デューク・東郷
でゅーくとうごう
通称「ゴルゴ13」。
裏の世界では知らない者のいない、本当に世界一腕の立つ殺し屋、または超A級スナイパー。
だが、自身が「ゴルゴ13」と名乗ることは殆どなく、「デューク・東郷」と自称(偽名の可能性が高い)している。(そもそも意味は新聞による依頼への返答に使用している通り「東郷公爵」であり、名前では無い)
急に、もしくはこっそり、または武器などを持って後ろに立つと問答無用でぶん殴られる。最悪撃たれる恐れもある。
ちなみに第1巻(第1話「ビッグ・セイフ作戦」)冒頭で本当に悪意のない(ちょっと驚かすつもりの)娼婦を殴って捕まる(それが元で刑務所送りになってしまう)
最初の頃は饒舌に殺しのプランを語ったりジョークをとばしたりするなどかなりのおしゃべりだったが、シリーズを重ねるにつれ、感情表現が少なくなり、次第に無口になっていった。
第162話「スキャンダルの生まれる日」で「思いつきで行動するのは愚か者のすることだ。それを得意げに話すのはもっと愚か者のすることだ」と言っている。現在では、物語の根幹に絡まない場合は、セリフのほとんどが「…。」だけで構成されることもある。
これはゴルゴが成長したというより、さいとう氏が「ゴルゴを饒舌にするより、周囲の人物に喋らせた方が面白くなる」と考えが変わったからという面もある。
ファンの間では、初期の小池せンせいイズムあふれるゴルゴを「ヤングゴルゴ」「アーリーゴルゴ」と呼び区別する場合もある。
しかし、全部ではないが、ある場面では一見不必要に饒舌に喋る事もある。それは、狙撃相手、ないしゴルゴの敵対相手がゴルゴを倒す為に作戦をねって、「やったか」→失敗から、ゴルゴがその相手の前に現れ、「私の作戦は完璧だったのに、なぜ失敗したんだ?」と相手が観念したかのように言った後に、ご丁寧にもゴルゴは失敗した理由を相手に詳細に解説してくれる。
何事にも合理的なゴルゴにしては、時間を無駄に浪費するだけで非合理的に見えるが、これはゴルゴが状況を解説してくれないと、なぜ相手の対ゴルゴへの作戦が失敗したかが、読者に対し分かりづらいからというメタ的な理由ともあるから、と見られる。
彼の名台詞はお笑いコンビ「庵。」(現在はピン芸人のジョーク東郷)のコントで披露されるほど。
最近の彼は決して「ちょろいもんだぜ」とか「そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!」とか言ったりはしない。
社会の裏側、あるいは裏と表の境界線上がゴルゴ13の活躍の舞台である。ストーリーの題材は、脚本家が多数に及ぶこともあって、非常に多岐にわたる。諜報戦に代表される国家間の暗闘、戦争・紛争、ゲリラ活動、テロリズム、麻薬組織など犯罪組織、企業活動、芸術・スポーツなど文化活動、歴史問題・地理問題、最新テクノロジー、ミステリー、自然災害なども題材となっている。
作品には、現実に起きた事件に交えて実在の国名・組織・企業・団体そして個人の名前がしばしば登場する。作中のリード文に『A国のBという組織の存在により、C国との関係が芳しくない』といった主旨の内容が書かれる影響もあると推察されるが、この作品で世界情勢を覚えることができるという話もあったり、この作品をモチーフに世界情勢を語る書籍も発行されたりしているが、物語自体はあくまでフィクションである。
なお、ゴルゴ13シリーズと表記されるがこれはゴルゴ13自体が単独作品という位置づけではなく、各エピソードが一作品として扱われている為である。例えば「PARTⅠ」「PARTⅡ」と話の流れで付いていたりするのも「ゴルゴ13シリーズ (エピソードタイトル)」の中のサブタイトルというわけである。
その為エピソード最終話のラストには原作者のさいとうを始めとした脚本家・スタッフ・考証協力者の名前を並べたスタッフロールがあるのが特徴。
2021年4月にはついにコミックスが200巻を達成。あのこち亀とコミックス巻数が並んだ。
200巻かつ40周年を機に終了したこち亀と違い、まだ連載中である為200巻越えは確実になるという。
そして同年9月24日、原作者のさいとうが膵臓癌により逝去。この事で絶筆(未完)となると思われたが、本人の生前の意思と、分業体制であるさいとうプロの作画スタッフと脚本スタッフが意思を引き継ぎ連載の継続をすると発表した。
現在のところはっきりしていることは、「利き腕が右手」「血液型がA型」であることのたった2つだけ。
それ以外の情報に関しては「推定」でしか語ることができない。
身長
・182cm(推定)
体重
・80kg(推定)
年齢
・40歳前後(推定、ルーツ編ではおおむね1940年代生まれと推定されている)
瞳の色は鳶色。髪の毛は黒で直毛。角刈り。肉体は筋肉質で傷だらけ。
右利きだが、左手でも問題なく狙撃可能なため、実質両利きで銃が使える。
また、年に一度ぐらいの間隔で、突然右腕が麻痺する症状を発することがあるため、作中、左手でも拳銃の早撃ちができるよう訓練する場面があった。
この際は、右腕での射撃に比べて若干速度が劣るとされたが、それでも十分高水準の技術であった。
ゴルゴ13自身の知識をもってしてもギラン・バレー症候群としか認識できなかったが、実は全く別の神経系の麻痺である事が判明している。
現在では特別にブレンドした漢方薬を服用することで何とか症状を抑えているが、根治することは不可能とのこと。漢方医曰く「常人だったら即死するようなストレスに常時晒され続けていることの代償で、むしろこの症状で済んでいることの方が異常」とのこと。
もちろんその漢方薬も一回毒見させてから服用する。
……だったのだが、532話「震える修験者」にて大峯山の山伏の元で修行した事で克服した。
先達の山伏曰く「お前の右腕の震えは内なる恐れと、心の迷いの現れだ」との事なので、病気というより精神的なものだった模様。
病気が再発した際は治療が終わるまで依頼を一切受けず、大型ヨットで静養している。
なお、神経系麻痺が起きていなくても年に一度、ゴルゴが自分の目で選んだ優秀なドクター達をヨットに呼び寄せて健康診断をしてもらっている。
それぞれが分野の違うドクターであり、健康診断時以外でも必要とあらば連絡をとることもあり、そのために多額の援助を行っている。
レーザーを照射され目にダメージを受けたゴルゴが眼科医を呼んだ際には夜中であろうとも駆けつけている。
任務遂行中に症状が出て、銃器を扱えなくなり窮地に陥ることもあったが、その都度機転で切り抜けている。
彫りが深い顔立ちで、猛禽の羽のような太い眉と、非常に鋭い三白眼が特徴。「いい男」の部類には入るが、特徴的なためネタにされやすい。
顔が濃い割に変装は適当の一言で、服を多少変えたり帽子を被ったりする程度。
だが、敵は大概、まさかゴルゴ13が出張ってきているとまでは考えないため疑うだけに留まる場合が多い。仮に気付いて対策を打ったとしても相手がゴルゴでは焼石に水。
ただし、必要とあれば専門家を雇いしっかりとした変装を行う(「ティモールの蹉跌」等)
最近は、自身の手でメーキャップもするようになった。(「顔のない死神」等)
ルーツ
彼のルーツは謎に包まれており、それを探ろうとする者もいるが、彼によって始末されるか恐怖により自ら調査を放棄するかのどちらかに終わっている。
また、彼の出生にまつわるエピソードを主題とした作品もいくつか語られたことがあり、その中には、ゴルゴの正体ではないかという疑惑を持たれた人物が複数名、登場している。
- 東研作:幼少時、母親と米軍将校の不倫を目撃し、2人を射殺。その後、旧日本陸軍大佐が組織した諜報員養成組織「I機関」に引き取られ、工作員の訓練を受ける。脱走を図った年少の仲間を眉一つ動かさずに殺害するなど、冷徹な性格。
- 芹沢五郎:終戦直後に起きた「芹沢家殺人事件」の唯一の生存者。捜査に当たった元刑事は、芹沢家が代々暗殺者の家系であり、幼い五郎も教育を受けていたと推測。また成人後の五郎が整形手術を行ったと仮定した場合、専門家が予想した術後の顔はゴルゴの顔そのものであった。
- (本名不明):伝説的なロシア人軍事顧問、アレクセイ・スメルジャコフと、日本の女諜報員との間に生まれた男。ゴルゴが稀に発症する、腕が一時的に麻痺する症状を、スメルジャコフも持病としていた。
