概要
JRA主催G1としては毎年最初の開催となるフェブラリーステークス。2024年は有力な中央ダート馬が軒並みサウジ遠征で不在な中ではあるが、その影響なのか、ダート中距離はもちろん短距離の強豪や芝の道悪適性馬、さらには地方競馬の強豪も次々と参戦を表明することとなり、秋のG1/Jpn1とは異なる様相を呈することとなった。
出馬表
※フルゲートは16頭。
馬番 | 馬 | 性齢 | 騎手 | 調教師 |
---|---|---|---|---|
1 | イグナイター | 牡6 | 西村淳也(栗東) | 新子雅司(兵庫) |
2 | シャンパンカラー | 牡4 | 内田博幸(美浦) | 田中剛(美浦) |
3 | ミックファイア | 牡4 | 矢野貴之(大井) | 渡辺和雄(大井) |
4 | ドゥラエレーデ | 牡4 | B.ムルザバエフ(GER) | 池添学(栗東) |
5 | オメガギネス | 牡4 | C.ルメール(栗東) | 大和田成(美浦) |
6 | カラテ | 牡8 | 菅原明良(美浦) | 辻野泰之(栗東) |
7 | ガイアフォース | 牡5 | 長岡禎仁(栗東) | 杉山晴紀(栗東) |
8 | セキフウ | 牡5 | 武豊(栗東) | 武幸四郎(栗東) |
9 | ペプチドナイル | 牡6 | 藤岡佑介(栗東) | 武英智(栗東) |
10 | タガノビューティー | 牡7 | 石橋脩(栗東) | 西園正都(栗東) |
11 | キングズソード | 牡5 | 岩田望来(栗東) | 寺島良(栗東) |
12 | スピーディキック | 牝5 | 御神本訓史(大井) | 藤原智行(浦和) |
13 | レッドルゼル | 牡8 | 北村友一(栗東) | 安田隆行(栗東) |
14 | ウィルソンテソーロ | 牡5 | 松山弘平(栗東) | 小手川準(美浦) |
15 | ドンフランキー | 牡5 | 池添謙一(栗東) | 斉藤崇史(栗東) |
16 | アルファマム | 牝5 | R.キング(AUS) | 佐々木晶三(栗東) |
今回は芝の実績馬であるシャンパンカラー、ガイアフォース(レートで優先出走)、カラテがダート替わりでの参戦。そのせいか特別登録の時点で弾き出されたボーダーが高め。特別登録の時点で出走圏だったシャマルとサンライズホークがかきつばた記念に回り、ジャスティンカフェは放牧(屈腱炎で離脱)、繰り上がりでアルファマムとオメガギネスが出走することになっている。
騎手起用については、
- イグナイターの関東での主戦である笹川翼騎手はカタール遠征中のため、西村淳也騎手とタッグ。西村騎手が主戦のガイアフォースはこれまで攻め役で乗っていた長岡騎手がテン乗り。
- ウィルソンテソーロは川田将雅騎手がカタール遠征、原優介騎手が先々週に落馬負傷のため松山弘平騎手がテン乗り。
- 南関東2騎は共に御神本騎手主戦のお手馬被りとなるため、ミックファイアの方が矢野貴之騎手に乗り替わり(2歳時以来のコンビ)。なおミックファイアはこれが中央初出走となる。
前評価
人気 | 馬 | オッズ |
---|---|---|
1 | オメガギネス | 3.2 |
2 | ウィルソンテソーロ | 3.9 |
3 | ドゥラエレーデ | 5.5 |
4 | キングズソード | 9.4 |
5 | ガイアフォース | 13.0 |
上がり馬オメガギネスが1番人気で、他の人気どころはダート中距離の実績馬。またダート替わりのガイアフォースも不気味とみられたようだ。
レース展開/結果
着順 | 馬 | タイム/着差 |
---|---|---|
1 | ペプチドナイル | 1:35:7 |
2 | ガイアフォース | 1¼ |
3 | セキフウ | クビ |
4 | タガノビューティー | ハナ |
5 | キングズソード | ½ |
前が競り合ってペースが速くなり、前崩れの決着となった。勝ったのは11番人気ペプチドナイル。ダート替わりのガイアフォースが先団後ろからしぶとく伸びて2着。オメガギネス14着、ウィルソンテソーロ8着、ドゥラエレーデ12着と人気上位は総崩れとなり、3着も13人気セキフウが入ったため3連単153万超、レースレコード配当を更新する大波乱となった。
- ペプチドナイル、及び「ペプチド」の沼川一彦オーナーは重賞初勝利が嬉しいGⅠタイトルとなった。重賞未勝利馬がフェブラリーSを制するのはGⅠ昇格後ではじめて。
- 藤岡佑介騎手は2018年NHKマイルCのケイアイノーテック以来6年ぶりの中央G1勝利。本レースは初勝利。管理する武英智調教師はG1初勝利となり、2018年開業組では前年同レースのレモンポップの田中博康調教師に続き2人目の中央G1勝利となった。
- キングカメハメハ産駒は意外にも本レース初勝利、この勝利で連続年重賞勝利を17にし、あのサンデーサイレンス・ステイゴールド親子の記録に並んだ。生産者の杵臼牧場は2001年天皇賞(春)のテイエムオペラオー以来23年ぶり2頭目の中央G1勝利だった。
関連動画
余談
今年はJRA70周年のメモリアルということで、前年にメモリアルヒーロー投票が行われた。このレースの最多得票は10年前に最低人気でこのレースを制したコパノリッキー。それに比べると単勝では及ばないが3連単がそれを超えた。また、2着のガイアフォースは長岡禎仁騎手騎乗。彼は2020年のフェブラリーSでケイティブレイブに騎乗し最低人気で2着に突っ込んだ。そしてその時も3連単は100万を超えなかった模様。ガイアフォースは初ダートの今回で2着、これは2001年トゥザヴィクトリーの同レース3着を上回る、初ダートでのJRAGⅠ最高着順の更新となった。
前傾ペースの厳しい競馬になったこともあってか、レース後に6着のレッドルゼルが腱鞘炎を発症。次いで3着に激走したセキフウは屈腱炎に遭い、それぞれがこのレースを最後に引退することになった。2着のガイアフォースも左第2中手骨骨折で長期休養は避けられない状況である。