概要
第一作から登場しているプレイアブルキャラクターの一人。
史実における徳川家康に仕えた武将・服部半蔵正成(およびその後代の正就)をモチーフにしたキャラクター。史実の人物は伊賀や甲賀に何かと縁はあれど、彼自身に忍の心得があったという記録はない(寧ろ槍の名手にして多くの戦で一番槍の武功を立てた切り込み隊長的存在だったとされる)が、本作では他の創作戦国作品の前例に倣い「伊賀忍者」として描かれている。
なおナンバリング5作目『戦国無双5』以降、登場キャラクターたちの設定が再構築され、半蔵についても(比較的に前作設定が引き継がれつつも)多くの変更が加えられた。以降は『戦国無双4』までと、『5』以降で分けて記載する。
戦国無双〜戦国無双4
徳川家康に仕える伊賀忍者。
自身を「影」と呼び、主人を支えるべく暗躍する。与えられた任務は確実にこなす冷静沈着な忠臣であり、家康からは絶大な信頼を寄せられている。
人物
シリーズを通し、徳川軍のシンボルカラーである青と銀をベースとした衣装を身に纏っている。
初代と『2』では一般的にイメージされるスタンダードな忍裝束で、目元以外を頭巾と鉢金で完全に覆い隠していた。僅かにみえる目元は太い眉毛が印象的な凛々しい中に鋭さのある目付きで、右目と鼻筋にそれぞれ切り傷がある。一作目のユニーク衣装では更に髪も露出しており、長い髪をすべて後ろに流しまとめている。
『3』からは史実での“鬼半蔵”の通り名に合わせてか、二本角の生えた仮面を付けるようになり、目元が以前より不明瞭になった代わりに口元が解禁されている。これは『3』における半蔵ストーリーのエンディングでその理由が判明する。また忍のイメージを強調してか、他の武将たちより暗めのカラーリングとなっている。
『4』では徳川軍武将が全体的に特撮ヒーローをイメージしたサイバーなデザインが盛り込まれており、半蔵も全体の構成がタイトな甲冑姿となり、頭部も仮面から兜へと進化。また関節に刃が備えられたりと、より派手で刺々しいデザインへと変更。スタッフ曰く本作では「狼」のイメージも追加したとのことで、これまでダークブルーが主体だったが、本作では特に銀色が強調されている(いずれも徳川家のシンボルカラーである)。
無口で任務を淡々とこなすため非常に冷酷な性格に思えるが、家康を侮辱されると怒気を示す、風魔の挑発に乗り、ねねに対し僅かな優しさを見せるなど、隠された熱い感情を垣間見ることができる。
また初代ストーリー、および後続タイトルの一部イベントでは、「チッチッチッ…」と舌を鳴らしながら人差し指を左右に振る、西洋人が相手の言動を諫めるジェスチャーを見せることがあった。その他『Empires』『Chronicle』などの番外シナリオでは、“鬼半蔵”とも通称される自身の他、同じく“鬼”の通称を持つ武将たちを集める殿(プレイヤー)を「鬼好き」と評したり、上杉景勝とにらめっこをしたりなど、コミカルな姿をみせることもあった。
戦闘スタイル
武器は逆手に持った鎖鎌。
全身を撚るように斬撃と蹴りを繰り出す大振りのモーションが特徴で、コンボのテンポは遅めながら、鎖を駆使して全方向・広範囲を巻き込む攻撃を兼ね備えており、他にも特殊技で分身の術、火遁の術などを使用する。無双奥義では印を組みながら前方に斬撃を連続で飛ばし、最後に素早い連撃で斬りかかるものとなっており、こちらは通常攻撃に反しタイマン勝負向けの設定が為されている。同じく初代から登場する忍枠の無双武将・くのいちと比べると、彼女の方は通常が近接特化型、奥義が高速スピンしながら複数人を巻き込んでいくものとなっており、対照的な性能が意識されていた。
また、半蔵とくのいちは共に二段ジャンプが備えられており、各マップの隠し通路(二段ジャンプでないと昇れない段差)を行き来することが出来る。以降もねねや小太郎など新たに参入した武将にも同じく備えられ、「忍者」を冠するキャラクターの特色として定着した。
人間関係
徳川家
主君・徳川家康に対する信頼は絶対的であり、任務の際には常々「主のため…」と口にしている。
同じく家康を支える猛将・本多忠勝とは、あまり両者のみで言葉を交わす機会は少ないが、同じく家康を信頼する忠臣として、彼を守るために息の合った連携を見せている。『4-Ⅱ』では、忠勝と不仲にみえる息子の直政を心配する井伊直虎に対して「忠勝は直政の成長を喜んでいる」という彼の胸中を代弁する姿もみられた。
他家
