概要
てんとう虫コミックス43巻及び、藤子・F・不二雄大全集17巻に収録。
仙人気分を味わうことのできる道具。トランクケースのような箱に風船のように膨らませて設置する「仙人の家」と、仙人になるための修行をつけてくれる仙人型の小型ロボットが入っている。
ちなみにロボットの声は1990年版が北村弘一、2007年版が高戸靖広、2018年版が佐藤正治となっている。2018年版では中の人が同じ為かどこぞの仙人を連想した視聴者も多い。
ストーリー
先生に叱られ下校が遅くなってしまったのび太が後から空き地に着くと、スネ夫の従兄のスネ吉がキャンプに連れて行ってくれる話を聞き、自分も行くと即答。だがのび太は先生からたくさんの宿題を課されており、今後を案じた出木杉としずかからも今回は諦めた方がいいと言われてしまった。
更に帰宅すると、遅くなったことをママに叱られたことで何もかもがつくづく嫌になったが、ドラえもんはいつものパターンだと気にしなかった。だがのび太がどこか遠い山の中で一人暮らしをしたいと言い出したので、ドラえもんは仙人みたいだと言い出したが、のび太がこれに反応して船員とは何か聞いてきたため、「仙人らくらくコース」を出して仙人について説明。
これを聞いたのび太は興味を示し仙人になりたいと言い出し、ドラえもんが止めるのも聞かず、厳しい修行でも我慢すると言い切った。ドラえもんは付いて行く気がなかったため、のび太は一人どこでもドアで滝や霞がある山奥へ移動し、道具を準備し仙人ロボットに「神通力を教えて」と軽い気持ちで頼んだが、杖で殴られてしまった。
だが反抗しても雷雲で黒焦げにされてしまい観念すると、ようやく弟子にしてもらえることとなり、雲に乗る練習から始めたものの、ダメだったので心の修行に移行。そして座禅をしながら無念無想になる修行を始めたが、心を空っぽにしたことで眠り始めてしまったので、また雷に打たれてしまった。
ロボットが去った後も座禅の修行を続けたのび太だったが、いつもなら今頃は昼寝をしたり、おやつを食べたり、テレビを見たりしている頃合い。厳しい環境に耐えられずこっそりと抜け出すことにしたが、どこでもドアはロボットが隠してしまい、再び雷に打たれることとなった。だがのび太が空腹で修行どころではないと言うと、ロボットは仙人食をご馳走しようと谷底まで案内する。
だが、食事と言うのはそこに漂っていた霞のことで、仙人と同じようにこれを吸い込んでみるのび太だったが、当然満腹にはならなかったので、更に厳しい修行を積むため滝行を行う羽目に。たまらず隙を見て逃げ出したのび太だったが、やはり見つかって連れ戻されてしまい滝行を続けた結果、精神疲弊によって無心になり、思っていた形とは違ったが雲に乗れるようになった。
そしてスネ夫達がキャンプをしている場所までロボットと共に雲で移動すると、のび太の存在に気付いたしずかがやって来てくれたが、ジャイアンがポイ捨てしていたバナナの皮を踏んで転倒。その瞬間、しずかのパンツが見えてしまい心を乱したロボットは雲から落下し、スネ夫達はどうしてロボットが落ちて来たのか不思議がる一方、正気に戻ったのび太は「やっと仙人から逃げることができた」と、しずかの手を取って喜び、帰ってこないのび太を案じてやってきたドラえもんもこの光景に驚いていた。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1990年9月28日に、水田版は2007年9月21日及び、2018年8月31日にそれぞれ放送している。
1990年版
- 「身分を考えろ」のセリフはジャイアンが、宿題があることについてはスネ夫の発言になっている。のび太は帰宅が遅くなったことを「ちょっとね」としか言っていなかったが、ママはすぐに先生に怒られていたことや0点を取ったことも言い当てていた。
- のび太が部屋に帰ってきた時、ドラえもんは本を読んでいて、のび太が山の中へ行った際もその続きを読んでいた。
- のび太は仙人の着物を着てから作業を行っている。また小屋を膨らませた際は、見た目は小さいが中は広くてシャワーやベットも付いていると想像していたが実際はそうではなく、仙人ロボットがその中にいた。
- のび太は頭の中を空っぽにしようとした時、日ごろから先生やママに自分の頭の中が空っぽだと言われていたので簡単だと言い切っていた。また、のび太が座禅を頑張っている様子をドラえもんは物陰から見に来ていて、珍しく頑張っているようだったのでこっそりと帰って行った。ちなみにのび太が見たいと思っていた番組は『チンプイ』だった。
