本項目では古代・中世のアジア諸地域で展開された天文学・占星術における九つの天体と星神について解説します。
そのほかの九曜については九曜の項目をご覧下さい。
概要
古代から認知されていた五つの惑星(火星、水星、木星、金星、土星)と日(太陽)と月、さらに日食と月食の原因として想定された神話的天体であるラーフとケートゥを加えたもの。
サンスクリット語では「ナヴァグラハ」という。
これらの天体はそれぞれ星神として擬人化されており、ラーフとケートゥは一人のアスラが首と胴に分けられそれぞれ独立した意思を持つ存在となったもの。他の七体はデーヴァからなる。
インドのナヴァグラハ
大乗仏教の仏典が漢訳されると、ラーフとケートゥはそれぞれ羅睺星、計都星と表記された。
中国の九曜
『文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経』や『七曜攘災決』に記された七曜(日月+火水木金土)の姿は、例えば日神がスーリヤと異なり獅子面であるように、インド側の七神のそれとはあまり一致しない。
中国の天文学・占星術では更に紫氣星、月孛星を加えて「十一曜」とも総称し、道教ではその神々を「十一大曜真君」等という。
七曜と残りの四星を「七政四馀(七政四余)」とも呼ぶ。四余の星々は目に見えない「隠曜」とされる。
日本における九曜
日本においては九曜を描いた九曜曼荼羅が作成された。その絵像において日曜の神の前面に複数の馬がいるスーリヤな要素があるが、他は殆ど中国における七曜(の神)表象に基づいており、羅睺星のみ顔は三つに増えているものの、首から上のみという原典寄りの表現になっている。
なお、胴体側であると計都星もほぼ同じ形象である(参考:高野山霊法館)。
一つの大きめの円を囲むように等間隔に並ぶ八つの円で囲まれた九曜紋という図案があり、家紋にも用いられた。
九つの円で表現される九曜には以下のように仏菩薩が当てはめられている。
フィクションにおいて
- 『西遊記』
第5回で初登場。斉天大聖としての立場を天界で認められたのに西王母の蟠桃会をめちゃくちゃにし、仙桃や仙酒や仙丹を平らげて逃走し天宮を荒らした孫悟空を懲らしめるべく招集された軍団のメンバーとして言及される。
花果山を包囲した上で最初に差し向けられ、悟空の犯した数々の罪を改めて言い渡し投降を薦めるが、軽くあしらわれ、一斉に襲いかかるが叶わずに本陣に逃げ帰る事になる。