初代では真田幸村のライバルという位置付けになっている。本作では、三方ヶ原の戦いにおいて幸村の主君・武田信玄を暗殺しており、その因縁は大坂の陣まで続くことになる。こうした設定がなされたのは、当時、徳川家関係の武将が半蔵のみであったためと解釈されている。家康をはじめとする徳川家所縁の武将が参戦して以降のタイトルでは、両者の関係性はそこまで描写されなくなった。
また、幸村に仕えるくのいち(女忍者)とは、同じ忍びであり尚且つ徳川家と因縁深い真田家の人間ということから、戦場にて相まみえる機会が多い。くのいちからは讃えているのか茶化しているのか「半蔵の旦那」と呼ばれている。
その他、石川五右衛門に対しては「抜け忍には死を」の精神で顔を合わせるなり問答無用で襲い掛かる(史実における五右衛門には伊賀忍者説がある)。
『2』からは風魔小太郎・ねねといった同じく忍びのキャラクターが新たに参戦している。
同じ忍びであるが、異形の存在である小太郎とはその実力差が大きく、作中では彼の術中に翻弄される場面も見られた。
ねねとは、特に3においてその関係性が強調されており、同盟関係にある羽柴家(豊臣家)と徳川家の人間として幾度か同じ戦場で顔を合わせる内に馴染みの関係となり、彼女からは、物言わぬストイックな性格を心配され「もっと(任務以外の)生きがいを持つべき」だと笛などの趣味を勧められている。逆に半蔵は、忍びらしからぬ大胆な出で立ちや忍術から「少しは忍べ」とツッコんでいる。最終的に彼女とは大坂の陣で相まみえ打ち取ることになるが、今際の際のねねの前で笛を奏でて彼女への手向けとしている。
『4』の派生タイトル『真田丸』では、新キャラクター・佐助の師匠となっている。佐助は元々戦争孤児であり、半蔵が拾い忍の心得を伝えながら育てた過去を持つ。成長後は主君である家康からの任務を己を介し与えていたが、佐助は家族を失った戦の原因が武士にあるという心情から、たとえ大恩ある師の主君であろうと不遜な態度を崩さなかった。後に佐助は家康の生涯最大の宿敵である真田昌幸の息子である幸村に仕える道を選び、半蔵と袂を分かつことになり…。
また、同社内のコラボタイトルである『無双OROCHI』シリーズでは『NINJA GAIDEN』のリュウ・ハヤブサと共演。生きる時代は違えど互いに忍として心情を通わせる姿を見せた。
戦国無双5
若くして当主となった家康の側近を務める徳川家の家老。
かつては伊賀忍団に属した忍でもあり、頭領の百地三太夫とは当時からの腐れ縁でもある。
人物
織田信長の青年期を主軸に展開された本作では、三英傑はじめ多くのキャラクターの年齢が引き下げられる中、半蔵はとうとう顔の全貌が公開される。鋭い目元や顔の傷、への字に結んだ口元など、前作までの顔の特徴が踏襲されている一方、髪のボリューム感と白さが強調され、逆に年齢が引き上げられた印象に。
(また一部ファンの間では、髪色や傷を無視すると中の人の代表作でもある他社のキャラクターに似ているとの意見も)
衣装についても「家老」という肩書もあってか、タートルネック風の黒い忍裝束の上に直垂を袈裟懸けに羽織ったものとなり、これまでのタイトな武装から全体的にルーズなシルエットに。また、戦闘時には顔の上半分を覆う黒い狐面と、口元を覆う黒布のマスクを付けている。
戦闘スタイル
武器は忍者刀。
得物こそ変わったものの、逆手持ちによる大振りの斬り付けと蹴りを織り交ぜた戦法は継承されている。リーチ面は踏み込みの連撃でカバーされているが、立ち位置が激しく移動するため、前作に似ているようで異なる性能に混乱する旧作ユーザーもいたかもしれない。
因みに前作までの専用武器であった鎖鎌は百地三太夫の武器として登場している。
人間関係
本作から家康と忠勝が心身ともに年若い青少年として描かれており、逆に半蔵は史実の正成の生没年に寄せて二人よりも年長者となり、家康のことを「若」と呼び、これまでより発言を多くするようになっている。
他家に対しても、来訪者に「殿」の敬称を付けて呼び物腰柔らかに応対するなど、家老としての側面を見せるようになった。明智光秀の家臣・斎藤利三に対し、互いに融通の効かぬところのある主を持つ者として、世話を焼かされる気苦労とそれ故の愛着を共感する一面を見せていた。
伊賀忍団頭領の百地三太夫とは、半蔵自身も伊賀の忍だった頃以来の腐れ縁で、三太夫からは「半」と通称されている。
関連イラスト
初代~4
5
関連タグ
闇のヤイバ:特撮作品『轟轟戦隊ボウケンジャー』に登場する悪の組織『ダークシャドウ』の構成員の一人、半蔵とは中の人や忍者要素が共通している。
「服部半蔵」関連誘導用
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