- 今回、仙人ロボットは先に雷で脅かし、逃げようとするのび太に滝行をさせて、この間に昼寝をしていた。
- 焚火をしながらジャイアンはこの間の野球でホームランを打ったときの話をしていて、一方しずかはのび太がちゃんと宿題をやっているか心配していた。これに対し、ジャイアンは「どうせやらずにテレビを見ている」、出木杉は「ちゃんとやっている」と予想していた。
- しずかのパンツは原作以上にしっかりと映っていた。そしてこれで心が乱れ落ちて行った仙人ロボットに対しのび太は笑っていたが、やって来たドラえもんの話によってしずかのスカートが捲れ上がる様子をイメージしてしまい同じく落ちて行った。ちなみにこれにドラえもんは「あんまり鍛えられてもいなかったか」と笑っていた。
2007年版
- サブタイトルが「のび太仙人になる!?」に変更
- のび太が出された宿題は、今まで忘れた分も累積されており、ジャイアンがそのことについてツッコんでいる。
- のび太が自分もキャンプに行くと言った際、スネ夫は「ほーらもう忘れてる」、ジャイアンは「お前宿題いっぱいあるんだろ!」と言っている。
- 帰宅したのび太をママが𠮟りつけるシーンはカットされている。
- ドラえもんは仙人だけでなく神通力についても説明していて、例として雲に乗ったり杖で地面をたたくと温泉が湧き出たり、葉を川に落とすとそれが魚に変化したりすることを挙げている。
- のび太は山奥に到着した際は「雰囲気ある」とだけ言っていて、滝や霞があることについては言及していない。
- のび太が降参した際、ロボットは神通力を得て何がしたいか聞いたが、のび太の答えが「出木杉の答案やしずかの風呂を覗きたい」という俗なものだったため、その考えを見抜き杖で一発殴っている。
- のび太は座禅を組んだ際、単に煩悩として昼寝やおやつ、テレビを想像していて、どこでもドアを探しに行ってはいなかった。
- ロボットは「かぐわしき香、そこはかとなく甘味もある」と霞を食べた感想を言っている。
- のび太は滝行をする前に、とても長い棒の上で片足立ちをする練習や、無心で川の水面を渡る修行、竹に登ってしがみつき適度に力を抜く方法を練習していた。
- 滝行をした際ののび太のセリフのうち「殺される」は「風邪をひく」に変更されている。
- しずかのパンツが見えるシーンに関しては、アングルが変更され視聴者には全く見えないようになって、ロボットと同時にのび太もこれを見て雲から落ちてしまった。そしてロボットと共にお互い修行が足りないことについて溜息をついていた。このためドラえもんはやって来ていない。
2018年版
- 原作の扉絵をオマージュしたサブタイトル画面では、のび太の目が無の境地に至ったかのような白目になっていた。
- 先生はのび太が引くほどの大量の宿題を出していて、「野比君はやればできる子だと信じている」と説教をしている。
- 空き地でスネ夫はキャンプの際はカレーを作ろうと提案し、皆で材料を持ち寄ることになったが、ジャイアンはバナナはおやつには入らないからいくらでも持っていけると言って、これに皆は遠足じゃないんだからと笑っていた。また、身分や大量の宿題に関する発言はジャイアンの台詞になっている。
- ドラえもんは仙人だけでなく神通力についても説明していて、これの例として雲に乗ったり岩を割ったりできることを挙げていた。
- のび太は小屋を膨らませてから、この中で仙人ロボットを起動させている。またこの後、ロボットに降伏したのも家の中だった。
- のび太がどこでもドアで逃げ出そうとした際、ロボットは雷を浴びせてはいない。
- 2007年版と同じくのび太は滝行をする前に別の修行を行っているが、それは木の枝の上や巨大な球状の岩の上でバランス感覚を鍛えるというもので、別の枝に引っかかって助かったものの谷に落ち、続けざまに岩が自分の方に転がってくる、しまいにはイノシシの大群に踏み倒されるなどの災難に遭っている。また滝行をした際の「このままじゃ殺される」のセリフは「仙人になる前に風邪ひいちゃうよ」に変更されている。
- スネ夫達はログハウス前の木のテーブルで夕食を囲んでおり、雲に乗るのび太の存在に気付いたのはジャイアンだった。ちなみにしずかのパンツが見えるシーンに関しては2007年版と同じ処理がなされていて、のび太はとっさに我に返ったことで雲から落ちてしまった。
- ラストでは、喜ぶのび太を見てドラえもんが「全く宿題できてないじゃないか」と呆れるシーンで終わっている。