概要
人と異なる外見。ここでは主に僕のヒーローアカデミアに登場する個性について記載する。
解説
作中の異能である『"個性"』。
その能力のうちの一つである異形型。
肉体の一部、及び全身が人間とは異なる形状をしている人達のことを指す。
その外見はいわゆる創作上のケモミミや亜人レベルから、明らかな人外と呼べるものまで様々。
他の系統の"個性"と比較的したとき、その"個性"固有の身体構造に依拠した優れた身体能力を持つ者が多い傾向にあること等が長所として挙げられる。
その反面、肉体そのものが不可逆的に変化しているため、他の人達とは明らかに異なる外見と一生付き合って生きていかなければならない。また、日常生活の面では特殊な身体構造にインフラ設備が対応していない場合もあり、大規模な災害時等には生活上の不便を強いられることもある(余談だが、雄英高校は多様な"個性"への「バリアフリー」の一環として、各教室に5メートル以上もある巨大扉が設置されている)。
作中で明言されたわけではないが、描写を見る限り以下のようなパターンがある。
- "異形"自体が個性のパターン
動物系の個性や多腕、多脚、四肢以外の器官が体表に現れているもの。
例)障子目蔵…四肢に加えて、個性「複製腕」が肩から2対生えている。
尾白猿夫…個性「尻尾」。強靱な尾が生えている。
蛙吹梅雨…個性「蛙」。ただし彼女の場合、そこまで外見は変化していない。
ハウンドドッグ…個性「犬」。二足歩行する犬のような姿。
- 発動/変形型個性に関係した異形
個性自体は発動/変形型だが、そのために体が発達して異形になっているもの。
例)シンリンカムイ…個性「樹木」。ただ発動前から地肌が木目調。
宍田獣郎太…個性「ビースト」。巨獣化及び身体能力と五感の強化ができる増強型個性だが、発動前から獣人。
毛原長昌…体毛を伸縮自在に操る個性を持ち、全身が毛で覆われた雪男のような風貌。
ファットガム…個性「脂肪吸着」。体内に溜め込んだ脂肪によって球体状の肥満体型となっているが、脂肪を消費することでやせ型の体型に変化する。
- "個性"と関係ない異形
上述の説明と矛盾するようだが、個性の内容となんの関係もなく見た目が異形になっている人物もいる。
例)常闇踏陰…顔が完全に鳥だが、個性は鳥とは何ら関係の無い「黒影」。
口田甲司…ゴツゴツした岩のような外見。でも個性は「生き物ボイス」。
異形差別
劇中の社会においては、「異形型」の"個性"を持つ人間に対する差別が存在している。
物語上は露骨な暴力や直接的な差別描写は避けられているものの、作中の登場人物の発言や断片的な描写等によって、超人社会の歴史を通して、異形の人々が多大な迫害を受けてきたことが推察できる。
実は近年は「異形」という用語自体が「好ましくない(差別的である)」と見る動きもあり、公式な場面や社会的地位の高い人々の間ではあまり使われない言葉になっているらしい。
作中で異能が発現し始めて未だ100年弱であり、外見まで変化する異形型の個性差別は根強い社会問題として現代に至るまで問題視されてきた。
超常の歴史とは「異なる形」への迫害の歴史とする見方もあり、過去を紐解くと、異形を迫害する過激なデモ活動や凄惨な虐殺が繰り返されてきた負の歴史がある。
現代においては世代交代や道徳教育の浸透、治安の改善等の要因によって縮小傾向にあり、特に都市部では然程問題にもされていない。ただ、昔ながらの因習が残る一部の地方や、人目に付かない場所等では、「見た目が気持ち悪い」という理由だけで集団リンチやいじめの対象になることもある等、根強い差別意識は未だに払拭されていない。
そうした異形への差別を受けてヴィラン(犯罪者)に転じる者も少なからずおり、異形の人々の犯罪によって差別を煽る者が増加するというような悪循環に陥っている。
「異形」の定義
超人社会では、その発動形態によって"個性"を「発動型」「変形型」「異形型」という3つのパターンに分類する方法が広く知られているが、この分類が学術的に適当であるかどうかについては疑問の余地がある。
例えば障子や口田は明らかな「異形」として周囲の人々から認知されているものの、厳密に言えば障子の"個性"『複製腕』は変形型、口田の"個性"『生き物ボイス』は発動型"個性"の要素をそれぞれ含んでいる。
尾白やホークスもまた「異形型」に大別される"個性"を持つが、彼らの異形が周囲から忌避感や偏見を持たれているような描写は無い。
また麗日、飯田、瀬呂、耳郎らのように、周囲から「異形」とは呼ばれなくとも、体の一部に常人とは明らかに異なる特徴を有する者もいる。
更に言えば爆豪や上鳴らのように、見かけ上の「異形」は無くとも、常人とは異なる皮膚や体内器官等を持つ者もおり、"個性"因子の働きによって外見に現れない形で体の構造が変化している場合もある。
つまるところ、"個性"とはそれ自体が人の体を変異させる性質を持っているのであり、異形を「個性による肉体の変異」と定義するのであれば、程度の差こそあれ全ての個性が異形型としての要素を持っているということになる。
その上である"個性"を「異形」と見るかどうかは個々人の主観やその時代において主流の考え方によって絶えず変化するものであり、上記の"個性"に関する3つの分類も、突き詰めれば外見上の差異によるものでしかない。
こうした事実を裏付けるものとして、過去には「異形排斥主義」を掲げるカルト団体が存在したが、「どこまでを異形として区別するか」という問題で組織内で対立が起こり、分派・縮小の果てに消滅することになったという顛末も語られている。
しかしそれが科学的に正しいかどうかにかかわらず、「外見が異なる」ということはシンプルかつ直感的に明らかなものであり、だからこそ根が深い問題であるとも言える。
作中の時代においても未だ根本的な解決には至っていないものの、差別の撤廃に向けた活動は日々続けられている。
関連人物
個性道徳教育に多大な貢献をした人物。生物学上の人間ではないものの、人と同等以上の理性、知性を持ち合わせており、その功績を讃え人々からは「世界的偉"人"」と呼ばれている。
プロヒーローを志す少年。幼い頃から受けてきた差別はその心身に癒えない傷跡を残している。
異形差別が残る田舎で引きこもり生活を続けてきた。幼い頃から差別を受けることが「当たり前」のものという認識を刷り込まれ、虚無感と諦念を抱えながら過ごしてきたが、ステインに感化されたことを切っ掛けにヴィランとなる。