概要
緒里たばさによる三国志をモチーフとした漫画。全6巻。
将軍と少年軍師が【刎頸之交】という契約を結び戦う新バディバトル三国志。
この作品における軍師とは
己の成長を代償として人を越える世界の力を手にした者。風を起こす力を持つ者、他人の力を盗み取り使う者、冥府の門を開き亡者を呼べる者など目覚める力は様々。
その反面成長を捨てたことで体格は子どものままで止まり、繊細で大変脆い精神と肉体を持つ。そして軍師になるための秘術の成功率も低いため命を落とす可能性がある危険なもの。また力を使用する際は戦場にその身を晒さなければならないため、それぞれの軍師は相棒として将軍と【刎頸之交】という契約を結ぶことによって安全に力を行使し、脆い心の均衡を保つことができるようになる。
将軍の側は軍師と契約を結ぶことは水を得た魚と同じと言われ、自らの武を最大限に活用できるようになる。だが軍師の大きすぎる力を間近で目の当たりにするために、その軍師に心酔し堕落していく者も多いという。
誓いを解除する【返印之戯】というものも存在する。
軍師同士が互いの力を競い合う際は【上賢の戦戯】によって決着を付ける。
登場人物
主人公。
軍師になるという夢を叶えに袁紹軍に志願した少年。袁紹軍の軍事演習を見学していた際に出会った蘭と刎頸之交の契約(蘭の希望により仮契約)を結ぶことに。上賢の戦戯で沮授・文醜と戦った後に袁尚の配下となる。戦を戦戯としてとらえているためか目を輝かせながら兵の損害を単なる数値として見たり、蘭の武力のみを頼りに無茶な戦法を至極冷静に運んだりと、組織に属する軍師としては天才だが危険人物。
【軍師の力を奪う】という力を持ち、戦況によって様々な力を組み合わせて使うことができる。しかし感情の高ぶりや不慮の事態が起こると力の暴走を招く未熟なものであり、他人の術を盗み奪うという性質から使いどころが難しく、反感も買いやすく理解を得られなかった過去をもつ。また力を奪った軍師の業も共に背負うものでもあり、大変危険な力。
とある戦いの後袁紹軍から曹操軍に移籍する。
もう一人の主人公。
画像左上の人物
郭嘉の刎頸之友。自分だけの軍師を探している青年。当初は郭嘉とは喧嘩が絶えなかったが、様々な戦いを乗り越え無二の存在となる。神懸かった槍捌きの持ち主で、文醜や典韋と互角以上の戦いを披露した。その正体は軍師殺しと呼ばれ、かつて袁紹軍と壮絶な戦いを繰り広げた名将軍。以前は公孫瓚軍に所属しており、その名を聞くだけで兵が色めき立つ程。
とある戦いの後郭嘉と離れ離れになり、記憶を無くし劉備軍に身を寄せる。また最終回で新たな名を曹操から与えられ、劉備軍と曹操軍の二重生活を送ることに。
袁紹軍
冀州牧。沢山の軍師を側に置き力を蓄えている。
軍師の秘術の書を得たことで軍師という存在を知り、宦官によってその術が腐敗した使われ方をされていることを知り宦官を皆殺しにする。それにより、元々持っていた「世を変える」という意志がより強固な「天子を殺し、自らが天となり偽りの世を終わらせる」というものに変革する。曹操とは幼馴染であったが、思想の違いにより反目し現在は敵同士。
袁紹の三男。端正な容姿の青年。
未だ朝議に出ることが叶わず、兄達より出世の遅れを取っている現状を変えるため郭嘉・蘭を配下にする。
文醜の軍師。
郭嘉・蘭の【上賢の戦戯】の相手。冷静に見えるが激昂しやすい性格。軍師らしく幼く小柄な外見だが、実際は40代近い年齢であり子ども扱いをするととても憤る。
軍師の力は【風を操る】もの。剣舞によって風の向き・強さを思いのままに操ることができる。
この作品の裏主人公のような立場であり、最終話は彼の軍師としての矜持と文醜への想いが描かれている。
画像右の人物
沮授の将軍。
騎馬を扱わせると袁紹軍には右に出る者が居ないと称される名将軍。蘭との討ち合いにより左手を失うが、それでも剣や弓の扱いは一流。冷静で穏やかな性格であり、激情家の沮授をよく支えるよきパートナー。
袁紹軍の正軍師。
長髪で頭の両側に輪が浮かんでおり、長い衣を身に纏った中性的な容姿。身体が弱いらしく常に車椅子に乗っているが、袁紹軍一の軍師のためか自信家。
顔良の軍師。
黒い帽子を被っており、ウエーブのかかった長い黒髪が特徴。皮肉気な笑みと言動を常に浮かべている。かつての動乱の際に潁川に残った同族を見下しており、郭嘉にも当初は正体を現さなかった。
郭図の将軍。
