攻略されなかった為、学園パーティーでの断罪の場にはいなかった。
アレッタの次兄バーナードの同級生であり、バーナードからは親友認定されている。が、当の本人からしてみれば様々なトラブルに巻き込んだバーナードの存在はトラウマでしかないらしい。
- レーヌ・ブルクネイラ
王太子アランの婚約者。
本来であれば主人公に嫌がらせをする悪役令嬢の役割であったが、彼女の心はアランよりも彼の護衛騎士であるルイスにあった為、全くその役割を果たす事はなかった。
実は彼女はアレッタと同様に前世でこの乙女ゲームをプレイした事のある転生者であり、どのルートでも断罪される自らの運命を回避すべく、本来の「愚かで傲慢な嫌われ者の悪役令嬢」という設定から離れて幼い頃から社交的に振舞ってきた。
そんな彼女の努力も空しく、婚約者であるアランからは邪険に扱われ、ゲームのシナリオ通り「嫌われ者のレーヌ」として見られてしまう。アランとの橋渡し役であるルイスが彼女に同情し、いつしか彼女もルイスを意識し始めて来た。
そして学園パーティーの場でリサを虐げていたという冤罪を被せられて婚約破棄を言い渡された時、証拠を挙げて自らの身の潔白を証明する。それでも聞く耳を持たないアランによって国外追放を宣告され、大人しく従おうとしたその時、想いを寄せていたルイスが彼女に駆け寄り一緒について行くことを嘆願する。
その後、その場を取り持った国王によって国外追放の命令は取り消されたが、互いに婚約者がいる者同士で惹かれ合っているところを目撃された事により(ましてや片方の婚約者が超武闘派一族の令嬢であったこともあり)、彼女の信用は地に落ちてしまった。
更にその後人目を忍んで逢ったルイスから彼がベルクハイツ領軍に配属される事を告げられ、涙の別れとなる。
因みに、今回彼女が起こした騒動によりブルクネイラ家はベルクハイツ領軍に対して5年間の物資や財政支援を行う事となった。
ベルクハイツ家
アレッタの実家。
魔物が大量発生する「深魔の森」を領内に有し、魔物の侵攻から王国を守る役割を担っている。
嘗て王国が魔物の侵攻に苦しめられていた時代に、たった一人で魔物の軍勢を制圧した屈強な傭兵、初代ベルクハイツが領地と爵位を与えられて興した一族である(因みに初代ベルクハイツの見た目はほぼ胸に7つの傷の男である)。
常に魔物達と戦い続けている影響で一族は皆武闘派であり、領軍の兵士達も世紀末の暴徒ばかりである。
その為、子爵家でありながら国王でもその名を聞いただけで震え上がる程の影響力を持つ。
そして血族の仲と結束は壮絶に強い。ぶっちゃけ「全て遠き理想郷(どうしてこうならなかった)を体現した死生の星の兄弟たち」を体現している一族。
- アウグスト・ベルクハイツ
ベルクハイツ家現当主であり子爵。アレッタ達の父。
その見た目は完全に世紀末覇者拳王であり、近くにいる人間を気絶させる程の覇気を纏う。
その実力も勿論本物であり、自身よりはるかに巨大で強力な魔物であるブラックドラゴンを拳を交えて手懐けてしまう程である。但し、妻であるオリアナには頭が上がらない。
学園パーティーでの出来事の報告を受けた際には、激怒しながら自らアレッタの婚約者であるルイスの実家に乗り込む。
アレッタが乙女ゲームの世界に転生した事に気づかなかった原因の一つ。
- オリアナ・ベルクハイツ
アウグストの妻でありアレッタ達の母。
若い頃にはその美貌と謀略で数多の男達を手玉にとって破滅に追い込んだ稀代の悪女としてその名が知られている。
現在でも5人の子持ちとは思えない程妖艶であるが、怒らせると悪魔の様に恐ろしいらしい(実際、子供達に座学を行った際にはアレッタやバーナードに何発も拳骨を喰らわせ、バーナードが校舎を半壊させた事で送られてきた請求書を手にした時には怒髪天を衝いていた)。
脳筋だらけのベルクハイツ家を裏で取り仕切っているのも彼女であり、夫であるアウグストをも尻に敷いている。
またベルクハイツ家に頼り切っている王国に対して不満を抱いている。
- アレクサンダー・ベルクハイツ
アウグストの父でアレッタ達の祖父。ベルクハイツ家前当主。仙人の様な髭を生やしている。
当主時代からアウグスト同様筋骨隆々の巨体の持ち主であり、魔物の討伐で武功を重ねてきた。フリオの父ブランドン伯爵にとってのヒーローである。
齢を重ねて家督を息子に譲った現在でも肉体は全く衰えておらず、魔物の氾濫スタンピードの際には自ら戦場に立ち、伝説級の不死鳥の魔物を弓矢と気功の2撃で仕留める程である。
- ポーリーン・ベルクハイツ
アウグストの母でアレッタ達の祖母。前当主アレクサンダーの妻。
嫁であるオリアナと共に「謀略の悪魔」と称されている。
因みにアレッタは彼女似である。
嘗て大陸中で何百もの暴動を主導して今なお続く情緒不安の礎を築き、捕まって死罪になるところをアレクサンダーが攫って妻にしたという逸話がある。
- ゲイル・ベルクハイツ
