太郎ファミリー大集合
たろういっかのじゅぎょうさんかん
授業参観にて
今日は授業参観日。5年3組でも生徒の家族が次々参観に訪れる中、どこからどう見ても太郎の母親としか思えない青白い肌にエルフ耳を持つ和服姿の女性が入って来る。
和服の女性と目が合ったのは息子の太郎…ではなく学ラン姿のジェームズで、彼は「ははうえ!!」と感涙、女性も「私の息子」とジェームズに駆け寄って抱き着く。その時、女性の頭からカツラが落ち、田中太郎としての正体がバレる。
先生「みんな、今日はお母さんが見てるんだ。いつもみたいなミスはおかあさんようにな!…おやおや、親のみなさん!母親はもっと豪快にハハハ~って、父親は人差し指立てて、チチチッチって、ナハハハ~!!」
先生がいつも以上に浮いた親父ギャグを言って教室を凍り付かせる中、太郎はいつものようにタカシの隣の席で頭を浮かせて爆笑。相も変わらずタカシは白けるが、その反対側からも爆笑する声がして振り向く。…魚屋のマサミの父ちゃんだった。魚屋はさっき市場で仕入れたばかりだというマグロをその場で捌き刺身にすると、娘やその級友、他のご父兄から拍手喝采される。
続いて入って来たのは美男美女の夫婦…すなわちきょう子の両親。きょう子のパパはタカシのママと目が合うと、「今度一緒にPTA集会に出ませんか」とタカシのママにバラの花束を渡す。その彼の背後では妻が巨大ハンマーを手に構えており、「このバカ亭主!!」と夫を吹っ飛ばすが、飛ばされたきょう子のパパは見事に元の教室に戻った。
ここまでの茶番で授業が進まないと困惑する先生に、瓶底メガネをかけ学ランを着たメチャワル星人は「授業が出来ないんじゃ授業参観にはならないメチャ」と進言すると、自分も両親に来てもらおうと窓の外に向かって「おっかあ、おっとう、カムヒア」と叫ぶ。すると虹色に輝くUFOが飛来、タカシ達はメチャワルの家族が来るのかと胸を躍らせるが伸びるタラップの先にいたのはUFOラーメンのおじさんで、結局すぐに去って行った。
- 改めて国語の授業になり、タカシはママに良い所を見せようと挙手し「うちの母さんは人をおだてて仕事をするのが上手です。それくらい料理も上手になるといいんだけど…」という作文のような文章を読む。タカシが読んでいた教科書のページはその文章を書いた原稿用紙のようになっており、背後では保護者が大笑いする中ママが赤面して「今日の晩御飯はなし!」と怒る。「誤解だよ、俺こんな作文書いた覚えないもん!」としどろもどろになるタカシの横で書生姿の太郎が家族に関する作文を原稿用紙に書いていた。
太郎「母さんが通販で使いそうもない物を買った。僕の小遣いが少なくなるだろう…」
タカシ「お前かーい!!」
- 続いてタカシは「あたま」の漢字(正解は「頭」)が書ける人として挙手。チョークを手に黒板に書こうとすると、チョークが黒板に柔らかくめり込み、「かいーの」という声が。黒板全体を見渡すと太郎の顔と角が生えており、タカシは怒って赤マジックで黒板太郎の顔に落書きする。元の姿に戻った太郎の顔には落書きが残っていたが、本人は満更でもないようだ。
- 改めて教科書を開き、授業に集中しようとするタカシだが開いたページに載った写真(催眠術をかける太郎)が動き、睡魔に襲われる。背後で太郎とジェームズが「授業中の居眠り500回記録達成」と叫び紙吹雪を撒く。「お前のせいだろ~!」
- ともあれ、睡魔に襲われるタカシに、太郎は栄養ドリンクらしき瓶を渡す。タカシはそれを飲むとより眠くなり、再度居眠りしてしまう。タカシが飲んだのは睡眠薬だった。太郎とジェームズは「授業中の居眠り501回記録達成」といちいち祝い、タカシは眠いながらにツッコむ。
- 「何としても眠るもんか」と血眼になるタカシの目の前には運動部の女子が数人現れ、タカシは彼女らとともに走る…という内容の夢を太郎が目から投影。現実のタカシは鼻の下を伸ばして「幸せ」と寝言。タカシのママときょう子は息子(友達)に巨大ハンマーを食らわした。
- タカシのママは愛想を尽かして教室を出て行ってしまい、今の打撃で目を覚ましたであろうタカシは後を追う。校長と教頭に「あんな息子を持って恥ずかしいです」と伝えるママの前に出て謝るタカシ。「頭は悪いし鼻くそはでかいし、オナラの数も多いし…」そう言うママの顔はいつの間にか太郎になっていた!