- 五島貴之:父親は中国の馬賊の頭目、母親はロマノフ朝の末裔。幼少時の初陣で敵兵10人を射殺するなどの非凡な才能を持っていた。劇中では貴之の異母弟に当たる人物が父親のボディーガードをゴルゴに依頼。ゴルゴの目元は若き日の頭目のそれと瓜二つであった。
- 東郷狂介:父親は東郷平八郎の孫、母親はチンギス・ハンの末裔。大戦末期に中国軍に保護され、その才能を毛沢東に見出される。その後は彼とその側近らから直々に英才教育を受け、将来を期待されていたが、突然消息を絶つ。
- 英治・マインベルグ・東郷:日本軍人の父親とユダヤ人の母親を持つ。幼少期、大戦の動乱の中で両親を失い、建国後間も無いイスラエルに渡り軍に入隊。中東戦争で活躍したとされる。
- グレゴリー・皇士・東郷・ロマノフ:父親は日本軍人。母親は最後のロシア皇帝ニコライ2世の皇女。米国の国家予算に匹敵すると言われるロマノフ王朝の遺産相続人候補。狙撃の腕前は天才的だったが同時に心優しい少年でもあった。生存していた母からは「生きていれば感情を破壊され、機械の様な人間になっている」と憶測されている。
- 東堂高志:日本軍人の子だったが孤児となり、殺人武術の師範であった中国人に「馬禿鷲」と名付けられ育てられる。その後、匪賊(武装盗賊)の元で射撃を学び、さらに傭兵としてベトナム戦争に参加。米軍から「ホーク・アイ(鷹の目)」と呼ばれ恐れられる。
これらの人物のうち何名かについては、既に死亡が確認されている、即ちゴルゴではなかったことが判明しているが、その他の人物に関しては可能性が残されている。中には彼らの関係者がゴルゴに直接問いかけたケースも何度かあるが、いずれの場合も彼は否定も肯定もしていない。果たしてゴルゴはこの中の誰かなのか、それとも全く別の人物なのか、作中でも最大の謎と言っても過言ではないだろう。ただ長期連載に伴いゴルゴの年齢設定が破綻した結果、いずれのケースも時代設計の関係上怪しい話になってきている。
また、彼の出自を探ろうとした科学者により、極秘裏のDNA鑑定で日系かモンゴル系の生まれとまでは絞り込まれている(なお判明直後、彼らは研究所ごと始末された為作中では不明の扱いのままである)。
弱点が見当たらない彼だが、もしかしたらそのルーツに弱点が・・・
ガゥゥゥ――…ン
冷静沈着。本人曰く、「ウサギのように臆病」(後述)。
依頼者に対しては、それがどんなに偉い人であろうがタメ口(常体)で接することがほとんど。
自身の正体を隠すため、恩人の家族の依頼を受ける際など、状況によっては丁寧に話すこともある。
(※実際には、相手の出身国における公用語で会話しているはずであり、また言語によっては常体・敬体を区別しない場合もあるため、作中における日本語の台詞は雰囲気をつかむためあえて敬体のタメ口にしていると思われる)。
依頼者と会う時も、壁に背を預けたまま話す、車に乗る際は必ず自分以外を全員乗せてから乗る(背後から不意を打たれないためか)、握手はしない(片手を封じさせない)、胸ポケットに限らず鞄などからも資料を取り出す際はゆっくりと出すことを強要する(早撃ちによる奇襲の防止)など、慎重な姿勢を見せる。
ただし、握手は相手の実力を図るためなど必要とあればするし、事前に心得ていた場合や、振る舞いに違和感を感じた(一般人のはずなのに身のこなしに特定分野の特殊なモノが混じった等)場合に行う場合もある。
裏切り者(彼を騙した依頼者)や、狙撃の瞬間を見た、あるいは見ようとした者、偶然でも彼の写真を撮影した者、彼の使う道具を入手しようとする者、彼の任務を妨害する者、ゴルゴの存在を利用しようとするものについては徹底的に始末しようとする。
特に目撃者と妨害者、利用しようとする者、取り分け自分の配下・手下にしようと画策する者には容赦がなく、たとえ偶然や別の意図からのものであっても撃ち殺される。
例外はゴルゴの方に多少落ち度があり、なおかつ「一切口外しない」という約束が間違いなくできた場合(またはゴルゴの方が信頼できる人物と判断した場合)か、「そういう条件(ターゲット=憎い相手がくたばるのを間近で見たい等)の依頼」の場合だけである。(「AT PIN-HOLE!」でのテロリストの狙撃の際は周りにFBIらが大勢居る中で狙撃を敢行しているので警察組織からの依頼等「合法的な狙撃」の場合は目撃者についてあまり頓着していない模様)
また逆に、依頼人や協力者に(予測できない)ミスがあってゴルゴの生命に危険が及んだとしても、「仕方がない」と割りきって見逃してくれるケースが多い。
特殊な例だが、オリンピックの射撃選手にその集中力の秘訣のひとつを教えたこともある。
依頼に利用するためとも見られるが、その真相は不明なままである。
その反面、基本的に負傷したゴルゴを助命しようとする人間には「俺に関わるな」と警告するが、それでも損得なく親身かつ身の危険を顧みずに自分の命を救ってくれた恩人や信頼の於ける人物だと判断した場合は普段からは考えられないほど丁寧な態度で接することもあり、非常に義理堅い一面も持っている(後述)。
依頼や自身の生存に関係のない殺生は絶対にしようとせず、またたとえ自らの生死に関わる理由から殺生を行った場合でも、最大限の償いをする。
例としては、真夜中の山中でのトレーニング中に托卵により地面に落とされたカササギの卵を捻挫の危険を冒してでも避ける(しかし卵を巣に戻すなど助けることもない)、目標が医者で妊婦の命を救おうとしている場合は救急隊員が駆けつけるまで遂行を延期(「ジンネマンの一時間」)、目標が妊娠した女性だった場合は出産後まで依頼の遂行を延期(「許された命」)している。
やむを得ず自分のミスで罪なき一般人が巻き添えに死んだ場合、遺族へ匿名での多額の慰謝料を払うなどの行動も見せる。
例としては、とある牧場の近くで休暇中に刺客に襲われ、その牧場の息子の馬を無断借用し死なせてしまったことがあったが、その後ゴルゴは慰謝料としてその牧場主の借金を全額肩代わりし、その息子には死んだ馬と同じ品種の馬を、同じ名前を付けてプレゼントした。
「荒んだ大地」では殺害することになってしまったがゴルゴの正体を知らずに助けようと現場に向かい、結果的に目撃者になってしまった女性に対しては彼女が行なっていた難民支援に対し、匿名で寄付による支援を行なっている。この時は女性の方も「見てはならないものを見てしまった事」「彼自身にも曲げられない信念によって殺される事」を理解した上で殺されている。
ただし、たまたま居合わせた目撃者が絶対に口外しないと約束すればゴルゴは割と見逃してくれるので「彼自身にも曲げられない信念によって殺される事」は彼女の早とちりだった可能性も高い。実際、ゴルゴも即座に殺害したりはせずしばらく銃を向けるだけであり、彼女が「実は末期癌で余命幾ばくもない」「病で苦しむ姿を難民の子供達に見せるよりはここで死んだ方がいいのかもしれない」と言われて、「できる事はあるか…?」と心残りを聞いてから射殺しているので、ゴルゴとしても本心としては殺すのが躊躇われたが介錯のためにやむなく射殺したと見る事も出来る。
ただし、依頼において殺人の依頼ではなく、建物等を狙撃によって完全破壊することを依頼された場合、その中にいる人物の生死は考慮していない面もあり、例えば兵器工場を偽装した工場を銃弾で粉塵爆発を起こすことで完全破壊しているが、中にいた従業員は死亡している(この依頼内容には従業員の殺害は入ってない)。
また、意外と子供には優しく接することが多い。
敵の攻撃で負傷したゴルゴを介抱した少年(とその家族)に対して、回復後に少年の家の仕事を手伝ったり遊び相手になってやる(エピソード「黄金の男」。なお、この話では本業一切抜きでコーヒー農園の農夫として、短い間ながら穏やかな日々を過ごす珍しいゴルゴの姿が見られる)など、受けた恩義には子供だろうと老人だろうと関係無く報いる。
これとは逆に、劇中では少年や少女を射殺したこともあるが、彼に恨みを持つ祖父によって刺客として育てられたからであったり、ゴルゴを監視・脅迫してきたためであり、彼は自分の身を守るためにやむを得なかったに過ぎない(監視・脅迫した少年はその命を報酬としての依頼の為にわざわざ殺されるような行為をしたのであるが)。
