概要
星々の並びを天上の宮殿や、天界の官僚に見立てたもの。
現在一般的に用いられる国際天文学連合(IAU)系の88星座を構成するトレミーの48星座がギリシャ神話のエピソードにちなんでいるのと同様、中国の星官も中国神話、道教伝承との関わりが深い。
三垣
地球表面から見た、北天の中心である「天の北極(これに最も近い恒星が北極星として扱われる)」付近のエリアを三つに分けたもの。
天帝の宮殿である「紫微垣」、宮中の庭園である「太微垣」、隣接する市場である「天市垣」からなる。
北斗七星は紫微垣に含まれる。
二十八宿
地球上の赤道をそのまま天球に押し広げて当てはめた円形のライン「天の赤道」をめぐるように点在する28つの天官。
また、これを基準とした天球上のエリア区分も指す。
二十八宿を構成する星官が七つずつ合わさる事で、星官としての四神が出来上がる。
近南極星区
明代末期の歴数学者、徐光啓が記した『崇禎暦書』で追加された二十三の星官。
西洋天文学を参考にしたもので、西洋式の星座名を翻案したような名称が多い(近南極星區)。
著者がカトリックのキリスト教徒であることを反映してか「十字架」という名の星官もある。
その他の星官
北斗星君と南斗星君が居る星神グループ五斗星君のメンバーのうち東斗星君には「東斗五星」、西斗星君には「西斗四星」、中斗星君には「中斗三星」がある。いずれも物理的には存在を確認出来ない仮想上の天体である。
明代の神怪小説『封神演义』では最終盤にて物語中の死没者が新たなる神々として封神される。そのシーンにおいて上述の五斗の星官のほか「随斗部九曜星官」が言及される。しかしながら、九人の星官としての神名は不明。
火徳星君(火星の神)、水徳星君(水星の神)への封神は別個に記載されているため九曜星ではないと考えられる。