- 教頭は「こんないいお母様を悲しませるなんて」と窘めるが、タカシは「こいつ母さんじゃないです」と叫ぶ。その発言が火に油を注いだか(無論タカシに悪気はない)、「これは家庭内暴力と少年犯罪の兆候です!」と指摘し、校長にも退学の上警察への引き渡しを進言する教頭。校長は「同感です」と真顔で応える。タカシは囚人服姿で手錠をかけられ護送される自分を想像し絶望する。
太郎ファミリー貸し切り
…タカシが辺りを見渡すと、5-3の自分の席にいた。どうやら先程までのは居眠りで見た夢だったようで、心配した先生が「タカシ、お前は本当に水泳が得意だよな。睡眠グー、なーんてな!!」と謎かけ交じりの親父ギャグを言う。すると周囲にいた生徒が一斉に笑い出し頭を飛ばした。タカシが生徒達の顔を見ると、いやそもそも頭を飛ばせる彼らは、全員もれなく太郎と同じような角が生えた青白い顔になっていた。「これも夢なんだ」と一瞬思うタカシの脇腹を、太郎が腕を伸ばしてくすぐる。「くすぐったいから夢じゃない」
太郎曰く、この教室にいるのは自分の家族とのこと。タカシが辺りを見渡して太郎の大家族に感心する一方、クラスメイトや保護者がいないことに気付く。
先生「お前が居眠りしてる間に授業参観が終わっちまってなぁ、これからの授業は太郎の家の貸し切りにしたんだ」
ズッコケるタカシに、太郎は自分の家族を覚えてもらおうと名簿を渡す。「いらんわ~!」
そして太郎の母、兄、妹、祖父が挨拶し、タカシも(わざわざ挨拶に来てくれるなんていい人なんだなぁ)と感心しつつ「はじめまして」と返す。ところが、挨拶して来たのは彼らの顔だけで、首から下の身体はその横のゴザでくつろいでいた。「横着すなーっ!!」
ともあれ、太郎は授業参観に訪れた家族に感謝し、タカシも微笑ましいと感心。
- 腰を痛めた祖父がその腰を物理的に取り外し、孫達がそれぞれ自分の腰を物理的に差し出す(これにより祖父と孫達は腹から直接脚が生えた状態に)。横では太郎が「(うちの家族は)みんな家族思い」とタカシに紹介する。
- タカシはまだ父親が見えていないことに気付き太郎に尋ねる。すると太郎は申し訳なさそうに「父さんは…」と呟き、母親も「お父さんはいつも私たちの心の中にいるじゃない。会いたくなったら呼べばいいのよ」と諭すように言う。果たして兄妹が「父さーん」と叫ぶと、金髪のパーマヘアで口紅を塗った母親の顔は回転し、チョビ髭の男性の顔が現れる。…もとい、この男性が太郎の父親・田中洋であった。
- 「お前の親はどーなってんだ!」とツッコむタカシや子供達に、父親はお小遣いなのか100万円を渡す。タカシも子供達も大喜びするが、直後に「寄付するように」と太郎の叔母が抱える募金箱を指す。それでも子供達は喜んで募金するが、戸惑うタカシは家族から睨まれ泣く泣く札束を募金箱へ投函。「良いことすると気持ちがいいなぁ」と安堵する父親はタカシが「振り回された俺の気持ちはどーなる!?」と泣きつくと、都合よく顔を母親に戻して買い物に行ってしまった。
- 「太郎の家族の貸し切りなら俺は関係ない」と下校しようとするタカシが戸を開けると、本来廊下であるべき外は太郎の同族しかいない教室になっており驚く。今度は窓から出ようとするがそこも太郎の同族しかいない教室で、それから戸を開けた先にも同じような空間が延々と続く。結局なし崩し的に太郎一家の授業に付き合う羽目になったタカシだったが、その時チャイムが鳴り給食の時間に。