結構動物好きなのか、前述の致命傷を負って死なせてしまった馬や、任務に使用して始末せざるを得なかった5匹の犬に対しても、申し訳なさそうな表情をしていた。(エピソード「黄金の犬」)
任務に使用するために調達し、負傷により引退せざるを得ない犬に対しては最後の晩餐となる食事の際にゴルゴなりに優しく接し、介錯に使用した拳銃を墓に供えるといった行動も見せている。(エピソード「寡黙なパートナー」)
作中では、ゴルゴと長年因縁を持ってきた作家から、「オンの時は自身の任務遂行にあらゆるものをためらわず犠牲にする一方、オフの時はあらゆる生死に関わらないという哲学があるのではないか?」と推測されている。
「鳩のレースでドーピングをしている鳩を狙撃してほしい」という依頼では鳩そのものを撃たず、鳩の足に付けられたレース用のIDナンバーの書かれた足輪(右足と左足の両方にそれぞれ一つずつ着けられてた、二つとも紛失させないと失格にさせられない)だけを狙撃してレースを失格にさせる(「ダーティー・ウイング」)、「ロケットの打ち上げを妨害するものの排除」という依頼でも鳩の足に付いている妨害電波発信器を破壊(「リスキー・ビジネス」)と言う離れ業をやってのけた。
負傷し記憶を失った彼を助けた女性に、正体を知られてしまった時も、銃撃戦の流れ弾に当たって死亡した彼女の遺体を、地面に横たえ手を胸で組ませて弔っている。
自身の名を騙る者や同じ顔に整形した者は抹殺される。そのことを知らずにゴルゴをサポートすべく顔を変えた協力者でさえもその対象となったこともある。ただし、その相手が完全に降伏した場合は別の措置が取られることも。変装した当人はゴルゴの事を全く知らなかったうえに恩人であり、変装を指示した当人は亡くなっていたことから、何もせずに見逃したことも。
また、レアなケースとして本当に偶然顔と名前が似ていたトニー・トウゴウなる人物が依頼者からゴルゴ13と間違われてなし崩しに仕事を実行することとなった時は、彼を陰から追って代わりに標的を始末するというサポート(?)を行っている。この場合、そも「偶然ゴルゴと似ていたがために巻き込まれた」という完全なとばっちりのため、その点を特に問題にしている様子はない。
また、「依頼主が過去の過ちで最近脅迫されていた」時、思い当たる人物として当時(恐らく仕事前の、お互い素性を知らない)ゴルゴに抱かれていたことで、「あの男に強請られている」と勘違いして刺客を差し向けられた場合「コッチはアンタらのことを◯◯と言うこと以外知らないんだが、なぜ襲ってくる?」と質問をし、「私を覚えていないの!?それで強請にきたのではないの!?」と半狂乱になる女性を見て「うん?」と困惑する場面が存在し、完全に勘違いということが分かった場合、機嫌を悪くするも「以後俺に関わるな」とだけ言い残し去ったことがあるため、勘違いの場合ある程度のラインを越えなければ赦すらしい。
とはいえなんやかんやでこういったエピソードの最後には、実はゴルゴの利害が絡んでいたりむしろ冷徹なまでのポリシーがそうさせているので無いかと語られたりし、結局ゴルゴという人物がどういったものなのか、ということははぐらかされる。
むしろはぐらかさないと作者の命が危ない。
前述の病気とは無関係に、休養をとっているときもある。
「禍なすもの」では、発電機完備、手榴弾でも崩れない上に核シェルターを備えた要塞同然の強固なログハウスを訪れ、常にM16を持ち歩きながらという形ではあったが、屋上で横になってくつろぐ様子が見られた。
このときは多少機嫌が良かったのか、途中でよったガソリンスタンドの店主に過分なチップを与えたりしている(多額のチップに気を取らせ、自分の行先を悟られまいとしている、もしくは自分の印象を少しでも薄くしようとしていると解釈することも可能)。
正確な行動原理がいまだに分かっておらず、金に執着してるわけでも、裏の名声が欲しいわけでもなく、かと言って殺しそのものを楽しんでいるわけでもない。
ただし「殺し屋」という仕事そのものに強い義務感・責任感を抱いている様子は度々見受けられる。
前記した難民キャンプの女性から「その生き方は、あなた自身にもどうしようもないのね」と評されたように「殺し屋として生きること」それ自体を己に課している、と取れる表現を作品各所で見て取ることができる。
もっとも、何故そうせねばならないのかの理由はけっきょく不明なのだが……
ゴルゴを語る上で外せないのがベッドシーンである。ゴルゴは無愛想で自分を一切見せない性格ながら女性には好かれ、性的関係を持つことがとても多い。
また、仕事に臨む前には娼婦を買って抱いている描写も多々見られる(特に初期)。
ゴルゴが仕事前に女を抱く理由については作中で明かされてはいないが、ゴルゴの仕事は常に命のやり取りがつき纏うものであるため、極限状態に置かれたことによる生殖本能の高まりが仕事に悪影響を及ぼさないようにするため等の考察が為されている。
「ゴルゴくらいの精神力ならば性欲くらい抑えられるのでは?」と思われるが、万事に慎重を期すのがゴルゴである(メタ的な理由としては劇中にベッドシーンを挿入することが、当時の青年男性向けの劇画という漫画ジャンルにおける一種の「お約束」でもあったためでもある)。
敵の中にはゴルゴのこの習慣を利用して罠を仕掛けようとする者がしばしば登場するものの、その全てが返り討ちに遭っている。
東洋系ながら黒人もびっくりなレベルの巨根のうえ、百戦錬磨の娼婦だろうが房中術に長けた女工作員だろうが不感症だろうがたちどころに絶頂に導いてしまう凄まじいテクニックの持ち主。
ゴルゴ自身は情事の最中であっても全く表情を変えることがなく、女の方が一方的に彼にイかされているのがお決まりのパターンで、ゴルゴが快楽を感じているかどうかは不明である。凄いような、勿体無いような…。
また、装備の作成等を依頼した際等の時間つぶしの場合はその時間となると中断して受け取り等に赴く。
作中で彼が射精したところが明確に描写されているのも実は一度だけしかない(エピソード「VOODOO」)が、ゴルゴの血を引くと思われる子供が現段階で3人登場しているので、描かれていないだけで射精自体は普通にしているとは思われる。
好みのタイプは不明(というか作中で描かれてるのはだいたい美女ばかり)だが、とりあえず高飛車なタイプは好きじゃないらしい。
なお、相手の膣括約筋の具合から人種を判別できるという謎の特技を持つ。
自分で娼婦を買う場合を除くと、女性のほうから情事を誘ってくるのが殆ど。
ただし、任務遂行上の手段の一環であれば自分から女性に近づくこともあり、あるエピソードではターゲットの動揺を誘うためにその婚約者を強姦して悲鳴を録音するという手段に出ている(「氷結海峡」)。
なお、この話は関係のない人間を積極的に巻き込んでいることや、やり口が全話通した凡ゆる時期のゴルゴでも取りえない下劣さであることから、ゴルゴの歴代エピソードの中でも抜群に評価が低いことで知られる。なお、あくまでもターゲットの婚約者に対して未遂や暴行未遂等で悲鳴を録音していた可能性もある(なお、ターゲットは『およそ半径1マイル以内の人間の気配をも察知出来る』というトンデモない相手であり裏を返せばゴルゴがここまでの反則を取らなければ倒せなかったと言える)。
初期の頃は一夜限りのものだが、幾度か真剣に恋したこともある。
「白夜は愛のうめき」のエピソードでは一夜限りの恋に落ちた女性に仕事の現場を目撃されてしまい、やむを得ず射殺してしまう、悲しい結末を迎えてしまった。
(ちなみにその際のゴルゴの表情は、なんとも言えない悲し気な表情をしていた)
その他、「海へ向かうエバ」「冷血キャサリン」などかつて関係を持った女性と再会するも死別する結末になった事も多く、その際は悲し気な様子を見せている。
そもそもいい感じになった相手とも仕事が終われば何も告げずに一方的に姿を消す事が多いのだが、記念すべき単行本200巻収録の「亡者と死臭の大地」のエピソードではラストシーンで世話になった女性の肩を抱き寄せてキスし(キスシーンがある時点でレア中のレア)、性暴力を受けた過去に苦しむ彼女を優しく諭し、世話になった対価として大金を渡して「何かあれば助けるからいつでも呼べ」と言って立ち去るというゴルゴ史上空前絶後なくらい円満にいい感じになった女性と別れている。