ベルクハイツ家長男。26歳。
父親譲りの強面であり、巨大な斧を得物としている。また炎の魔法も扱える。
戦闘時には恐ろしい表情を見せる。
既婚者。
- バーナード・ベルクハイツ
ベルクハイツ家次男。24歳。
筋骨隆々の巨漢であり、きょうだいの中で父親と一番体格が似ている。半裸でいる事が多く、その見た目は完全にバーバリアンである。
見た目通りの脳筋で、スタンピードの際には真っ先に前線へと駆け出して魔物達を仕留めるが、油断してやられる事が多々ある。
持ち前の怪力で様々な事件を引き起こしており、学生時代には校舎を半壊させたこともある。その結果、付いたあだ名が「ベルクハイツの動くトラブルメーカー」である。
因みに既婚者。あとアレッタが婚約破棄を喰らった遠因(ベルクハイツの価値観に従って、アレッタに「婚約者に頼りがいのある逞しい自分を見せてやれ」とアドバイスした)。
グレゴリーとマデリーンの初顔合わせの際にもグレゴリーに同様のアドバイスをしたらしく、最悪の初顔合わせを再現させてしまう。結果、マデリーンの滞在中に屋敷の本棟への出入り禁止を喰らう(それでも質の悪い事に、何がいけなかったのかの自覚がまるでなかった)。
- ディラン・ベルクハイツ
ベルクハイツ家三男。22歳。未婚。
ベルクハイツ家の男子の中では珍しくスマートな体格で、典型的な貴族の令息の出で立ちをしている。
それでも身長は長身のフリオよりも頭一つ以上高い。そして勿論戦闘能力も高い。
アレッタの直属部隊である「第16部隊」にとっての王子様役を務めていたが、本物の王子であるアランがベルクハイツ軍に編入される事でその役を降りられる事を期待している。
マデリーンがシルヴァンとの婚約を解消した後、当初は彼がマデリーンの次の婚約者候補であったが、本質的にマデリーンと似たところがある彼にマデリーンが対抗意識を燃やして仮面夫婦と化す事を危惧したオリアナによって婚約相手を彼からグレゴリーに変更されたという経緯がある。
ベルクハイツ領軍第16部隊
アレッタ直属の部隊。史上1人も死者を出した事のない部隊だが、何故か筋骨隆々のオネエばかりで構成されている。しかも全員見た目がドラァグクイーンである為、ヴィジュアル的な破壊力がより凄まじい。
- デリス
第16部隊の隊長。
カーリーヘアでリボンを付けている。が、その顔立ちはどう見ても13の殺し屋なあの人。
隊員達からは「お姉様」と呼ばれている。
- セルジア
第16部隊の隊員。
ボブカットが特徴。鞭が得物。
- チャーリー
第16部隊の隊員。
褐色肌でギャルメイクが特徴。
- ロバート
第16部隊の隊員。
- ゴンザレス
第16部隊の隊員。
アイシャドーが特徴。鉤爪が得物。
オリアナの使いとして、王都のアレッタに手紙を届けに来た。
その他の登場人物
- ルイス・ノルトラート
ノルトラート侯爵子息。
アラン王太子の護衛騎士であり、アレッタの婚約者。
とは言ってもその婚約は政略的なものであり、当の本人とアレッタとの関係は余りにも希薄なものであった。
アランとの橋渡し役として彼の婚約者であるレーヌとも度々顔を合わせており、アランから執拗な嫌がらせを受けているレーヌに同情し、本人のいない所で主であるアランに毒づいていた。その間に、レーヌに対しての想いを募らせていたものと思われる。
そして学園パーティーの際、アランにより国外追放を言い渡されたレーヌに、婚約者がいる身でありながら共について行く事を嘆願した。
一連の騒動の後、アウグストが同席する話し合いの場では侯爵家の騎士団長による訓練の名目で顔全体が腫れあがる程ボコボコにされた状態で出席し、アレッタとも一言も交わすことなく婚約解消となる。
その後ベルクハイツ領への5年間の配属が決まり、人目を避けて出逢ったレーヌに別れを告げる(しかし、アレッタによるとベルクハイツに配属された兵士は死ぬどころか扱かれて磨かれて滅多に死なない人間になるらしい)。
尚、彼と婚約者であるアレッタとの関係が希薄になったのは、初顔合わせの際に魔物のスタンピードを、たった一人でバーサーカーよろしく鎮圧し、血みどろ姿で不敵に嗤うアレッタに生物的な生存本能の危機(要は獰猛な肉食獣にロックオンされた小動物の絶望感)を感じて恐怖し、ドン引きしてしまった為である。
- レオン・ウィンウッド
ウィンウッド王国王弟。
甥であるアランが生まれる前まで王太子であったが、腐敗貴族達の傀儡にされる事を危惧し、アランの誕生と共に王太子の座を彼に渡し、当時一触即発状態だったアドビナ王国へ人質さながら移住する。
外交官として公務に携わっていたある日、王国の危機を知らせる暗号を目にして急いで帰国する。
学園パーティーの件でアランが廃嫡され、息子の責任を取る形で退位を決断した国王から後継ぎとして指名される。
- マーガレット
学園でのアレッタの親友。
- メアリー
マデリーンの侍女。マデリーンが幼少の頃から彼女に仕えている。