概要
『トロピカル〜ジュ!プリキュア』におけるボスキャラであるあとまわしの魔女のかつての称号。第42話にてバトラーから語られた、
過去、伝説のプリキュアと対峙していた存在であり、バトラーはこの頃から彼女に仕えていた忠臣である。
破壊の魔女の名の通り、世界の破壊を目的として暴れ回っていた。
現在の魔女は万事にやる気がなく当時の面影は全くないが、バトラー曰く破壊の魔女と呼ばれていた時代の魔女は「それはそれは素敵だったのですよ」との称賛している。
※以下は本編の核心に関するネタバレが含まれます
真相
第44話にて、その正体が産まれながらにして『破壊』を司る存在であると判明する。
〈自然災害の化身〉ともされ、全てを破壊するべく産まれてきた為、この世の生物達とは根本的に相容れない存在だった。
『破壊の魔女』こそがあとまわしの魔女の本来の姿であり、前作のビョーゲンズ(病気の化身)と同様、人間や人魚達とは相容れず理解もできない〈災害の化身〉であり、産まれながらの絶対悪……であるはずだった。
『破壊の魔女』が『あとまわしの魔女』になるまで
当初は己の宿命に従い、世界を破壊すべく人類に危害を加えていたが、人間の激しい抵抗による砲火を受けて負傷し、海辺の洞窟に身を寄せる(この時人間は大砲等を使っている。近世のヨーロッパ辺りが舞台か?)。
そこに1人の少女が訪れる。少女は魔女が負傷しているのに気づくと、魔女が明らかに人間の見た目では無いのにもかかわらず、魔女を手当てしライ麦のパンを食事に与えるなどと、分け隔てなく献身的に面倒を看た。
少女はアウネーテと名乗ったが、魔女自身は名前を口にしなかった。だが、アウネーテからは「友情の証」としてアネモネの花で作られた指輪を与えられた後、アウネーテからやや一方的に「明日また会おう」と約束された。
しかし、魔女は自分の宿命には抗えず、同日の夜に出奔し姿を消した。その後、ヤラネーダの大軍勢を率いて再び地上への侵攻を開始する。その中でキュアオアシスと対峙するに至るが、そのプリキュアがアウネーテであると知り、アウネーテも破壊の魔女がかつて自分が助けた相手である事実を知る。
オアシスの説得も自らの出自から受け入れられず、両者は激しい戦いを繰り広げるが、雌雄は決しかなかった。
夕刻になり日も沈みかけた頃、魔女は「決着は明日にしよう」と告げ、オアシスの前から去っていった。
しかし、その『明日』は来なかった。
キュアオアシスとの対決の次の日、唯一の部下であるバトラーから「『明日』になりました。今日こそプリキュアと決着を」 と告げられる……が、魔女は「明日にしよう……」と先延ばしにする。
その次の日も、また明くる日も、バトラーからキュアオアシスとの決着をせっつかれる度に魔女は「明日にするわ、まだ期は熟さぬ」等と宣い、宿敵に抱いてしまった情から決着の先延ばしを何度も繰り返す。
それを長年繰り返す内「彼女の使命を支える」と誓ったバトラーは諦観の底に沈んでゆき、人間であるアウネーテの寿命も尽きてしまった。
しかし、魔女はその現実を知ってか知らずか「オアシスがまだ生きている」のを前提 にしつつ、連日連夜「明日にするわ……」を口にし続けていた。それによって「殺したくない少女と殺し合う」自身の宿命から目を背け続けるように。
それから、恐ろしい程の歳月が経過する。ぐるぐると周り続けていた破壊の魔女の屋敷の時計も、遂に壊れてしまう程に。
毎日のように同じ言動を繰り返して何百年。魔女は遂には『自分が何をあとまわしにしていたのか』すら忘れてしまう程に衰え、自らの寿命も尽きつつあった。
だが、何かを「あとまわし」にしないといけない執着だけは残り続け、魔女はありとあらゆる物事を「あとまわし」にするようになった。
こうして『破壊の魔女』は『あとまわしの魔女』 になったのである。
本当は「やる気」ではなく「自分を変える勇気」 が足りなかった為に……。
それでも魔女は「あとまわし」を続ける為、愚者の棺を用いて今にも尽きそうな命を永遠に伸ばそうとしていたのだ。
それこそが彼女の望む『永遠のあとまわし』だった。
余談
『破壊』の示すもの
第44話で明かされた『産まれながらの破壊を司る存在』との異称を指す概念は以下の通りと思われる。
実際、同じスーパーヒーロータイムでは、物語を守る為に物語を破壊する『世界の破壊者』が存在する。
恐ろしい偶然
魔女の過去が明かされた第44話の前日の1月15日、フンガトンガ・フンガハアパイの噴火に伴う世界規模の水害が発生、その余波は翌日の16日にも及んだ。
当日の『トロピカル〜ジュ!プリキュア』やニチアサの放送(どころか、ほぼ全てのテレビ番組)には津波警報と注意報を示す日本地図が入り、地域によってはL字型画面放送になった。
上記の通り破壊の魔女の出自は〈自然災害の化身〉であるが、その出自や由来が明かされる前後に、このような自然災害が発生してしまった(しかも、同エピソードの終盤、魔女は絶望のままに暴れる降りまであると、ここでも恐ろしいリンクを見せている)。
関連キャラ
クローズ(プリキュア)/エリシオ/蛇遣い座(プリキュア):プリキュアと決着を付けず去っていったプリキュアシリーズのラスボスキャラクター。ただし彼らはプリキュアとは完全に和解はしておらず、クローズに関してはいずれまた、現れる事態を仄めかす台詞を残しながら去っている。
ククルック:人形劇の悪役に使われた人形が付喪神と化した悪。悪事の動機が悪役だから悪事を行うからで、生者から受け入れがたい存在理由と、顛末が自分に優しくし、受け入れようとした存在が現れ、自分の存在意義を失う点が共通する。