世界一とも評される狙撃が主な仕事。
たまに狙撃以外の依頼があるが、「自分はスナイパーである、ボディーガードは他所に頼め」としてボディガードは基本的に断っている。
ただし、特定個人を殺すだけでは収められない、ターゲットが特定出来ないなどの理由をきちんと明言した上ならば「○○の命を狙ってくる敵を排除してほしい」という風に言い換えれば、実質的にボディガードを引き受けることもある。
「事故に見せかけて」、「標的が依頼者を殺害するため雇った殺し屋を始末し、その殺し屋が自分を撃つ予定の時刻に狙撃を遂行」、「別の標的への狙撃ミスに見せかけて標的の殺害」、「素人の射撃に見せかけて数発は致命傷を与えない」、「自分の目の前で、かつ標的以外の犠牲者を出さない」などといったリクエストにも答えてくれる。ただし、「できれば」という形ででも、依頼の際に要望を明言することが条件。
なお、「腕利きのガンマンを他の組織に渡したくない」という依頼に対し、命を奪うのではなく利き腕を使い物にならなくするという形で遂行した事があり、あいまいな依頼に関してはゴルゴによる解釈で仕事が行われることもある。
特殊なケースでは、「開発者の始末と新型戦闘機の奪取、奪取が不可能と判断した場合は戦闘機の破壊」、「過去の狙撃の再現」、「依頼者が依頼に同行する事(目撃者となる事)」を依頼の条件として挙げられたことも。
「おれが、うさぎのように臆病だからだ… だが…臆病のせいでこうして生きている…
虎のような男は、その勇猛さのおかげで、早死にすることになりかねない…
強すぎるのは、弱すぎるのと同様に 自分の命をちぢめるものだ…」
のセリフに代表されるように非常に慎重な仕事をする。
背後に立った人物を反射的に殴るのも恐らくその性格からだと思われる、一度も役にたったためしがないが(この癖は広く知られているので、つい出たこの癖を見て正体を見破られたり、公務執行妨害や傷害による別件逮捕に利用されてばかりである)
この為、『ゴルゴ13は依頼した事や依頼内容を決して他者に言わないから』という口の硬さを理由で依頼をして来た者もいた(「300万通の絵葉書」等。なお、例に挙げたエピソードの時の依頼者は政府の軍の上層部であり自分達の手でターゲットを直接始末する事も出来たがそれを行ったら国が再度の動乱に陥る為、ゴルゴに依頼して来た)。
他にも例を挙げると拳銃を使用する際は弾を撃ちつくす前に必ずリロードしており、このことは同業者からも用心深いと目されている(エピソード「キャサワリー」より)。
ワンショットオンリーの特殊弾や、ほぼ丸腰での戦闘の強要など特殊な状況を除けば、ゴルゴが弾を唯一打ち尽くしたのはスパルタカスやAX-3、ダン・ストライカー等ゴルゴと互角と名高く、ゴルゴ自身も認める程の名ガンマンや猛者との一戦である(それぞれエピソード「鬼畜の宴」、「落日の死影」、「兵士は森に眠る」より)。
連絡方法
一般的な連絡方法は、刑務所の中のマーカス・モンゴメリーという人物に手紙を送り、ラジオで賛美歌13番をリクエストさせ、新聞の『13』の数字に関わりがある広告(13年式G型トラクターなど)の連絡先に連絡すること。
政府高官などは彼への連絡方法を知っていることが多く、『13』にかかわる何らかの行動を起こすこと(国際ニュースに『13』の数字を紛れ込ませるなど)で依頼の連絡になる。ゴルゴとしてはあまり好ましい手法ではないが、この方法を取る場合、取る側も本当に緊急時にしか基本的に使わないので、ゴルゴ側も「ちゃんと正規の方法を取れ」と釘をさす程度で収める。
CIAなど一部の組織は直接依頼を行う秘密通信回線を持っている。
その他、依頼者がゴルゴが近くにいることを察知した際に、彼が痕跡を残しそうなところを嗅ぎ回ると彼の方からコンタクトを取ってくるので依頼があることを話せば話だけは聞いてくれるが、内容や本人の胡散臭さによっては断られる可能性もある。(依頼と関係がない場合、本当に興味本位であったことを素直に話し、素直に消えた場合は許してくれる事もあるが、嘘があったりそれ以外の場合大抵死の報復が待っている)。
他には新聞に「英国R、G&M商会、船員募集」の広告を出す、イギリスのペンザンスに住むウィリアム・パートリッジに6桁の数字を書いた絵葉書を出す、「ユナイトホライズン土地開発株式会社」の株を買って暴騰させる、ラスベガスにあるカジノ「ウィークエンド」で合言葉を伝えると、オーナーの指示でジャックポットが発生して新聞記事に載る、のような方法もあるが、世界各地に居る仲介人に仲介してもらう方法もある。特定の人間しか知らない特殊な連絡方法が存在し、使用できる人間が限られているものもある。
これらの依頼方法は妨害される事も多く、特にマーカスの連絡方法は2度の妨害で一時的に麻痺していた事もあった。場合によっては連絡方法自体が破棄されることもあり、もし仲介に関わっている人員がいた場合は連絡ルートが使われなくなった場合でも死ぬまで報酬が支払われる。
また、連絡方法そのものが仲介人がゴルゴとのコンタクトを望んでいることを知らせる合図となっているものもあり、マーカスは依頼人が居ないまま讃美歌13番をリクエストして自身が収監されている刑務所へとゴルゴを呼び寄せ、連絡ルートの危機を直接伝えている。
その際には妨害を行ったものに対し報復が行われる。(エピソード「300万通の絵葉書」、「システム・ダウン」、「バイルス・チェイス」等)
特に「システム・ダウン」ではマーカス、ウィークエンド、ユナイトホライズンの三つを同時に妨害されたことでそれなりに被害を被っており、的確に対処した事で復旧こそできたものの大分怒り心頭だった模様、丁度実行犯二人を突き止めた辺りでその二人への暗殺依頼が来た事で、(普通の人間でもそうなるだろうが)いきなり依頼主を疑ってかかる程不機嫌になっており、この後、依頼人(※)は迷惑料としてターゲット2人の保険金の受け取り先をゴルゴに変更している。
(※)妨害犯の所属する保険会社の社長で、妨害犯は社員、動機は「ゴルゴのせいで会社の保険金の支払いが嵩んでいるため」。しかし社長的には「うちは世界一気前がいい保険会社、詐欺や不正がないのなら素直に保険金を払えばいい」「それで経営が成り立たなくなるならその時は料金を上げりゃいいだけだ」と別に気にしておらず完全な独断専行であった。
また、「300万通の絵葉書」ではタイトル通り絵葉書のルートに依頼に必要な情報のない大量の絵葉書(全て既に引っ越していて居ないウィリアム君への応援メッセージ)が送りつけられ、ルート廃止。ここしか知らなかった者達は大急ぎで次の依頼方法を探す羽目になった。
これに関しては中国政府がそうであったがその後、ゴルゴに依頼をして来たので無事に発見出来た様である(エピソード「害虫戦争」)。
直接会える仲介人がいる場合は依頼に当たってのアドバイスをもらえる事もあるが、依頼者が不適格であった場合は仲介人の命を支払うこととなるため、仲介人に断られる可能性もある。
CIAなど一部組織には専属となる連絡員がいるが、あくまでそれらの組織の担当者と言うだけであり、ゴルゴと直接的な協力関係は無い。(ただし協力者が内部にいると思わしき描写はある)
こういった依頼方法はもちろん一般には知られることはなく、多くは国家の政府や情報組織などが知る所であるが、国連の歴代事務総長も引き継ぐ際に依頼方法を後任に伝えるという場面がある。
裏の世界とかかわりの薄く連絡方法を知るはずがないと思われる相手には、どうやって知ったのか問う場合もある。(徒に接触方法をばら撒いている者がいた場合は排除するためだと思われるが、大抵は偶然か、連絡方法を知っている人物が最期に言い残したなどの事情がある)
稀にオイルマネーで物を言わせて無理矢理コンタクトした依頼人もおり、ゴルゴは命は取らなかったものの厳重に警告している。
もしかしたら、Pixivで描かれた13に関わる投稿絵も依頼方法の一つかも知れないが・・・おやこんな時間に誰だろう?
