浅野拓磨
あさのたくま
燃燃30mを3.67秒で駆け抜ける俊足型のストライカー(トップスピードならかのウサイン・ボルトを超えるとされる)で、『ジャガー』の愛称で知られ、ゴールを決めると両手の五本指を前へ突き立てるポーズを取る。
略歴
1994年11月10日生まれ。
7人兄弟の三男(男の子6人に末っ子が女)で四男(2歳下)の弟・浅野雄也もJリーガーである。(2019年に水戸ホーリーホックでデビュー、同年8月からサンフレッチェ広島に完全移籍、同時に広島からの期限付き移籍でそのままプレー、2020年から広島でプレーし、2023年にコンサドーレ札幌へ移籍)
三重県立四日市中央工業高等学校時代は高校選手権では3年連続(第89回・第90回・第91回)で出場、第90回では史上4人目となる初戦から決勝まで全試合得点を挙げ大会得点王に。
複数のクラブからサンフレッチェ広島を選び入団。
2015年4月18日のFC東京戦でリーグ戦初ゴールを挙げる。また、リーグ戦ではスーパーサブに定着して途中出場で8得点を上げた。
12月5日、チャンピオンシップの決勝ではガンバ大阪と対戦し途中出場で得点を挙げ、この年はJリーグアウォーズ2015においてベストヤングプレイヤー賞を受賞した。
2016年7月、プレミアリーグ・アーセナルFCへの完全移籍が発表されたが労働許可が下りず、8月にブンデスリーガ2部(当時)のシュトゥットガルトへ1年間の期限付き移籍。
2017年6月22日、シュトゥットガルトに残留することが発表され、8月19日、ヘルタ・ベルリン戦(開幕戦)で1部デビューを飾った。
2018年5月23日、ハノーファー96への1年間のレンタル移籍が発表され、開幕戦のヴェルダー・ブレーメン以後9試合で先発、4試合で途中出場したものの、契約は『出場試合数が基準に達した場合の買い取り』義務があったため、あと2試合で買い取りという段階で会長により浅野の起用禁止を指示、結果として編成責任者解任と2部降格決定になった。
2019年8月1日、セルビアリーグのパルチザン・ベオグラードと3年契約を締結。
2021年6月22日、VfLボーフムへ移籍。
序盤からスタメン出場こそ多かったものの、2021年はわずか1アシストと結果が伴わなかったが、翌シーズンは最終的にリーグ戦27試合3得点4アシストを記録した。
2023シーズンには2部クラブとの入れ替え戦に臨まなければならない16位で迎えた最終節、レバークーゼン戦で先制点をアシスト、さらにチーム2点目のゴールを決めるなど、1ゴール1アシストを記録しチームを残留に導いた。
サッカー日本代表として
2015年7月23日に浅野は東アジアカップ2015に出場する日本代表メンバーに初選出され、8月2日の北朝鮮戦で代表初出場を果たした。
2016年、AFC U-23選手権2016にU-23日本代表として参加、決勝のU-23韓国戦では後半から投入され、2得点を挙げて逆転勝利で優勝。
同年6月3日に行われたキリンカップサッカー2016・ブルガリア戦で後半14分に途中出場し、後半42分に自身で得たPKを決め、A代表初ゴール。
同年7月1日、リオデジャネイロオリンピックの18人のメンバーに選出された。
2017年8月31日、オーストラリア戦で先発出場し、長友佑都からのクロスに合わせ先制点を挙げ、2-0での勝利と共に6大会連続W杯出場に貢献した。
代表監督がサンフレッチェ広島時代の監督であった森保一に代わって以降も呼ばれ続けていたが、中々結果が出ずにSNSを中心に批判される日々が続く。
2022年11月1日、2022 FIFAワールドカップに臨む日本代表に選出。9月に膝の内側側副靭帯を負傷して以降、公式戦復帰を果たしていない中でのW杯メンバー入りとなった。
かつて日本代表として2010年大会にに出場した田中マルクス闘莉王からは同じくCFの上田綺世、前田大然とともに「ヘボ」と酷評され、ファンからも選出に疑問と批判が相次いだ。
しかし、初戦のドイツ戦、1点ビハインドの中投入されると、75分に堂安律の同点弾で追いつき、1-1で迎えた83分、遠藤航がドイツ選手に倒されて得たフリーキックのキッカーでリハビリ仲間の板倉滉からのロングフィードを受けると、ドイツDFニコ・シュロッターベックに身体を当てられながらもゴールから角度が無い所で右足を振りぬき、逆転弾となるゴールを奪った。これが決勝点となり、過去W杯を4度制覇している優勝候補からの逆転勝利に貢献を果たした。この活躍に対し、前述の通り浅野を酷評していた闘莉王や多くのファンが謝罪することとなった。
奇しくも、同じ場所で悲劇を経験した森保監督への最高の恩返しとなった。
翌年、当時苦しんでいたドイツがリベンジマッチを依頼し、交通費などの費用はドイツ側が全額負担という異例の形で日本代表との親善試合が開催された。1-2とリードした中で投入されると、久保建英からのパスを決めて3点目を奪取し、1-4での大勝に貢献した。
余談
Hansi flick was ist das?
2022年4月に行われた試合のヒーローインタビューで、ドイツと日本の対戦が決まった直後の試合ということもあり、「do you know hansi flick(ハンジ・フリック(当時のドイツ代表監督)を知っていますか)?」と聞かれると、「hansi flick was ist das(それはなんですか)?」と返答した。
この「was ist das?」の意味はドイツ語で「それは何ですか?」という意味で、本人にその気はなかったものの、結果的に浅野はハンジ・フリックを人としてすら認知していないとドイツ国内で話題となった。
そして、そのフリック監督率いるドイツ戦では逆転弾を決めてドイツを破ると、この時の動画が世界中で話題となった。
さらに、上記にもある通り翌年の親善試合でも得点を決め、勝利を決定づけて再三話題となる。なお、この時は久保もゴールを自力で決められる状況にもかかわらず浅野へのアシストを選んだことに関して、「フリックとドイツ代表のトラウマを決定的なものにするためにわざとパスしたのではないか」と、久保のドS説が流れた。
結局、日本戦の翌日にフリック監督はドイツ代表監督史上初とな途中解任となり、皮肉にもインタビューでの発言がフラグとなり、浅野に引導を渡されてしまった。
その後、フリックはリーガ・エスパニョーラのFCバルセロナの監督に就任したのだが、その後を追うように浅野が同じリーグのRCDマジョルカに加入している。