威厳のある壮年の男性で、郭嘉が袁紹軍に志願した際は郭図の代役を務めていた。
張郃の軍師。
美しい青年の外見を持つ軍師。ナルシストで美脚自慢。郭嘉・蘭の最初の敵であり、諜報活動が得意だが少々怠惰。
軍師の力は【植物を操る】もの。草を編んで敵を捕らえたり、一瞬で木々を生やし深い森を作りだしたりするなど多彩な戦い方が出来る。
後に史実通り袁紹軍を裏切るが、その後の動向は不明。
許攸の将軍。
目深に被った兜が特徴的なとても寡黙な将軍。大きな斧を扱い、豪快な戦い方をする。
後に史実通り許攸と共に袁紹軍を裏切るが、その後の動向は不明。
妖艶な外見を持ち、生気の窺えない不思議な雰囲気の軍師。
軍師の力は【未来を占う】もの。水を使い未来を視る力を持つようである。後に牢に繋がれている描写があり、その際に袁家の行く末を予知し絶望の嗤いを響かせていた。
長髪で片眼を隠した長身の男性。軍議の様子から恐らく田豊の将軍。
少女のような外見を持つ軍師。大きな帽子と涙目が特徴。よく審配や辛評に叱られている。軍師の力は不明だが、蘭の回想に登場した際は常の涙目が窺えないほど冷徹な表情を浮かべていた。
軍師の衣の柄は荀一族であるため、荀彧・荀攸と同じもの。
袁紹軍軍師。
角の生えた帽子を被った恰幅の良い少年の姿。常に顰めっ面で小言が多く、厳格な性格。
袁紹軍軍師。
帽子を被ったくせ毛であり、常に竹簡を手に持っている。個性的な袁紹軍軍師達のフォローをしたりツッコミに回るなど苦労人。演習に負けた際【返印之儀】によって将軍を失っている。
曹操軍
画像右の人物
軍師は荀彧。
酒と会話を愛する豪胆な壮年の男性。酒屋で蘭と意気投合し、目を付ける。
天子を利用し、世を変えるという野望を持つ。そのためには手段を選ばず、友と争うことや血で血を洗う戦も辞さない強い覚悟を持っている。
画像左の人物
曹操の軍師。
荀攸と同じ鳶色の瞳を持ち、無気力な表情で曹操の手綱を引いている。少々気が荒く、茶の無い店には大きな舌打ちをし、威圧感で買いに行かせる程。曹操の覚悟に心底惚れており、彼の力となる人物となるよう郭嘉に期待をしている。
軍師の力は【冥府の門を開く】こと。鐘により亡者の魂を呼び寄せ操る力をもつが、その鐘が弱点で手放してしまうと能力の制御が困難になる。
曹操軍の将軍。双戟を扱い、蘭と互角に渡り合う優れた武を持つ。後に史実通りで賈詡によって曹操と引き換えに命を落とす。
劉備軍
飄々として掴みどころの無い青年。人の名前を間違えることが癖。呂布を倒すため、曹操に援助を求め許昌に訪れた。曹操には「大物を狙っている」と称される。
劉備の義弟。義兄同様少々天然な様子。
薬膳料理を作ることが趣味だが、その味はお世辞にも良いとは言えない。また武に優れており、相手が酔っていたとはいえ典韋を素手で圧倒するほど。
劉備・関羽の義弟。色黒で天真爛漫な青年。大きな猪を一人で運べる怪力を持つ。
劉備軍の将軍。その正体は…。
記憶を無くしており、劉備軍に拾われ共に行動している。かつての戦いで、劉備の師であり全ての軍師の祖と呼ばれた盧植を殺害していた。
その他
郭嘉とは奉孝・公達と字で呼び合い戦戯を共に愉しむ仲。郭嘉とは全戦全勝。
軍師の力は【鳥の眼】空を飛ぶ鳥の眼を借り俯瞰で戦の状況を視ることができるが、かつて自らの失策により大勢の兵を失ったため、軍師を廃業したと語っていた。郭嘉と再会した際は曹操軍の客将となっていたが、郭嘉の言葉と蘭の行動により自信を取り戻す。
後漢王朝十四代皇帝。
曹操に追われ河に身を投げるが、ひょんなことから袁紹軍の陣に流れ着き蘭に拾われる。弱々しく少女のような外見だが、漢王朝復興の強い意思を持つ。
帝として特別な力を持ち、陰陽が交わる時間のみ冥府の先帝達と交信する力やそれにより生死を操る能力を使用できる。
陳宮の将軍。
あどけない無垢な笑顔を浮かべながら、音も無く一瞬で大量殺人を犯す歪な武をもつ。劉備によると、人の皮を被った化け物。家族を求め彷徨うが、彼と関わった人物はその殆どが不幸な死を遂げている。帝を求め許昌を訪れるが、その理由は自らの業から解き放たれたいためであった。
呂布の軍師。
常に怪しく微笑んでいる長髪の青年。
軍師の力は【将軍の受けた傷を肩代わりする】もの。そのため体中に大量の傷が残るため、常人には気味悪がられる程に肌が変色していたり、服の下には大量の包帯を巻いている。
宛城で曹操軍と対峙した軍師。高笑いが特徴の短髪・短袴を履いた腕白少年のような容姿。