ガゥゥゥ――…ン
ただし、ここで挙げられているコンタクト手段はあくまで「ゴルゴと会う約束をする」手段であり、最終的にはゴルゴの指定する場所に依頼者側が赴き、直接会って依頼する必要がある。
本人が直接ゴルゴの指定する場所に赴くのが原則であるが、障碍者である、命を狙われていて迂闊に動けないなど正当な事情で、ゴルゴに来てもらうことが必要な場合や緊急を要する依頼の場合にはある程度の融通は利く。
なお、代理人による依頼も原則NGだが、死者の遺言や意識混濁などによる直接依頼不可能な場合の依頼などであれば認められる。
また、組織から依頼をする場合に一々ボスが出向くことは要求されておらず、信頼のおけるエージェントであれば問題はない。
が、機密に関わることなどで「外で詳細な話が出来ないがとにかく依頼だから来てくれ」という様な拉致同然の形を取ると目的地でほぼ必ず撒かれてしまう(その時の同行者に盗聴器をつけており、ある程度情報を収集してから再度自分から出向く、曰く「何の予備知識もなく依頼人に会うほど俺は自信家じゃない」)
ちなみに、先述の「13年式G型トラクター」の広告は2012年11月7日の毎日新聞の夕刊に実際に誌面企画広告として「13年式G型トラクター買いたし 至急の商談求む。但し中東への輸出仕様。委細は面談の上にて。連絡乞う 一ツ橋インターナショナル商会 担当/竹橋」と掲載された事がある。そして翌11月8日には「13年式G型トラクター商談に応ず 上記商品の件、納期・価格を了承した。スイス銀行の弊社口座へ代金が振り込まれ次第、通関手続きに着手す。東郷公爵商事 DUKE TOGO TRADING Co.」と、彼からの返答広告が掲載されている。
依頼に際しての注意
依頼者が知っていることは必ず洗いざらい正直に話すことが最低条件。
内容の前に例えば「落語」における「枕」のような事(どうでもいい前置きや自慢話)を依頼者が言い出したら「おしゃべりはそこまでにして本題にはいってもらおう」「それは依頼に関わるのか」と不要な会話として釘を刺してくる。(関係ないように見えるが実は関係がある場合はそう言えば「…続きを」と聞いてくれる)
ただし、本題と関わるものとゴルゴが判断すれば「確か~だったな」といった風に話に乗ってくるし、不明なことは不明であると明言したり、話せること(知っていること)の方が少ないということを明言していれば、必要になったら自分で調査する方面で動いてくれる。
少しでも後ろめたい内容があったり、調べさせた形跡すらない、信じるに値するだけの理由がない曖昧な噂話(「今までその出自の噂話を無視してろくな目にあった奴がいない」「外れた事がない」など少なくとも依頼人は信じるに値する何かを感じている場合は、裏取りも含めて受けてくれる可能性はある)が根拠などのいい加減な情報があればゴルゴは決して依頼を受けないし、もし承諾後に偽りや隠し立てしたことが判明した場合は裏切りとみなされ、必ず報復される。
この報復は相手の殺害だけでなく、自分の影武者を狙撃させることで死を偽装しようと部下を介して彼に狙撃を依頼した相手には、影武者ではなく本物の方を狙撃することで報復としたエピソードも存在する。
また、罠や裏切りの可能性も考えて依頼者を事前に調査を行なっており、依頼人も利用されているだけと判断した場合は報復は行なわれず、殺害後、待ち伏せや明らかに人為的なテロに巻き込まれ、その背後関係に依頼者の影がチラついた場合等「依頼を他言した可能性」が出た際やゴルゴにピンポイントになんらかの不都合が発生した(長官がゴルゴに依頼した後、その副官が「脅迫の目をつぶすため」と独断でゴルゴに私兵を差し向ける等が作中実際に起きた)場合「なんのつもりだ?」と接触する。依頼人は「な…なんのことだ?アンタは依頼人に二度は会わないんじゃ…?」等と当惑することが殆ど(故意なら大抵戦勝ディナーと洒落込んでいる)で、その反応を見て演技が真実か見極める。演技なら報復、真実であるなら「誰かに依頼を話したか?」等と質問し、他言していなかったり問題ない範囲の他言(側近レベルとの情報共有や「奴はすぐ消える」等、匂わせ程度の曖昧なもの)ならばそのまま去り、黒幕を突き止め、その者に報復する
報復の際は何の前触れもなく射殺する場合もあれば、狙いをつけながら連絡し「俺のルールは知っているな?」と一言言ってから射殺する事もある。
一番多いのは失敗の報告を聞いて絶望した瞬間脳天に銃弾をぶち込まれるパターン
しかし、すべてを話した相手についてはゴルゴ自身のポリシーに基づいて、承諾に値する依頼と分かれば、依頼者の立場・イデオロギー、その後の好悪影響関わらずどんな相手でも依頼を請け、また依頼内容の関係で自分の経歴に傷が付く様な内容でも正当な依頼内容であれば引き受ける。またちゃんと筋道の通った内容であれば「自分をイエス・キリストだと思い込みAI化したプログラムが逆恨み的にゴルゴを狙っている」という傍目からは素っ頓狂な内容の情報でも本人が正気かつ本気と分かれば信頼する。
また、公的な理由(ターゲットを始末しないと国の経済がダメになる)と私的な理由(ターゲットに息子を殺された)の双方に正当性があると判断した場合は片方だけを言われても了承した。
逆に承諾に値しない場合は、どんなに報酬を積まれても断わる。
依頼人として不適格な者とそれを賄賂で仲介した仲介者を殺したこともある。
上記のように狙撃や破壊といった依頼のみを受け、護衛任務は受けることはなく、敵対者の排除など、間接的に護衛であれば受けてもらえる。
依頼の遂行まで長く期間を置く依頼に関してはゴルゴ自身がその時点まで生きていられると限らない事や、他の依頼とバッティングしかねない為に断られるが、依頼の準備期間として扱う、依頼人がなぜその期間をおくか正直に話すなど、ゴルゴが承諾に値する理由がある場合は受けてもらえる。(エピソード「未来への遺産」「一年半の蝶」)
また真意を確認して裏切りが判明したとしてもそれが依頼人の信念に繋がっており、ゴルゴ相手だろうとそうでなかろうと自分を貫いた結果なだけの場合は報復後に依頼を遂行する事もある。(エピソード「ビリニュスの光と影」)
なお、ゴルゴは依頼自体は依頼者の裏切りなどが無ければ責任を持って最後までこなすが、結果については責任を負わない。
つまり、標的を殺害したことで結果的に依頼者にとって、依頼しない方がよかったと思われる更なる不都合が発生してもゴルゴの責任の範囲外で、それが予測できる範疇であるなら、依頼後その場から去る際に一言皮肉を言う。(「大舞台で失敗して恥をかき、ライバルに抜かれた」→「ライバルにも同じ失敗をさせて"あれは仕方なかった"と思わせ名声を取り戻す!」→「同じトラブルに完璧に対処され格の違いを見せつけられ、挽回のチャンスが二度となくなる」というような事態が起きるエピソードの場合、ゴルゴが去り際に一言いっているので去り際に何か呟いたら裏を考えてみるとエピソードをより楽しめる)
またターゲットが逆にゴルゴに狙われている事を自身の目的の為に利用した事もある(「一億人の蠢き」等。例に挙げたエピソードでのターゲットは宗教の教祖でありゴルゴに狙われている事を知るとそれを利用して自らを殉教者とする為に遺言の動画を製作し、爆弾付きの上着を着用する事でゴルゴに狙撃された直後に爆発。更に動画を流す事で依頼者の計画は完全に潰されてしまった)。
ただし、依頼をこなした後の結末も考慮することもあるようなので、すべてはゴルゴ次第、ということだろう。
かつて受けた依頼の遂行が不十分であったなど、後始末が必要となった(その時その場にいなかった仲間が復讐者として前任の意思を継ぎ、始末しなければならなくなった場合や、施設や資料が残っていたせいで別の奴が同じことを始めた等)場合、その事に関しての依頼を受けた際には、「報酬は結構だ」などの様に断り依頼金を受けずにその依頼を受ける場合もある。(エピソード「贋作工房」等。このエピソードの時はターゲットの助手が依頼人への復讐の為にターゲットの残した技術を元に再度贋作を作り始めていた)
依頼した以上は全幅の信頼を置く
一度ゴルゴに依頼した以上、その案件に関しての決定権は(依頼主のキャンセル依頼以外)全てゴルゴに帰属する。
そのため、依頼の際に条件として告げずに依頼後に仕事に必要な人員を提供しようとしても「必要な人員はこちらで決めるし、必要なら自分で探す」と拒否される。
依頼主が裏社会の人間の場合などで、ゴルゴを信用できないからと見張りの人員を置こうとすると「俺を信用出来ないなら依頼はここまでだ」と依頼を切り上げようとしてくる。
ゴルゴに任せると言ったのなら欲しいと言ってくるまでは何も手出しせず全てを任せること。
ただし、条件によっては依頼人に協力を求めてくることもあるので、非常に責任重大である(上記の「自分の間近で憎い奴が死ぬのを見たい」という依頼に対して「場を作るのにアンタの協力が必要不可欠だ」として後で自分が使う暗殺道具を手渡し小芝居を要求している)
依頼人との再接触
依頼の承諾後は、ゴルゴが必要と判断した時や依頼時の条件とした場合以外は依頼人とコンタクトを取ることは依頼の完了報告等も含めて一切ない。
