粉砕!玉砕!大喝采!
ふんさいぎょくさいだいかっさい
原作にて、どうしても欲しかった青眼の白龍を手にいれた海馬瀬人。
これを発端にしたデュエルで、盗んでまで手にいれた世界に4枚しか無い青眼の白龍の圧倒的強さとかっこよさに魅せられた海馬は高笑いを繰り返した際に発した歓喜の雄叫びがこれである。
1戦目は遊戯の祖父武藤双六の青眼の白龍を遊戯から盗む形で使用。
初めて召喚した際に闇のゲームで実体化したその姿に興奮し、
「ふはははーー すごいぞー カッコいいぞー‼」
と雄たけびを上げる。
しかし、闇のゲームにおいては盗んだカードの召喚は無効となり即座に消滅。海馬はこのデュエルに敗北し、双六のものであるこのカードを奪い返されてしまう。
これを海馬は逆恨みし、後に残り3枚の青眼の白竜を強引な手段で収集。(持ち主には自殺に追い込まれた者まで出ている)
さらに闇のゲームを科学的に再現しソリッドビジョンの開発に成功する。
復讐の準備を整えた海馬は双六にデュエルを仕掛け、双六に彼の青眼の白龍を召喚させると、ターンを無視して自身が集めた残り3体の青眼の白龍を連続召喚するというルール無視の暴挙で圧倒。しかし、結果としてそのような理不尽なパワーカードデッキには勝てないと双六が負けを認めたことで勝利。
罰ゲームとして、また自分以外の所有者を排除し絶対的な強さを手にするため、双六の思い出の品であるこのカードを目の前で破り捨ててしまう。ついでに、ソリッドビジョンの刺激が強すぎたことで双六は病院送りになっている。
これに激怒した遊戯は再び海馬にデュエルを挑むため、海馬の仕掛けたDEATH-Tを攻略。
そしてついに幕を開けた2戦目、遊戯を相手に青眼の白龍を召喚、前回は果たせなかった攻撃により遊戯の暗黒騎士ガイアを撃破、さらに続けてインプを粉砕してテンションが爆上がりした際に放ったのが
「攻撃!! 粉砕!玉砕!大喝采ー!」
である。このデュエルは大量の観客の中で行われており、自ら喝采を求めるノリノリぶりである。
さらに「見苦しい 見苦しいぞー!」等と負けを認めない遊戯を饒舌に煽っており、この前後の社長はとにかくノリノリである。
しかし、光の護封剣で時間稼ぎをされた上に、封印されしエクゾディアを召喚されてしまい、完膚無きまでボコボコに負けてしまい、
「キ…キ…キ…キ…キイイイイイイイ オ……オレの青眼の白龍がぁぁぁぁぁ…ぜ……ぜん…め…めつめつめつ…」
と奇声をあげている。
こんなことがあっても、いやだからこそなのか海馬は主人公である遊戯にこれまで以上に執着するようになり「お前にも敗北の十字架を背負わせてやる」とあの手この手で遊戯に勝とうと暗躍するようになる。
この後に海馬が手に入れるオベリスクの巨神兵と共にデュエル人生を捧げることになる己の『嫁』である白竜への愛からくるエクスタシーの発露でもあり、一方では自分が気持ち良く勝つためには手段を選ばない初期海馬の外道っぷりが遺憾なく発揮されているのがこのセリフ。
原作ではこの一連のデュエルの間にはDEATH-Tにてゲームと称して傭兵・殺人鬼や殺人装置まで駆使しており、この快感に至るまでの狂気が際立っている。
現在でも海馬アニメ版イラストのグッズやLINEスタンプなどでも当たり前のように使われており、彼の象徴的台詞として定着している。
津田健次郎によるアニメでの特徴的なパワフルな笑い声も相まって記憶に残るセリフ、なのだが……
実はこの台詞、アニメ版の海馬は発言していない。
漫画に実在する台詞ではあるのだが、アニメにおいてCV津田健次郎の海馬瀬人としては言っていないのである。
遊戯王の原作は序盤は闇のゲーム主体の作品で、後のカードバトルの展開をメインとした「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」は、原作の海馬初登場エピソードとDEATH-T編からデュエルモンスターズ要素のある話だけを抜き出し、最初の第一話のたった19分だけで超駆け足で進めた都合上、とても劇中で使う尺などなかったためである。
これは上記の闇のゲーム路線からカードバトルに移行するDEATH-T編までのエピソードがテレビ朝日放送の東映版でアニメ化済みで、極力エピソードの重複を避ける目的もある。
では、その東映版でならじっくり描かれたからキャベツ頭ことCV緑川光の東映版海馬は「粉砕!玉砕!大喝采!」言って……いそうなのだが、「攻撃!破壊!大喝采!」という表現に差し替えられている。
その原因は1998年当時は一部過激表現の規制が厳しかった影響とも言われている(尤も、同じテレ朝のアニメでは3年前にキャベツと同じ声帯を持った奴がもっと危ない台詞を吐いているので真偽は不明だが。)
そして2004年に、アニメオリジナルも含めこのセリフを口にする機会も無いままDMは終了し、新シリーズ「遊戯王GX」がスタート。
メインキャラクターの総入れ替えにより、もう海馬による「粉砕!玉砕!大喝采!」は聞けないだろう……と視聴者の誰もが確信した時、この台詞は予想の斜め上を行く形で登場することとなる。
そのエピソードはGX34話。
どう見ても海馬瀬人本人にしか見えないカードの精霊ことカイバーマン(もちろんCVは海馬と同じ津田健次郎)が登場。
遊城十代に青眼の究極竜からの白龍三体のダイレクトアタックで勝利した後、気分が高揚した彼は
「粉砕!玉砕!大喝采!」
と例の台詞を言ってしまったのである。
設定上は精霊としてはもちろん、本家のヒーローショーで中の人を演じているのも社長ではなく側近の磯野であり、海馬瀬人とは完全に別人である。
しかし、CVやテンションの高さから海馬本人にしか聴こえず、動画サイトでも散々海馬の動画にこのカイバーマンの台詞に差し替えた遊戯王MADが量産される始末であった。
この結果、本人は言っていないが、同じCVの別キャラが言っており、アニメでも言っていると誤認されたという非常にめんどくさい状況となっている。
以上を総括すると
- 原作では言っている
- 我々が最もよく知るDMの海馬は一切言っていない
- 東映版の海馬は該当する台詞自体は言っているが単語が変わっている
- 別人だがCVやテンションは完全に同じのカイバーマンは思いっきり言っている
という非常に面倒くさい扱いとなってしまっている。
『強靭!無敵!最強!』
なお、「粉砕!玉砕!大喝采!」とセットで扱われがちな 「強靭!無敵!最強!」の方はアニメでもしっかり言っている。
この二つは同時に言った台詞ではなく、DMでは「粉砕~」(が言われていたはず)の時期が1話なのに対し、「強靭~」の方は23話と大分先になる。
こちらは青眼の究極竜を初披露した際に放ったものであり、実際に召喚した後でテンションブチ上げだったこちらとは異なり、最強兵器による完璧な勝利のために内心で呟いたものであり、実際にはテンションも大きく異なる。
ちなみに、「強靭!無敵!最強!」は2018年6月9日に発売されたデュエリストパック-レジェンドデュエリスト編3-にて通常罠カードとしてOCG化している。
「粉砕!玉砕!大喝采!」が続いてOCG化するのかは定かではない。