- ところが、給食は1人分しか用意されておらず、タカシが「全然足りない」とジェームズに訴える中太郎の父親が給食の置かれた席に着きドカ食いする。「太郎のお父さんが全部食っちまった!他の人はどーすんだよーっ!!」と喚くタカシの横で父親はズボンを下ろして屈み、背中のハンドルを回して尻から先程食べたのと同じ給食を出す。それを母親が食べ、背中のハンドルを回して尻から先程食べたのと同じ給食を出し、それをまた兄が食べ…これを繰り返すようで、既に田中家の親戚が長蛇の列を作っていた。タカシは太郎の弟が差し出した小さな給食を「んなもん食えるか」と怒鳴りつつ空腹には代えられないとばかりに飲み込む。
- 給食が入っていたカプセルが散乱するのを見て、タカシは太郎に「掃除しろよ」と釘をさすが、太郎はプリント配りと花の水やりと掃除の係が全部タカシに割り当てられている当番表を指さす(太郎自身は「ひるね」に割り当てられていた)。当然「何だこの当番表は!」と怒鳴るタカシだが辺りを見渡すと既に田中一家が布団を敷いて昼寝しており、結局カプセルを掃除する羽目に。「何としても逃げ道を見つけてやる」
- 結局どこまで行っても「太郎の教室」で疲弊するタカシ。次の授業は「うちゅう人田中太郎カルトクイズ」であり、教科書は『うちゅう人田中太郎』のコミックスだった。時間割表を見ると、今日(木曜日)の5時限目が「(太)」となっており、流石のタカシも「ならしょうがないな」と納得して自分の席に戻る。
脱出!「太郎の教室」
そうして始まった1問目は「タカシは学校でみんなから何と呼ばれているでしょう? 1.バカ 2.アホ 3.スケベ」であり、タカシ本人はズッコケる。その隣の席で太郎は「タカシはバカでアホでスケベだと思います」と全選択肢を答えて正解。
タカシ「先生が生徒にそんなこと言っていいんですか!?その一言で少年は傷つき、非行に走ることだって…」
…というタカシの進言をスルーし、先生は2問目を出題。「太郎は今までに何杯ラーメンを食べたでしょう?」
田中家の親戚が次々に名乗り出る中、挙手すらしていないタカシが指名される。タカシは逆ギレ気味に「知りませんよ、そんなもん!!」と答えるが同時に彼の頭には太郎のと同じ角が生える。
どうやら答えられないとマグナーム星人になってしまうようで、あたふたするタカシは話が追いつかないままに3問目の答えを指名される。「ジェームズの苗字は何でしょう?」
タカシはコミックス…もとい、教科書を確認するがジェームズ本人(本蛙?)は「のってない」と即答。逆ギレするタカシ、今度はエルフ耳になる。
すかさず「『田中太郎』を宇宙語で言いなさい」という4問目の答えを指名され、知らないと喚くとタカシの手は赤手袋になり、その後も訳の分からない問題が出される度口答えしていきTシャツの柄が「た」になり、先生に「もうやめて」と詰め寄る。しかし先生は「諦めろ。我々は逃げられないんだ。ここで太郎に変えられてしまうんだよ~!」と答え、その外見は既にマグナーム星人と化していた。
田中一家は気味の悪い笑みを浮かべ、先生は「太郎になってこの星で仲良く暮らそう」とタカシを誘う。既に角、エルフ耳、赤手袋を持ったタカシは(やっぱりお前ら、地球を征服しに来たんだな!)と怯え出し命乞いする。しかし、田中一家の笑みの正体は思い出し笑いだった!