作中で狙撃の際に不発だった時と旧ソ連(ロシア)の女性超能力者に狙撃を阻止された時は、失敗の報告と追加情報の依頼のために自分から依頼者の元に現れ、相手を驚かせた(基本的に別の依頼以外で二度会う=死の報復であるため)※
後者に関しては依頼者も自身の不手際と判断して追加情報を用意して渡した。
ただし、MI6のヒュームに対しては標的の犬の牙を送ることで依頼の完遂を報告している(しかしヒュームは危篤状態にあり、受け取って中身を確認した執事は「タチの悪いイタズラ」と誤解して牙をゴミ箱に捨ててしまった上にそのまま亡くなったために受け取ることは出来なかった。エピソード「ヒューム卿最後の事件」)。
また、依頼に関係する追加事項として事件を起こした黒幕の排除という依頼の為に依頼人側から再接触した例もある(エピソード「ブラックジャイアント伝説」等。例に挙げたエピソードでは依頼された「施設を襲う敵の排除」を遂げた後に依頼人の部下がやって来て再接触を行い、黒幕に関しての情報が分かった為、改めて黒幕の排除を依頼した)。
作中ではその他、「裏切りあるいは偽りがあった事への確認」、「その確認が事実であると判断しての制裁」、「依頼人が別の依頼人の標的となった」等様々。
※「依頼人と二度会う時は~」は、ゴルゴ自身がたびたびそう発言しており、また、作中世界でもそのように認識されている決まり事ではある。ただ実際には、直接会いに来るのは上記のような不測の事態における相談事や、「裏切りに遭ったが、それが依頼人の意志かわからないので直に問いただす」というケースが多い。問いただすまでもなく有罪を推定できる場合、電話がかかってきたりする。
依頼人が死亡した場合
依頼の遂行中に依頼者が死亡した場合でも受けた依頼は最後まで実行する。
これは依頼人の裏切りが発覚し、依頼遂行前にゴルゴ自身が依頼人を殺害した場合でも同様。
後述の「停止命令」ルールとの兼ね合いにより、依頼人が死亡した時点でゴルゴへの依頼をキャンセルすることは不可能となる。
依頼のキャンセル
基本的にキャンセルは不可能。
だが、依頼者本人による「停止命令」(ストッペイジ・オーダー)があった場合に限り、依頼のキャンセルを了承する。
当然その場合は後にキャンセルの事情を正直に話し、依頼時と同様に彼のルールに沿う理由でなければならない。また既に支払われた報酬も返却しない。
依頼前であれば報酬の支払いは必要ないが、同様に正直に事情を話す必要がある。
また依頼の中に依頼者判断による狙撃の決行中止の判断を盛り込む事は可能(これこれこういう場合は一旦狙撃を中止してくれ等)。
依頼遂行直前でのキャンセルなど、緊急であれば依頼の連絡と同様に「13」が含まれた内容をラジオなどで流すことでキャンセルを行うことが出来る。(ルールに沿わないことからおそらくキャンセルではなく一時延期で、依頼主の意思を確認後に正式にキャンセルになると思われる)
キャンセルされた場合、事故死に見せかけてなどの依頼の条件が達成されてしまう状況を防ぐため、それらによる死を防ぐ行動がゴルゴによって行われることもある。
この「本人による停止命令」以外にゴルゴを止める手段は一切無い。
依頼人に近い第三者が停止命令を下そうが、慌てた依頼者に命を狙われようが本人による停止命令がない限り絶対に依頼を中断しないのである(エピソード「110度の狙点」では停止命令だけで事は収まっていた)。
このため、依頼人が死んだ場合はキャンセルは永久に不可能となる。
これにより『ゴルゴから逃げられなくなった標的の話』(「動作24分の1」「死に絶えた盛装」等)も存在する。
報酬
報酬はおおむね数万ドル~20万ドルが相場で、アニメ版では300万ドルと大幅に増えていたが、ゴルゴ自身が具体的な額を提示することはほとんどない。
一部の依頼では、経費の方が明らかに依頼料を上回っていた場合もある(潜入先の施設の間取りを再現した建物を建てて予行演習する、WW2時のある戦場を完全再現する、潜入のために必要な滑走路を作る島を購入する、等)。
依頼者が自分の命を担保に出す場合や、命を賭しての依頼であれば格安(子供の小遣いや指輪1個など)で引き受けてくれる(「ガリンペイロ」等)。
エピソード「標的は陽気な悪魔」(2010年9月公開)では13,000,000,000,000,000,000(1300京)ジンバブエドルで依頼を引き受けた事がある。数字の桁は多いが当時のレートで米ドルに換算すると100万ドル程度であり、トラックの荷台いっぱいの札束は運搬・検問のリスクもあり、仕事を終え出国する時にはハイパーインフレで価値が10分の1に下がってしまうという代物だった(依頼人も断られても仕方がない条件の依頼だと思っていた)。ゴルゴは依頼人がジンバブエドルでしか報酬が用意できなかった事、受け取り後の価値の下落はゴルゴ側の問題として依頼を受けている。
あるエピソードで報酬について問われた際にはものさしの一つに過ぎないと答えている。
報酬は先払いが原則だが、命を賭した依頼などの場合、死後に保険金から支払われるなど、後払いで受けることもある。(ゴルゴ自身が巻き込まれた事件の解決の際には後払いで受けたが、信用のあるヒュームの依頼であったという事も後払いで承諾した理由と思われる)
また、エピソード「2万5千年の荒野」においては50万ドルと「アンタの狙撃を見た奴がいる」という脅迫にも近い情報を報酬に、暴走を始めた原発内の逃がし弁(の高まりすぎたガス圧部)の狙撃破壊という危険な仕事を受け、完了後に無理矢理起動させた逃がし弁から漏れた汚染された蒸気を浴び全身火傷を負い、更に被曝もあってもう長くない依頼主に「実は俺なんだ」と告白を受けた際にはトドメをささず(報酬の一部を受け取らず)最後の一服としてタバコを渡し立ち去っている。
同一の目標に対する依頼が複数有る場合(特に依頼内容に於ける利害関係が一致してる場合)でも、報酬の多重取りをしない事や依頼者毎の動機や依頼内容の違いなどを考慮し最初の依頼のみ報酬を受け取り、以降は依頼すら受付けない。
依頼人に対して依頼を受けない理由を明かすことは無いが、「あんたの願いは届くだろう」といった形で既に標的への仕事を依頼されていることを仄めかすなどのフォローがある場合もある。(条件のある先約と無い後約であっても先約を優先するし、順番が逆でも先約を優先する。そのため先約が「ただ殺せばいい」依頼だった場合「事故死してほしい」後約は困ることになる。が、気を利かせて事故死させてくれる事もある)
ただし「別々の依頼者それぞれから依頼されたターゲットが偶然にも一箇所に集まってしまう」という特殊なケースに於いてはあくまでそれぞれが別個の依頼であると、双方から依頼料を受け取って一発の弾丸で終わらせた例も。(エピソード「ラスト・ゴーギャン」等。例えばそのラスト・ゴーギャンの場合は悪辣な買い手に大切な絵画が渡ってしまい、その価値を無くす為にストーリー上での依頼者がゴルゴ13に絵画の始末のみを依頼したのだが、それより前に別の依頼者からその買い手の抹殺依頼を受けていた。結果的にゴルゴ13は絵画ごと買い手を撃ち抜いた事で飛び散り付着した大量の血液で絵画は修復不可能となった。)
また、過去に依頼とは無関係の場で彼を助けた恩人などには無償で依頼を受けることもある。
例としては、アーノルド・ノイマンという老医のエピソードが有名。
ある依頼で重傷を負い、逃げ込んだ先の核実験場で事故が起きたことで被爆の危険に晒されたゴルゴをノイマンはその危険を省みず、彼を安全な場所まで運び手当てした(そのおかげで、何とかゴルゴは被爆を免れている)。
ゴルゴは自分の命を救ってくれたノイマンに感謝し、彼自身が「困ったことがあったらいつでも連絡してくれ」と連絡先を教え、ノイマンが命を狙われた際には陰ながらその暗殺者を狙撃し、彼の命を救った。
ノイマンはその後病死したが、その夫人から連絡を受けると直ぐに駈け付け依頼を受けるなど、彼の義理堅さを窺えるエピソードも多々ある。
ちなみにこの依頼は夫人の知り合いが被害者となった事件の証拠品となるパッチワークが盗まれたので、それを取りかえしてほしい、というもので到底狙撃の依頼と呼べるものではなかったが、ゴルゴは無条件で依頼を受けている。
恩人が依頼を拒否した場合でも、多額の寄付を匿名で行うなど何らかの形で恩を返している。
何らかの事情で依頼の達成が不完全になった場合は、報酬の一部が返金される。
ゴルゴによらない事故などで標的が死んだ場合は、それまでに使った経費などを差し引いて返金となる。
違う殺し屋によって標的が先に始末された場合は、経費を差し引かずに全額返金する。
病死などによりゴルゴが手を下すことなく死亡していた場合はゴルゴ自身の調査により死亡の確信後に返金される。(エピソード「カリブの人喰い菌」)
これらの事態が発生しても基本的に依頼者には何も説明しない。
わかった、やってみよう…
特にルールに抵触する部分が無いと確認されたら、ゴルゴが「わかった、やってみよう…」と言い、依頼成立となる。
用心深い性格からか、依頼の成功を確約したり余計なセールストークをしたりすることはなく、ただ「やってみる」としか言わない。事情を知らない者は「言い方が軽すぎる」と文句をつけることがあるが、多くの依頼者はゴルゴが「やってみよう」と発した時点で「おおっ!」と喜びのリアクションをとる。
