概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』で発生する不幸な事象(イベント)。
否定者(ひていしゃ:世界の理を否定する業の器になった者)になってしまう契機である不条理。
否定能力と併せた変災
否定者(ひていしゃ)とは、自己か他、何かルールを一つ否定する能力者になってしまった人間。別称に「器」とも言われる者たちは、各々で真意にしている事柄や得意・趣向としている素養が否定される業を背負わされる。
そして最悪な理不尽として、殆どが―
「器」にとって最高と感じる時局で否定の業が発現する併合性
つまり「器」の幸福だと予感する瞬間を契機に、創造主-神-が否定の業を付与し、この僥倖を否定する非常理。言い換えれば、悲劇を生むのに最も適した能力が意図的に与えられる不合理が、人知れず横行する世界観であるということ。
このため、突発的に与えられた否定能力へ初見で対応できずに起きる事故から、自己の人生観は多大に失墜する人格障害(くるしみ)も齎されるのだった。
否定能力によっては、発現後は有益な超能力とも感じれる類型もあるが、これに限らず能力発現と合同(セット)である悲劇から、否応ない罪の意識も背負わされる不幸も否定者は被っている…。
実例
本作『アンデッドアンラック』の主人公たちを例に【否定者の悲劇】を記述すると―
風子の実例では、好意のある他者へ触れると相手に不運を与えてしまう否定能力。
このせいで、両親と乗客を巻き込む飛行機事故で270人を死なせる悲劇に遭ってしまった。
彼女の場合、能力発現当時は自身が異能力者と不認知(わからず)の発生例。始めは不幸な事故だったと思うが、以後の生活で徐々に異能力者と自覚していき、そして「あの悲劇」は自分に原因があったと省み絶望を抱いてしまう類例。
アンディの実例では、自身が死に関わる怪我などを強制的に再生する否定能力。
彼は特殊な出自もあって記憶喪失の放浪者だった時期に、成行きで仲間となった傭兵たちと仕事終わりの報酬を分かち合う最中に銃殺される襲撃を受け、自身だけは生き残った経緯から死を否定されてる者と判明する悲劇に遭った。
彼の場合、いつの間にか能力発現してると気づかぬまま日常生活を過ごし、まさかの瞬間に異能力者と自覚し悲愴を抱いてしまう類例。
この他、能力発現をまざまざと突き付けられる災害例や、有益な能力を不都合な状況で付与される災難例といった、様々な【否定者の悲劇】が起きている…。
天災とも言える悲劇に遭い、悉く悲しみや絶望に満ちた過去を背負う否定者たち。これも原因となって普通の人間として生きることは出来ず、能力と向き合い生きるか、絶望して死を選ぶか、開き直り悪さをするか、表社会の否定者はいずれの選択へ動かざるを得ない・・・もう一つの選択を除き。
また否定能力と、起きてしまった悲劇と向き合い、この特異(マイナス)をいかに得意(プラス)に昇華させるかも、能力発現後を強く生きる要素になる人間模様も本編で描かれる。