UNKNOWN-不明-
あんのうん
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』に登場する否定者(ひていしゃ:否定能力が移行した人間)、および否定能力(超能力)の一つ。
UNKNOWN-不明-(アンノウン)は、自己の「証明」を否定する。
自己対象 強制発動型
「証明」の器に常時発動する能力。器自身の言動・行動および、それで起こった外的変化は自分以外の生物に感知されない。即ち否定能力が発現(移行)した瞬間から、これ以降における「証明」の器を裏付ける手段・事物が無くなり、器自身は消息不明・正体不明の立場を強制させられる不条理。
下記で触れるように、四六時中の不幸な生き方を強いられる類型の異能。
不幸な日常生活を強いられる超常現象
総じて「自己が他者に認知されること」を否定する理屈が強制発動される能力。器自身を証拠だてる全ての事柄が否定される様々な超常現象が常時発動される。
顕著な現象例として―
- 「証明」の器は他者(生物)を認識できるが、その他者(生物)からは器自身が不可視(みれず)になり、器自身の声は不聞(きこえず)になる。これらは映像(カメラ)や電話(テレフォン)などを通しても同様に作用され、否定能力が発現(移行)した瞬間以降における行動記録の証跡が残らない。
- 「証明」の器が他者(生物)へ直に触れると、幽体(ゴースト)みたいに相手の体をすり抜けてしまう。因みに器自身は相手の衣服を掴む事が出来るよう模様。だが、着用者は能力特性【否定者自身(「証明」の器)による外的変化は他へ感知されない】から服を触れられた事が不認知(わからず)、その場に複数人いようが誰も気付かない。
- 能力特性【否定者自身(「証明」の器)による外的変化は他へ感知されない】から、器自身が拝借した物資について、他者(生物)からは【いつの間にか減ってる感じ】という風に物証されない。器自身が紙などへ何かを明記しても、その証拠物や立証している姿でさえ、他者(生物)からは【先程と変わらない光景があるだけ】という風にしか認証されない(これを言語化すれば、違和感が行方不明な感じ)。
要は自己の明言・挙証・説明・証書といった、あらゆる明証が強制否定される。言い換えれば「何か」によって常に証拠隠滅される生き方を強いられる不幸な立場を余儀なくされてしまう。
いわゆる『独りぼっち』の生活者だが、更なる不幸が「証明」の器を蝕んでいく。
死ぬまでの孤独
能力特性【否定者自身(「証明」の器)による外的変化は他へ感知されない】は他者(生物)へ作用するが、これ以外は普通の人間と同じ。他と同じように自然環境の影響を受けるし、衣食住は必要である。器自身の保証人は不在(おらず)の生活へ変わるため、全ての生活を自分で確保・維持しなければならない。
作中では、冬の寒さに凍えるから防寒対策は必要、空腹になれば他者の食べ物を拝借(奪取)する、日用品が必要になれば何処かの事務所とかに在る物々を使わせてもらう。これらの調達は上記の能力特性から他者(生物)に不認識だから、始めは謙虚な姿勢で行っていたが、徐々に大胆な能力生活で過ごしていく。
ここまでなら、ただ生きていく範囲だけならどうにでもなる。しかし、これ以上の範疇を目的に行動する際は要注意となる。
上記の現象【他をすり抜ける】は無機物に作用しないため、他者(生物)は気にせずとも出入口や自然物といった物体・事物はすり抜けず接触してしまう。そのため事件や事故に遭遇すると、他と同じ様に影響を受け、最悪は巻き込まれて死傷を被る危険性がある。
作中で器自身の動向を視ると、ある動機から遠出や探索をしている場面にて、危うく倒木の下敷きになりかけて焦ったり、勢い余って男をすり抜けて転倒し-地面と衝突し-軽傷を負ったり、川底にある目的物を探すため水の抵抗を受けながら進み続けたり、とかく【独りだけになる能力者】の苦労が垣間見える。
これらの行動は無事に済んだが、もし道中で身動き出来ない程の重症を負った場合、誰にも気付かれず孤独死する危難と隣り合わせであった事だろう。