(ちなみに先述の無関係のそっくりさんトニー・トウゴウの心得は"one hundred percent guarantee(完璧な保証)"である。やってみるだけで確証はしないゴルゴとは正反対だが、トニーの仕事が「電動工具のセールスマン」である事を考えると、こちらもビジネスマンらしい心得と言える)
アーマライトM16A1→M16A2
ゴルゴの基本装備。愛銃と言ってよい。
M16は本来、狙撃に適さないアサルトライフルだが、
- 複数の敵との予期せぬ近距離戦にも対応できる
- 体格に合っている
- 高い性能、汎用性、信頼性を併せ持つ
といった理由から採用している。
いみじくも自らを「一人の軍隊」(カラシニコフの開発者に、M16にこだわる理由を問われてこう答えた)と言い表すゴルゴにとっては、M16が最適の得物であるようだ。
狙撃以外にも単独で大勢相手の破壊工作を請け負うことがあり(エピソード「ガリンペイロ」、「百人の毛沢東」ほか)、その際大勢と交戦することがあるので、そのことも考えてM16を使用していたのではないだろうか。
また特に、現在世界でもっとも長く・広く使用されている銃の一つであり、改良が重ねられて高い信頼性が確保されていることは、彼にとって重要な点である。ゴルゴは、どれだけ性能が高くとも、「開発されたばかりの新型」などはまず手にしない。A2でさえ、米軍が正式採用してから10年も待ってようやく自らも使用を開始したほどである。
とはいえもちろん、狙撃に特化するように入念にカスタマイズされており、ときには勘のいいキャラが「彼の仕事では」と気づくほどである。
A2導入時には、世界最高の武器職人(後述するベリンガー)に最高品質のバレルを何個も吟味させ、持てる技術を投入させることで異常な高精度を誇るバレルを入手することに成功している。
狙撃用のスコープも、現代では時代遅れの感がある光学式にこだわっている。その理由を探ろうとした者もいたが…やはり消された。
暗闇や霧の中での狙撃など依頼内容によっては、微弱な光を増幅するスターライトスコープ、熱を映像化するサーマルスコープ等特殊なスコープを使う。
弾丸の選出にも注意を払っており、100発の銃弾を手に入れた場合、ランダムにそのうちの80発を選んで射撃し、1発たりとも不良がないことを確認した上で残りの20発を使用するようにしている。もし1発でも不備があれば弾丸は全て破棄して新たに調達を行う。ちなみに好奇心で不発弾を混ぜて渡した売人には…やっぱり死の報復が待っていた。(その売人も売人で殺されるのは承知の上で、「あのゴルゴが俺の混ぜた不発弾で困った」事で大喜びしながら死んでいったとんでもない変人であった)
デイブに高精度の銃弾を頼んだ際には20発要求し、10発が試射に用いられた。(例によって短時間での要求だったため、デイブはあちこち駆け回る羽目になった)
特殊な弾薬の作成を依頼した場合も基本的には試射用も含めた数を要求するが、タイムリミットがわずか、特殊過ぎる等により数が用意できない場合はぶっつけ本番で使用している(エピソード「死刑執行0:01AM」等。例のエピソードではゴルゴはデイブに1発だけ依頼用の専用弾を頼んでいる)。調達を依頼した相手はデイブ等の信用できる相手なので、その腕を見込んでだろうが。(受ける側もゴルゴにそれだけの信頼をされている事に対して「私の全てをこれに注ぎ込んでやる」と心を燃やす事が殆ど。)
後にエピソード「Stock」にてスイスに住む職人により木製の調整式ストック及びグリップ、ハンドガード(これらはPSG-1のものとほぼ同形)が作られ、以降のエピソードではM16は変更されたものが用いられることもある。
なお作中の世界では「ゴルゴが使っている」ということが広く伝わっているために、現実よりもM16の人気が高いという設定がある。中にはM16人気を疎んじた銃器メーカーがゴルゴの命を狙うというシナリオも存在する。(エピソード「激突!AK-100vsM-16」においてはたった一人の人間が銃の評価を変えており、ゴルゴが敗れればM16は数年で姿を消すとまで言われている)
表の世界ではというと、ゴルゴが失った武器の代わりを調達するために訪れた地方都市のガンショップでは流行りの銃ではないとの事で、在庫は3艇しかなかった。(エピソード「黒白の演出」)
本当の採用理由
さいとうが連載開始にあたって、ミリタリー・イラストレーターの上田信に殺し屋の銃は何が良いか相談したところ、最新のM16を紹介された。しかし「主人公は狙撃手」という肝心な情報が抜けていたため、長距離狙撃にアサルトライフルを使うという変な設定になってしまった。「狙撃手って聞いていたら他の銃を勧めた」らしい。
そのため、特注品であるなどの後付け設定が加えられた。
しかし、これを逆手にとって、上記のようにゴルゴがあえてM16を使用する理由を描いたエピソードがいくつも作られている。これらはおおむね傑作・良作揃いであり、連載開始時の齟齬が良エピソードを生み出すという皮肉な形になっている。
また、アメリカ軍のM16にはキャリングハンドルを除去してフラットトップ化して高精度銃身を使用など、偶然にもゴルゴの仕様に近い狙撃銃が生まれている。
ただし、初期の時点で「ロング・マグナム弾を使用するアーマライトM16変造銃」と書かれており、通常の5.56mm弾とは違う狙撃仕様と明言されている。
(その割には後年、銃弾を特注する際に「5.56mmM-16」と発注している話もあるが)
設計は東京マルイ(数年前にゴルゴ13をイメージした限定モデルが発売されてから漫画でもそれに準じたデザインになっていたが、上記のようにエピソード「Stock」以降は更に改修されたものも登場するようになった)。
サブアーム
多くの場合、S&W M36 チーフススペシャルをはじめとするリボルバー(回転式拳銃)を携行しており、近距離ではこちらを用いて迅速に応戦する。
シンプルな構造故に弾詰まりの危険性がないことから、オートマチックではなくリボルバーを選んでいる。(同じ理由でリボルバーを選ぶキャラは様々な創作で存在する)
ちなみに、作中ではこのリボルバーにサウンドサプレッサーを取り付けて射撃することも多いが、現実には普通のリボルバーにサプレッサーは意味がない。(サウンドサプレッサーは銃口からのガスの圧力を削減して減音するためのものなので、リボルバーでは銃口だけ塞いでもシリンダーと銃身の隙間から音が漏れてしまう。)
だが、ありえないくらい太いものを使用していることから、本来の機能範囲にとどまらない、銃本体も含めた何らかの特殊なカスタムによって音を消しているのかもしれない。
実際発射時にシリンダーを押し付ける機能を有するナガンM1895ならば、逃げやすい銃口にガスが行くことで通常のサプレッサーでも充分な効果が望めるのでカスタムでどうにかするのは不可能ではない、これもM16ほど明言されないが適宜依頼によって使い分けているのだろう。
また、任務によってはオートマチックピストル(自動式拳銃)も使う。
その他の武装
M16はあくまで基本装備であり、任務に応じて様々な武器を扱う。
超遠距離やより高い精度での狙撃が求められる場合では、ボルトアクションの狙撃銃を使用することが多い。
重火器はもちろん、ナイフ、ダイナマイト、ボウガン、弓矢、エアガンなど一通りの武器に精通しており、場合によっては実質ただの圧縮空気ボンベを武器にする(「銃」では撃てない、撃つことを想定していない物を発射するために使う、例:石礫、ガラス等)事もあるなど任務に合わせて多様な武器を使い分ける。使ったことのない武器でも、任務達成に必要と判断した場合には、猛烈な速度で使用方法を学習してしまう。
和弓を用い、宇宙空間で攻撃衛星を無力化した任務もあった(ちなみにこの任務を受ける際、背後に人が立つことを許さない彼には珍しく、女性弓道家に背後からの指導を許す場面があった、その女性も全裸になる事で非武装をアピールする心構えを見せた)。
日本の火縄銃を用いた狙撃の依頼を受けた際も、指導があったとはいえ短期間で扱いに習熟し、依頼どおりの狙撃を成功させた。
あまりないが、場合によっては銃器を現地調達する。武器を自作する能力も優れており、非武装状態に追い込まれても、折った木の枝を歯で齧り尖らせて刺突武器にする、廃材から吹き矢を作る、車両の排気管に釘などを入れて排圧で即席のショットガンにするなど、その場にあるものを利用するなどして即座に反撃できる。
そして、従来の武器では不可能と思われる本当に困難な仕事の場合は、後述するデイブなどに専用の武器を作ってもらう。
宇宙空間でも問題なく使用可能なライフルや、150mmの装甲板を貫通する威力を持つ対物ライフル、噛む事で引き金を作動させるリモートスイッチを取り付けたライフルなどがある。
ライフル本体に限らず様々な特殊弾も使用しており、密室内の虫を殺す為のバクテリアを封入した凍結澱粉の弾丸、ガラスを貫通しつつターゲットの頭部で止まる貫徹性と停止性という矛盾を弾丸を破片化しやすい素材で作る事で解決した弾などいずれも無茶にすぎる代物ばかりで、作るのはもちろん使いこなすのも難しい。だがゴルゴはすべて使いこなし、任務を達成している。