ここでタカシは黒板に隙間があるのを確認、引き戸のように開けて脱出を試みるがその先にはUFOラーメンがあり、田中一家が並んでいた。「割り込みダメ!」
改めて逃げ道をくまなく探すタカシは、ロッカーの奥に逃げ道を発見しそこに入る。暗い通路を駆け抜ける中謎の外国人を発見し道を尋ねようとするが、その彼の顔もマグナーム星人と化しており逃げ出す。外国人はタカシを追いかけるが、これも思い出し走りだった!
やがて外国人は通路の先にあるドアを開け、タカシはようやく脱出できると安堵しそのドアを開けるが中は公衆トイレだった。しかし手や顔を洗うと手袋や角や耳が元通りになり、さらに鏡の後ろにハシゴが伸びていた。そのハシゴを昇ると天井にマンホールがあり、タカシはそれを開け地上に出る。無事教室から出られたことと、地球人として生き延びたことをバンザイして喜ぶタカシの目前には朝日が。…いや、朝日だと思ったのは太郎の祖父の禿頭で、いつの間にか小さくなって太郎の頭上から出て来ていたことに今の今まで気付かないタカシであった。小さなタカシはそのまま太郎の頭から滑り落ち…
タカシが目を覚ますと、今度は身体も元のサイズに戻っていた…が窓に反射した自分の顔を見ると身体的特徴は完全にマグナーム星人と化していた!!
タカシ「身体を侵略されたんだ~!さらば地球人類…、これでまた一つの生命の種が宇宙から消えてしまったんだな……。…でもなっちまったもんは仕方ねぇ、これからは太郎ファミリーとして生きるんだーっ!!皆さん、これからよろしくーっ!!」
そう決意を新たにしたタカシの目前には、ジェームズの親戚と思しき巨大カエルが何人も着席していた。今度はジェームズの親戚の貸し切りとなり、「ここにいるとジェームズ化するぞ」とタカシに注意を促す先生の姿は既にカエル化しており、タカシはジェームズの親戚から挨拶を受けるのだった。
一時間後、ジェームズ一家の授業に付き合わされる羽目になったタカシは今度は、というか案の定ジェームズ化していた…。
該当話は3巻5話「太郎一族大集合!!」。
- 太郎が目から投影したタカシの夢の内容が、自宅の風呂でくつろいでいるところにタカシのおならから神様(演:太郎)が「ドラコロモンスター金・銀」を持って現れ、とっさに「金」と答えるタカシに怒って口から破壊光線を吐き、風呂を豪華な銭湯にするというもの。以後の現実のシーンでも授業参観という設定はない。
- 太郎の父親が子供達には1万円を、タカシには500円を渡しており、ここでは単純にお小遣いの金額でタカシがごねているだけ。
- 先生が太郎化するところで田中一家が笑う理由が、『太郎』のコミックスを読んでいただけ。
- アニメ版で「ロッカー→暗い通路→トイレ→天井のマンホール」となっていた抜け道は、原作では別々に存在していた「掃除用具入れの中のトイレ」(便意を催したタカシを太郎が案内しておいて太郎隊が個室を占拠)と「ゴミ箱の中の抜け道から天井のマンホール」を統合したものと思われる。
外見が著しく異なる太郎とジェームズ、及びその親戚だが、2人は言うまでもなくいとこ同士であることから同じマグナーム星の出身であることは確定している。