そして否定者にある特性の一つ【否定能力は死ぬまで解除されない】によって、UNKNOWN-不明-になった否定者の命が潰えたら、能力解除され身元不明の死体として発見される不幸な未来を迎えると想像される…。
だが戦う。
否定の業(のろい)になんて負けない、最後まで器ではなく人間として生きる。
そして、ある「偶然」によって明白となるUNKNOWN-不明-の将来性(グッドラック)へ動ける保証があった。
否定能力の抜け道
他の否定者には能力へ抜け道があるように、否定能力「UNKNOWN-不明-」にも存在証明を行える抜け道があった。
それは―
「証明」の器に繋がらない実証を明かした「何か」であれば他者へ知ってもらえる
言い換えれば、器自身の事ではない身分証(アカウント)を創る事で世界に関わってる明了ができる。
この理屈は、まさかの「偶然」で明らかとなる。なぜならば、自分は「証明」の器になってしまった事で、自身の一挙一動は他者(生物)に不理解という異常な生活。だから、自身の手が加わった証拠物と思った物事も同様と承知して日々を過ごしている。
だが場合により、他者からは【謎の人物】が創った品物という証左で認知される事がある。それは、よもや不明能力者が手掛けた証拠物と知らない理屈から成立した能力不適用だった。
作中では、別名(ペンネーム)で創った作品を出版社へ投稿した「偶然」によって能力の抜け道が判明した。しかも、長年の孤独と向き合いながら努めた力作を認めてもらえた、否定者となって絶望した年月に差し込んだ光明であった。
しかし、未だに完全証明は不可能な能力者である事に変わりなく、出版社の編集者とは限定的な情報交換・打合せしか出来ないが、それでも不明者生活よりはマシな創作活動をする日常であったようだ。
UNKNOWN-不明-の否定者となって世界から消えたような存在になってしまった「証明」の器。だが、否定能力と向き合い続け解明した偽物自証から、物語の表舞台へ間接的に登場する。
また便宜に、作中で「不明」の理と類似性があるも不成立な器も解説する。
安野雲(あんの うん)
世間では謎多き天才漫画家として認知されている人物。もちろん「安野雲(あんの うん)」はP.N(ペンネーム)で本名不明。1人の漫画家が連載する少女漫画は世界的な人気を博し、主人公の1人・出雲風子や彼女の味方勢力にも知られる面白さ(らしい)。
そして創作者自身には、他にも世界へ関わる秘密があるらしく…。
不成立な器
否定能力は「自己を不可視にする」という「不明」の理(ルール)と類似性がある。しかしショーンの場合は能力制約『自己の瞼を閉じて視界も不可視になってる時のみ』があるUNSEEN-不可視-(アンシーン)であり、視認関連しか作用しないため「証明」の器ではない。また能力比較するとUNKNOWN-不明-の下位互換みたいな否定者でもある。
否定能力は「自己の証言が不可能になる」という「不明」の理(ルール)と類似性がある。しかしテラーの場合は能力特性『自己の通達手段のみ』というUNTELL-不通-(アンテル)であり、弁証関連しか作用しないため「証明」の器ではない。また能力比較するとUNKNOWN-不明-の下位互換みたいな否定者でもある。
行方不明 本名不明 性別不明 容姿不明 消息不明 呼称不明 素顔不明 国籍不明
正体不明の種・・・否定能力「UNKNOWN-不明-」と類似する異能。幻想世界で妖怪娘が行使する「何か」である。
ゴースト/ニューヨークの幻・・・1990年公開のアメリカ映画。不運な出来事で幽霊(ゴースト)となってしまった主人公の男性は、そのままで最愛の女性の前に現れるが、彼女は彼氏の姿・声を認知することは出来ない…。不証明の立場にいる彼氏は不変の愛情と不屈の精神で現状を打破しようと動く姿勢・状況が否定能力「UNKNOWN-不明-」と似ている。
作品の事は知らずとも、主題歌「Unchained Melody(アンチェインド・メロディ)」を聴いたことがある方はいるのではないか。