銃器職人
劇中では主にカスタム銃の製作をしてもらっているデイブ・マッカートニーと、M16の製作をしてもらっているベリンガーと言う職人がいる。いずれも作中では世界有数の職人である。
デイブは前述のとおり、依頼によっては、実現不可能としか思えない無茶な銃器を制作させられる。おまけに見積もりの何分の一もの短い期間での製作を求められるため、ゴルゴの注文には毎回「無理だ」「無茶だ」「おお、クレージー!!」と悲鳴を上げている。それでも必ずなんとか形にしてしまうあたりは本当に凄腕である(とはいえ、腕云々ではなく物理的に無理等の理由でさすがに妥協せざるを得ないときもある)。
簡単な要求をされると逆に不審に思うが、簡単な仕事をあえて頼むのはそれだけ信頼されている証拠であると納得している。
なお、全てがデイブの手によって調達・調整されるわけではないようで、同じように高い腕を持つ同業者に調達や検品を頼むことがある。(エピソード「武器屋の長い午後」)
デイブの作品には以下のようなものがある。
- 1,000m先の対象の頭部を打ち抜く精度を持ったライフル(初仕事)
- 宇宙空間で使用可能な無反動M16
- 150mmの装甲板を撃ち抜く対物ライフル(本来はこれに300mmのコンクリートが加わっていたのだが、その場合はいくらゴルゴでも到底携行できない大型ライフルと化してしまうことから、デイブの判断で威力が減衰された)
- 300mの距離で厚さを20mmの鋼板を軽くぶち抜く威力のスナイパーライフルと弾頭
察しもいい方で、作った銃で何を撃ち抜くか聞いただけでどうやるのか?を当てている事も多々あり、同時にそのイカれた難易度を思案しつつも「ゴルゴならやってのけるさ、心配するだけ無駄ってもんだ」と思考を打ち切る等、彼側からの信頼も見て取れる
最近彼を主人公にしたスピンオフ「銃器職人(ガンスミス)・デイヴ」が出版され、普段の彼が何をしているのかが描かれている。基本的にはゴルゴ13と同じ構成だが依頼パートはなく、既に銃器等の依頼後で「さっき無茶振りされて作ってた銃を渡したところだ」と言う形でチラっとゴルゴの名前やシルエットだけ登場したりするが、時にはゴルゴが全く関係ない話が出る事もある。
ベリンガーは天才的なバレル職人で、ゴルゴがM16A2を採用するに当たり、会社で製造するオリンピック競技にも使えるような高精度の銃身の中から寸分の狂いもない「スーパー・バレル」を十数年にわたって探し、持てる技術を注ぎ込んで加工した。更に銃本体にも手を加えて完璧なA2を用意した。だがアニメ版ではこの手柄をデイブに取られている。哀れ。
なお、アニメ版ではゴルゴの抹殺を目論む武器開発の科学者はわざわざデイブをはじめとする職人を集めて自作の銃の解説をしている為、『ゴルゴだけではなくデイブの事も侮っていた』となっている。
ゴルゴは、何日もかかる製作を短時間で済ませるなど、自分の無理な依頼をこなした職人には、プロ同士として相手の仕事ぶりを認め、敬意を払う。特にデイブに対してはほぼ無条件の信頼を置いていると言ってもよく、デイブと接する時は彼の口から「ありがとう」の言葉が出る貴重な機会である。またベリンガーによれば、無茶な要求をするだけあって、十分すぎるほどの報酬を支払っているようだ。
小物の職人
ゴルゴの腕時計は、スイスの一流時計職人であるハインツが全くのハンドメイドで製作している。
電磁波などの影響を受け難い機械式にこだわり、またとっさの時に武器にもなる工夫が凝らされている。
この腕時計も、ハインツの娘を利用して時計を手に入れて解析しようとした職人は…分解中に一発の銃弾で彼に消され、時計も破壊された。
この事件を担当した刑事も証拠品の時計を修理して調べようとしたが、消されることなく警告のみで済んでいる(この場合は好奇心ではなく警察と言う仕事上やむを得なかったということをゴルゴも理解していためだろう)。
手袋も、非常に繊細な作りの特注品を職人に依頼することがある。
気の毒にもこの職人は、彼の正体を知らないまま手形を取ろうと背後に回り…強烈な一撃を食らわされたが、再度別用途の手袋の製作を請け負ってもらい完成品を貰う際、彼に「俺は仕事柄人に手を預ける事は出来ない、この十年で人に両手を預けたのはアンタだけだ」、と謝罪を兼ねた労いの発言をしている。
調達屋
主な人物はアメリカ在住の老人。
本名は不明。
武器や人材などどのようなものも調達する。
F-104やメッサーシュミットMe109といった様々なもの(いずれも大戦中に使われた骨董品、軍用であった事もあり最早どこも使ってない代物である)を無茶なスケジュールで頼まれるが、その全てを成功させているあたり腕は確か。
また無反動砲やとある軍事機関の軍服(ターゲットの隠れ家)を依頼された調達屋もおり、そちらも負傷したがゴルゴに届けている。
その他
情報屋の他、医療など各種分野に精通している彼だが、コンピューターシステムのハッキングや、携帯電話の解析、装備の密輸、などは、その道のエキスパートに協力を依頼することがある。
その際にはデイブによる紹介が行われる事もある。(エピソード「神の耳・エシュロン」)
また、各エキスパートをゴルゴに紹介する仲介人もいる。(エピソード「神の手」等。この時に新しく紹介されたエキスパートに関してはゴルゴも信頼をおいていた)
依頼内容によっては計画立案や仕掛けの設置などに協力を依頼する事もあり、依頼の内容によっては協力者に依頼内容の全貌を明かすこともある。
また、脱出時や移動中での事故の遭遇などの対策に世界中にいる連絡員に常に資金援助を行なっており、必要な状況となれば自動的に連絡が回り、ゴルゴの回収へと向かうようになっている。
銃弾でダイヤモンドを砕く依頼を受けた際にはダイヤ加工職人の下を訪れて実際にダイヤを砕かせて参考にしており、狙撃が職人に伝えられた際にはその結果に満足した職人に弟子と認められている。(もっとも職人が勝手に弟子と認めているだけだが)
基本的に協力者にはどのように使うのかを明かすことはないが、普通であれば銃弾の射程圏外となるはるか遠くの目標へ熱に弱いバクテリアを届ける特殊な銃弾の作成を依頼した際には何が必要であるかの判断のため詳しく説明している(遠くに届けるために火薬を強化=温度を妥協されては意味がなくなってしまうため)
ゴルゴの正体を知る・知らないに関わらず協力者に会う際には裏切りの可能性も考慮しおり、エピソード「36000秒分の1秒」においては合流場所に偽装した武器を隠して反撃を行なった。
最近は変装が苦手なゴルゴが雇ったプロのメイクアップアーティスト『トマス・フィール』(「ティモールの蹉跌」以降)やゴルゴに直接売り込みに来た日本人ホワイトハッカー(「ホワイトハッカー」「AIメティス」に登場)も登場している。
また騒動師リンドンの様に『ゴルゴと一緒に仕事が出来る事』を喜んでいるプロもいる(「破局点」)。
やはりプロにとってもゴルゴから頼られる事は別格の評価なのだろう。
明確な総資産は不明。単純な成功報酬の総計だけでも相当なものになると思われるが、さらにスイス銀行の資産運用によって増やしていることが示唆されており、想像を絶する額を貯め込んでいると推察される。
ただし、恩人への寄付や巻き込まれたものへの補償等で大金を寄付しており、報酬の項目で述べられたように目的達成のためには明らかに赤字になるとしか思えないような手段を躊躇することなく選択するため、金銭に対する執着自体はほぼ皆無と思われる。
あるエピソードでは事態解決のために、自然保護活動を名目としてその時の全財産200億ドルをポンッと国連に全額寄付している(エピソード「G資金異聞 潮流激る南沙」)。
定住する住所は持ってはいない(当たり前)が、先述の休暇用ログハウスや改造クルーザーのようなセーフハウス(隠れ家)を世界各地に所有しており、中には高級リゾート地の別荘地に紛れこませた豪華なものもある。
また、年に一度は五感を研ぎ澄ます修行を行っており、洞窟で柔道着に着替えて瞑想したり、食料確保の為に動物を殺生しながら秘密基地へ戻り、パソコンから依頼内容を確認している。(『バイオニック・ソルジャー』より)
ちなみになんと日本の静岡県浜松市に隠れ家として使っていたマンションがあったが、残念ながらこちらは公安にバレてしまったため破棄している。完成が怪しくなったマンション建築の際に名を偽って支援して部屋を確保すると同時に本来存在しない階を作り上げて武器庫にしており、住人として話好きな老人を入れる事で「そういえば変な人が訪ねてきたんだよ」というような形で自然に訪ねてきた人を監視できる体制を作っていた。
なお知る人ぞ知るスナイパー、というのがゴルゴの世界からの認識であるが、金持ちが集まるTRPGサークルの中で世界情勢をテーマにしたものがプレイされていた際「敵国首相の狙撃」→「ランクは?」「最高峰」→「それならば1d100で1以外成功で」というクソみたいな展開になり、結局核戦争でお流れになった後「成功率99%なんてスナイパー居るのか!?」と激憤する参加者に「居ます」と断言されゴルゴの名が出ているので裏社会の関わらない一部界隈でもその実力は評価されている。